A なんだい
B 早く寝た方がいいよ?
A (だったらお前も)書け!書けッてんだ!
-保健室-
「楯無、傷は治ったか?」
「前から言おうとは思っていたんだけど、一夏くん。せめて『さん』くらいは付かない?」
「何で?必要か?」
「いや、そう言うんじゃないんだけど。」
「じゃ、刀奈か?」
「!?!?」
「安心しろ。誰も聞いちゃいない。」
「ちょっと待って!何で知ってるのよ!?」
「役所に行ってチョチョッと手先を動かすだけで、その程度のことは調べられる。違うか?」
「私の戸籍は存在してないはずなんだけど?」
「そうか?だがあったのは事実だ。」
「」
「ところで怪我は?」
「弾を一発も撃ち込まれたのよ?遺体に決まってるでしょ。」
「そうか?じゃあ、AEDがいるな。あのオレンジのヤツだ。」
「あ、あの一夏くん?冗談だよ?」
「刺激が欲しいかえぇ?ビリビリするような刺激だ!刺激が欲しいだろ!」
「いやー!結構!遠慮させて貰うわ!!」
「安心しろ。急所は外してやる。」
「しなくていいわよ!弾ももう取りだしたし!!」
「分かったなら、体の調子がどうかを答えるんだ。」
「もう傷口は塞がったわよ!」
ガバッ!
「見なさいよ、ほら!」
「分かったよ。分かったから腹を仕舞え。」
「ちゃんと見なさいって言ってるでしょ!!ホラホラ!!」
「見てる。あまり騒ぐな、傷口が開くぞ。」
「あっそう。じゃあ、本当に塞がっているか、触ってみなさいよ!!」
「お前もセラピーが必要だな。」
「なぁ!一夏くんは、私がおかしいって言うの!?分かったわ!だから触ってみなさい!そうすれば、治っているって分かるから。」
「分かった。だから仕舞え。」
「そうやって逃げ――」
「時間だ。」
「何をやっとるんだ、楯無。」
「お、織斑先生!?」
「い、いけませんよ!教育的指導で――」
「山田君、黙っててくれ。話しがややこしくなる。」
「織斑先生!!女子生徒と男子生徒が、鍵が掛かっていなかったとは言え密室で――」
ドベキシ!「オフィ・・・」【1/3000】
「この手に限る。」
「いい感じだ。」
「」〈こうなったら、アレをするしかないわね。〉
-それから何日か後の、夜の一年生寮食堂にて-
「面倒くさい前置きはなしにして!ここに宣言するわ!」
「OK!」
ズドォォォォォォォーンッ!【4801/5000】
「水でできた化身よ!」
「腕を上げたな。見破れなかった。」
「ふっ、これからは楯無お姉さんを甘く見ないことね。」
「で、宣言って何だ。」
「無粋なんだから。一夏くんは、口の利き方を学んだ方がいいわよ。」
「あたしもそう思うわ。」
「良く言うよ。」
「宣言って何よ。」
「・・・一週間後。」
「何が?」
「一年生対抗一夏争奪代表候補生ヴァーサス・マッチ大運動会を開催するわ!!」
「よく一息で言うな。」
「えぇ、わたくしでもあの長さを噛まずに言い切る自信はありませんわ。」
「で、何の詠唱だったのだ?」
「さあ、長くてよく分かんなかったわ。」
「」
「宣言は終わりか?」
「えぇ。今から説明するわ。」
「まだ喋るのか。」
「目的は二つ!優勝者には一夏くんと同じ一組になる権利を与え、それ以外の代表候補生は別クラスに移動。そして、一夏くんと同じ部屋で暮らす権利を与える。」
「待て待て待て、最後の大佐と同じ部屋で暮らすというのは何の拷問だ?」
「おいラウラ。俺はそこまで鬼か?」
「アンタの筋トレ、篠ノ之さんしかついて行けっこないわ。」
「慣れればどうと言うことはない。」
「篠ノ之さんだけですわ!」
「というか、誰得なのよ。その何たら運動会。」
「・・・。」
「ずっと温めていたってところかしら。」
「みたいだね。でなきゃ、こんなこと思い付くはずがないと思うもん。」
「・・・。」
「どうした、冷や汗なんかかいて。」
「・・・注文しちゃったわ。」
「「「」」」
「というわけ――」
「「「断る。」」」
「」
「だが、手伝いだけならやってやる。」
「私達を参加させない。それが条件だ。」
「し・・・仕方ないわね・・・。」
「契約成立だ。」
-一週間後-
「それでは、これよりIS学園大運動会を開催します!」
「「「ワァァァァァァァッ!」」」
「それでは、選手宣誓!織斑一夏!」
「・・・。」
「大佐、呼ばれました。」
「契約違反だ。」
「安心して。競技には出場しなくていいから。てか、しないで。」
「OK!」
スタスタスタ・・・
「選手宣誓。」
『織斑君頑張って!』
『格好いいところ見せて!』
「ちょっとでも競技の手を抜いてみろ、嫌ってほど鍛えてやる!みんな覚悟はいいか?それでは始めよう、キャプテン・一夏のワークアウトだ!」
「「「キャァァァァァァァァァァ!!!」」」←大多数の生徒
「「「ギャァァァァァァァァァァ!!!」」」←一組の生徒
「・・・あの、一夏くん?運動会だからね?」
「手遅れ。」
-二時間後-
「何だ!全員寝ているのか?」
「ぎ、ぎぶ・・・。」
「設営を手伝った。もっと(根性を)見せろ!」
「い、一夏くんたち!それぐらいにしとかないと、もうみんな限界よ。」
「この程度でか?我がドイツ軍なら新兵でも楽々こなせる。」
「全くですわ。どうしてIS学園に入っただけで油断するのでしょうか。わたくしでも努力を怠っていないというのに。」
「まあ、織斑筋が相手だし・・・仕方ないわね。」
〈・・・デュノア社のテストパイロットは、これに耐えられるかな。〉
〈・・・何で、これだけできて私を仲間にしようとするの?〉
IS《冬の帝王:MAD版》、2018冬の陣はこれで終わりだ。2019春の陣で、また会おう。