IS《ISの帝王:MAD版》   作:只のカカシです

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これは『只のカカシ・A・です』による、ISの世界にウルトラマンレオ(どちらかというと大鳥ゲン)が来たらと思いついて書いた作品です。それではどうぞ。


番外編:暮桜が散るときIS学園は沈没する。

 暴風雨の吹き荒れる海。

 その上空で織斑千冬は戦っていた。その相手はIS『赤月』の力に溺れ、我を忘れ暴走した友人の妹。

 ISを使用しての戦いは、パワーでも技術でも千冬が上回っている。それでも千冬は押されていた。

 理由はただ一つ。無傷で救い出さなければならないというミッションがあったから。

 彼女は、持久戦に持ち込むことで相手の消耗を待っていた。

 作戦は上手く進んでいるようで、徐々にではあるが赤月の動きが鈍っていく。

 目の前の相手に全力で当たる。千冬はいつの間にか……背後の警戒が手薄になっていた。

 「グあッ?!」

 不意打ち。

 何者からか背中に攻撃を受ける。吹き飛ばされ、そして受け身を取る間もなく砂浜に叩きつけられた。

 千冬は攻撃の飛んできた方角を見る。そこには無機質な全身装甲のISが浮いていた。

 敵の姿を視認した。しかし立ち上がる間も与えられずに二機のISから集中砲火を浴びる。

 〈ダメだ、エネルギーが……。〉

 織斑千冬、絶体絶命のピンチ。

 その時、赤い炎に包まれ颯爽と赤いISが飛来する。

 それは飛んできた勢いを使い全身装甲のISを蹴り落とし、その反動を使って赤月も後ろ蹴りで蹴り飛ばした。

 赤いISは、先に蹴飛ばした全身装甲のISに向かっていく。

 千冬のすぐ近くの波打ち際へと赤月が墜落する。それはすぐに立ち上がり赤いISへ向かっていこうとしたが、織斑千冬は最後の力を振り絞って赤月にしがみつく。

 パンチ、キック、投げ技。まだまだ荒削りな戦い方だが、半身を海につかりながらも圧倒的な身体能力で全身装甲のISを翻弄する赤いIS。

 その姿に、千冬は負けてなるものかと奮い立った。

 やがて劣勢と見たのだろう。全身装甲のISは距離を取ったかと思うと煙幕の中に隠れ、そして赤月に食らいついていた千冬に荷電粒子砲を撃つ。

 モロに受けてしまった織斑千冬は、発生した衝撃に吹き飛ばされる。赤いISが全身装甲のISを追いかけて煙幕へと飛び込むが、そこに何者の姿もなかった。

 ほとんど間を開けることなく、赤月も同様にして消えていった。

 砂浜に倒れる千冬は、辛うじて自分の意思によりIS『暮桜』を解除する。

 赤いISは、彼女から少し離れた場所で飛び上がると、両ひざを抱えて空中で回転を始め、ISを解除して波打ち際に着地した。

 そこから現れたのは、少年であった。

 彼は倒れて動かない織斑千冬へと駆け寄る。

 「織斑さん大丈夫ですか、しっかりして下さい!」

 彼は倒れていた千冬の頭を支えながら起こし、そして呼びかけた。

 荒れ狂う波が、今にも二人をさらおうとする。

 彼の呼びかけで千冬が目を開く。少年は千冬に肩を貸し、その場から離れた。

 

 岩礁の陰に隠れ波と風を凌ぎつつ、レオは千冬の手当てを行った。

 処置が済むと、千冬は苦痛に顔を歪めつつも立ち上がる。

 「私を織斑千冬と知って助けてくれたのか?」

 先に言葉を紡いだのは千冬の方だった。

 「あなたは白騎士であり、日本のISの代表選手、操縦者の第一人者であることも知っています。」

 「君は一体誰だ。」

 前者の情報は、自身と友人以外に知るはずのないもの。千冬は正体不明の相手に警戒心を抱く。

 「レオです。」

 「レオ。」

 「僕のふるさとは、あの(たつ)座です。」

 彼がとある方角の空を指さす。その箇所の空がスーッと暗くなり、一つの星が浮かび上がった。

 「一カ月前まで、あの龍座にはもう一つの星が見えていました。この地球のように美しい自然に恵まれた、R77星です。ところが、正体不明のロボットにR77星は全滅させられてしまいました。父も、母も、そして兄妹も。それから僕は故郷にそっくりの星、地球で生きようと決心しました。地球は僕の第二の故郷です。市賀(いちか)ゲンと名乗って平和に暮らしてきたのに、またあのロボットがやって来た。」

 語り終えたとき、レオは哀しく、そして険しい顔をしていた。

 しかし千冬は敢えて厳しい口調で語りかける。

 「ゲン。お前は愛する地球を、お前自身の手で守るんだ。」

 「愛する地球を僕自身の手で?」

 意味が分からずオウム返しする。

 「IS学園へ入学するんだ。」

 「だって織斑さん、あなたがいるじゃないですか。」

 「私にはお前が必要だ、しかも。お前にも私が必要だ。」

 「しかし、白騎士があるではありませんか。」

 数々の戦いを潜り抜けてきた彼女が、何故自分のことを必要とするのか。レオはまだ分からない。

 だから次に千冬の言った言葉を、すぐに信じることが出来なかった。

 「白騎士も暮桜も、もういない。」

 「何ですって?!」

 「見るか?・・・はっ!」

 千冬が待機状態のIS、暮桜をレオが見える位置に掲げる。それは光の粒子となって千冬の体に向かい始める、その瞬間だった。

 突如として暮桜が火を噴く。千冬の手から離れたそれは、ひどく焼けただれていた。

 その衝撃か、千冬がバランスを崩しよろめく。

 「白騎士!千冬さん!大丈夫ですか?!」

 慌てて駆け寄り、レオは彼女の体を支える。

 「やってくれるな?……やってくれるな?」

 「はい。」

 レオの力強い返事を聞くと、千冬はよろよろと立ち上がり、西の方角を向いた。

 レオもそれに倣って西を見る。

 重く垂れ込めていた暗雲はいつの間にか消えてなくなり、赤く大きな太陽が沈みつつあった。

 「あそこに沈む夕陽が私なら、明日の朝日は市賀レオ。お前だ。」

 「やらせて下さい。」

 レオはもう一度決意を固め、力強く返事をする。

 千冬が手を差し出す。レオもそれに応じ二人は固い握手を交わす。

 「ティエェア!」

 と、千冬がその手を思いっきり振り上げた。

 とてもけが人とは思えない力強さに、レオはたまらず投げ飛ばされる。

 「何をするんですか?!」

 何もしなければ後頭部を地面に打ち付けていただろう。レオは、バク転することで転倒を免れ、そのまま距離を取り驚いた顔でそういった。

 「どんなときでも油断は禁物だ。分かったな。」

 少し笑みを浮かべつつ、千冬はレオのもとへと歩み寄った。

 かくして、二人の知的生命体が心を一つにして戦う事になった。




ふとウルトラマンレオとISって共通点が多くないか?そう思って書き出してみたら意外にも多かったので、ここに投げときます。

諸星弾と織斑千冬に共通点がある
・怪我をしてセブンになれない
 →過去の戦いで搭乗機が損傷。凍結されている
・生身でウルトラマンの能力(念力)を使い怪獣と対峙する
 →素手でISの武器を使い、互角に立ち回る
・レオの成長とともに特訓の厳しさが落ち着いていく
 →一夏が成長するごとに叩かなくなる

レオと一夏に共通点がある
・格闘戦を主体に使う。滅多に撃たないけど、ビーム系も威力がある。
・生き別れの弟(妹)と再開する。
・逃げ出したくても周囲がそれを認めてくれない
・報われない
・ちょっとこじつけだけど、どちらも故郷がない
 →マグマ星人に破壊
 →篠ノ之束の誕生により閉鎖
・何度倒されようと立ち向かっていく

その他
・ウルトラセブンが来ていたら名前を借りそうな人がいる
・ウルトラ六兄弟と一学年の専用機持ち(女子)の人数が一緒で、登場順(ISに乗った順番)とそれぞれのキャラが大体一致する。
 →ゾフィー=セシリア:単独戦では目立った戦果がない。サポート役の時はやたら活躍する
 →マン=鈴:打撃系の攻撃が主体。基本技を極めていくタイプ
 →セブン=ラウラ:打撃の力強さは随一。他人が手も足も出ない相手でも食らいついていく
 →ジャック:シャルロット=軽快な技が多い。多彩な武器を巧みに操る。近接格闘もそれなりに強い
 →エース=簪:射撃系の攻撃に長けている
 →タロウ=箒:地の身体能力が高い。エネルギーが他とは並外れている

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