ハイスクールD×D ―魔法使いと龍― 作:shellvurn 次郎
東京の某有名私立大学を受験してきました。あとは結果待ちですね。
誠一SIDE
チュンチュンチュン・・・・・
朝日が昇り、朝が訪れる。
その朝日がカーテンとカーテンの隙間から部屋に入りこむ。
『セー君、セー君、起きて。朝だよ?・・・起きないの・・・・?お、おきないんだったら・・・・いたずら・・・しちゃうよ・・・・?』
時計の針が7時を指したところでアラームが鳴る。
「・・・うぅ~~ん・・・」
目覚ましを止め、俺―――布藤誠一は体を起こす。
最近買ってみた女の子が起こしてくれる目覚まし時計だ。今日は幼馴染の声だ。
はぁ・・・・・俺にも、こんな風に起こしてくれる幼馴染が居たらなぁ・・・・・
クソッ!!可愛い幼馴染を持つ同じクラスの国分のヤローが羨ましいぜ!!
って、今までの俺だったらそう思っていただろうな。だがしかし、今の俺は違う。今や俺は勝ち組だ。これでようやく彼女持ちとなったのだ。
俺は珍しく上機嫌で学校に行くための身支度をする。
「母さん、おはよう。」
身支度をし終わって、階段を下りていくと、 朝食の用意をしていた母さんがいた。
「あら誠一、おはよう。今日は一人で起きれたのね。」
「まあな。そう言えば、父さんは?」
「もうとっくに仕事に言ったわよ。」
「そうなんだ。」
珍しいな。俺がいつも遅くに起きていてもここで新聞とか読んでるのに。
「誠一、なんかうれしそうね。」
母さんが俺の変わりように気づく。俺そんな分かりやすかったか?
「え、そう?」
「ええ。とっても。何かいいことでもあったの?」
母さんは原因を聞いてくる。
「ん~~まあ嬉しいことはあったよ。」
「そうなの!!良かったわね~~」
母さんは笑顔で喜ぶ。まるで自分のことのように。
「ああ。そうだな。」
俺は冷静に言った。
「ちなみに、どんな嬉しいことがあったの?」
母さんは真相を詳しく聞いてくる。
「ん~簡単に言えば彼女が出来たよ。」
俺は別に隠す理由もないから正直に言った。
ガッシャン!
キッチンの方から調理器具が床に落ちた音がする。
「・・・・・え?誠一今なんて・・・・?」
母さんは目を点にしながら訊いてくる。聞こえなかったのか?
「え、だから、彼女が出来たの。」
「ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
母さんは彼女と言う言葉に絶叫した。
「ほ、ホントに?!ホントなの!?!?」
「ほ、ホントだよ・・・・」
「だって誠一、いつもエロエロなことばっかしているし・・・・・私、誠一に彼女なんて一生できないと思ってた。」
「かあさん・・・・・」
母さんが俺に抱いていたことを暴露する。
何気に酷いな・・・・・
「妄想じゃないよね?」
「ホントだよ。はいこれ。」
俺は母さんがいまだ信用してない様子なので、俺は携帯に撮ってある彼女である夕麻ちゃんの写真を見せた。
「うっそ!!??超かわいい!!」
「だろ?俺の自慢の彼女さ。」
案の定、母さんは驚いている。
「誠一にも春がやってきたのね・・・・大切にしなさいよ?」
「ああ、分かってるさ。じゃあ、俺もう行くわ。」
「は~~い、いってらっしゃい。」
そうこうしているうちにもう学校に行く時間になったので俺は急いで残りの朝食を平らげて家を出た。
校門を通り、校舎へ向かう。
いつもの教室に入ると、松田と元浜が既にいた。
「よお、誠一。今日はいつもより早ぇじゃねえか。」
「ふむ。それにいつになく嬉しそうだな。何かあったのか?誠一よ。」
「ああ、まあな。」
俺は二人の問いにそっけなく答えた。
「ほう、それは興味深そうだ。詳しく聞かせてもらいたい。」
「俺もだ。」
二人は興味津々だ。
「ああ、いいぜ。」
俺はドカッと雑に席に座り、話を始めた。
「それで、なんだ?もしかしていいお宝本か、DVDでも見つけたのか?」
「それともああいう系の店か?」
元浜が予想を言った。
ふっふっふ・・・・・残念だったな元浜、松田・・・・・DVDとか、お宝のエロ本とか、そう言う系の店とかそんなチンケな出来事じゃないんだよ・・・・・
聞いて驚け。
「全然違うな。正解は、俺に彼女が出来たのさ。」
俺は自信満々にカッコつけながらそう言った。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
俺の突然の発言に二人は絶句している。そりゃ、俺だって最初は信じることが出来なかったさ。彼女いない歴=年齢の俺にとって、それはそれは素晴らしい夢のようなシチュエーションだった。『それなんてギャルゲ?』みたいなこと言われてもおかしくはないが、起こったんだ。現実にな。奇跡だった。
ふっ、無理もあるまい。俺とこいつらじゃ、もう見えてる世界が別だからな。
「何を言っているんだ?誠一よ?どうした?頭でも打ったのか?」
「松田氏に同意だ。誠一よ、お前にしては面白くない冗談だ。」
二人とも第一の発言が俺の頭の心配だ。こいつら全く信じてないな。
「おいおいおい、お前ら。俺に彼女が出来たことがそんなに信じられないか?」
俺はそう反論する。
しかし、松田と元浜は真顔で言った。
「?当然だろう?お前に彼女ができるはずがない。本当に大丈夫か?お前。」
「ああ、さてはあまりに彼女が出来なくて脳内彼女を作ってしまったか。なんと哀れな・・・・」
そう言って二人は俺に憐みの目を向ける。
こいつら・・・・まじで一端シバいたろうか?
はあ。親にも疑われ、友にも疑われるか・・・・・全く・・・・涙がちょちょ切れてくるぜ!!
仕方がないので俺は証拠を出す。
俺の携帯にある夕麻ちゃんの写真をこいつらに見せる。
さてさて・・・・こいつらどんな顔をするか。見ものだなぁ。
「嘘じゃねえって。これ見てみろ。」
「んだよ・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
写真を見た瞬間、こいつらの顔が先ほどよりもヤバくなっている。魂抜けてるぞ。
まあ、無理もない。こんな高嶺の花とも形容できる美少女だ。俺たちごときでは手の届かない女の子が俺の彼女なんだからな。
っふ見たか?これでこいつらも信じるだろう。
そう高をくくっていると、こいつらは叫びだした。
「せいいち~~~~!貴様、この子を何円で買った!!!!!??????」
「金で彼女をつくるだと!!!!!!貴様ぁ~~~!!!許せん!!!!!!万死に値する!!!!!」
またこいつらは俺のことを疑っている。
はぁ・・・・そんなに認めたくないのか。
「金なんて一銭も払ってねぇ!!!!ガチで告白されて、勝ち取った彼女だボケェ!!!!」
流石にこのいわれようなので、俺は反撃に出た。
「な!?マジなのか・・・・」
「じゃあ・・・・この子は・・・・」
俺が怒鳴るのはそうないことなので、こいつらは流石に大人しくなった。
「ああ、マジだ。」
「く、クソッ・・・・誠一が一番乗りだとでもいうのか・・・・」
「誠一、俺たちのモテない同盟はどうなったというのだ!?誠一!?」
いまだに諦めない松田。必死だなぁ。
「あ?俺たちのモテない同盟?そんなものあったか?ま、とにかく俺もこれで晴れて彼女もち、勝ち組だ。おめぇらも速く彼女を作れよ。マジで見える世界が違うからな。ああ、それと俺は今週末に夕麻ちゃんとデート行くから。」
俺は勝ち誇ったようにこいつらにとっては衝撃的な事実を口にする。デート。ああ、なんて言い響きなんだ・・・・
「なんだと!?貴様!!??なんと羨ましいことを!!!」
「この裏切り者が!!」
「はっはっは、何とでも言え。」
まるで血涙を流すかのような様相の松田と元浜。
残念だったな。どうやらお前らに天の神様は振り向かなかったらしいな。
まあ、ガンバレや。俺たちは友達だからな。応援してるぜ。
このあと、俺こと布藤誠一に超かわいい彼女が出来たっていう話が学校中に広まった。もてない男子共は「なぜあんな野郎に!!」などと妬みを含んだ言葉を一日中口にすることになったのだった。
そして約束の日曜日。
今日は待ちに待った夕麻ちゃんとのデートだぜ!
前々から練っていたデートプランを実行するときが来た!!
この日の為にどれだけ時間を費やしただろうか。初彼女を楽しませるために頑張った!それだけじゃない。昨夜から何度も歯を磨いた。それこそもうこれ以上取り除く歯垢がないくらい。この日の為に新しいパンツだって買った。何が起こっても大丈夫なようにな。そんなこんなでチェリー根性マックス状態で挑むデートだ。
家から歩いて数十分、予定していた集合場所に到着した。夕麻ちゃんはまだ来ていない。そりゃそうだ。約束の時間の2時間前だからな。彼女を待たせるわけにはいかないもんな!彼氏として当然だ。まあ、緊張して早く起きてしまったということもあるが。
しかし、流石に早過ぎたので、俺は道行く女の子たちをばっちり数え上げる。その途中、なにやら怪しげなチラシ配りに遭遇した。『あなたの願いを叶えます!』って怪しげな魔法陣が描かれたいわゆるオカルト的な代物だ。
これ貰っても正直困るが、捨てに行く機会がないので取りあえずポッケに突っ込んだ。
「誠一く~~ん!!!」
そうこうしているうちに、遠くから俺の名を呼ぶ可愛らしい声が聞こえた。
俺はその声がした方を向いた。夕麻ちゃんちゃんだった。手を振りながらこっちへ向かってきていた。すっごい笑顔で。
かわいい!!!
俺はそう思った。これはやばい!!
「お待たせ、誠一君。待たせちゃった??」
おお!!よくあるシチュエーション!!
「いいや、待ってないよ。俺もほんの数分前に着たところ。」
「そうなの?よかった?」
夕麻ちゃんはそう言って可愛らしい笑みを浮かべる。
くぅぅぅぅぅ~~~~!
男なら絶対に言ってみたい台詞!!マジで現実になったぜ!!
俺は内心ガッツポーズをする。
「さて、夕麻ちゃん。いこっか。」
集合も出来たことだし、俺は夕麻ちゃんに手を差し出しって言った。
「うん♪」
夕麻ちゃんは躊躇いもなく、俺の手を笑顔で握ってくれた。
全く、最高の彼女だぜ。
「この日の為に考えた場所に連れてくよ。」
「ホント?嬉しいなぁ~~」
夕麻ちゃんには好評のようだ。
こうして俺たちの最初のデートは始まったのだ。
誠一SIDE OUT
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イッセーSIDE
「みんな~~~!はやくはやく!」
「も~~イズナちゃん!前向いてないと転ぶよ!」
よう。
イッセーだ。
俺は今、俺の別荘がある都市の公園に来ている。イズナ、ルル、アウローラ、ユキたちとな。
四人とも、元気いっぱいにこの公園内を満喫している。
俺は公園を走り回っている妹たちに目を向ける。
「わぁ~~~待て待て~~~~!!」
「逃がさないよ~~~!」
「捕まえますよ」
・・・・・・少々元気すぎる気がするがな。
妹たちが『遊びたい』とのことだったので俺は4人を連れてこの街の中心へとやってきた。
まあ、こうして妹たちと遊ぶのも、妹たちが元気に走り回っているのを見るのもいいものだ。
「ちゅかれた~~~」
「いっぱいあそんだね~~~」
しばらく時間がたつと、4人とも俺の座っているベンチに腰掛けた。
あの後4人とも遊び倒したのだ。
公園内を縦横無尽に駆け巡り、敷地内にある遊具などでも遊んでいた。もちろんこの公園には一般人、人間の子供もいる。その子供たちよりも圧倒的に運動量は多い。種族が違うからな。
「可愛らしい元気な子たちですね。」
ベンチで休憩してると、隣のベンチに座っていた人から声を掛けられた。見たところ、20代の若い女性だ。ルルたちより歳下であろう小さい女の子とベビーカーに乗っている小さな子を連れていた。
「ありがとうございます。」
俺は一般的な受け答えをする。
「妹さんですか?」
「はい、そうですよ。そちらの子はお子さんですか?」
俺はその女性に訊いてみた。
「ええ。3歳といま6か月です。」
「二人とも女の子ですか?」
「はい。それにしてもいいお兄ちゃんしてますね。休日に妹の面倒を見ているなんて。」
女性に褒められる。なんか照れ臭いな・・・・
「ええ、まあ。これも俺の役目だと思ってます。それに、妹の元気な姿を見るのも好きなんでね。」
「あらあら、ふふふ。妹さんのこと、大好きなんですね。いいお兄さんを持ったのですね、妹さんたち。」
女性は妹たちに微笑みながらそう言った。
「うん!!」
「おにーさんはかっこよくて好き!!」
「おにいさまは理想の人です。」
「ルルも!にいたんのこと大好き!」
4人とも無垢な笑顔でそう言う。妹たちにそう言われるのはやはりうれしいものだ。
そのあと、しばらくの間この女性とその他3人、俗に言うママ友的な人たちと世間話をしていた。皆、俺が外国人だということを告げると驚かれた。なんでもこんなに日本語が流ちょうなのは珍しいんだと。その中の一人の女性に妙にこちらにアプローチを掛けてくる人がいた。なんでも未亡人だとか。しかし、俺はさりげなくスルーするような返しをする。
ルル、イズナ、アウローラ、ユキは自分たちより小さな子たちと遊んだり、面倒を見たりしていた。俺はその子供たちの母親とその微笑ましい光景を見ていた。
公園を後にし、商店街の方を歩く。
「ねぇねぇ、お兄ちゃん。アイス食べたーい。」
「あ、ルルもルルも!!」
「私も欲しいです。」
「私も~~」
途中、イズナがアイスを欲しがる。イズナがそう言ったのを皮切りにルル、アウローラ、ユキも同調した。あれだけはしゃいだから甘いものが欲しいのだろうな。
「よし、分かった。じゃあ、アイスクリーム売ってるところに行こうか。」
「「わーい!」」
「楽しみだね、あーちゃん!」
「ええ。」
妹たちは嬉しそうだ。良かった良かった。
俺たちは商店街の方の通りに入り、その手の店を探し始めた。
「にいたん、みんな早く早く!」
ルルがみんなを急かす。
「もう!るーちゃん!走っちゃダメ!」
ユキがルルを注意している。流石は一番上の子だ。
「お兄様、早く行きましょう。」
「お兄ちゃん、おいていかれちゃうよ。」
そんな光景を見ていると、アウローラとイズナからそう言われる。
「ああ、待ってくれ。」
俺は少し間が空いてしまっていたので、駆け足で4人に追いつく。
この通りを行きかう人々。休日なので人は多い。
俺の横を男女二人組がすれ違う。
ちょうどその時だった。
「ん??」
俺は咄嗟に後ろを向いた。
今、俺とすれ違った二人組の男女。特に黒髪の長髪の女に注目した。
「(・・・・・・・・・・・あの女、人間ではないな。あの気配は堕天使か・・・・となりの男は人間だ。何を企んでいる・・・?)」
俺は思考を巡らせた。
堕天使がこんなところにいるとはな。
しかも人間の男を侍らせている。
[イッセーよ。今のは――]
そうこうしていると、俺の中に宿るドラゴンにして神、ニトラも気づいたようだ。
「(ああ。堕天使だ。どうやらこの都市にいたようだ。)」
[そこは大したことではないな。あの堕天使と共にいた人間。間違いなく龍、ドラゴンの気配がした。もしや、ドラゴンを宿しているのか?]
ニトラは同族だから堕天使よりも気になるのだろう。
「(恐らく、
[そうか――ところであの人間はそれに気づいているのか?]
「(さあな。しかし、あの人間からは強さは感じないな。堕天使ということも気づいているのかも怪しい。)」
俺はニトラと頭の中で会話しながら歩く。今ここで手を下すのは簡単だが、あの人間が邪魔をするかもしれん。あの堕天使の真の目的もわからない。それとも、本気で人間と交際でもしているのか?
「にいたん、どうしたの?」
「お兄様、考え事ですか?」
俺が思考を巡らせていると、妹たちから不意に声を掛けられる。
「ああ、済まない。ちょっとな。」
取りあえず、妹たちもいるということで、今日はスルーすることにした。
「あ、あったーーー!!お兄ちゃーん!!こっちにあったよー!」
「ああ、今行くぞーー」
イズナがアイスクリーム屋を見つけたので、俺たちはそこに向かう。
「いらっしゃいませ。ご注文は何にしましょうか?」
アルバイトであろう女の子が注文を取る。
「ルルこれ~~~」
「イズナはこれがいい!!」
「私は抹茶がいいです。」
「え~~と、私はチョコレートで。」
みんな好きな種類をそれぞれ選んでいく。
「は~~い。バニラ、ストロベリー、抹茶、チョコレートですね。お兄さんはどれにしましょうか?」
実は妹たちだけにするつもりだったが、折角聞かれたので、俺も注文することにした。
「じゃあ、俺はこのラブポーションフォーティワンで。」
「畏まりました。全部で760円です。」
俺はその金額を払う。
お店の女の子は注文の品をこしらえながら、俺とちょっとしたトークをする。
「妹さんですか?すっごく可愛いですね。髪の色も凄く綺麗ですね。」
店の女の子は出来たアイスクリームを手渡しながら言う。
「ありがとう。自慢の妹たちなんでね。そういわれると俺も嬉しいよ。」
「羨ましいです。私ひとりっ子なんで。はい、ご注文最後の品です。」
「ありがとう。」
女の子は全員分のアイスクリームををわたし終える。
すると、女の子は少し顔を赤くしながらもじもじとし始める。
「あ、あの。また、来てくださいね?」
「ああ。また来るよ。」
俺がそう返すと、女の子は凄い笑顔で喜んだ。
ふふ、妹たちがそんなに可愛かったか。また会いたいのだろう。
[(全く。だから違うといっているだろう。)]
ニトラが何やら言っていた気がするが、まあいいだろう。
俺たちはアイスを食しながら帰路についた。
――――
「ん~~おいひ~~」
「もう、イズナちゃんもルルちゃんもほっぺにアイスついてるよ。」
「とってあげます。」
アイスを食べながらしばらく歩き、家への一本道を歩く。
途中、妹たちが俺のアイスを欲しがったので、一口ずつ分けたり逆にもらったりした。
そうこうしていると家に着く。
「「「ただいま~~!」」」
「今帰りました。」
ルルが勢いよく戸を開ける。
「おかえり。みんな。」
「あ、ティア姉にみんな!!」
「「「「きゅう~~~」」」」
そういって出迎えに来てくれたのはティアとちびドラゴンたち。俺の妹たちだ。
「おかえり」と言ってくれているのだろう。
ティアはティアで妹たちとじゃれ合っている。
「あ、おかえり、イッセー。帰ってたのね。」
すると、奥から声が発せられた。俺が何年も聞いている透き通った綺麗な声。
その声の主が現れる。
赤い髪。誰もがうらやむ抜群のプロポーションに整った素顔。
神器の中でいつも顔を合わせていた
「ああ、ただいま。ドライグ。」
俺が名を呼ぶと、ドライグはにっこりと笑顔を浮かべた――――――
イッセーSIDE OUT
――――――――――◆◇◆◇◆――――――――――――
誠一SIDE
「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」
よう!誠一だ。
猛ダッシュ中である。
今、俺は人生最大の山場を迎えているぜ。
「全く、ちょこまかと。待ちなさい!!」
ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!
後ろからゾッとする声が聞こえる。
俺――――初彼女に狙われてます――――――
なぜこんなことになったかと言うとだな・・・・・・・
――数十分前
「誠一君・・・・・」
「ゆ、夕麻ちゃん・・・・」
デートは凄く充実していた。夕麻ちゃんにも受けは良かった。
そして、帰り道。夕暮れの公園で俺たちは向き合っていた。
こんなシチュエーション、いつも夢見ていたものが現実になったんだ。
「誠一君、今日は私たちの記念すべき初デートだよね。」
「ああ、勿論だ。」
色っぽい声。くぅぅ~~~たまらねぇ!!
「じゃあ、その記念に、私聞いてほしいお願いがあるの。いいかな?」
「お、お願い・・・」
お願いってあれか!!!???キ、キスだよな!?
しかもこのシチュエーション!!!この夕麻ちゃんの恥じらう姿!間違いねぇ!!
俺はキスに違いないと確信し、夕麻ちゃんの願いを聞いた。
「何だい?俺にできる事なら何でも言って。」
この台詞。完璧だ。俺はそう思っていた。
「じゃあ、死んでくれないかな?」
・・・・・・・・・・・・・・ゑ?
俺の頭には?しかなかった。
「ね、ねぇ夕麻ちゃん。今よく聞こえなかった。もう一度言ってくれないかな?」
き、聞き間違いだ。そうに違いない。夕麻ちゃんが「死んで」なんて・・・・そんなことあるはずがない。
「死んで?」
言った・・・・・・間違いなく、「死んで」と言った。
意味が分からない。なぜ?どうしてそんなことを?
「全く、夕麻ちゃんは冗談きついぜ~~」とか言おうとした。
バサッ!
すると、夕麻ちゃんの背中からあり得ないものが生えた。
「なんだそれ・・・翼?」
黒い翼を広げて宙に浮かぶ夕麻ちゃん。その姿は幻想的だ。ネットによくある絵そのものだ。
「楽しかったわ、誠一君。初々しい子供のままごとに付き合えた気分だったわ。あ、でもチョイスは悪くなかったわよ。」
何とも冷たい。口元は冷笑を浮かべている。
ブゥン
ゲームの機械音よりも重苦しい音が空気を揺らし、俺の耳へと入ってくる。
その音を立てながら、夕麻ちゃんの手に表れた。
紫色に輝く槍のようなものだ。
ヒュッ!
「うおっ!!」
ドン!!!
その槍は俺に向けて放たれた。しかし、俺は間一髪のところで避け、その槍はコンクリートの道路にぶっ刺さった。
―――――――――――
そんなこんなで俺はガチマラソンしているわけだ。
結構走ってきた。
そろそろ撒けたか?
「もう鬼ごっこは終わり?」
・・・・・・そんなことは無かった。
夕麻ちゃんは俺の正面にいた。
「マジかよ・・・・」
「私の槍を避けたのはほめてあげる。」
そう言って夕麻ちゃんは槍をまた顕現させる。
くっ!マジでやべえ。走ってきてもう疲れた。次はまじで避けられねえな。
「クソッ!夕麻ちゃん。どうせなら、君と愛し合ってから死にたかったぜ・・・」
俺はそう吐き捨てる。
「無、理♪さようなら。私の彼氏君。」
グサッ!!
俺の腹に槍が刺さる。
槍は霧散し、俺の腹に空いた風穴から血がとめどなくあふれる。
ちくしょう。ここで終わりか。まだ二十歳にもなってない・・・・・わりぃ、親父、お袋・・・・親孝行も出来なくて・・・
俺は腹に手をあてる。俺の手にはべっとりと血がついている。
紅い・・・・紅か・・・・この血の色と同じ色の髪をもつ学園の先輩を思い浮かべる。
あんな美人の腕の中で死にたいと思ってしまう。夕麻ちゃんがいながらこんなこと思ってしまう。浮気性なのだろうか?あ、でも刺されたから分かれたってことでいいのか?
だんだん意識が・・・・・眼ももうぼやけてしまっている。
「あなたね?私を呼んだのは。」
突然、視界に紅い光が差し込む。
誰かが俺に声をかけてきたようだ。しかし、ぼやけて何も見えない。人型のシルエットが見えるだけだ。
「死にそうね・・・・傷は・・・・!!へえ・・・・あなた、面白いじゃない。」
くすくすと笑う女性の声。
一体何がそんなに面白いのか・・・・
「消えそうなその命。私が拾ってあげる。あなたの命、私の為に生きなさい。」
誠一SIDE OUT
◆◇◆―――
はい、いかがだったでしょうか?
すみません。少し間が空き、ストーリーを思い出すのに時間がかかりました。
これからどんどん行きますよ。