ハイスクールD×D ―魔法使いと龍―   作:shellvurn 次郎

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はいどうも。
20話目ですね。
文字数が大体9000字で一話なのですが、当初は7000字程度にするつもりでした。しかし、いざやってみると、書きたいことがいっぱいで位になってしまいます。
さて、誠一くんの神器の正体がどんどん分かってきます。



No,XX ~友達~

 ????SIDE

 

 ・・・・・・次の宿主に移ったかな。

 今回の宿主は・・・・まだ僕を覚醒させてないか・・・・

 見たところ普通の人間らしいしなぁ。

 まあ、才能はゼロってわけではないとは思うけど。とは言っても歴代の中でも低い方だしなぁ。

 

 〈おいおいおい、なーに弱気になってんだよ、????。〉

 

 僕がボーっと宿主の生活を見ていると後ろから僕の名を呼ぶ声がした。

 振り向くと、一人の少年がいる。桜色の髪をもつ少年だ。

 

 『ああ、??いやね、今回の宿主には期待できそうにないなぁって思ってさ。』

 

 〈まあ、確かに今の時点では強くはないな。仕方ねぇさ。フツーの学生だったからな。今は悪魔ってやつに転生してるが少しマシになった程度だ。〉

 

 『そうでしょ?』

 

 〈でもよ、????。弱くてもこれからの鍛え方次第でわかんぇぞ?最弱からあそこまで登った奴もいるじゃねぇか。〉

 

 ??が言っているのは歴代最弱の宿主のことだね。その宿主は当時の予想を覆し、戦いによって歴代で二番目までに力を上げたんだ。あれは正直僕もおどろいたなぁ。

 

 『それはそうだけどさぁ・・・・』

 

 ??にそう言われるが、どうにもそうは思えない自分もいた。

 

 〈んだよ、????。もしかして、まーだぬぐい切れてねぇのかよ。女々しいぞおい、????。そんなことじゃあ、実際にあった時にも、がっかりされるぞ。〉

 

 ??に呆れられる。

 

 『うるさいなぁ。だってしょうがないじゃないか。僕はあのひとに憧れて、ここまで来たんだよ?僕にとってはホントに憧れなんだよ。』

 

 僕はそう言い返す。女々しいなんて言われては僕だって黙っちゃいられない。絶対にね。

 

 〈そうだったな。何って言ったけ?そいつ。たしか、すっげー強かったんだろう?〉

 

 『そうだよ。僕とは比べ物にならないほどだったよ。いつも戦っていたんだ。僕はそんな姿に憧れた。』

 

 〈たしか~ニ天龍だっけか?〉

 

 『うん。そうだよ。』

 

 僕はそのひとの姿を思い出す。

 赤い体躯に凛とした雰囲気をもつ、ドラゴン。

 僕が神器に封印されたときはかなり絶望した。もうこれから会えないのかと。あったとしてもこんな様だ。きっと蔑まれるだろうと。しかし、そのひとも僕と同じく神器に封印されたって聞いたときは我を取り戻した。

 それから月日は流れ、神器にされてだいぶたつ。

 だというのに、そのひとにはいまだ会えていない。そのひとの神器の宿主はいつも赤と白の運命のごとく戦ってはどちらかの宿主が散ってるらしい。

 しかし、ここ300年はニ天龍の争いの話を全く聞かない。おかげで、僕の宿主が白い龍と戦う羽目になっている事も多い。白い龍は白い龍で『赤いのが一向に姿を現さん』って気が立ってるらしい。

 ほんとに、どこにいるの?なにをしているの?

 ドライグさん――――――

 

 ????SIDE OUT

 

 ―――――――◇◆◇◆◇――――――――

 

 誠一SIDE

 

 「はぁーーー」

 

 よう、誠一だ。

 俺今、絶賛サボり中さ。

 今日は平日。もちろん学校もある日だ。

 しかし、俺は何となく今日は学園に行く気になれず、父さんと母さんには悪いが仮病を使って休んだ。そんでもって今は近くの公園に散歩しがてらボーっとしながらため息をついている。 

 

 「アーシア・・・」

 

 俺の口から不意にある少女の名前がこぼれる。

 この間この公園で出会って教会まで道案内した子。

 俺はその子との出来事で今こうしてサボっているのだ。

 

 昨日―――

 

 『朱乃!セーイチを回収して本拠地へ帰還するわ!早急にジャンプの用意をお願い!!』

 

 『はい!』

 

 『待ってください!!部長!!あの子も!あの子も一緒に連れてってください!!』

 

 『無理よ。この魔法陣を通して移動できるのは悪魔だけなの。さらにこの魔法陣は私の眷属しかジャンプは出来ないわ。』

 

 『そんな!!』

 

 『セーイチさん。私は大丈夫です。私は・・・・殺されませんから・・・』

 

 『でも!アーシア!!』

 

 『セーイチさん。また、会いましょう――――』

 

 俺はアーシアを。目の前で泣いている女の子を、助けることも出来ず、俺はまんまと逃げた。逃げる事しか出来なかった。アーシアに助けられもしたんだ。あんなにか弱い女の子にすら、助けられる。男が聞いてあきれるぜ。俺は自分を恨んだ。女の子一人すら助けられない己の弱さを。

 ズキッ

 

 「いってて・・・・」

 

 俺の右足が痛む。

 昨日やられた傷跡がまだ完治していない。 

 この足では悪魔稼業もまともにできず、部長から休むように言われたんだ。

 朝から何も口にしていないので腹が鳴る。

 俺は朝からずっと考えていた。

 俺の、悪魔としての生活、アーシアのこと。

 どうやって救おうか・・・・・

 しかし、そのための力が無い。

 じゃあ、強くなるしかない。

 でもどうやって?

 あっちは子供のころから戦闘訓練なるものを叩き込まれている奴らだ。とうぜん容赦がない。平気で人間をメッタ切りにできるイカレタ奴らだ。そんな奴ら相手に対抗できる術がない。神器(セイクリッド・ギア)があってもこの様じゃあなぁ・・・・・

 筋トレか・・・・それとも木場のやつに剣術でもならうか・・・

 あれこれと思い浮かぶ方法。

 いまいちしっくりこない。しかし、悩んでいる場合じゃない。とにかく思いついたことをやろう。

 それにしても、あの神父。名前は知らねぇがぜってぇー許さねぇ。ぶちのめしてやる。

 俺はそう決意し、重い腰をベンチから上げる。 

 そんな時だ。視界に金色が映りこんだ。

 ハッと思って顔を向けると見知った金髪の少女が立っていた。 

 あちらも俺のことに気づいたのか、驚いていた。

 俺も当然驚いた。よもやこんなところでまた会えるなんてな。昨日の今日だというのに。

 

 「アーシア・・・」

 

 「セーイチさん・・・また、会えましたね。」

 

 アーシアは嬉しそうに言った。

 

 「ああ、そうだな。元気そうで何よりだ。」

 

 ――●○●――

 

 「アーシア、これは包み紙をこうやって、少しずつずらしながら食べるんだ。」

 

 ハンバーガーをマジマジと見るだけのアーシアに俺は苦笑しながらお手本を見せた。

 

 「そ、そんな食べ方をするんですね!」

 

 アーシアは不慣れながらも俺が見せたお手本をそのまま真似る。

 まあ、初めてにしては上出来だ。

 というか、そもそも今ではメジャーなファストフードを食べるどころか注文すらしたことないとはな。珍しいものだ。

 

 「お、おいしいです!!テレビでしか見たことなかったので食べてみたかったんです!!」

 

 「そうか、それは良かったよ。」

 

 嬉しそうに言うアーシア。そして、おいしそうにハンバーガーにかぶりつく。

 俺はそんな愛らしい姿を見ていながら、俺もハンバーガーを食した。

 

 お互い、ハンバーガーを食べ終えたところで、アーシアに言った。

 

 「アーシア、今日、時間あるか?」

 

 「はい、大丈夫ですよ。」

 

 「じゃあ、遊ぶか。」

 

 「え、遊ぶ、ですか・・・?」

 

 アーシアは訝しげに言った。

 

 「まあ、とにかく俺についてこい!」

 

 俺はいまだにどうしていいかわからないというようなアーシアの手を引っ張ってこの街へ駆け出して行った。

 

 ――○●○――

 

 「あー、少しはしゃぎ過ぎたな~」

 

 「そ、そうですね・・・・疲れましたぁ~~」

 

 俺たちは互いに苦笑しながら道を歩いている。

 ゲーセンでカーレースしたり、クレーンゲームで景品を取ったりと、はしゃぎまくった。

 他にもいろいろな店に赴いた。

 そのたびに、アーシアの反応は新鮮で、まるで初めて世界を知った少女のようだ。

 

 「おっととと、いててて・・・・」

 

 ふいに訪れた足の違和感と痛みに俺はつまずきそうになる。

 

 「・・・・セーイチさん、けがを?もしかして、先日の・・・」

 

 アーシアの表情が曇る。

 せっかくの笑顔を台無しにしてしまった・・・・・

 せっかく楽しい時間を過ごしていたというのに。

 

 「ズボンをあげて、患部を見せてください。」

 

 アーシアは俺の傷を見てくれようとしている。

 俺は罪悪感に駆られながら、アーシアの言う通り、患部を見せた。

 アーシアの手の平から緑色の温かい光が発せられる。

 その光は俺の傷をいやした。

 

 「どうでしょう?」

 

 「凄いぜ!アーシア。違和感と痛みがなくなった!」

 

 俺は少し大げさに小走りをその場でする。

 彼女を心配させたくない。

 俺のこの姿を見ると、彼女も嬉しそうに微笑んだ。

 

 「スゲェよな、アーシアは。その力。神器(セイクリッド・ギア)だよな。」

 

 「はい、そうです。」

 

 やっぱりな。普通の人間が手をかざしただけで傷なんて治せるわけないもんな。

 

 「俺も、神器(セイクリッド・ギア)を持っていてさ。大して役には立ててないけど。」

 

 俺の告白にアーシアは目を丸くする。 

 

 「セーイチさんも・・・・全く気付かなかったです。」

 

 「俺のはまだ何なのか不明なんだよ。それに比べ、アーシアの力は凄いぜ。人から悪魔まで、ほとんどの者を治せるんだから。」

 

 アーシアはとても複雑そうな表情を浮かべ、うつむいてしまった。

 そして程なくしてアーシアの頬に一筋の涙が流れる。

 それは一度限りではなく、徐々に流れ出し、アーシアはその場で泣いてしまった。

 俺、何か彼女の琴線に触れるようなことを言ったのだろうか?

 俺はなぜ泣いてしまったのかわからず、取りあえず座れる場所にアーシアを連れて行った。

 

 「アーシア・・・・」

 

 「セーイチさん・・・・私のお話、聞いて、くれますか・・・・?」

 

 「ああ。聞くよ。」

 

 それから、アーシアの口から語られたのは、『聖女』として祭り上げられ、堕とされた哀れな少女の話だった。

 

 ―●○●― 

 

 「そんなことが・・・・」

 

 俺は絶句した。

 なんだよそれ。

 ありえねえだろ!!

 勝手に祭り上げといて・・・・何が聖女だ!!

 俺はアーシアに対して行った教会の行動に怒りを覚えた。

 

 「それはきっと、私の信仰がたりなかったのです。」

 

 なのに、アーシアは自分のせいだという。

 俺は彼女に掛けるべき言葉さえ失う。

 

 「これも主の試練なのです。私が、世間のことを全く知らないシスターですから。こうして修行の機会を与えてくれてるんです。」

 

 アーシアは自分に言い聞かせるように言う。

 なぜ、そうまでして・・・・ 

 

 「お友達もいつかたくさんできると思ってますよ。夢なんです。お友達と一緒に、服を買ったり、本を買ったりして・・・・・」

 

 アーシアは涙をあふれさせていた。

 彼女はやはり、我慢してきたのだろう。

 ずっと、自分を押し殺してきたのだろう。

 なんで、神様はこんなにも従順な信徒を救わないんだ・・・・・

 神様よぉ・・・・あんたがやらないなら、俺がやってやる!!

 

 「アーシア。」

 

 「はい・・・」

 

 彼女の名を呼んだ。

 

 「アーシア。俺たち、もう友達だろ?」

 

 「え?」

 

 アーシアはきょとんとしていた。

 目に涙を浮かべながら。

 

 「俺は悪魔だけど、アーシアの友達になる!」

 

 「・・・・どうしてですか?」

 

 「どうしたもこうしたもない!今日、俺とアーシアは一緒に遊んだ。話した。笑いあった。これを友達と言わずして、なんとするって話だ!もちろん、悪魔の契約なんかじゃねぇ!!俺たちは本当の友達になるんだ!ややこしいことは全部抜きだ!話したいときに話し、遊びたいときに遊ぶ!どうだ!?」

 

 我ながら残念極まりない会話をしていると思う。

 だが、アーシアは口元を手で押さえながら涙を溢れさせていた。

 

 「セーイチさん。私、世間知らずで日本語もしゃべれない、友達と何を話せばいいかもわからないんですよ?こんな私でも・・・・」

 

 アーシアが言い切る前に俺はアーシアの手を強く握ってこういってやった。

 

 「世間知らずなら、俺が街へ連れてってやる!日本語も文化も俺が教える!それに俺たち、こうしてすでに話せているじゃないか。それでいいんだよ。」

 

 「・・・・私と友達に、なってくれますか?」

 

 「ああ、もちろんだ!これから宜しくな。アーシア。」

 

 「はい!」

 

 アーシアはうれし涙を流しながら、頷いてくれた。

 これでいい。

 俺たちは友達になった。

 ずいぶんと恥ずかしいことを言ってしまった。しかし、アーシアの笑顔を勝ち取れたのなら、この程度の事なんでもない。

 

 「それは無理な話よ。セーイチくん。」

 

 この雰囲気に水を差すような第三者の声が俺の耳に入った。

 その声がした方向を向けば、見知った顔があった。

 決して忘れはしない。

 

 「・・・・・・・」

 

 俺は無言でその者を睨んだ。

 

 「生きていたのね。人間はやめたようだけど。」

 

 「殺しておいて、よく言うよ。」

 

 「あら、仕方ないじゃない。殺す必要があったのだから。」

 

 俺たちは軽口をたたき合う。

 おれってばどうかしてる。

 殺された相手にこんな会話するなんて。

 

 「レイナーレ様・・・」

 

 「アーシア、困るわ。勝手に歩き回って。」

 

 俺をのけ者にして、アーシアとレイナーレだっけか、二人は会話をする。

 

 「おいおい。レイナーレ。何の用だよ。」

 

 俺は少しキレ気味に言った。

 

 「あなたには用はないわ。それと、下級悪魔ごときが私の名前を呼ばないで。」

 

 こいつはどこまでも俺を見下してくる。

 全く、本性は嫌な奴だ。

 

 「私・・・あの場所には戻りたくありません。」

 

 「何を言っているの?アーシア。私たちの計画に,あなたは必要なの。私と一緒に帰りましょう?」

 

 レイナーレは近づいてくる。

 

 「おい、まてよ。レイナーレ。アーシアに近づくな。」

 

 俺は怯えるアーシアの前に立つ。 

 

 「私の名前を呼ぶなと言った。あなたには関係のないこと。邪魔するなら・・・また殺すわよ?」

 

 レイナーレはこちらに殺気を飛ばしながら言う。

 レイナーレは手に光を集めだした。

 何度も見た、光の槍だろうか。

 

 「何度も、何度も、同じ手で死ぬわけにはいかねぇよ!!こい!!神器(セイクリッド・ギア)!!」

 

 俺は天に向かって叫ぶ。

 俺の右腕を赤とオレンジの光が覆い、籠手へと変貌していく。

 

 「ふっ、ふふふふ」

 

 俺の神器(セイクリッド・ギア)を見たレイナーレは突然笑い出した。

 

 「何が可笑しい?」

 

 「あなたの神器(セイクリッド・ギア)はね、ありふれたものなの。龍の手(トゥワイス・クリティカル)。所有者の力を倍にするものだけど、あなたごときの力が倍になったところでそう変わらないわ。」

 

 なんだと・・・

 俺はそれを聞いて絶句した。

 俺のは、ありふれたものだったなんて。

 じゃあ、なぜ、部長は俺を・・・・

 いや、そんなことは後回しだ!

 ないよりは、マシだ!!

 

 「おい!神器(セイクリッド・ギア)!動きやがれ!俺の力を倍にしてくれんだろ!!」

 

 俺は神器(セイクリッド・ギア)に向かって叫んだ。

 しかし、何も起きない。

 何故だ!

 なんで何も起きねぇ!

 あいつが言ったことが正しければ、俺の力は上がるはずだ!

 グサッ!!

 

 「ぐっ!」

 

 俺の腹部に光の槍が突き刺さる。

 

 「ははははは!まさか、神器の力も使えないなんて!滑稽だわ。わかった?私との差は埋められるわけないの。」

 

 「セーイチさん!!」

 

 アーシアは泣きながら俺のもとへ駆け寄る。

 アーシアはすぐに治療してくれた。

 

 「サンキュー、アーシア。」

 

 「大丈夫ですか?」

 

 「ああ。」

 

 同じ結果になってしまったが、アーシアが居てくれたおかげで死なずに済んだ。

 

 「アーシア。その男を殺されたくなかったら、私と一緒に来なさい。次はホントに殺すわよ?」

 

 レイナーレの眼は本気だった。

 いくな、アーシア・・・・

 行ってははダメだ・・・・

 

 「わかりました。レイナーレ様と一緒に行きます。だからこれ以上は・・・」

 

 「良い子ね、アーシア。」

 

 アーシアはレイナーレのもとに行った。

 

 「アーシア!!」

 

 「セーイチさん。今日はホントに、ありがとうございました。楽しかったです。」

 

 レイナーレはいやらしい笑みを浮かべた。俺が惚れたあの笑顔なんかとは、天と地の差だ。

 

 「まて、アーシア!!俺たちは、友達だろう!!」

 

 俺はアーシアに叫んだ。

 

 「さようなら。」

 

 しかし、その叫びは届かない。アーシアはうつむきながらただ一言。さようなら、と言った。

 

 「うっふふ、命拾いしたわね。下級悪魔。アーシアに感謝することね。」

 

 レイナーレは最後まで俺を見下しながら空の彼方へ去っていった。

 

 「・・・・・・」

 

 ちくしょう・・・・・

 ちくしょおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!

 守り切れなかった。

 こんなんじゃあ・・・・・・これじゃだめだ!!

 

 「ちくしょおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

 ドゴッ!!  

 俺は叫び、コンクリートに拳を打ちつけた。

 コンクリートには、ひびが入っていた。

 

 誠一SIDE OUT

 

 ――――――――◇◆◇◆◇――――――――

 

 イッセーSIDE

 

 よう、イッセーだ。

 今、ちょっとした不審者に後をつけられている。

 

 「・・・・・・」

 

 [ふふふ、イッセーよお前もモテモテだな。]

 

 ニトラがからかってくる。

 

 「(冗談はよしてくれ。あんな男に好かれても困る。ひじょーに困るだけだ。)」

 

 [ははは。冗談さ。しかし、このままにはしておくまい?]

 

 「(当然だ。少し、遊んでやるさ。)」

 

 男は・・・・ついてきている。俺との距離が常に一定だ。まあ、雑魚にしてはまあまあだな。

 やつは堕天使。この前に見たあの女の堕天使の連れか?

 どちらにせよこちらをつけている以上、こちらのことを少しは分かっているのか。

 俺は歩くのをやめ、立ち止まった。

 

 「おい、そこの不審者。さっきからこそこそとつけてきて、何の用だ?」

 

 俺は勝負を仕掛ける。

 

 「いやはや、気づかれてしまったか。こちらとしては気配を隠していたのだがな。」

 

 男はやれやてと言った感じで正体をこちらに晒してきた。

 

 「あれで隠していたつもりならもっと腕を磨け、堕天使。そこが知れるぞ。」

 

 「中々言うではないか。人間。貴様だな?こちらの世界を知った人間と言うのは。先日、この近くの廃屋ではぐれ悪魔とそれらしい魔力反応を察知した。それと、もしかすれば神器も所有している可能性もある。」

 

 俺の挑発には乗らないか・・・・

 こいつが言っているのは先日、廃屋ではぐれ悪魔との戦闘のことだ。

 まさか、察知しているとはな。

 はてさて、少しはやるようだ。

 次からは結界を張ってからにした方がよさそうだ。

 

 「何だ、気づいていたか。それと神器と言うのはこれか?」

 

 俺はこの堕天使の力量に感心し、あえて神器(セイクリッド・ギア)を見せてあげることにした。

 

 「ほう、可能性の範囲の話だったが、ホントに持っているとはな。」

 

 俺の左腕には籠手が装着されている。

 

 「ふん。しかし、龍の手(トゥワイス・クリティカル)か。残念ながらありふれたものだな。」

 

 こいつ、もしかして神器(セイクリッド・ギア)の知識が無いのか? 

 これはそんなちんけなものじゃあない。

 赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)神滅具(ロンギヌス)なんだけどな。

 だが、こいつの言っていることもあながち()()()()()()()

 まあ、そのことはまたの機会に。

 

 「しかし、そんなありふれた神器(セイクリッド・ギア)といえども、貴様はあの下級悪魔よりも力量はある。少しでも脅威になりえるものは排除することになっている。と言うわけで、倒させてもらおう。」

 

 「そうかよ、かかってこいよ。」

 

 俺は指をクイックイッとしながら挑発した。

 これにはさすがに頭にきたようだ。

 

 「人間が、なめるなよ!!」

 

 堕天使は光の槍を作り、こちらに向かって投擲してくる。

 下級堕天使の割には光力はあるらしいな。

 放たれた槍はどんどんと近づく。

 奴は決まった、みたいな顔をしている。

 だが・・・・

 キィン

 

 「何!!??」

 

 俺に放たれた槍は俺に届く前に俺の目の前で光の粒子となり、消失した。

 

 「バカな、そんなことが!」

 

 堕天使はそうとう動揺している。

 

 「おい、どうした?まさか、あれで終わりなんていう最高につまらないことはないよな?」

 

 俺はさらに挑発をする。

 

 「人間!!後悔するなよ!!貴様は必ず殺す!」

 

 堕天使は顔を歪ませ、さらに槍を俺に向かって放つ。

 だが、その槍は俺に一本として届くことは無く、すべて俺の目の前で消失する。

 

 「バカな!!なぜ!何故届かない!!??人間ごときに!!なぜ!?」

 

 堕天使は相当困惑している。

 これはもちろん俺が発動させている魔法だ。

 どんなものかはまたの機会に。

 

 「はぁ、はぁ、はぁ・・・・・」

 

 「どうした?もう終わりか?」

 

 肩で息をする堕天使。

 

 「クソ!!クソ!クソ!!死ねぇ――――――!!!」

 

 激昂した堕天使はここ一番の威力を持つ槍を放ってきた。

 やりゃあ出来るもんだな。これなら、上級悪魔にも致命傷与えられるんじゃないか?

 バシィ!!

 

 「なんだと!!」

 

 俺はそんな槍を素手でつかみ取った。

 

 「俺の最高の渾身の槍を素手でだと!?ありえない。これは悪夢だ・・・」

 

 「ほれ、この槍、返すぞ!」

 

 俺は掴んだ槍を投げ返した。俺はあえて堕天使の左腕を狙った。手加減をして頑張ればこの投げ返した槍を避けられるくらいの速さにしてあげた。

 ザシュッ!! 

 

 「ぬぐっ!?!?!?」

 

 残念ながら奴は避けられなかったようだ。

 俺の投げ返した槍は堕天使の左腕を吹き飛ばし、空の彼方へ飛んでいった。

 堕天使の左腕の肘から下がなくなっている。

 血も噴出している。

 

 「くっ貴様・・・・よくも・・・・」

 

 堕天使はこちらを睨んでくる。

 

 「自分の攻撃がそっくりそのまま帰ってくるのはどうだ?珍しい体験だろ?それで?まだやるか?なんなら付き合うぜ。」

 

 俺は少し殺気を奴にぶつけながら言った。

 

 「くっ・・・・やむを得ん。」

 

 奴は脱兎のごとく、消えていった。

 

 「軽い運動にもならん。」

 

 [仕方ない。あの程度ではな。]

 

 俺はそこらへんに飛び散った汚らわしい血を除去し、帰路についた。

 

 

 イッセーSIDE OUT

 

  




はい、どうだったでしょうか。
次回、クライマックスですね。
堕天使たち、南無。
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