ハイスクールD×D ―魔法使いと龍―   作:shellvurn 次郎

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引っ越しをして、東京都民となりました。その準備でしばらくかけなかったです。
ちなみに原作二巻にあたる部分はカットします。
どう考えてもイッセー出ませんからね。人物が誠一に変わっただけで他はかわらないのでそんなことをつらつらと書くつもりはないです。


No,XXII ~力を扱うには鍛錬~

 誠一SIDE

 

 「なんだ?ここは・・・・・どこなんだ?」

 

 俺は気が付けば、真っ白な何もない空間にポツリと立っていた。周りを見渡せば途方もない広さがずっと続いている。

 確か、俺はあのクソ堕天使を殴り倒してやったはずだ。俺が自身の神器(セイクリッド・ギア)を覚醒させて。あの堕天使が言っていたようなただ力を倍にするようなものではなかった。

 

 「そーいや、木場や小猫ちゃんと分かれたままだったけど大丈夫なのか・・・?」

 

 俺は一緒に戦った木場と小猫ちゃんを心配しつつ、この得体の知れない真っ白な空間をキョロキョロとしていた。

 そんな時だった。

 

 「やあ、やっと神器(セイクリッド・ギア)を覚醒させたね。今代の宿主くん。」

 

 不意に後ろから俺に向けて言われたであろう声が聞こえた。

 全くもって聞き覚えのない声だった。しかし、不思議だ。知らないはずなのに何故か俺はこの声の主を知っているような気がした。

 威厳がありつつも少し幼いような・・・そんな感じだ。

 

 『あ、今キミ、僕のことを幼いって思ったね?』

 

 なに!?俺の考えてることが筒抜けなのか!?

 

 『そうだよ。なぜなら、僕は今までのキミを、内側から見ていたからね。』

 

 内側から見ていた?そりゃどういうことなんだ!?

 訳が分からないことばっかりだ。

 

 「なあ・・・お前は一体誰なんだ?」

 

 俺はその声の主に訊いた。

 

 『僕かい?僕はね・・・・・』

 

 俺のすぐ後ろからその声は聞こえた。

 俺は咄嗟に後ろを振り向いた。

 すると、俺の視界に映ったのは・・・・・

 

 『ドラゴンだよ。布藤誠一。』

 

 俺が懐いていた人間の姿形ではなかった。

 そこには、巨大な怪物が俺のことを見ていた。

 俺は声には出してないが、心中で驚いた。

 当然だろ?

 目の前にこんな巨大なものが居たらよ・・・・・

 俺の顔よりでけぇ目。燃えるように赤い色の瞳。大きく裂けた口。鋭い牙。全身を覆うオレンジ色と赤色の鱗。このような特徴から見ると、完全にドラゴンだった。

 余りの出来事に俺は何も言えないでいた。

 

 『今までキミに語り掛けていたけど、キミの力が弱すぎるせいなのか全然届いてなかったみたいだね。だけど、やっとキミの前に表れることが出来たよ。はぁ・・・こんなことじゃ、先が思いやられる。』

 

 目の前にいるドラゴンは俺には理解できないことを言っている。こいつは何を言ってるんだ?わけわかんねぇ。

 

 『キミも何となく察しているんじゃないの?君が想像していることだ。今は、それでいいよ。また、話すことがあるだろうからね。』

 

 俺の腕はあのとき、堕天使をぶったおした時と同じようなことになっていた。両腕に装着された、オレンジと赤の双籠手だ。

 

 『その神器のこと、よく覚えておいて。そして、もっと知るといいよ。』

 

 目の前のドラゴンはそう言って俺の前から巨大な炎を出しながら消えていった。

 おい!まてよ!なんだってんだ!俺はおまえからまだ何も聞いてねぇぞ!!おい!!

 そしてそのまま、俺はこの世界から消えた―――――

 

 「はっ!!」

 

 あのへんな夢みたいなものからの目覚めはお世辞にもいいとは言えないものだった。

 とにかく、俺は体を起こす。

 

 「・・・・・目覚めましたか・・・」

 

 と俺の寝ていたベッドの横に小猫ちゃんが椅子に座っていた。

 

 「小猫ちゃん・・・・」

 

 もしかして、看病でもしてくれてたのか?

 

 「待っていてください。今、部長たちを呼んでくるので。」

 

 「あ、うん・・・・」 

 

 小猫ちゃんはそう言って、食べていたお菓子をペロリと平らげ、部屋から出ていった。

 ――――――

  

 

 「セーイチ!起きたのね!」

 

 小猫ちゃんが部屋から出て行って間もなくして、部長、朱乃さん、木場、小猫ちゃんが部屋に入ってきた。

 

 「やあ、セーイチくん。先日はお疲れ様。」

 

 相変わらずのスマイルを崩さない木場。そういや、木場と小猫ちゃんにあの神父を任せちまったが、どうやら無事だったようだ。安心した。

 

 「部長、ここは・・・・?」

 

 俺が部長に尋ねると、部長はにっこりとしながら答えてくれた。

 

 「ここは私の根城よ。人間界の家よ。一人暮らしにはちょっと広いけどね。とにかく、あなたはよくやったわ。」

 

 「そ、そうだ!部長!堕天使はどうなったんですか?アーシアは!?」

 

 俺はパニックになって声を荒げる。

 

 「待って。一度落ち着いて。セーイチ。一から話すから。」

 

 「は、はい。すみません・・・・」

 

 俺は部長にそう言われて取りあえず、冷静になって部長たちの話を聞いた。

 

 「堕天使たちは全員で4人いたわ。セーイチが倒した者も含め、私が仕上げに全員消し飛ばしたわ。安心して。」

 

 「そうですか・・・・」

 

 良かった。どうやら俺たちは勝てたみたいだ。結局、部長たちのおかげだけど。

 

 「それで部長、俺、神器のお話なのですが・・・・その、土壇場で凄いことになったんですけど、あれって・・・」

 

 俺は一番聞きたい二つのことをのうち、一つを聞いた。

 

 「ええ。そのことも話すわ。あなたの神器(セイクリッド・ギア)、ただのありふれた龍の手(トゥワイス・クリティカル)なんてものじゃないわ。」

 

 「や、やっぱりですか・・・・」

 

 「ええ。それどころか、とんでもないものだったの。あなたの神器(セイクリッド・ギア)の名前は紅焔龍児の双籠手(イグニタス・クロスギア)

。八大龍王の一体、紅焔龍児(エヴォリュシオン・ドラゴン)アグニルを封じた神器(セイクリッド・ギア)よ。」

 

 「紅焔龍児の双籠手(イグニタス・クロスギア)・・・・・」

 

 俺はその名を復唱した。

 

 「そう。持ち主によっては、神滅具(ロンギヌス)クラスの力も発揮する神器よ。」

 

 うそだろ・・・・

 堕天使を倒すことが出来たけど、神滅具(ロンギヌス)クラスにもなりうるってのかよ!?神や魔王を倒せるんだろ!?とんでもない代物だ!?

 まさか、俺なんかにそんなものが宿っているなんて・・・・・

 

 「じゃあ、部長。俺が真っ白な空間で会ったあのドラゴンは・・・・」

 

 「ええ。間違いなく、セーイチの神器に宿る、アグニルだと思うわ。というか、もう会っていたのね。」

 

 あのドラゴンが、俺の神器に・・・?

 にわかに信じがたい。しかし、俺はそのドラゴンと会った。そして部長もこう言っている。

 マジか・・・・しかも龍王ってそうとうじゃないか?よくわかんないけど・・・・

 

 「ねえ、誠一。」

 

 色々と考えている俺に部長が真剣なまなざしで俺を見つめている。

 

 「あなたは、自分が、一番弱いって思っているわね?」

 

 「はい・・・・」

 

 痛いところを突かれた。

 俺は弱かった。結局、みんなの力を借りなきゃ、あの堕天使を倒せなかった。

 

 「だけど、それは違うわ。」

 

 「え?」

 

 俺が内心落ち込んでいると、部長はそれは違うという。

 

 「セーイチ、あなたは兵士(ポーン)が一人しかいないことに疑問を持っていたわね?」

 

 「はい。」

 

 「実はあなたを悪魔に転生させるとき、私の8つある兵士(ポーン)の駒、すべて使わないと、貴方を転生させることは出来なかった。駒を8つも使わないとあなたは悪魔になれなかったの。つまり、貴方には駒8つ分の価値があるの。」

 

 駒8つ!?初耳だ・・・・・これには驚きを隠しきれない。  

 

 「あなたにはそれほどの素質を秘めているの。確かに今は弱くても、この先、修行次第では強くなることが出来るわ。」

 

 「部長・・・・」

 

 強くなれる・・・・ 

 この一言がおれは嬉しかった。

 そうか・・・・・俺、自分のことは何の価値もないと思っていた・・・・なんで、部長は俺を助けてくれたのかわからなかった。けど、これで納得できた。だったら目指すは一つだ!

 

 「部長!俺、最強の兵士になります!!」

 

 俺は部長に高々と宣言した。

 それを聞いた部長は嬉しそうに苦笑した。部長だけじゃない。朱乃さんも、木場も小猫ちゃんも笑っていたのだった。 

 

 「そう。うれしいわ。セーイチ。私の下僕が強くなるのは。」

 

 「あらあら、頼もしいですわ。セーイチくんは。」

 

 「そうだね。僕も、あの神父には苦戦したんだ。」

 

 「私もです。裕斗先輩と二人がかりで互角ってところでした。悔しいです・・・・・」

 

 小猫ちゃんと木場で互角!?

 あいつ、そんなに強かったのか・・・

 

 「セーイチ。なら、明日から早朝練習を開始するわ。私もあなたに付き合うわ。いいわね?」

 

 「はい!、部長!」

 

 やったぜ!

 部長と朝から鍛錬!これはやる気が出るぜ!!

 

 「ああ、それとね、セーイチに知ってほしいことがあるの。」

 

 「え?なんですか?」

 

 何だろうか?もしかして・・・・まさか・・・あんなこととか・・・?

 

 「入ってきていいわよー!」

 

 部長が扉の方にそう言った。誰かが来るのか?

 

 「あ、あの・・・・失礼します・・・・」

 

 その声には、聞き覚えがあった。

 まさか、あの子なのか・・・・・?

 そう言って入ってきたのは、俺が良く知る金髪の少女。俺の目の前で死んでしまったはずなのに・・・・

 

 「あ、アーシア・・・・・」

 

 「え、えっと・・・セーイチさん・・・また、会えましたね。」

 

 アーシアはにこっと俺に笑顔を見せてくれたのだった。

 それも、俺が通う駒王学園の制服を着ていた―――――

 

 誠一SIDE OUT

 

 ―――――◇◆◇◆◇―――――

 

 イッセーSIDE

 

 「はっ、はっ、はっ・・・・」

 

 よう、イッセーだ。

 今日も俺はトレーニング中だ。

 今日はいつもの筋力トレーニングとは違って、ランニングだ。

 もちろん、ただのランニングじゃない。両腕に50キログラムの重り、両足に100キログラムの重り、さらに重力魔法で自身に100倍の重力をかけて走っている。こんなこと、常人どころか普段鍛えている者でもほんの数秒でノックアウトするだろう。

 まあ、当然だ。このトレーニングこそ、日ごろの積み重ねのその先にあることだ。俺はこれを欠かさない。最近おれのライバルたちが力をつけていると聞く。ならば、こちらとて実力差をつけられるわけにはいかない。

 歴代の先輩たちなら、これくらいやってはいるのだろう。例え力に溺れたとしても、そこそこの実力はあったはずだからな。

 

 〈いやいやいや、イッセー。俺こんなにゴリゴリにトレーニングをしたことねぇぞ?つか、なんだよ、50キロに100キロに100Gってよ・・・・・わけがわからないぞ・・・・・〉

 

 ベルザードさんが呆れたように言った。なんだよ、これじゃあ俺が非常識みたいじゃないか。

 

 〈いやね、イッセー?これ私から見ても異常よ?〉

 

 エルシャさんまで・・・・ 

 

 [フハハハハ。お前たちから見ていたらそれはそのように見えるだろう。イッセーはこれを5歳から少しずつコツコツと続け、レベルアップしてきたことだ。]

 

 ニトラが俺のことをそのようにフォローしてくれた。

 

 〈それでもだ。ジルニトラ。これ見てりゃあ、生身で歴代達を秒で屠れるぞ・・・〉

 

 [かもしれないな。]

 

 〈そう考えると、恐ろしいって言うか、流石はイッセーね。〉

 

 ジルニトラとベルザードさん、エルシャさんとの間で会話がはずんでいる。

 

 [そうだ、ベルザードよ。一度、イッセーの体感している世界を感じてみるか?]

 

 〈・・・・・ゑ?〉

 

 ベルザードさんから普段聞けない声が聞こえた。

 おそらく、ベルザードさんにとってはとんでもなく笑えない冗談だろう。

 ベルザードさんの顔が真っ青になっている姿が容易に想像できる。

 

 [よし、ではいくぞ?歯を食いしばった方がいいぞ?舌噛むかも知れないからな。]

 

 ベルザードさんの有無を聞かずにニトラは実行する気でいる。

 

 〈待て待て待て!!そりゃねえだろ!!あんな人外やることやったら俺死ぬぞ!!〉

 

 〈あら、もうとっくに死んでるじゃない。〉

 

 エルシャさんが正論をいう。てか、さりげなく俺を人外扱い・・・・・

 

 〈そりゃそうだが・・・そういう問題じゃねぇ!!〉

 

 [なに、大丈夫だ。お前も赤龍帝王と言われた身。少しはやれるとみているぞ。ベルザードよ。では、ほいっ]

 

 〈う・・・・・ん・・・・・・?うぼぉあぇおあええ!!!〉

 

 ベルザードさんからは悲痛な叫びが聞こえた。

 

 〈あ、ベルザードがつぶれた。〉

 

 エルシャさんからは冷静な状況報告。

 何も心配する素振りなし・・・・ニトラにいたってはケラケラと笑っているだけ。

 ベルザードさん、南無・・・・・・・

 俺は内心彼に同情しながらこの早朝の町を走るのだった。

 

 ―――

 

 42.195キロメートル、一般人が行うフルマラソンの距離を1時間弱くらいで軽く走った後、近くにあった公園で休憩に入った。自販機で飲料水を購入し、ベンチに座って飲む。

 

 「んくっ、んくっ、ぷはぁー。これは中々・・・・」

 

 ランニング(ガチ)をやったあとのこの染みわたるような感覚は中々に気に入っている。

 また、戦闘後の風呂も中々にいい。

 

 〈あーーー、マジでやばかったぜ。〉

 

 どうやらベルザードさんが復活できたようだ。

 

 〈イッセー、お前スゲェよ。尊敬するぜ。俺、一秒でノックアウトだ。そりゃ、つえぇわけだ。あんなことを平気で出来るんだからよ。〉

 

 「誉め言葉として受け取っておきますよ。」

 

 かの赤龍帝王にこういわれるのは嬉しいものだ。

 少しの休憩時間、ニトラ、エルシャさん、ベルザードさんと談話する。

 

 「ぜーはーぜーはー」

 

 「ほらセーイチ!!もっとシャキッとしなさい!!」

 

 休憩を終え、公園から出ようとすると、二人の男女が走っていた。

 

 「は、はい!!」

 

 「基礎鍛錬は大事よ。あなたの神器(セイクリッド・ギア)はね、あなた自身の力が強ければ強いほど力を発揮するのよ。どの神器(セイクリッド・ギア)にも言えることだけど、強いに越したことは無いわ。」

 

 「は、はいぃ!!」

 

 赤い髪の()()と、見覚えのある男だった。

 なんだ?最近のこの都市の住人は朝のトレーニングが流行ってんのか?

 俺は二人が見えなくなった後、家にまた先ほどと同じ状態で帰るのだった。

 

 「さっきの女、思いっきり神器(セイクリッド・ギア)って言ってたな。」

 

 [イッセー、あの男。私は見覚えがあるぞ。]

 

 ニトラからそう言われる。

 

 「ああ。前にすれ違った時よりも、ドラゴンの力が大きくなっているな。」

 

 それだけじゃない。あの男、前すれ違った時は人間だったが、悪魔になっていた。どうやらあの紅髪の女が主か・・・ 

 

 〈なあ、イッセー。今の奴・・・〉

 

 〈ええ・・・多分みんな同じことを思ってるわね。〉

 

 ベルザードさんもエルシャさんも当然のごとく気づいたようだ。

  

 「まさか、こんなところにいたのか。紅焔龍児(エヴォリュシオン・ドラゴン)・・・・」

  

 俺はまた新たな遭遇に心を躍らせながら帰宅するのであった。

 ―――

 

 「ふう、さてはやくシャワー浴びて朝食作らないと。」

 

 数十分かけて帰宅し、バスルームに向かいシャワーを速攻で浴びる。

 そろそろ朝食の準備しないといつもの時間に間に合わなくなる。

 シャワーを浴び、バスルームを出てダイニングに行くと先客がいた。

 

 「あ、イッセーさん。おはようございます。今日も鍛錬でしたか?」

 

 そこには伽耶がもう朝食の準備を始めていた。

 

 「おはよう、伽耶。悪いな。もう準備始めてくれていたのか。」

 

 「いえ!これくらいはさせて下さい!」

 

 伽耶はよく気が利く子だ。この子はいい奥さんになれる。

 

 「そうか。じゃあ、いつものように手伝ってくれ。」

 

 「はい!」

 

 しばらく経つと、ティアとドライグ、妹たちがリビングに入ってくる。なにかと起きる時間が決まっていて規則正しい。

 伽耶のナイスな助けがあってどうにか間に合った。

 

 「イッセー。今日、朝何かあった?」

 

 ドライグが不意にこのような質問をしてきた。

 

 「何かあったというほどのことではないが、面白い存在を見つけた。」

 

 ドライグに隠すようなことは無いので俺はそのことをしゃべった。

 

 「なるほど、あの炎の龍ねぇ~」

 

 ドライグは少し懐かしそうに言った。

 

 「顔見知りなのか?紅焔龍児(エヴォリュシオン・ドラゴン)と。」

 

 「名を知っているだけね。とても若くして龍王の座に就いた。それだけその成長はすさまじいものだったの。だから、私の耳にもその名は入ってきていた。」

 

 なるほど。八大龍王にねぇ・・・・それはさぞすさまじいものだったのだろうな。

 

 「ちなみに強さは龍王で二番目。ティアの次に強かったの。」

 

 ドライグは更に驚嘆する事実を言った。

 まさか、龍王最強のティアの次席だったとはな・・・・それはますます戦いたくなってきてしまった。

 ドライグはなぜか俺のことを見ながらクスリと笑う。

 

 「イッセーは相変わらずね。」

 

 どうやら、ドライグには俺のことは筒抜けのようだ。

 

 「ねぇねぇ、おにいちゃん。今日もイズナたちのこと見てくれる?」

 

 イズナから特訓のお誘いをもらってしまった。

 こうなったらイズナたちのことを見なければ!

 これは使命だ!

 

 「(イッセーったら、完全にシスコンね・・・・・その感情をもっと私に向けてくれたら、いいのに・・・・)」

 

 「おい、ドライグ、ドライグ!」

 

 「はっ!」

 

 ようやく気づいたようだ。さっきからドライグのことを呼んでも全く反応する素振りすらなかった。何か考え事してたのだろうか?それにしてもらしくない。

 

 「ドライグも妹たちの特訓、行くだろ?」

 

 「え、ええ。」

 

 当然、ティアも妹たちの特訓へ行くことになった。

 そして、今日一日、特訓と言うことになった。日に日に力を伸ばしていっている妹たち。俺も負けるわけにはいかないな。

 

 ――――

 

 同日。

 特訓を終え、帰宅。

 もう深夜に近い。

 そんな時間、俺はとある場所に向かっている。

 家からそう遠くない場所に悪魔の気配がした。

 伽耶を救ったところとはまた別の場所だ。

 

 「誰だ?貴様は人間か。」

 

 廃屋に入ると声が聞こえた。女の声だった。

 

 「ああ、そうだ。」

 

 「そうか、ならとっとと立ち去れ。ここは貴様が来るようなところではない。」

 

 その女は人間と変わらない容姿だ。整った顔。凛とした声音。だが、それとは裏腹に何処か違和感を覚える。

 

 「そう言うわけにもいかないんだ。特に、貴様のような悪魔はな。」

 

 「・・・そう、か・・・・貴様はこちらの世界を知るものか。」

 

 何やら弱っているのだろうか。息切れを起こしている目の前の悪魔。フラフラとしている。経っているのもやっとと言った感じであった。

 

 「ああ。そういうわけだ。はぐれ悪魔は消すことになっている。」

 

 俺がストレートに伝えると、この悪魔は表情を変えなかった。

 

 「そうか・・・ちょうど、貴様のような者を待っていた。」

 

 「何?どういうことだ?」

 

 何だこいつは?一体何を考えている?

 

 「いっそのこと、一瞬で消してくれ。」

 

 「意外だな。今まではぐれ悪魔を消してきたが、そんなことを言うやつは初めてだ。」

 

 今までであったはぐれは総じて戦闘になった。どいつも殺されるのは嫌がっていた。

 しかし、こいつは違った。殺せと、そう言ってきた。

 

 「ああ・・・私はもう疲れた・・・・・私を消そうとしてくる奴らから逃げるのも・・・・・・・・こうして無理やり転生させられ、悪魔として生きるのも・・・・」

 

 目の前の女を魔法で解析する。

 俺は衝撃を受けた。

 体の中身はもうボロボロだ。

 普通の人間であればとうの昔に死んでいるはずだ。悪魔だとしても生きているのが不思議なくらいに。こりゃ、そうとうやられたな。ただはぐれ悪魔になって逃げてきただけではつかない傷だ。主と言う屑に色々無茶をさせられたのだろう。

 初めてだ・・・・悪魔に同情するのは。

 

 「同情を・・する必要は無い・・・私では貴様に勝てのないのは分かっている・・・・私はもういやなのだ・・・・どうせ、このまま逃げても殺されるだけだ。死ぬならば、人間の手で殺されたいのだ。貴様のような男にだ・・・・私の・・・モロの・・好みだったんだ・・・・」

 

 死にそうな状態で必死に声を振り絞る女。

 厳密には人間ではないがな。俺は・・・・

 

 「そうか。お前がそういうならば、そうしよう。それと、あんたのような綺麗な女性にそう言いてもらえて光栄だよ。せめて、痛みを感じさせないようにしよう。光力も使わない。そうすれば、無に帰ることもないだろう。」

 

 「そうか・・・それは・・・うれしい、ことだ・・」

 

 俺はあの時はなった魔法。広域殲滅魔道収束砲(カルネージ・ストライカー)を発動させる。

 周りに被害が出ないよう、結界を張り、範囲を絞る。 

 

 「じゃあな。」

 

 強大な魔道収束砲は女を飲み込む。 

 魔法が終わった後、そこに女の姿はなかった。

 

 「帰るか・・・・」

 

 何とも言えない気持ちになった。しかし、本人が望んだことだ。

 踵を返して帰ろうとしたとき、複数の人物が入り口に立っていた。

 

 「あなたかしら?このあたりではぐれ悪魔を始末していたのは。」

 

 どうやら、新手らしいな――――――

 

 イッセーSIDE OUT

 

 




はい、いかがだったでしょうか?
バイサーさんでした。ちょっとかっこよすぎたかな?原作と変えました。

―――――――――――――――――――――――――――――
設定ミニコーナー

紅焔龍児≪エヴォリュシオン・ドラゴン≫ アグニル
*八大龍王の一角。実力は龍王第2位。
*若くして八大龍王となったドラゴン。名のあるドラゴンでもっとも若い。
*正体は上級種のドラゴン、朱炎龍の突然変異体。その強さ、才能が実って龍王となる。
*ドライグに並々ならぬ思いを抱いているとかなんとか。

紅焔龍児の双籠手≪イグニタス・クロスギア≫
*アグニルを封じた神器。
*スペックは高い。
*使い手によっては神滅具クラス。
*アグニルに由来する炎を主とする神器であり、また龍の手に封印された特別なものなので、所有者の力を大幅に上げる龍の手の上位互換の力もだすことができる。

バイサー
*顔が整った美人。
*無理やり眷属とされ、主にそうとう無理をさせられた。
    
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