ハイスクールD×D ―魔法使いと龍―   作:shellvurn 次郎

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はいどうも。
連続投稿です。速光で書き上げました。


No,XXIX ~戦闘!そして―――~

 アザゼルSIDE

 

 「はぁーーーーーーーー」

 

 冥界、堕天使領。堕天使の中枢組織、神の子を見張る者(グリゴリ)の中にある一室には盛大な溜息をつく者が一人いた。

 よお、俺はアザゼル。

 堕天使どもの頭をやっている。

 ところで今、俺は非常に悩んでいる。それこそ、俺の生きがいといえる神器の研究すら手につかないほどにな。

 

 「ったくよぉ・・・・あの野郎、ほんとにやらかしてくれたもんだ・・・・」

 

 何が起きているかというと、実は俺たちの仲間の一人、コカビエルが人間界のとある場所で暴れてるんだ。しかも、質の悪いことにサーゼクスやセラフォルーの妹がいる学び舎で、だ。

 コカビエルは神の子を見張る者(グリゴリ)の中でも生粋の武闘派で大戦が終わった後も何かとヴァーリのように修行を積んでいたやつだ。それに、いつも天界や悪魔との戦争を再開する案を唱えていた。幸い、うちらの幹部はほぼ全員戦争で泣きを見ることになったので、コカビエルに賛同する者がいなかったのが幸いだった。

 いつかやらかすと思っていなかったわけではなかったが、とうとうその懸念が現実のものとなってしまった。正直、サーゼクスの妹やセラフォルーの妹たちだけで到底勝てるとは思っていない。しかし、俺がそこに赴いてあの野郎を止めるのも何かと都合が悪いし、現実的じゃあない。そこで俺はとある作戦を立てた。

 

 「アザゼル、呼んだか?」

 

 しばらくしておれの部屋にヴァーリが入ってきた。実はヴァーリこそが今回の作戦のガキだ。

 

 「ああ。お前に頼みたいことがある。コカビエルの馬鹿野郎をここに連れ戻してきてくれ。それにはシェムハザが対応してくれる。」

 

 「コカビエルをか?なぜだ?普通に呼べばいいじゃないか。」

 

 ヴァーリは疑問を投げかける。そうか、そういえばヴァーリはまだこの状況を知らなかったな。

 

 「実は、コカビエルが魔王の妹たちのいる学び舎で暴れているそうだ。魔王の妹たちでは勝てそうもない。お前に処理を頼みたい。それに、赤龍帝ではなかったが、ドラゴンの気配を察知した。おそらくは紅炎龍児の双籠手(イグニタス・クロスギア)の使い手とみて間違いない。」

 

 俺は少しでもヴァーリが乗り気になるような情報を含めて簡潔に伝える。

 

 『ほう、奴がいるのか。』

 

 アルビオンが紅炎龍児の双籠手(イグニタス・クロスギア)に反応を示した。本来ならばそれほど関心がないはずだ。しかし、赤龍帝が突如として消えたのもあってその紅炎龍児の双籠手(イグニタス・クロスギア)の使い手と歴代たちは何度も対戦しているらしい。まあ、当然のごとく白龍皇がほとんどすべて勝っていると聞いているが。

 

 「アルビオン、そいつのことは知っているのか?どんなやつだ?」

 

 ドラゴンとあってか、ヴァーリもそれなりの関心を見せる。

 

 『ああ。やつは赤龍帝が消えてから何かと因縁がある。歴代たちも何度も戦っている。名は紅炎龍児(エヴォリュシオン・ドラゴン)アグニル。奴は八大龍王の二番手だった最も若いドラゴンだ。アザゼルが言った通り、奴は俺たちと同じ神器となって宿主を転々としているわけだ。』

 

 アルビオンがヴァーリに概要を教える。

 ヴァーリは少し考えているようなそぶりを見せ、口をひらいた。

 

 「・・・・まあ、赤龍帝ではないのが少々残念だが引き受けよう。」

 

 どうにかヴァーリは引き受けてくれるようだ。

 

 「それで、本命の赤龍帝の情報は?」

 

 ヴァーリはすぐに話を変えて赤龍帝のことを訪ねてくる。

 

 「これっぽちも無い。それこそ赤龍帝の情報が手にはいりゃ、真っ先にお前に伝えてるさ。俺だって赤龍帝をさがしてんだからな。」

 

 「そうか・・・・絶対に見つけ出してやるさ。逃がしはしない。」

 

 ヴァーリは全くあきらめていない。むしろそれまで以上に闘志を燃やしていた。

 

 『ふっ、これで今代の赤龍帝が見つかれば、そいつは哀れだな。赤龍帝にとって過去最大級に難儀な相手となりそうだ。手も足も出ることなく敗北するだろう。』

 

 アルビオンは確信したように言った。

 まあ、同感だな。本当に今代の白龍皇は規格外にもほどがある。

 「つーわけで頼んだぜ。」

 

 「ああ。」

 

 ヴァーリは短い返事を返し、この部屋から去っていった。

 さてと。俺は俺で動くとするか。

 

 ――――◆◇◆◇◆―――――

 

 イッセーSIDE

 

 よう、イッセーだ。

 今日は普段通りの生活を送ると思っていたが、突如とてつもない力の波動を俺は感じた。

 

 「っ?!」

 

 「イッセー・・・・」

 

 「ああ。ドライグもティアも気づいたか?」

 

 俺が訊くと、ティアとドライグはうなずく。

 

 「この気配、どうやら現れたな。堕天使か・・・・」

 

 「それだけじゃないわね。この町全体に仕掛けられているのは崩壊の術式・・・発動するまであと一時間もないわね。」

 

 俺もドライグとティアの見解と同じだ。

 これはどうやら俺たちも行動せざるを得ないな。この街を崩壊させるわけにはいかないからな。

 

 「俺が行く。ドライグとティアはここにいてくれ。」

 

 「わかった。」

 

 「イッセー一人で十分だものね。」

 

 俺はドライグとティアに妹のことを任せ、俺はさっそく行動に移す。

 今は夜の十一時。本来ならば妹たちを寝かせて自分も寝る準備に入る時間だ。

 しかし、今日だけは特別だ。俺は外出する準備をして玄関へ向かった。

 

 「おにーさん?どこ行くの?こんな時間に。」

 

 すると、ユキが目をこすりながらとてとてと俺のもとへ寄ってきたのだ。

 

 「ユキ?もうそろそろ寝る時間だぞ?」

 

 「えっとね・・・すごく強い力の波動を感じたの・・・・それと、この町全体に広がっている魔力のようなものが気になって・・・」

 

 俺はユキに注意をしようと思ったが、ユキの予想もしない答えに正直驚いた。

 まさか、ユキがこのことに気づくとは・・・・・

 そう。ユキが言った通り、この街にはとある強大な力を持った奴がいる。さらにはこの街を崩壊させる術式。

 俺が思った以上に成長しているってことなのか。

 

 「凄いなユキ。もう気配まで察知できるようになるなんてな。凄いぞ。」

 

 俺はユキの頬に手を当て、もう片方のてで頭を撫でながら言う。

 ユキは嬉しそうに笑みを浮かべる。

 

 「私は、一番おねぇちゃんだから・・・・みんなを守らなきゃ・・・」

 

 なんと健気なんだろうか・・・・・・

 この幼さでそこまでのことを考えているのか・・・・

 いい子過ぎる。

 

 「ユキ・・・凄いけど、あまり根を詰めないようにな。お前はまだ幼い。頼りたいときは頼っていいし、甘えたいときは甘えて良いんだ。それにもう一人、上にお姉ちゃんがいるだろ?」

 

 俺は頑張っている健気にユキを抱きしめながら言った。

 

 「うん・・・・」

 

 ユキはうん、とだけ言って俺の腕に大人しく抱かれる。

 少しして俺はユキを開放して俺は立ち上がる。

 

 「さあ、ユキ。俺が何とかしてくるから、もう寝るんだ。いいね?」

 

 「うん、おやすみなさい。おにーさん。」

 

 「いい子だ。おやすみ。」

 

 ユキはとてとてと寝室の方へ向かっていった。ユキの姿が見えなくなるまでそちらの方を見ていた。

 ユキの姿が見えなくなったところで俺は家を出た。

 

 

 ――○●○――

 

 

 家を出て俺はその問題の場所へと向かっている。場所は駒王学園。悪魔が何故か通う普通のエスカレーター式私立学園。その場所に行くのはなんだかんだ今回が初めてとなる。

 近づくにつれ、だんだんと気配が強くなってくる。この最も強い気配を放つ奴がコカビエルだな。学園がそろそろ見えてくる。すると、門の辺りには十人弱の人、否悪魔たちがいた。なるほどな、結界を張っているのか。

 しかしまあ・・・・なんと拙い結界なんだろうか。こんなのではあったところでさほど意味なんて無いだろうに。これで上級悪魔なんて冗談は言わないよな?まあいいか。取りあえず、ここを通ってお目当ての奴の顔を拝むとしよう。

 

 「ちょっと待ってください。そこの方。あなたは人間ですね?今中に入ろうとしていましたね?」

 

 フツーに通ろうとしたのでもちろんこの結界を張っている者たちに見つかる。まあ、あえて分かるようにしてわけだが。

 俺に全員の視線が集中する。

 

 「ああ。そうだが?何か問題があるのか?」

 

 「人払いの結界も貼ってあったはずですが、何故ここに来れたのです?もしかしてこちらの世界を知るものですね?」

 

 眼鏡をかけた黒髪の悪魔、おそらくはこの中で最も力の強い悪魔が俺に質問をする。

 

 「ああ。そうだ。そういうわけでここを通してもらおう。」

 

 「そういうわけにはいきません。こちらの世界を知るモノなら分かるはずです。この中には格の違う敵がいます。あなたが行ったところで何もできません。」

 

 黒髪の悪魔が俺のことをために入る。

 しかし、そんなことを素直に聞く俺ではない。

 

 「ここで、こんな拙い結界を張ることでしかやれることがないお前たちより断然マシさ。まあ、この結界から見てもお前たちのレベルなど高が知れるがな。」

 

 俺は全員に挑発をする。

 

 「何だと!?お前!」

 

 俺の挑発にこの悪魔のメンバーで唯一の男が激昂して声を荒げた。

 

 「おいおい、ダメじゃないか。俺のことを相手にするよりも結界に集中しろよ。お前たちのようなやつらが他のことに気をまわす余裕があるのか?」

 

 「ぐっ!こいつ!」

 

 「あなたに言われないくてもわかっています。しかし、貴方を通すために結界を解除するわけにはいきません。」

 

 黒髪の女はおれの忠告をすんなりと受け止める。こいつは分かってるな。

 まあ、別にわざわざ解除しなくても入る方法などいくらでもある。

 俺は結界の方へ歩き出す。

 

 「別に、解除しなくてもいいぞ。」

 

 すぅっ

 俺は結界に物理的に阻まれることは無く、魔法を用いてこの紙切れのような強度しかない結界を歩いてすり抜ける。

 

 「なっ!嘘だろ!!」

 

 「どうやって!?」

 

 結界を張っている面々は困惑している。まあ、お前たちには一生できないことだからそうしていればいいさ。

 俺は結界を張り続けている悪魔たちを後にして現場へ向かった。

 

 

 ――○●○――

 

 

 「ふぅん。まあ、大体予想通りか・・・・」

 

 俺が現場に着くと、目にしたのは倒れ伏している悪魔たちと同じく前俺に金をせがんだ挙句戦った聖剣使い、対してそれらを見下ろしている空中に浮かんだ堕天使が一人と、流血している白髪の少年が地に腰を下ろしていた。  

 そして、ちゅうに浮かぶ堕天使は高笑いしながら言った。

 

 「先の大戦で、四大魔王と共に、神も死んだのさ!」

 

 なんとも凄いことを聞いてしまった。

 俺の仮説であった聖書の神の死はどうやら真実らしい。しかし、それを口にしてしまっていいのだろうか?こんなこと、どこで誰が訊いているかわからんぞ?

 そして、それに続いて白髪の少年がエクスカリバーの真相を暴露した。

 なんてことだ。何故、あの少年がそのことを知っているんだ?このことは教会でも知るやつは現在ほぼゼロのはずだ。

 とにかく、俺は堕天使の前に姿を現した。優先順位があるからな。

 

 「へえ、やはり聖書の神は死んだのか。」

 

 「誰っ!?」

 

 俺が声を発すると、まず赤髪の悪魔がいち早く反応する。

 まあ、こいつは俺のことを知っているからな。無視しておいていいだろう。

 

 「ん?何者だ貴様は?」

 

 赤髪の悪魔一行を無視して堕天使の意識が俺の方へと向いた。

 

 「ああ、俺はただの通りすがりの人間だ。」

 

 俺は盛大なる戯言をほざく。あれだ。一度は行ってみたい台詞にあるだろ?あれ?違ったか?まあいいや。

 

 「ほう、こちらの世界の人間か。それでその人間である貴様がここへ何をしに来たというのだ?まさか、何の考えもなしに来たのではあるまい?」

 

 俺の目の前にいる堕天使がこちらを見下している眼で言った。

 明らかにこちらを見くびっているな。

 

 [ふふふ、それも時間の問題だな。すぐにその薄汚い顔が恐怖に染まるのではないか?]

 

 俺の内側にいるニトラがおかしそうに言った。

 まあ、そうさせてもいいがな。

 それは置いておいて俺は堕天使の質問に指を使って答えた。

 

 「俺はここに二つの用事があってきたのさ。一つはここを中心にして発動しているこの街を崩壊させる術式を破壊すること。二つ目はあんたと戦いに来た。」

 

 俺の言葉を聞くと、堕天使はさらに声をあげて笑った。

 

 「クックック・・・ハーハッハッハッハッハッハッハッ!!!!!!戦いに来ただと?笑わせるなよ?人間。貴様のような雑魚がここに来たところで何もできないさ。当然、生きて帰れると思うなよ?」

 

 先ほどからこちらを見下ろして高笑いをしている堕天使。流石に腹が立つな。

 

 [イッセー。]

 

 ニトラもニトラであの堕天使にムカついている。

 さて、じゃあ少し見せてやるか。

 

 「この辺だな。よっと――――」

 

 俺はこの街を崩壊させる術式の中心へと行き、俺の魔法で術式を分解させ、意味のないものとする。

 俺の発動させた魔法が機能し、術式は壊れる音をたて、霧散した。

 

 「なんだと!?」

 

 先ほどまですかした顔をしていた堕天使が突然のことに表情を変える。

 そこら辺にいる悪魔は何が起こったのかわかっていないようだが。

 俺は術式の消去を終えると再び先ほどの堕天使の方へ歩く。

 

 「どうした?面白い顔をしているぞ?」

 

 俺は堕天使の顔を指摘してやる。まさか、こんなことで驚いているのか?長く生きてきた奴ならこんなことできる奴はいくらでもいよう。

 

 「クックック・・・・・なるほどな。確かに、何の考えもなしにここに来たのではなさそうだ。先ほどの術式はこの俺を倒さない限り解除されないものだったのだが・・・・それを容易に直接壊すとは・・・どうやら俺は見くびっていたようだ。先程の非は詫びよう。その代わりと言っては何だが、俺の名はコカビエルだ。」

 

 俺の目の前の堕天使は自身の名を口にする。

 こいつがコカビエルか・・・・大昔、三大勢力の大戦を生き残った強者。

 翼の数は・・・十二枚。熾天使(セラフ)と同じ。

 三大勢力の中では最強クラスといったところか。

 

 「ではコカビエル。速く本題へ入ろうぜ。」

 

 「戦うということか?」

 

 「ああ。その通りだ。そこに転がっている悪魔たちではつまらないにもほどがあるだろう?」

 

 俺はコカビエルの問いに肯定した。

 

 「ククク・・・・ハーハッハッハッハッハッハッ!!!!いいぞ!面白い!!先ほどの技量を見ればはるかに面白そうだ!!」

 

 コカビエルは哄笑を挙げる。

 なるほど。こいつは根っからの戦闘狂らしい。それならばこちらとしても話が速くて助かる。三大勢力は大戦でただ自分たちが損をして全員他の勢力にビビっている奴が多いと思っていたがこんな奴がいるとはな。

 何かと因縁のある三大勢力だが久しぶりの相手だ。

 

 「では、行くぞ――――」

 

 俺は相手に一応忠告して攻撃体制に入る。

 

 「いいぞ!!かかってこい!!」

 

 コカビエルの了承はもらったので遠慮なく行く。

 

 「じゃあ―――」

 

 ヒュッ―――

 俺は一瞬でコカビエルの背後をとり、拳でやつにあいさつ代わりの一撃をくらわす。 

 

 「何っ!?!?」

 

 バシィ!!!!

 しかし、さすがは大戦を生き残ったものだ。

 俺を察知して俺の拳をぎりぎりのところで受け止める。

 

 「フッ」

 

 俺は間髪入れずに次の攻撃を奴に仕掛ける。

 

 「グッ!!」

 

 コカビエルは次々繰り出される俺の攻撃に対処をする。しかし、完全に意表を突いたため、どんどん俺の攻撃についていけなくなってきている。

 そして―――

 ゴッ!!!

 

 「グウッ!!」

 

 俺の拳が奴の顔に突き刺さる。

 コカビエルは俺の攻撃に怯み、すかさず距離をとる。

 

 「く・・・・」

 

 コカビエルは口から滴る血を手で拭ってその自身の手についている血を見つめて言った。

 

 「いいぞ!俺の予想をはるかに超えている力だ!最初、一瞬でこの俺の後ろを取るとはもってのほかだ!そんな芸当を俺にすることができる奴は過去の大戦にもいなかった!面白い!最高に面白いぞ!人間!」

 

 「そりゃどーも。」

 

 コカビエルは興奮しながら語った。

 

 「フンッ!」

 

 コカビエルは十二枚の翼を展開させて宙に飛びあがり、堕天使の代名詞ともいえる光の槍を作り出す。

 その槍の大きさは余裕で20メートルを超え、太さは大木並みだ。俺を襲ってきたあの雑魚堕天使とは次元が違うレベルだ。

 

 「喰らえ!」

 

 コカビエルは地にいる俺にそれを投げつける。槍の速さもあの雑魚堕天使とは段違いに早い。

 しかし、俺からしたら遅い。俺は魔法を発動して俺も同じく空へと飛んだ。

 カッ!!

 ドゴォォォンンン!!

 俺の元居たところに槍が突き刺さり、大爆発を起こす。

 

 「やるな!!だがまだまだ行くぞ!!」

 

 コカビエルは先ほどよりも大きな光の槍をつぎつぎに創り出し、俺にそれを飛ばして攻撃を繰り出す。

 俺はそれを作業のように躱し続ける。

 

 「グアッ!!」

 

 「ウワァッ!!」

 

 俺が避けた光の槍は地上にいる悪魔たちを襲った。

 俺はそんなことをお構いなしに奴に集中する。

 

 「ハアッ!」

 

 コカビエルはさらに槍の量を増やす。

 俺は防御魔法陣を展開してそのやりを受け止める。防御魔法陣に槍がぶち当たり、その槍は霧散していく。

 

 「固いな!!これはどうだ!」

 

 コカビエルは更に研ぎ澄まされ、凝縮された槍を放つ。

 もちろんガードできるが俺はあえて防御魔法陣を解除した。

 ――――ガッ!!

 

 「何っ!?」

 

 俺は奴の渾身の槍を素手で掴み、それを投げ返した。

 

 「クッ!」

 

 コカビエルはその槍を相殺させる。

 しかし、俺にとってはそれはおとりだ。その一瞬のスキをついて、一気に詰め寄る。

 ドゴォッ!!

 

 「ぬぅっ!?」

 

 俺の拳がコカビエルに炸裂する。

 ズガァンンンン!!!!

 そして俺はさらに連続攻撃を与え、コカビエルを地に叩き落す。

 コカビエルは地に真っ逆さまに落ちる。土煙を上げ、地にはちょっとしたクレーターが出来ていた。

 コカビエルは体を起こす。

 服はボロボロ、呼吸を少し乱していた。

 しかし、表情はというと喜々としていた。 

 

 「やるな・・・まさか、俺の渾身の槍を投げ返されるとは思ってもみなかったぞ。」

 

 「そうか。それはそうと、そっちも飛び道具を使ったんだ。こっちもやらせてもらう。」

 

 俺は魔法を宙から発動させる。

 俺の周りには計40もの魔方陣が現れる。

 その魔法陣からまずは魔力弾を打ち出す。しかし、魔力弾は40の魔方陣から同時に放つ。その数は言わずもがなだ。

 

 「やらせん!!」

 

 コカビエルは光力で相殺させる。コカビエルは動くことなく、こちらの攻撃をことごとく撃ち落とす。かなりの威力にしているつもりだが、流石はコカビエルだ。

 

 「フッハハハハ!!どうした!この程度か!?」

 

 コカビエルはもっと威力のあるものをご所望のようだ。

 なら、少しだけ上げるとしようかな。

 俺は魔法陣の命令式を変更する。 

 

 「光を制する魔槍(レイ・ヴァルグ)――――――――」

 

 魔方陣からはどす黒い槍が放たれ、コカビエルに向かっていく。

 コカビエルは威力が上がったのを悟ったのか、光力を槍の形に形成させて迎撃を試みた。

 普通ならば、それで十分撃ち落とせる。

 だが―――――

 

 「何っ!?クッ!」

 

 コカビエルが放った槍は俺の攻撃に当たったが、相殺されることはなく、俺の槍に吸収され、そのままコカビエルに直進したのだ。

 コカビエルは飛び上がって回避した。

 

 「何だ!?今のは・・?」

 

 コカビエルも動揺が見られる。

 まあ、教えてやるか・・・・

 

 「さっきのは、俺が開発した魔法、光を制する魔槍(レイ・ヴァルグ)。そいつは光の力を扱うやつには有効でな。当たればその光を蝕む。お前たちが扱う光力は悪魔にとっては猛毒だろう?それの天使、堕天使版ってとこさ。」

 

 「く・・・そういうことか・・・なんと厄介な魔法だ・・・まさか悪魔にしかない大きな弱点が、我々にも生まれることになろうとは夢にも思わなかったぞ。貴様、魔法使いだったのか。よもや貴様のような魔法使いがいるとはな。世界はまだまだ広いということか・・・・貴様、どこの所属の魔法使いだ?名は何という?」

 

 「何処にも所属しないフリーさ。俺の名はイッセー。イッセー・ヴァーミリオン。さあ・・・まだまだいくぞ!」

 

 俺は先ほどの魔法を繰り出す。

 コカビエルは光力を扱うのでは無駄だと判断したのか、生身で避け続ける。

 後ろががら空きだぞ?

 

 「ぬぅっ!?」

 

 俺はコカビエルの死角から槍を放つ。

 コカビエルはその槍に気づく。しかし、その槍の察知をしたのが遅かった。その槍がコカビエルの脇腹を掠める。

 

 「くっ・・・・・」

 

 苦しそうな表情を見せる。

 それは当然だ。

 掠っただけとはいえ、天使、堕天使には効果絶大の魔法。

 しかし、奴ほどの光力なら完全に抑え込むことはできるだろう。

 

 「クックック・・・・はーっはっはっはっはっはっは!!ここまでとは!?面白い今日は非常に愉快だ!!とことん楽しませてもらうぞ!魔法使いよ!!」

 

 「俺もだ。流石は歴戦の強者だ。」

 

 俺たちの戦いは加速する。

 しかし、どうやらそんなことにはならなかった。ここに、近づいてくる一つの強い気配を察知したのだ。これは・・・・・

 

 [イッセーよ!これは!]

 

 ニトラもこの気配に気づく。

 そう――――これは・・・・・ドラゴンだ。

 

 「フッ・・・何やら面白いことになっているな。」

 

 と、突然聞こえたこの場にいる誰でもない声。

 俺はその声ではなく、気配のする空を見る。

 バキィン!!!

 先ほどまであった結界が紙切れのように霧散していく。

 そして、夜の空を美しく照らしている月を背景にして一人の人物が宙に浮いていた。

 あ~~あ。折角俺が結界を壊さないように戦ってたって言うのに、ぶち壊しちまったなぁ。

 そいつは銀髪の少年だった。見た目からして俺の見た目と同じくらいの歳と言ったところか。

 そして、最も注目すべきはその少年の背にある白とマリンブルーの翼・・・・・それの意味するものは・・・

 

 「白い龍(バニシング・ドラゴン)!」

 

 コカビエルがその名を最初に口にした。

 やはり、白龍皇・・・・・

 

 〈間違いねぇな。あの翼にあの気配。〉

 

 〈久しぶりに見るわね。あの姿は。〉

 

 俺の神器(セイクリッド・ギア)に宿るベルザードさんとエルシャさんが言う。歴代の先輩、特に3人の白龍皇を瞬殺したベルザードさんが言うなら間違いない。

 しかし、この異常な強さはなんだ?あの銀髪の男、あきらかに人間のレベルじゃないな。

 

 「その背にあるのは神滅具(ロンギヌス)の一つ、白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)か・・・・何とも忌々しい。」

 

 背に生える八枚の光輝く翼は神々しいまでの輝きを放つ。

 関係無いけどかっこいいな。

 

 〈あ、それは俺も思ったことある。〉

 

 ベルザードさんもかよ。

 

 [二人とも。今のこと、ドライグに言ってもいいのか?『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)よりも白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)の方がかっこよかったと』]

 

 〈あ~あ、ドライグ泣いちゃうかな~これは〉

 

 「(まってくれ、二人とも。別にそういうわけじゃないだろ。捏造は辞めてくれ。)」

 

 俺がふと思ってた言葉にニトラとエルシャさんに捏造されかける。 

 それは置いておいて俺は今代の白龍皇に視線を戻した。

 

 「そこにいる紅焔龍児(エヴォリュシオン・ドラゴン)にでも惹かれたか!?とにかく邪魔だては――――――グアァッ!!!」

 

 銀髪の少年は圧倒的な速さでコカビエルに接近し、そのスピードを上乗せした拳をコカビエルに繰り出した。 

 その攻撃をもろに受けてコカビエルは地に激突した。

 そして間髪入れず、白龍皇はコカビエルを猛追し、その翼をブチブチと引きちぎった。

 

 〈あ、今のシーン。見たことある。〉

 

 〈デジャブだな。〉

 

 いやいや、二人ともそれ俺に言ってるの?てか実況はいらないから。

 ともあれ、十二枚あった翼はたったいまもがれて十枚になってしまった。あれって弱くなるのか?わかんないが。

 

 「アザゼルの常闇のような翼とはまた違っているな。」

 

 「貴様!!白い龍(バニシング・ドラゴン)!!俺に逆らう気か!!」

 

 コカビエルは激昂して宙に飛び上がる。そして、光の槍を出現させる。しかし、白龍皇は動じない。。

 

 『Divid!!』

 

 機械音が聞こえた。すると、コカビエルの強さがガクッと落ちる。

 光の槍もすでに半数以上が消失し、なおも減り続ける。 

 

 「我が神器(セイクリッド・ギア)白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)の能力の一つ。触れたものの力を十秒ごとに半減させていく。急がなければ人間にすら勝てなくなるぞ?」

 

 なるほど。

 白龍皇の能力か。実際に本物を見ることが出来るとはな。

 

 「おのれぇ!!!」

 

 コカビエルは巨大な槍を出現させる。

 しかし、それをも白龍皇は半減をさせ、その攻撃をくらうことは無かった。

 

 「なにぃっ!?!?」

 

 「その程度か?つまらないな。」

 

 白龍皇はため息をつき、先ほどの圧倒的スピードでコカビエルに迫り、拳を振りかざす。その拳はコカビエルの腹に突き刺さり、コカビエルは区の字型に身体がまがる。

 

 「ばっ・・・・馬鹿なぁっ!?!?」

 

 「ふっ、ありきたりなセリフだな。あんたは無理やりでも連れ帰るようにアザゼルに言われてるんだ。あんたは少しばかり強引過ぎたんだ。」

 

 「クソッ!クソクソクソ!!アザゼルゥゥゥゥゥゥーーーーーーー!!!!!どこまでも俺の邪魔をぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

 

 コカビエルは地に倒れ伏し、完全に気絶した。

 やれやれ、結局あいつが片付けちまったか。

 白龍皇は地に倒れ伏したコカビエルを担ぐ。

 その時、俺は声が聞こえた。

 

 『無視かい?アルビオン。』

 

 『ふん・・・・またお前か。炎の。』

 

 アルビオンとアグニルが意思疎通をしていた。

 

 『そっちはとんでもない奴を宿主にしたね。』

 

 『まあな。そっちは・・・・言うまでもないか。』

 

 『そうさ。こんな状態でなんて戦いにならない。力量差がありすぎる。』

 

 『それはそうと、炎の。お前は赤いのを見たことあるか?』

 

 『全然。僕がドライグさんと出会ったのはドライグさんの宿主がエルシャ・エスタロッサの前の代さ。それからぽっきり会ってないね。そのことを聞くってことは、そっちもあえてないようだね。』

 

 『そういうことだ。にしても、敵意が以前とはちがうな。炎の。』

 

 『お互い様じゃないか。そういうのもあっていいじゃないの?』

 

 『まあ、こちらとしても面白そうだからな。今代は。また会おう、アグニル。』

 

 『またね、アルビオン。』

 

 アグニルとアルビオンの会話が終わる。

 

 「ん?あと一人、フリードとかいう神父がいないな。まあいいか。」

 

 そう言えば俺が来たときエクスカリバーの真実を暴露した白髪の少年がいない。逃げたか?白龍皇、もとい銀髪の少年はコカビエルだけを担いで宙に浮き、ここから立ち去ろうとしていた。

 しかし、俺はそいつを呼び止めた。

 

 「おい、ちょっと待てよ。」

 

 俺がそういうと、少年は俺の目の前を通り過ぎる前に止まって俺の方を見た。

 

 「何かな?」

 

 「人の獲物を横から奪っておいてそれはないんじゃないのか?」

 

 「それは失礼した。しかし、こちらとしても色々と事情があってね。今回は見逃してくれないか?この借りは返そう。」

 

 銀髪の少年は素直に非をわびた。なんだ?白龍皇の癖にいいやつだな。

 

 「借りというのは、お前が俺と戦ってくれるのか?」

 

 確信があったわけじゃない。こいつは何となく俺と似ているような気がした。

 すると、少年は笑みを浮かべた。

 

 「それは是非とも戦いたいね。キミにも興味があったんだよ。俺が来る前にコカビエルと戦ってたキミにね。本音を言えばいまここで戦ってみたいよ。」

 

 やはりな。この答えを聞いてわかった。こいつは俺と同じ――――――戦闘狂だ。

 

 「それはいい。俺としても、白龍皇と戦えるのは滅多にないからな。」

 

 「ハハハ、ますます楽しみになってきたよ。ではまた会おう、魔法使い。」

 

 銀髪の少年はそう言って去っていった。

 あいつとは気が合いそうだ―――――

 

 ―――――◇◆◇◆◇―――――― 

 

 




はい、結構頑張りましたよ!!
二話連チャンはキツイ!!

さて皆さん、原作と違うところは分かったでしょうか?
ヴァーリくん、何とバランスブレイカーなしでコカビエルを倒しました。

余談ですが、おれヴァーリ好きなんですよね。男キャラもこの作品面白い奴いっぱいいますからね。
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