ハイスクールD×D ―魔法使いと龍―   作:shellvurn 次郎

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はいどうも皆さん、おはよう、こんにちは、こんばんは。
作者です。
今回は、数少ない木場視点から。

マギに続く、新たな作品が出ましたね。その名もオリエント。


No,XXXVI ~会談其の四~

 木場SIDE

 

「三大勢力のトップ陣が協力して結界で防ぐ。なんとも見苦しい!」

 

 僕たちは、三大勢力のトップ陣の方々の結界で事なきを得た。

 僕たちの目の前には、カテレア・レヴィアタン。旧魔王の末裔が立ちはだかった。こちらを嘲笑している。

 

「先代レヴィアタンの血を引くもの、カテレア・レヴィアタン。この唐突な攻撃といい、これはどういうことか説明願いたい」

 

 サーゼクスさまは結界を張りながら、カテレア・レヴィアタンに問う。

 

「先の大戦で神が消失。加えて先代の魔王もお亡くなりになられた。神の死を取り繕うとして生き続けようとするこの世界の根本を変える。あなた方のこの会談の逆の考えに至っただけのことです。神と先代魔王様がいなくなったのならば、この世界を変革すべきなのですよ。ハァッ!!!」

 

 カテレア・レヴィアタンはそう言って空中から魔力攻撃をこちらに向かって放つ。なんて魔力量なんだ!ぼくたちとは比べ物にならない!

 ドォン!! 

 しかし、その攻撃はサーゼクス様たちが構築した結界に阻まれる。

 

「ちっ、流石に硬いですね」

 

「カテレアちゃん!!!やめて!!!どうして!?どうしてこんなことを!!」

 

 セラフォルー様が彼女へ向けて悲痛な声で訴えかける。

 同じ、()()()()()()として心を痛めてるのだろうか。

 しかし、当の彼女、カテレア・レヴィアタンはセラフォルー様を侮蔑と憎しみを孕んだ視線を向けた。

 

「セラフォルー・・・・・・・・。私から、レヴィアタンの座を奪っておいて、よくもそんなことを・・・・・・・・正当なるレヴィアタンの血を引いているのは、この私だというのに・・・・・許しはしない・・・・・・・。私こそが!!!!レヴィアタンの名を!!名乗るのに相応しかった!!」

 

 カテレア・レヴィアタンは怒りの声をあげる。

 

「カ、カテレアちゃん・・・・・・・・。私は!!」

 

「安心なさい。セラフォルー。あなたが、レヴィアタンを名乗るのは今日までです。今日、この場であなたを抹殺し、この私がレヴィアタンの名を名乗ることにします。あなたような悪魔が、レヴィアタンの名を名乗るのは我慢ならないのです。聞けば、魔女っ娘などという愚かな行いをしているというではありませんか。そのような、レヴィアタンの名を堕とす行為。万死に値します!!!」

 

 セラフォルー様は悲しい表情をしていた。死の宣告をされて、心を痛めていらっしゃる。

 

「あなた方もですよ。ミカエル、サーゼクス、アザゼル。あなたたちの時代もここで終わるのです。あなた方のような力のある存在をなくすのは、こちらとしても惜しいですがね。私たちが構築する『新世界』においても人材としては申し分ないですが、敵対するならば、ここで消す―――――――」

 

 サーゼクスさまも、ミカエルさまも、セラフォルー様も全員表情を曇らせた。

 しかし、一人だけ愉快そうに笑う者がいた。心底おかしそうに。

 

「くっくっく・・・・・・ヌアッハッハッハッ・・・・・・・」

 

「アザゼル、何が可笑しいのです?」

 

 カテレア・レヴィアタンは愚弄されたことに怒りを見せていた。

 

「変革?愚か?陳腐だなおい。悪魔たちのとんだクーデターに巻き込まれたかと思ったが、そんなもの今時流行らねぇぜ、カテレア・レヴィアタン」

 

「アザゼル。あなたもあなたですよ。それだけの世界を動かす力を持っていながら、今の世界に満足しているような口ぶりですね?」

 

「ああ。満足しているさ。お前の目的はあまりに陳腐だ。まあ、そう言うやつらに限って強いから厄介なことこの上ない。全く。レヴィアタンの末裔、お前の台詞は、一番最初に死ぬ敵役のそれだぜ?」

 

「アザゼル!!!貴様は、どこまで私たちを愚弄する!!」

 

 カテレア・レヴィアタンは激怒し、全身からあふれんばかりの魔力を迸らせる。

 

「いいな?サーゼクス、ミカエル。俺が相手をする」

 

 アザゼルが前に出て戦闘の意思をお二人に告げる。お二人はそれを止めるそぶりを見せない。堕天使総督は戦闘高揚でもしているかのように薄暗い堕天使特有の雰囲気が出ていた。

 

「・・・・・・・・カテレアよ、降るつもりはないのか?」

 

 サーゼクスさまが最後の通告をカテレア・レヴィアタンに告げる。しかし、依然として彼女はそれを受け入れはしなかった。

 

「当然です、サーゼクス。あなたは確かに良き魔王として君臨していました。しかし、私が求めている最高の魔王ではない。それに、あなたに言われたくらいで降るというのなら、最初からこんなことはしません」

 

「そうか、残念だ。」

 

 サーゼクスさまはそう一言つぶやくと、再度結界を張り直した。

 堕天使総督は十二もの黒き翼を展開させ、カテレアの方へと飛んでいく。その翼は、常闇のように暗いものだ。

 

「旧魔王レヴィアタンの末裔。『終末の怪物』の一匹。相手としては悪くない。カテレア・レヴィアタン。俺といっちょハルマゲドンとシャレこもうや」

 

「ふん。堕天使の総督ごときが」

 

 カッ!!!

 ドオォォォォォン!!!

 カテレア・レヴィアタンと堕天使総督がぶつかり合う。カテレア・レヴィアタンはその強大なる魔力で攻撃している。カテレア・レヴィアタンの操る魔方陣も僕じゃ見たこともないものだ。しかし、堕天使総督はその攻撃をことごとく躱している。僕らとは、次元が違う。何もかもが。これが、戦いなのか・・・・・・

 

「お兄様っ!!」

 

 と、ここでギャスパー君の救援に向かっていた部長とセーイチくんが戻ってきた。ギャスパー君を連れて。良かった。どうやら奪還は成功したようだ。

 

「リアス、ギャスパー君は無事か?」

 

「はい、問題ありません。状況は?」

 

「あれを見ての通りだ」

 

 リアス部長の問いにサーゼクスさまは今ここで戦っている堕天使総督とカテレア・レヴィアタンの方へと視線を巡らせ、その質問に答えた。

 

「・・・そうですか。カテレア・レヴィアタン、彼女が・・・・・」 

 

「ああ。それと、今グレイフィアが魔術師たちが出現している魔方陣の解析と同時にこちらのゲートを使えるようにしている」

 

 見ると、グレイフィアさんが手のひらに魔方陣を出現させてそれとにらめっこしている様子を伺えた。

 ドッ!!

 こうしている間にも、僕たちを囲んでいる魔術師たちの攻撃がこちらへ向かってくる。その攻撃はことごとく結界に阻まれている。

 

「流石に、多勢に無勢ですね。消耗戦に持ち込まれれば・・・・・少々まずいかもしれませんね。」

 

 ミカエルさまがこちらを攻撃してくる魔術師たちに視線を向けながら憎々しげに言った。確かに、この結界が永久に持つとも限らない。相当な数の攻撃を受ければやがて・・・・・・

 

「部長!魔王様!!あれを見て下さい!!」

 

 この苦しい状況の中、セーイチくんがいきなり声をあげた。セーイチくんは空、魔術師たちが転移している魔法陣を指さしていた。

 

「あれは!?」

 

 ここにいる全員が目を向ける。なんと、そこには先ほどまであったはずの魔方陣がきれいさっぱり消えていた!!

 一体誰が!?

 

「あの、魔法使いがやったのか・・・・・・」

 

 サーゼクスさまが真っ先にその魔法陣を破壊した人物を見抜いた。僕もただ一人空中に制止していた一人の魔法使いが目に入った。あの魔法使い、僕たちと一度戦った魔法使いだ。強いとは思っていたが、まさかここまでとは思っていなかった。魔王様クラスであるグレイフィアさんがあれだけ解析に苦戦していらっしゃったものをあんなに簡単に破壊したのだ。これにはグレイフィアさんもただならない視線をあの魔法使いに向けていた。

 

「・・・・・・・とにかく、これは好機だ。リアスの動ける眷属の諸君。キミたちはここに残っている魔術師たちを制圧してくれ。」

 

「「「「はいっ!!!!」」」」

 

 僕たちは魔王様方が張っている結界から外に出て、セーイチくん、部長、ゼノヴィアと共に残っている魔術師たちの迎撃に出た。

 

 

 ――――――――――――――――――

 

 

 イッセーSIDE 

 

「ん?何やら面白そうな戦いが始まっているな」

 

 俺は転移魔法陣を破壊した後、後ろに目を向けた。

 魔女の夜(ヘクセン・ナハト)の魔法使いたちの思わぬ離反もあってか、ここ残っている魔法使いたちのうち、こちらに気が向いている奴らは少し困惑していた。それに、転移魔法陣は破壊した。もうこれ以上増えることは無い。にしても、あの転移魔法陣・・・・・・・解析をしてみたが、中々に強度も高いものだった。これを見るに、中々に強力な魔術師か、魔法使いがこいつらのバックにいるのだろう。

 そして、いつの間にか始まっていた堕天使総督とこちらに単騎で現れた旧魔王のレヴィアタンの戦いが始まっていた。

 俺はそいつらの方へ行き、見物を試みた。

 

「高見の、見物か?魔法使い」

 

「ふん・・・・・人間ごときが高みの見物など・・・・・・・おこがましい」

 

 俺の気配に気づいたやつらは互いに攻撃し合い、それを躱しつつも俺にそう言ってきた。お互いにまだ余力があるのだろう。 

アザゼルと旧魔王レヴィアタンはこちらをにらむ。

 

「まあいいさ。手出しは無用だぞ、魔法使い。お前はそこでじっとしていろ」

 

 アザゼルはこちらを一瞥してくぎを刺してきた。手出ししたら先にお前を攻撃すると言わんばかりに。

 コカビエルの時は白龍皇をよこして横やりを入れておいてそれかよ・・・・・・まあいいいさ。 

 俺は少し距離をとって中々見られない好カードである堕天使総督アザゼルと旧魔王の末裔の戦いを見物する。堕天使総督は代名詞である光力を主な武器として振るう。身の丈をはるかに超える超極太な光の槍を郁恵にも出現させ、それを旧魔王の末裔に向けて放つ。流石、といったところだ。俺が戦ったコカビエルと同程度の光の槍をポンポン顕現させている。コカビエルも総督と同等クラスの力のはずだ。しかし、総督はまだ余裕を持っているようでならない。まず、堕天使総督といい、コカビエルといい、あの大戦を生き抜いてきた強者。聖書の神や魔王たちを相手にしてきている奴らだ。それを魔王の末裔が相手取るのはかなり無茶なはずだ。しかし、案外そうでもなかった。魔王の末裔は総督の光の槍を何重もの防御魔方陣でことごとく防いでいる。総督の攻撃はいまだ一度たりとも届いていない。かなり総督に食い下がってきている。これは、ひょっとすることもあるかもしれんな。

 その両者の攻防による余波が回りに影響を及ぼしている。校庭には深刻なダメージが及んでいる。また、おそらく共闘関係であるはずの魔法使いたちにもその余波が及び、その余波でケガ、気絶するものも多い。

 他の場所では悪魔たちが残っている魔法使いたちを掃討にかかっていた。

 

「あーらよっと」

 

「ふっ」

 

 堕天使総督と旧魔王の末裔の戦いは膠着状態に入っている。

 お互い、腹の探り合いが続いている。どちらも有効打を打てていない。

 と、ここで旧魔王の末裔が見たことのないような魔方陣を発現させた。 

 

「うふふふ・・・・はーっはっはっはっは!!」

 

「蛇だと・・・・・・?」

 

その魔方陣からは黒い蛇が現れ、旧魔王の体を巻き付けたと思いきやそれが体の中に入っていった。その瞬間だった。

 

「・・・・・・・これは―――――」

 

 旧魔王の魔力、オーラが先ほどの比ではないほどに膨れ上がった。おかしい。あの蛇。これほどまでに力を増大させるとなると・・・・・・

 

「その前に、一つ確認したいことがある」

 

 堕天使総督は先ほどとは比にならない攻撃を受け止めるのではなく、旧魔王の背後を取ることで躱した。 

 

「先ほどの魔力といい、攻撃といい、たかだか末裔の力じゃねえ。背後に何がある?」

 

「応える義務はない」

 

「っち。また厄介な奴らが敵に回りそうだなぁ。こりゃあ。ま、とにかく遊びはここまでだな」

 

 堕天使総督はかったるそうにし、ふところから小さな槍を取り出した。

 ドラゴンのオーラをあの槍から感じる。

 

「それは!!」

 

「くだらねぇ戦争なんぞよりよっぽどマシな俺の趣味だ。禁手化(バランス・ブレイク)・・・・・・・ッ!!」

 

 総督が神器をバーストさせて禁手(バランス・ブレイカー)状態へと変化する。金色に輝く鎧である。

 それに加えて、常闇のような翼も展開させている。

 

「俺の傑作人工神器(セイクリッド・ギア)堕天龍の閃光槍(ダウン・フォール・ドラゴン・スピア)。そして、それの疑似的な禁手(バランス・ブレイカー)、|堕天龍の鎧《ダウン・フォール・ドラゴン・アナザー・アーマー》」

 

「くっ・・・・・・!!神器(セイクリッド・ギア)など!!」

 

「ほら、こいよ」

 

 堕天使総督は旧魔王を挑発する。

 

「舐めるな!!!」

 

 その挑発に乗った旧魔王は真正面から特攻する。それに続いて堕天使総督も突貫する。

 すれ違いざまに攻撃を加えた。

 しかし、やはり堕天使総督の一枚も二枚も上手だった。

 旧魔王をその槍でぶった切った。肩に大きな傷が出来ていた。

 

「くっ!!やはりここまででしたか・・・・しかし、ただでは死にません!!」

 

 敵わないことを悟った旧魔王の末裔はおかしな呪術を発動させ、触手のように変化した腕を総督の左腕に巻き付けた。

 自爆。総督を道連れにするつもりらしい。

 しかし、その思惑はすぐに崩れ去る。

 ――――――ザシュッ

 総督は躊躇せず、自身の肩をざっくり切り落とした。

 

「お前なんざ・・・・・・ッ!」

 

「ッ―――――――」

 

 総督はすかさず槍を旧魔王へ投擲する。

 その超速の槍は旧魔王の眉間を貫いた。光力が凝縮されているあの槍は旧魔王を血一滴残さず消滅させた。その攻撃に、旧魔王は声にならない悲鳴を上げながら消えていった。

 

「せいぜい、腕一本ってところだ」

 

 禁手(バランス・ブレイカー)が解除され、神器(セイクリッド・ギア)もバラバラに崩れていった。残ったのは紫色の宝玉だけだった。なるほどね。あれが、神器(セイクリッド・ギア)の核であり、龍王ファーブニルを封じてあるものか。どおりで、見つからないわけだ。ともかく、旧魔王が倒され、残っているのは雑魚だけ。おそらくあそこにいる悪魔どもでも倒せるだろう。

 と、思いきや。堕天使総督が地面に叩き落される。総督にこんなことが出来るのは奴だけだ。

 

「やれやれ・・・・・・俺も焼きが回ったもんだな。ヴァーリ」

 

「フッ・・・・悪いなアザゼル。俺はそちらに着く気はない。こちらの方が面白そうなのでな。」

 

 白龍皇が禁手(バランス・ブレイカー)状態で総督に攻撃を加え、見下ろしていた。

 

「なあ、ヴァーリ。一つだけ聞きたいんだが」

 

「ん?」

 

「うちの副総督のシェムハザが、三大勢力の危険分子を集めているという組織を発見した。禍の団(カオス・ブリゲード)とか言ってたな。」

 

 危険分子・・・・・いわゆる離反者たちが、こうして三大勢力の敵になっている。ただ・・・・・気になるのは・・・・

 

「三大勢力の危険分子を束ねるなんて!!!そうとうな実力者じゃなきゃ無理よ・・・」

  

 魔王レヴィアタンが言った通りだ。そして、あの蛇といい・・・・あの力の上がりよう。それらから考えられる人物は一人に絞られる。

 

「それで、禍の団(カオス・ブリゲード)の首魁が、無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)、オーフィス。ヴァーリ、『白い龍』が奴に降るのか?」

 

 やはりか・・・・・・・

 あいつの名は、久々に訊いたもんだ。しかし、おかしな奴らを束ねているか。何をやっているんだ、あいつは・・・・・・

 そんなに、グレートレッドのことを倒したいのかよ、オーフィス。

 オーフィス、そんな奴らを束ねたところで、グレートレッドは倒せるわけない。

 オーフィスには届きはしないだろうが、俺はそう思った。 

 

「いいや。降るのではない。あくまで協力するだけだ。確かにオーフィスと俺は手を組んだが、生憎俺もあいつも世界の覇権だの何だのに興味が無くてね。ただオーフィスの力を私利私欲に利用しようと連中が勝手にくっ付いてきてそれがいつしか巨大な組織になっただけだ。」

 

「なるほどな。てっきり、カテレアと仲良くつるんだのかと思ったぜ。同じ魔王の座を奪われた者同士でな。」

 

 それはないだろうな。

 俺はいち早く奴の正体を知ったが、そんな魔王の座に固執しているようには見えなかったが。

 

「魔王の座ですって?」

 

「どういうこと!?」

 

 しかし、俺以外の奴らはアザゼルの話を聞いて動揺するものが大半だった。

 

「俺の名は、ヴァーリ・ルシファー。俺は死んだ先代魔王の血を引く者でね。先代魔王の孫と人間との間に生まれたハーフなんだ。」

 

 この事実に、地上にいる奴らは驚愕する。

 無理もない。俺も、最初に聞いたときには驚くしかなかった。ハーフであるがゆえに悪魔の血を引いてても神器(セイクリッド・ギア)を宿した。しかもそれが、神滅具(ロンギヌス)ときた。俺が知る限り、こんなことは史上初のはずだ。

 

 〈恐らくな。俺も、人外とのハーフの子供が神器を宿したなんて話は聞いていないぜ。〉

 

 ベルザードさんもこういうのなら、今代の白龍皇が初めてで間違いないな。

 

「全く、冗談みたいな存在だよ。お前は。ま、それは置いておいてだ。さて、ヴァーリ。お前がやる気なら、俺が相手をするぜ。片腕が無くても、お前と戦えるさ。」

 

 総督は光の槍を手に持ち、白龍皇に向ける。

 しかし、俺はここで、チャンスとばかりに超速で奴らに接近する。

 ドゴォッ!!!

 

「グハッ!!」

 

 俺は総督に一撃を喰らわせて総督をお仲間さんの元へ叩き落した。

 

「アザゼル!!」

 

 叩き落された総督をお仲間さん達が心配する。

 

「てめぇ・・・・ここでお前もこちらに牙をむくか?魔法使い?」

 

 かなり力を入れて叩き落してあげたが、総督はピンピンしていた。クレーターから立ち上がってこちらを睨みつけていた。

 反撃されかねないので、俺は奴らにくぎを刺すために魔法を発動させた。

 

「悪いな。お前らはそこで大人しくしていてくれ」

 

 俺が出現させた魔法陣からどす黒い槍が現れ、やつらの周りを囲むように地面に刺さった。

 

「っぐ・・・・なんだ・・・?力が・・・・・・」

 

 そのどす黒い槍が地面に刺さると、天使と堕天使たちがこぞって地に膝をついた。

 

「何なのですか・・・・これは・・・・?」

 

「おそらく・・・その槍が原因だ・・・・・・」

 

 総督は気づいているだろうな。あの槍が弱っている原因であると。

 とにかく、これで邪魔は入らないだろう。

 

「ほう、キミが相手か?願ったりかなったりだ。一つ、聞いてもいいかな?」

 

 白龍皇は愉快そうに質問をした。

 

「なんだ?」

 

「あの槍はなんだ?アザゼルたちが弱っているように見えるが」

 

「ああ、あれか?あれは俺のオリジナルの魔法、光を制する魔槍(レイ・ヴァルグ)。天使や堕天使とは相反する力。あれは天使や堕天使にとって猛毒となる効果がある。悪魔が天使や堕天使たちが使う光力が弱点なようにな」

 

 俺が手の内を明かすと、白龍皇は高らかに笑う。

 

「ハッハッハッハ!聞いたか?アルビオン。今まで無かった堕天使や天使の弱点を作った人物が俺たちの相手だ。これは、相当面白いぞ!!」

 

『そうだな。魔法使いと聞いて物足りないと思っていたが、その考えは撤回するべきだな』

 

 白龍皇だけでなく、アルビオンも愉快そうに笑った。これで、勝負に集中できそうだ。

 

「では、始めようか。白龍皇」

 

「そうだな、魔法使い!!」

 

 カッ!!!!!

 ドォンン!!!!

 いきなりフルスピードでぶつかり合う。

 その両者のスピードはほぼ互角。しかし、奴はまだ余力を残しているようにも見受けられる。まだまだ、力を出さない気か?

 ドッ!!ドカッ!!

 超スピードでぶつかり合うたびに拳を互いに浴びせ、蹴りを互いに入れる。しかし、それらはうまく相殺され合う。しかし、その一撃一撃の波動が周りに伝わっている。この影響で、校舎なども崩れて言っている。

 

「フハハハハ!!!いい!!いいぞ、魔法使い!!こんなに愉快な戦いが出来るとは!!」

 

 ドゴォ!!

 俺は奴の鋭いパンチを左腕で受け止め、カウンターを食らわす。しかし、それさえも奴は受け止める。やはり、本職ではない体術では奴を上回ることはできないか。

 

「魔法使いだというのに、ここまで体術が秀でているとは!!ますます面白くなってきたぞ!!魔法使い!!」

 

「そりゃ、どーも!」

 

 カッ!!!

 ドォォォン!!!!

 互いのパワーが込められた攻撃同士がぶつかり合い、大爆発を起こす。

 

『Divide!!』

 

「―――――ッ!!」

 

 機械音が聞こえたと同時に俺の力がガクッと落ちる感覚に見舞われた。そのおかげで、先ほどから出ていたスピードも半減した。

 

「ゴハッ!!!」

 

 力を半減されたことでスキが生まれ、白龍皇の攻撃をモロに受ける。

 

「グハァ!!」

 

 ズガァァァァン!!!!!!

 さらに半減され続け、俺は先ほどの堕天使総督のごとく地に叩き落される。

 相当なスピードで地に叩き落されたために小規模なクレーターが形成され、砂煙が舞い上がる。

 

「チッ、白龍皇の『半減』の力か・・・・・・」

 

 俺は口元から垂れる血を拭き、地面から立ち上がって舌打ちをする。

 

「その通りだ。まさか、忘れたわけではあるまい?」

 

 こうして、実際に喰らってみると改めて分かる。本当に厄介だ。力を半減させられてはたまったものじゃない。さらには、あいつはその半減した力を自分の糧にしている。禁手(バランス・ブレイカー)を発動させながら、『半減』に『吸収』の能力まで同時して発動している。これも、奴だから出来る芸当だ。

 このままでは、半減され続ける。それすなわち、負けを意味する。

 俺は先に見える敗北のヴィジョンを思い浮かべる。しかし、ここで負けるわけにもいかない。

 

「ククク・・・・さあ、もっと力を見せてくれ、イッセー・ヴァーミリオン。だが、どうする?俺の『半減』を受け続ければ、人間にすら勝てなくなるぞ?」

 

 まだ余裕そうな白龍皇。

 ・・・・・・・仕方ない。使うとは思っていなかったが、やむを得まい。

 俺はとある魔法を発動させ、奴へと向かっていった。

 ドクン!!

 俺の力が、()()していく。

 

「なんだ!?グハッ!!」

 

 白龍皇の背後を取った時には俺の力は半減を受ける前以上に膨れ上がっていた。

 そして、その上乗せされた力をもって、奴に拳をおみまいする。

 

「力が膨れ上がっている・・・・・・というのか!?グハァッ!!」

 

 俺は間髪入れずに攻撃をかましていく。その間にも、おれの力は更に倍加されていく。

 そして、倍加されたことによって、俺の攻撃もますます鋭さ、速さ、威力も上がっていく。

 

『Divide!!Divide!!Divide!!Divide!!Divide!!Divide!!』

 

 奴も『半減』の能力を俺に浴びせてくる。しかし、俺もそれに合わせて魔法を発動させる。半減されても、倍加、半減されても、倍加され、俺の力は減ることは無い。むしろ奴の半減を俺の魔法が上回っている。

 

『バカな!!奴は半減で確実に力を低下させているはずだ!!だというのに、奴の力が変わっていない!?いや、それどころか膨れ上がっている!!』

 

「どういうことだ!?」

 

『わからん。とにかくヴァーリ、一度体勢を立て直せ!!』 

 

 アルビオンが信じられないというばかりに声をあげた。

 

「させねーよ!!」

 

 俺は距離を取って体勢を立て直そうとする白龍皇の懐へ詰め寄り、拳に分解魔法を纏わせ、一気にラッシュを浴びせる。

 そして――――――

 バッキィィィィィン!!!!!

 俺の連打を浴びて奴の禁手(バランス・ブレイカー)である鎧が粉砕した。

 

「ゴホォッ、ゴホォ、ガァッ・・・・・・!!」

 

 奴は血反吐を吐いて地に膝をつけた。

 

「クッ、やるな・・・・・・俺の禁手(バランス・ブレイカー)を吹っ飛ばした」

 

 腹を抑え、口の端から血を流しながらも笑みを浮かべている。

 しかし、奴は喜々として立ち上がり、再度禁手(バランス・ブレイカー)状態に変化する。

 

「しかし、俺の『半減』をくらってもあれとはな・・・・アルビオン、あの正体がなんだかわかるか?」

 

『現状では不明としか言いようがない。確かに私の能力は神格にはあまり効果がないことは分かっていると思うが、あれは人間だ。にもかかわらず、奴の力は減ることは無かった。こんなことは初めてだ。しかし、奴の様子から赤龍帝の『倍加』に似ているようでならない』

 

「やつが赤龍帝とでも?」

 

『いや、わからない。ただ、奴はお前に不足ない相手だな』

 

「ああ、違いない!!」

 

 奴らの会話が終わったあと、白龍皇は勢いよく飛びあがり、再度俺と同じ高さまで昇ってきた。何かをするような気配を醸し出している。      

 

「素晴らしい!!素晴らしいぞ!魔法使い!否、イッセー・ヴァーミリオン!!ならば、俺も少し本気を出させてもらおう!キミもろとも、すべてを半分にしてやる!!」

 

 チッ!奴め、ここで何か技を出すつもりか?

 しかし、妙だ。半分にするとは・・・・・?一体何の比喩だ?

 俺は奴の言葉に引っ掛かりを覚えたが、直ぐに奴へ意識を向けた。

 なんだ?奴の光の翼もどんどん増大している。

 

『Half Dimension!!』

 

 その音声と同時に、周りの状況が一変する。

 周りにある木々が半分の大きさになっている。なるほど、時空を歪ませているわけだ。あの白龍皇、時空改変まで出来るレベルか・・・・・

 

「さあ、次に半分になるのはお前だ」

 

 時空のゆがみが俺がいるところまで押し寄せる。何もしなければ、おれとて無事でいられる保証はない。

 

「へっ、させるかよ!!!」

 

 俺は、とある魔法陣を出現させ、亜空間に眠らせてある透明な武器を取り出した。

 

「ん?なんだ?」

 

 白龍皇は何やら感じ取ったみたいだ。流石、勘が鋭いというべきか。俺が、隠している切り札(ジョーカー)の一つを出したことでその違和感を感じているようだ。確かに間違っていない。俺のこれは、現実世界に出すだけで分かるやつにはわかる。どんなものなのかが。

 とはいえ、これは俺が持ち合わせている数ある切り札(ジョーカー)の中でも最も弱いものだ。しかし、この武器が弱いわけではない。弱いのは、この俺。使いこなせないのだ。だから、この剣の出せる力なぞ、本来の物とは程遠い。しかし、俺の魔法とこれを合わせれば、この空間の歪みを断ち切るには十分だ。それに、他の切り札(ジョーカー)では力がありすぎる。

 さあ、行こうか。アルトリア、真聖剣よ。初陣だ!!

 

「ハア!!!」

 

 俺は剣に魔法をかけて強化し、一気に振りぬいた。

 カッ!!!!

 その剣の斬撃は空間の歪みを吹き飛ばし、奴の技を相殺する。

 技を相殺され、白龍皇はこちらを面白そうに笑う。

 

「俺の『Half Dimension』を相殺か・・・・なるほど、ますます面白い。そして、奴が持っているのは・・・・・・・おそらく・・・・・」

 

 ん?俺の右手を凝視している。気づかれたか?

 にしても・・・・・凄いな、この剣は。テキトーに振っただけで空間のゆがみを正すほどだ。俺のような剣を扱えない雑魚が振るってもこれだ。俺の幼馴染は、最強の剣士だぜ。 

 

「アルビオン・・・・・イッセー・ヴァーミリオンならば、俺の覇龍(ジャガーノート・ドライブ)を見せる価値がある。」

 

 !?

 俺は白龍皇が言った言葉に反応した。覇龍(ジャガーノート・ドライブ)・・・・・・だと?こいつは確かにそう言った。

 

『・・・・・・・ヴァーリ。本来ならば、ここはやめておけというべきなんだろうがな。お前だけは特別だ。ただし、十分だけだぞ。いいな?』

 

「感謝する。アルビオン―――――――――『我、目覚めるは、覇の理に――――――』」

 

 奴め、呪文を・・・・・・・

 ここで覇龍(ジャガーノート・ドライブ)をやる気か?しかし、アルビオンの口ぶりからするには奴は、ベルザードさんと同じく、覇龍を完全に制御しているとみて間違いないな。

 どうする?こいつならば、更にもっと激しい戦いを楽しめるだろう。

 

〈くぅ~~~~覇龍(ジャガーノート・ドライブ)を完全に制御できる白龍皇かぁ!俺も戦ってみたいぜ!!〉

 

 ベルザードさんはベルザードさんで興奮している。最初遭った時はこんな人じゃなかったんだがな。

 

[ハッハッハ。恐らくイッセーに似たんだろうな]

 

 ニトラが茶化して来る。てか、俺に似るって何だよ。普通逆じゃね?

 ニトラにツッコミを入れて俺は白龍皇に目を向ける。

 ――――――――しかし、その時だった。

 空間が割れ、何者かがこちらに乱入してきた。全く、またも横やりか。

 その者は三国志の武将が身に着けているような軽装の鎧を纏っている男。

 

「ヴァーリ、迎えに来てやったぜぃ」

 

「なんだ、美猴。何しに来た?」

 

 美猴、それがこの男の名前か。

 

「おいおいおい、迎えに来てやったってのにその言い方はないぜぇ・・・・・本部からのお達しだ。北のアース神族と一戦交えるから戻って来いってさ。カテレアは任務に失敗したんだろ?なら、監査役のお前の任務もここで終わりだ。」

 

「ハァ、時間か」

 

 白龍皇は戦闘態勢を解いた。

 俺は現れた奴に向かって聞いた。

 

「お前、その気配から察するに妖怪だな?何もんだ?」

 

「おっ、お前さんが、ヴァーリの言っていた面白い魔法使いだな?お前さんの言う通りだ。俺っちは美猴。闘戦勝仏の末裔さ。」

 

 なんと、まさかのあの孫悟空の末裔と来た。

 なんとも凄いビックネームだ。

 闘戦勝仏。西遊記に出てくる猿の妖怪。その強さは化物と恐れられたほどの存在。確か、初代は死後、仏様になっていると聞いた。

 

「なるほどな。おまえがあの孫悟空の・・・・・白龍皇とつるむのか?」

 

「おうよ。俺っちは初代とは違って自由気ままに生きるのさ。そうそう。うちのメンバーがお前さんに興味を持ってたぜ。アーサーのやつがな。ま、これからよろしく」

 

「イッセー・ヴァーミリオン。今度はもっと激しくやろう。もっと強くなろう、互いにな」

 

 美猴は棒を出現させるとクルクルと回し、地面へと突き立てた。あの棒、恐らくは有名な如意棒だ。その刹那、その地面から闇が広がった。そして、二人はその闇の中に飲まれていった。おそらく、転移したか。まあ、相手が居なくなってはもうここには用はないな。

 俺も転移魔法陣で帰る準備をする。

 

「おい!ちょっと待て!魔法使い!!」 

 

 後ろから俺を呼び止める声が聞こえるが、俺は無視して我が家に帰った。

 

  




はい、36話でした。長くなってしまいました。
次は新章ですかね。ではまた。

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