ハイスクールD×D ―魔法使いと龍― 作:shellvurn 次郎
指摘により、とある作品の登場人物と似すぎているという面があったので、一度削除してところどころを修正して投稿しました。今、指摘のあった作品を確認しましたが、少し似すぎていましたね。いくら伝説をもとにしている作品で、登場人物の設定が似ることはよくあるとは言え、似すぎていたので自主規制ということで。
というわけで、お騒がせしました。
グレモリー眷属とセ-イチはディオドラ・アスタロトとの激戦を制し、シャルバたちを倒した後、冥界である活動を実施。現在布藤家の地下ルームでその活動を収めたビデオを鑑賞していた。
『フハハハハハ!!!!!』
『ついに追い詰めたぞ!!!』
『覚悟するんだな!!乳龍王よ!!』
『何んだと!この乳龍王がお前たちのような闇の軍団たちに負けるはずがない!!いや、負けることは許されない!!行くぜ!
普通の家庭ではありえないほどの立派なシアター。そんな大画面と迫力のある大音量で鑑賞している。ただ、肝心のセリフに至っては残念極まりないワードが使われている気がしなくもない。
巨大なモニターに映ったこの特撮の題名は『乳龍王おっぱいドラゴン』。何とも言えない題名であった。
上映されている中、この特撮の主人公セ-イチこと布藤誠一の膝の上で小猫がしっぽをフリフリしながら言った。
「これ、冥界ですぐに広がって大人気だそうですね」
小猫の言った通り、これは冥界の子供たちの中ではとても人気な特撮となっており、すでに放送されている別の特撮とのコラボも決定したという。
「凄いね、これ。セ-イチ君の
数少ない男である木場裕斗も満足そうにうなずきながら言った。
この場にいる全員が高評価をしながら鑑賞を続ける。
「ハッハッハ!!ったくよう!セーイチ、良かったじゃねぇか!お前、おっぱいドラゴンが冥界のガキどもは大好評だってよ。これでセーイチの冥界での知名度も上がり、人気度も急上昇だ。」
堕天使総督のアザゼルがご機嫌で言った。
信じられないことにセーイチは冥界で着実に支持を得ているのだ。このおっぱいドラゴンによって。冥界の人々の美的感覚は少し人間とは違っているのかもしれない。
「クックック・・・・セーイチ。お前はホントに面白い奴だぜ。アーシアとリアスの胸をつついて
アザゼルはゲラゲラと笑いながら言った。
「歌詞って・・・・ええ!じゃあ、あのおっぱいドラゴンのオープニングってアザゼルせんせーが!?」
「そうさ。結構自信作なんだぜ?」
『くっ!?このままでは!?』
主人公がピンチに陥る。そこに、二人のドレスを着た少女が現れる。一人は紅髪、もう一人は金髪の少女だ。
『おっぱいどらごんさん!』
『おっぱいどらごん!来たわ!!』
『おお!!二人とも!!よく来てくれた!!これで勝てる!!』
「みろ、これが見せどころだ!」
と、主人公は少女二人の胸をなんのためらいもなく揉みしだき、パワーアップへと至った。アザゼルが自信満々に言った。しかし、その状況に対して二人ほど、恥ずかしそうに顔を赤くしていつ少女が二人。胸をもまれた少女二人にそっくりだ。
「ちょっと、アザゼル。このスイッチ姫ってどういうことよ・・・・」
「ん?ああ、これか。おっぱいドラゴンがピンチになるとスイッチ姫たちの胸を触って最強のおっぱいドラゴンになるのさ。なんだ?お前聞いていなかったのか?」
「聞いたわよ!!!グレイフィアから!!どうしてくれるの!?私もアーシアも、もう冥界を堂々と歩けないのだけど!?まずスイッチ姫って何よ!!」
「あぅぅ・・・・・恥ずかしいですぅ」
リアスはアザゼルを問い詰めるが、アザゼルは面白がっているだけだ。アーシアに至っては完全に羞恥に顔を染めている。
「簡単さ。おっぱいをつついたらパワーアップするんだ。お前とセーイチとアーシアがやったことをそのまんまにしたのさ。何だよ、リアス。いいじゃねぇか。これで、お前の名誉も上がったわけだしよ。あ、ちなみにスイッチ姫の名付け親は俺だ。どうだ?いいセンスしてるだろ?」
「・・・・・もう冥界を歩くのは諦めた方が良いわね」
リアスはとうとうあきらめの姿勢を見せていた。そしてもう一人、この場に心に傷を負ったものがいたのだ。
『・・・・・あはははは・・・・グスッ、ヒッグ・・・・・おっぱいドラゴン・・・・・・・・乳龍王・・・・。・・・・・もうおしまいだぁ・・・・・・何もかも・・・・・・・・・・ああ、消えてなくなってしまいたい・・・・・・。グスッ・・・・ヒッグ・・・・・・』
セーイチの神器に宿っている龍王アグニルはこのような悲惨なことになっていた。龍王と称えらた威厳もどこへやら。すすり泣きをしながら、絶望していたのだ。精神にも異常をきたしているように先ほどからブツブツと独り言を発していた。
「ちょっと、セーイチ。アグニルはあの時からずっとそんな感じなの?」
アグニルの状況を深刻に見たリアスはセーイチに確認した。
「は、はい。俺が部長とアーシアのおっぱいをつついてからずっとこの調子で・・・・・・」
『・・・ウヒヒ、アハハハハハハ・・・・・・・ウヘェ・・・・・・あああ・・・・・あれ?乳ってなんだっけ・・・・・・・・・・・・?』
「マジかよセーイチ。こりゃちょっと深刻だな。軽く精神崩壊を起こしてるじゃねぇか」
先ほどからゲラゲラと笑っていたアザゼルも少し顔が真剣になる。
「ど、どうしましょう?」
「長いこと神器に携わっている俺からしても、流石にドラゴンの精神状態までは分からん。俺はカウンセラーじゃないからな。セーイチ。とにかくアグニルに声を掛け続けるんだ。このままアグニルが立ち直らなければ今後、お前の戦闘にも影響が出てくるぞ?いいな?最優先事項だ」
「わ、わかりました」
布藤誠一は確かに
―――◆◇◆◇◆―――
イッセーSIDE
アルトリアとアーサー兄さんの墓参りから帰ってきて数週間後、俺の家に訪れた人物が一人。玄関にはユキが出迎えてくれている。
「久しぶりでござるな、イッセー殿」
「ああ、久しぶりだな、ヤト」
ユキと共にリビングに現れた風格のある青年。忍、忍者といった古来日本特有の戦闘部隊のような真っ黒の服装。背にはこれまた日本特有の武具である日本刀を背負っている。黒髪で透き通った青い眼。それは、俺の昔からの知り合いであるヤトだった。
「まあ、取りあえずこっちに座ってくれ」
「かたじけない」
俺はヤトを立たせているわけにもいかないのでリビングとは別にある客室に招いた。ここは訪問者をもてなすためだけの部屋みたいなものである。普段は使ったりはしない。兄さんには、客は相手に失礼に無いようにもてなせ、とみっちり教育されたからな。この客室は、あのころの王宮の客室に似せて作ってある。そして、ヤトにはペンドラゴン家が使っている茶葉と同じものを使ったティーを出す。これぞ、ペンドラゴン家直伝のもてなし方だ。ちなみに母さんたちが使ってたものもある。どちらも日本では手に入らない者なので、入手するには毎回ブリテンに行っているのだ。
ヤトはひとまずティーカップに手を付け、一口飲んだ。
「ふぅ、やはり、何度嗜んでも美味でござる。イッセーどのの出すお茶は格別でござるな」
「ああ、そう言ってもらえるなら光栄だ」
この茶葉は言わずもがなアホみたいにお高い代物だ。ティーカップ一杯数万円はする。それだけではない。俺は、兄さんにお茶の入れ方をしこたま教えられたのだ。この程度、出来なければまた兄さんにゼロからしごかれる。『お茶もろくに入れられないとは何事ですか!!!恥を知りなさい!!!』って感じで。
あの頃は兄さんにアルトリアとそろってめちゃくちゃ叱られたっけ。そんな楽しい過去を思いだす。
「さて、それでヤト。ここに来た理由はなんだ?」
ヤトがここにきて一息ついたところで本題の話を持ち出す。カチャっとティーカップを置いたヤトは語りだした。
「実は、イッセー殿に今日は重要な報告があるでござる。とうとう、天照殿が動くでござる」
「ッ・・・・・そうか。ついに天照が・・・・・・」
「そうでござる」
ヤトは、天照といった。天照とは、この地の神話体系、日本神話の主神天照大御神のことである。何故ヤトが天照の動向を知っているかというと、ヤトは日本神話の実働部隊のリーダー。さらには高天原の神々とも深いかかわりを持っているからだ。
ヤト、そう本人は名乗っている。が、それは愛称というやつだ。ヤトには立派な名前が存在する。それは・・・・・・・
――――〇●〇――――
「それで?天照は全ての神を掌握したのか?」
「つまりはそういうことでござるな」
ヤトとの情報交換は続いていた。
まず一つに、日本神話主神、天照は高天原の神々、そしてそれに追随する八百万の神々全員を纏めたらしい。これは相当根気のいることだ。
「やるな、天照も」
「その通りでござるよ。拙者も、天照殿に協力して八百万の神々たちと対話をしたでござる。本当に辛かったでござる。なんせ、八百万でござるからな。しかし何といっても、拙者よりも天照殿が一番の功労者でござるよ。最近は、少しの休憩もとらずに七徹、八徹くらいは当たり前にこなしてたでござる」
「それは・・・・凄いな」
俺は、天照のことを見直そうと決意した。
一つの勢力として団結するためにすべての神を説得するとは・・・・・これには頭が下がる。どこの神話の勢力も一枚岩なんてところはない。特に、多神教的な神話勢力では、様々な神が様々な思惑を持っているからだ。今現在では日本神話くらいではないだろうか?流石、主神ともいうべきか。いやはや、御見それいたしました。
ヤトはそう言って、また一息つくようにティーカップに残っているお茶を飲む。それにつられて俺もお茶を飲む。
「イッセー。入るわね」
と、ここでこの部屋にドライグとティアが入ってくる。ティアは手にお茶の入ったソーサー。ドライグはお菓子を籠に入れて持ってきていた。
「おお、これはこれはドライグ殿、それにティアマット殿。久しぶりでござる」
「久しぶりね、夜刀」
「久しいな、ヤトよ」
「あ、ヤト。これ、食べてね」
「あ、かたじけないでござる。ドライグ殿」
ドライグは目の前にお菓子の入った籠を置いた。
ヤトはそれに手を付けながら言った。
「しかし、拙者は幸せ者でござるな。伝説のドラゴン、赤龍帝ドライグ殿と龍王最強のティアマット殿とこうして面と向かい合っているきかいをもらえるとは。同じドラゴンとしてもこれほどのことはないでござるよ」
「ヤト、そんな大げさよ」
「いえ、あなたがたの伝説は聞いているでござる。拙者では敵わないほどの実力を持っている。ドラゴンとしてお二人に敬意を払うのは当然のこと。」
ヤトは謙虚に言った。しかし、それはヤトでも同じことだった。
「それを言うなら、私だってあなたのこと、極東の夜刀神のことは知っていたわ」
「私もだ。極東にはまだ見ぬ未知の力を持ったドラゴンがいるとな」
そう、極東、つまり日本にはドラゴンがいた。一体は邪龍、八岐大蛇。もう一体は夜刀神だ。ヤトはなんと刀剣を用いて戦うドラゴンだ。その背中に背負った日本刀で戦うのだ。普通にドラゴンとして戦えばいいのにもかかわらず、ドラゴンで剣を用いるということで、昔から有名だ。本人曰く、剣にハマっているのだとか。さらに、強さもなかなかのものだ。上位の龍王に匹敵、いや凌駕するほど力の持ち主なのだ。
「なんと、お二人に名を知ってもらっていたとは・・・・・拙者感激でござるよ」
と、ヤトはポリポリと頭を掻きながら恥ずかしそうに言った。
ドラゴン界ではティアやドライグ、アルビオンといった、強いドラゴンに名を覚えてもらうだけでもステータスになるというものがあるらしい。
「そうそう、そうでござった。もう一つイッセー殿に報告することがあるでござる」
「それってなんだ?」
「天照殿率いる日本神話は北欧神話に会談を持ち掛けられたらしいでござる」
「なに?本当かそれ?」
俺は思いもしない相手であったので再度ヤトに確認した。
「確定情報でござる。天照殿はそれをどうやら受けるつもりもあるでござろう。天照殿だけでなく、須佐之男殿や月読殿も同じ見解と聞いているでござる。」
「そうか。流石は三人姉弟。意見が合うんだな」
「そうでござるな。しかし、何といっても北の大神、オーディン殿からの通達でござる。流石に敵対勢力と繋がっているといえどもそう簡単には拒否はできないでござるよ。聖書の三大勢力ならそうはいくでござるが、相手は古くからある神話体系。無下にはできないでござる」
「ま、そうだわな」
ヤトの意見に納得する。あの、戦いの神であるオーディンからか。よりによって。まあ、狙いは和平だろ。最近、クソ聖書の三大勢力は世界を平和にする路線に入った。その足掛かりとして北欧との和平を結んだらしい。ちょっと裏の世界について調べればすぐにその情報は手に入ったしな。そして次に日本神話。三大勢力は日本神話とのパイプがない。だからオーディンが出てきたというわけか。
「そうか。わかった。すまないヤト。今日はわざわざ」
「構わないでござるよ。さて、拙者はここでお暇するでござる」
要件を言い終わったヤトはそそくさと帰る支度をする。もっとゆっくりしていってもいいのだが、ヤトはヤトで多忙らしい。なんせ、色々神話関係の仕事があるとか。真面目だなぁ。タンニーンと同じくらい真面目だ。
「あ、そうでござる」
すると、ヤトが何かを思い出したように帰るところを足を止めた。
「イッセーどの。今時間はあるでござるか?」
「あるぞ」
「イッセー殿さえ良ければ、久しぶりに拙者との手合わせを所望するでござる」
ヤトは目をギラリとさせながら言った。その目はドラゴンさながらの鋭さがあった。
「・・・・いいぜ。俺もさしぶりにやってみよう」
俺はヤトの提案を受け入れ、すぐにそれにふさわしい場所へと移動した。
話を聞いていたドライグとティアは妹たちを連れて来ている。
場所はすぐ近くだ。俺の家の裏側。竹林になっていて、少し開けたところに俺とヤトは立っている。そして、それを見物するティアとドライグと妹たち。
「久しぶりでござるなぁ。大体四、五十年ぶりくらいでござるか?」
「ああ、そんくらいだったな」
俺とヤトは正面を向かい合って確認した。
俺とヤトは京都で、出会ったのだ。その昔にな。そして、その出会いは高天原の神々と繋がるに至った。
「では、いくでござる」
ヤトは自身が背負っている剣を鞘から抜いた。鞘から抜かれた剣はまるで生きているかのように、戦いの雰囲気を感じ取って凄まじいオーラを出している。刃が片方にしかなく、しなやかなフォルムを持つ日本刀。日本の武士などが古来から使っている刀剣類だ。しかし、ヤトの持つあの刀はただの日本刀ではない。
妖霊刀、紅桜。妖刀の類では最強の一角とも言われている日本神話に古くから伝えられている刀剣だ。これは、日本神話のとある神が作った剣。様々な能力、妖力、呪いなどが込められている。それほど強力な刀剣を主神から賜っているヤトはそれほど日本神話から信頼されているのがわかる。神がドラゴンに贈り物を授けるなど、普通はありえない。ちなみにヤトは紅桜以外にも刀剣をいくつか所持している。
「すげぇ妖力だな。それは」
俺はヤトの持つ紅桜から凄まじい妖力を感じつつ、俺も自身の刀剣を異空間から出現させる。
しかし、透明であるために剣があることは視認はできない。しかし、ヤトレベルの剣士ともなると気配で分かるだろう。
「
カッ!!
俺の掛け声の後、何も見えなかったところに剣のフォルムが現れ始める。光に包まれながらその姿を現した。
「イッセー殿の聖剣は凄いでござるなぁ」
俺の手に現れた聖剣。真聖剣エクスカリバー。アルトリアの愛剣にして、もう一つの地上最強の聖剣だ。ゴールド、シルバー、ブルーといった色に包まれた神々しい輝き。この聖剣を見ただけで力の弱い魔物たちはまず立ち上がれないほどだ。
互いに得物を持ち、構える。
「いざ」
「陣上に」
「「勝負!!」」
日本式の合図で俺たちは一気に距離を詰め、剣をふるう。
キィン!!!!
刃が当たり、鍔迫り合いとなる。
ヤトはそこから凄まじい速さで剣戟を俺に打ち込んでくる。ヤトはドラゴンでありながら剣を使うが、実際強い。この速さは尋常ではない。おそらく、俺が見た中では最高クラスのスピードだ。アルトリアや兄さんと並ぶほど。俺はそれにようやくついていけている感じだ。
「くっ!」
俺は体勢を立て直すために一旦後ろへ飛ぶ。
「逃がさないでござる」
キィン!!
後ろへ飛んだのにも関わらずもう距離を詰めていたヤト。俺はギリギリのところでエクスカリバーで防いだ。
俺はパワーでそれを弾いて、反撃をする。
「はあっ!」
キィン!!
ヤトは真正面からエクスカリバーの斬撃を受け止める。しかし、そこからヤトは剣を縦にして俺の斬撃をしなやかに受け流した。俺が振るった力が地面方向に受け流され、俺は体勢を崩した。
「隙ありでござる」
シュパッ!!!
俺は体勢を崩されたところを紅桜で切られる。
ブシュッ!!傷口から血が噴き出る。
あの一瞬で、ヤトは計十ヵ所も斬撃を俺にくらわせたのだ。
「クソ!」
俺はすぐに体勢を崩したまま反撃に出る。
「行け!エクスカリバー!」
俺はエクスカリバーで斬撃を飛ばす。エクスカリバーは刃が当たらなくとも斬撃を飛ばすこともできる。しかし、ヤトはその斬撃をすべて紅桜一本で防いでいた。しかし、それは俺が距離をとるには十分な時間を稼いでくれた。
「ふぅ、相変わらず、エクスカリバーはすさまじいでござる。この聖なるオーラ。紅桜の妖力や呪いが全く役に立たないでござるよ。普通の相手であれば、今頃とっくにこの紅桜の呪殺でお陀仏になっているでござるのに。流石、アーサー王伝説に伝わる聖剣でござるな」
ヤトは呆れながら言った。
確かに、あの脅威的な呪いと妖力をもつ紅桜の能力を封じている。エクスカリバーはその手の能力を全て無効化できてしまうのだ。だから、俺にとっては紅桜は少し霊力が籠った剣でしかない。だが―――――
「何言ってやがる。そっちこそ、凄まじい妖力と呪いだ。エクスカリバーの聖なる加護でもキツイったらありゃしねぇ。おまけにさっきの受け流しは何だ?俺は知らねえぞ。」
「拙者も進化しないといけないのでござるよ」
武器の性能がこちらのほうが格段に上でも剣の腕でこちらが負けている。これでもヤトは以前は肉弾戦を得意としたドラゴンだったという。どうしたらこんな風になるんだか。よって総合的に俺とヤトは均衡を保っている。とはいえ押されている。
俺はエクスカリバーに魔力を籠める
エクスカリバーは俺の魔力を吸ってさらに聖なる力を増大させる。
「拙者も、力を出すでござる。唸れ、紅桜」
紅桜はヤトの掛け声に呼応し、妖力を開放した。凄まじい妖力が紅桜に結集され、それが形となって表れた。紅桜の刃が紫色に染まっていた。
俺とヤトは再び激突する。ヤトの方が手数が多く、俺よりも多くの斬撃を俺に届かせている。その間にも、紅桜からはすさまじい呪術、妖力、呪いが襲い掛かってくる。エクスカリバーもそれに対抗して聖なる力を放出させる。
しかし、聖なる力でも紅桜のちからを無効化できずにいた。
「これは、仙術か!」
「その通りでござる。紅桜の力に、拙者の仙術も混ぜたでござる」
仙術。それは一部の妖怪のみが扱える特別な術のことだ。それにも関わらず、ヤトはドラゴンでありながらそちらのほうも精通している。妖力や呪術に仙術が加われば厄介だ。聖なる力が効きにくくなる。
本当にとことん異端なドラゴンだ。しかも、かなりの仙術の使い手だ。おそらく、極めかけているレベルだ。これほど聖なる力が押し返されるとなると。本職であるはずの妖怪たちもここまで極めている奴なんていないぞ。
「くっ!」
俺はヤトのあまりの猛攻によろめいた。
傷がヤトの妖刀の力によって悪化しているのがわかる。鋭い痛みが突き刺さる。しかし、その傷口に広がる紫色の痣も消えていく。エクスカリバーの効果だ。持ち主の命を守る。それが、この剣が最強たる所以の一つ。俺の傷はすぐにふさがった。
「ハアッ!!」
痛みが消えたことによって、俺はヤトの動きについていけるようになる。
そして、渾身の一撃を奴にお見舞いする。
「ぬッ!?」
ブシュッ!!
ヤトの胸部から出血する。
ヤトはそれを確認すると素早く後方に飛び、距離をとる。
「やられたでござるな。この程度の切り傷でも凄まじい痛みでござる」
ヤトはどちらかといえば魔、闇の属性に近い。よって聖剣の力に多少なりとも影響を受けるはずだ。
「丁度いい時間でござる。イッセー殿。今日は礼を言うでござる。拙者はこの後修行があるでござるから、この辺で失礼するでござる」
「ん?この後も修行か?」
「いや、実は拙者は指南役でござる。最近日本神話の戦闘部隊に入った新入りの指南をするように天照殿から頼まれているでござる」
「へえ、天照から」
とことんヤトは日本神話から信頼されているな。ドラゴンが師匠か。なるほど。俺みたいなもんか。おそらく剣術だろう。
「では、失礼するでござる」
ヒュン!
ヤトはすぐさま消えて去っていった。
「おつかれさま、イッセー」
「ああ、ありがとう」
「凄かったねぇ」
「うん!ヤトのお兄さんもおにーさんも、すっごいかっこよかった」
「ありがとな、ユキ」
妹たちがおのおの驚いていた。
まあ、そうだろうな。戦い方は違えど、ヤトもヤトで強者だ。妹たちにもいい刺激になったのだろう。
「でも、ヤトはほんとにすごいわね。あの妖刀。私もヒヤッとしちゃった」
ドライグは苦笑しながら言った。
「私は、あれで龍王でないのが不思議でならない」
ティアも同様に驚いている。俺もそう思う。ヤトは龍王に名を連ねてもおかしくなかった。いや、龍王以上の存在であるのは間違いない。
「ああ、ほんとだ。完敗だな。ヤトは切り札を一つも使わなかった。」
「え?そうなの?」
「ああ。ヤトは力をセーブしていた。まあ、俺が弱いだけかもしれねぇがな」
俺はため息をつきながら言った。兄さんに教えてもらったけどやはり、上達しない。ほんとに宝の持ち腐れだよな。ただ聖なる力を高めて飛ばすしか能のない、俺では。
「確かにあれで力をセーブしていたなら、やつは龍王以上の強さだが、イッセーの本職は魔法と武術だろう。イッセーは弱くなんかないさ。分が悪いとしかいいようがない」
「そうはいってもなぁ」
ティアはそう言ってくれているが、なんか腑に落ちない。
[ハハハ、見ていたぞイッセー。相変わらずの剣の扱いが下手だな]
ニトラは逆に俺をからかってくる。
「仕方ないだろう?昔から剣は苦手だ。兄さんに基本しか教わっていない」
[そうだな、昔はアーサーに死ぬほどしごかれていたな]
ニトラはけらけらと笑いながら言った。
「あれは地獄だったさ」
[まあ、とにかくだ。イッセー、お前は寄り道をせず、魔法を極めていけばいいさ。剣術は嗜む程度にしておけ]
「そうそう。せっかく私と一緒に新たな境地へ来たんだから」
ドライグが凄い笑顔で俺の手を取りながら言った。
「ああ。そうだな」
俺も、ドライグに笑みを見せる。
「くっ・・・・・私だって、すぐにその域に追いついて見せる」
「ああ、ティア、待っているぞ」
逆にティアは決意を改めたようだった。
こうして、俺と日本神話は動き出したのであった。新たな目的のために――――――
というわけでした。
正直勘弁願います。いま、夜刀神を変えるとなると自分が今考えているプロットが大崩壊してしまうので。
一応、ここに規約は表現方法を違ったようにするというところがミソのようです。口調とドラゴンってところ以外は被らないようにしたつもりです。二次創作なので少しは似てしまっても仕方ないと思っております。
あとは、たまたま設定が似てしまったということで、ご理解願います。
英傑なる刀龍 夜刀神
*日本出身のドラゴンで、現役で唯一神話勢力とかかわりのあるドラゴン。
*仙術など、妖怪たちが使う能力方面に精通している。
*もとは自身の体と術をからめる格闘家であったが、剣を賜ったことにより剣に従事。それが予想に反して相性が良かったことと、才能により馬鹿みたいに強くなってしまった。
*以来、剣一筋の道を歩む。
*妖刀の力を引き出し、実質龍王を超える。
*日本神話関係の依頼やらなんやらで意外と多忙。
*名前に神が付いているのは、祭られており、八百万の神々としての存在もあるからだという・・・・・
妖霊刀 紅桜
*日本神話のとある鍛冶神が作った妖刀。
*呪い、呪術、妖力が込められており、いまだに使い手がいなかった。
*夜刀神が適応したことにより、日本神話から授けられる。
*使い手を選び、適合できなければ呪いにより呪殺される。
*切られれば呪いが伝わり、下手すればかすり傷で死に至る。