ハイスクールD×D ―魔法使いと龍―   作:shellvurn 次郎

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どうもみなさんこんにちわ。
今回はオリジナル話。
あと、ドライグとイッセーの絡みを入れておきたかったのですが、長くなったので次回ということで。


No,XLVI ~寝坊助~

「よお、バラキエル。オーディンの爺さんの護衛、ご苦労だったな」

 

『アザゼルか。ああ、まあな』

 

 とある日の夜、オーディンとの戯れを終えたアザゼルは堕天使組織の幹部、バラキエルと通信をとっていた。アザゼルが座っている机の前にはスクリーンみたいなものが現れ、映っているのは堕天使の幹部であるバラキエルであった。アザゼルは意気揚々と構えているが、それとは対極にバラキエルは厳しい表情をしており、ただならぬ雰囲気を漂わせていた。

 

「おいおい、なんだ?随分と元気ねぇじゃねぇか。ま、朱乃にあれだけきつく拒絶されたからわかるけどよ。いつまでも落ち込んでいられねぇぞ?」

 

 バラキエルを何とか元気づけようとアザゼルは振舞うが、当の本人は変わらず顔をしかめたままだった。元からいかつい顔をしているが、さらにその顔のいかつさが極まっている。バラキエルはその堅い口を開いた。

 

『それもあるがな。むしろ、そのことが大半なのだが。まあ、それは置いておいてだ。アザゼル、組織のトップに一応伝えねばならんと思ってな』

 

「ん?なんだ?」

 

 バラキエルのいつもと違う雰囲気にアザゼルは違和感を覚えるが、バラキエルに続けさせた。重苦しい雰囲気に包まれる。

 

『お前も知っているかと思うが、私がオーディン殿の護衛をしていた時だの話だ。』

 

「おお、それがどうしたんだ?何かあったのか?」

 

『オーディン殿と日本神話の会談の前の会合でのことだ。私はいきなり数十人の集団に囲まれ、襲撃を受けた。』

 

「何だと!?」

 

 バラキエルがその旨を伝えると、アザゼルは声を荒げた。自身の仲間が他の勢力かもしれない集団に襲われたのを知れば、普通は冷静にいられないだろう。

 

「そいつらは何もんだ?禍の団(カオス・ブリゲード)か?被害は?」

 

アザゼルはすぐに素性をバラキエルから聞き出す。しかし、バラキエルは顔をしかめながら言った。

 

禍の団(カオス・ブリゲード)ならば、どれだけマシだったことか・・・・・・・・・』

 

「何だと?禍の団(カオス・ブリゲード)ではないのか?」

 

 アザゼルは禍の団(カオス・ブリゲード)とにらんでいたようだが、見当が見事に外れて意外そうな顔をした。実際、このところ禍の団(カオス・ブリゲード)という組織は様々な勢力へ喧嘩を売っており、各勢力の上層部の頭を悩ませているゴロツキの組織だ。

 

『私を襲撃したのは・・・・・・・おそらく格好からして日本神話だ』

 

「何っ!?」

 

 バラキエルの言葉を聞いたアザゼルは驚きのあまり立ち上がった。その際、テーブルの上の酒ががたがたとこぼれそうになる。

 

「どういうことだ?なぜ日本神話が・・・・・・?」

 

『おそらく、私を敵とみなしているのだろう。だから、私を部隊を使って襲撃したのだ。それ以外考えられることは無い』

 

「・・・・それで、どうなった?」

 

『実際に日本神話の戦闘部隊と刃を交えた。しかし、すぐに部隊は何事もなかったかのように撤退していった。おそらく全員人間だ。それでも大したことは無かったが』

 

「そうか・・・・・・今回は相手が人間だったとはいえ、日本神話にはいまだ滅茶苦茶強いやつはいるんだ。主神の天照はもちろん、須佐之男や武御雷とかな。今回は助かったな」

 

 アザゼルは一先ず安心する。しかし、バラキエルは事態を重く見ていた。

 

『アザゼル・・・・どうやら、日本神話は俺たちが思っていた以上にこちらを良く思っていない。これは警告と捉えても不思議ではない。日本神話は世界の神話と比較しても侮れない相手だ。全戦力を向けられたら、こちらの被害はどうなるかわかったものではないぞ』

 

 アザゼルはバラキエルの懸念を真剣に受け止めた。日本神話は、二代目の主神に変わったということで知られている。そのため、他の神話の神々からは様々なことを思われている。だが、侮れはしなかった。なぜなら、日本神話には他の神話の主神たちを圧倒するような存在がいるともいわれているからだ。

 

「ああ、分かっている。今になってようやく日本神話が動くのか・・・・・・・・・。こりゃ、相当やべぇかもしれねぇな。」

 

『とにかく、やつらをあまり刺激しないのが一番だ。次は何をされるかわからんぞ』

 

「ああ。俺たちとしても、日本神話と友好関係になりたいと思っている。そうすればより和平へと躍進できる。だから、このロキの襲撃をなんとしても阻止する。俺たちだけでだ。そうすれば、日本神話にも少しは接触できる可能性を掴めるかもしれん」

 

 今宵、アザゼルは三大勢力の中でいち早く脅威を知ることとなったのだ。しかし、日本神話にとっての超えてはならない一線を、すでに悪魔、堕天使、天使たち三大勢力は超えているのを知ることは無かった。

 

 

 

 

 

 ――――◆◇◆◇◆――――

 

 

 

 

 

「おじゃまするでござるぞ、イッセー殿」

 

「ああ、ヤト。ではさっそく始めるとしようか。ドライグもティアも準備完了しているぞ。」

 

「了解でござる」

 

 会談の後、ある理由からヤトが俺の家へと訪問してきた。そして、ヤト、俺、ドライグ、ティア、妹たちとともにある儀式の準備を始めたのであった。

 

 

 

 

 

 ――――○●○●○――――

 

 

 

 

 

 

「ドライグ、きみはそこに居てくれ。ティアはもう少し右だ。そう、そこだ。」

 

「うん。わかった」

 

「ヤトはティアの正面に」

 

「了解したでござる」

 

 今、俺たちは魔法陣を発動するために決まった位置にドライグ達を配置している。これから実行しようとしていることはドラゴンゲートを開くことだ。ドラゴンゲートは別名龍門とも呼ばれている特殊な術の一種だ。主に二点間の移動に使うことが一般的に使われているらしい。文字通りこれはドラゴンのみしか操れず、ドラゴンのみしかこの門をくぐることはできないものだ。

 なぜおれ達がドラゴンゲートを開こうとしているかというと、とあるドラゴンに接触を仕掛けるからだ。

 実は、あの会の翌朝、天照から連絡があったのだ。なんでもオーディンが襲撃を受けたらしい。しかも、その相手は同じ北欧神話の悪神ロキだという。まあ、いわゆる予感が的中したわけだ。しかもロキはご丁寧にあの神殺しのフェンリルまで使ってきたらしい。この世界には神殺しと呼ばれる存在が二つある。フェンリルはその一つだ。別名フローズヴィトニル。二天龍に勝るともいわれている魔獣だ。そんな奴とは是非戦ってみたいものだ。だが、相手はこちら側、天照や高天ヶ原をも攻撃対象としていたらしい。オーディンからはこちらから防衛部隊を編成すると言っていたが、おそらく三大勢力がしゃしゃり出てくることは明確だ。天照は「あちらの護衛など信用できるはずがない」なんて言っていたので、こちらはこちらで部隊を組むらしい。よって、急遽北欧のことについて本格的に情報収集をするわけだ。そこでその情報源を探し、白羽の矢が立ったのがとある一体のドラゴンってわけだ。

 

「にしても、ドラゴンゲートなんてものは知ってはいたけど、これを発動するのは初めてね」

 

「私もだ。こんなのは使う機会がなかったからな」

 

 ドライグとティアが口々に言った。そもそも俺もこのドラゴンゲートっつーのが誰が何のために作ったのかわからない。術に長けたドラゴンが使うのか、はたまたすべてのドラゴンが自由に使えるのか。まあ、なんにせよ今日ここで初めて使うわけだ。一つ一つ確認しながらやっていこう。

 

「にいたん、にいたん。ルルたちはここでいいの?」

 

 すると、妹たち八人がわらわらと集まってきた。

 

「ああ。ルルたちは俺の隣だ。みんなで手をつないでてくれ」

 

「うん、わかったー」

 

「わかりました、お兄様」

 

 今回はルルたちにも手伝ってもらうことになった。何故かというと妹たち全員からの懇願だったからだ。今回開くドラゴンゲートは複数のドラゴンの力を合わせてこの扉を開く。妹たちは個々の力は今は弱い。だが、八人の力を合わせれば、このドラゴンゲートを開く基準に到達することが出来る。

 

「全員、所定の位置に着いたな。じゃ、行くぞ」

 

 ドライグ、ティア、ヤト、妹たち、そして俺。ここにいる者たちでドラゴンゲートを開く。

 ズズズズズズ・・・・・・・・・

 いよいよドラゴンゲートが開いていく。

 

「わぁっ!」

 

「これは・・・・」

 

 妹たちが驚いた声を出す。何故ならば、術を発動させた瞬間に光が発せられたからだ。さらには、一人ひとりの光が違うからだ。個々のドラゴンが司る色がそのままこのドラゴンゲートを開く際の光に現れているからだ。ドライグはもちろん赤。ティアは少し深い青、ヤトは暗黒色だ。力のない妹たちもドラゴンであるから光を放っている。ユキは白、アウローラは七色、ルルは緋色、イズナは群青色、ヒカリは黄、スイは水色、フローラは若緑、クロアは濡羽色と言ったように美しい色を発している。

 グウォン!! 

 ゲートが開き、お目当てのドラゴンが現れた。俺たちの目の前に。

 

『ふわぁ~~~~ん~~?なになに?まだ何かあるの・・・・!?』

 

 眠たそうな声音をしている巨大なドラゴンである。だが、俺たちの姿を見た瞬間眠気は吹っ飛んでいった様子だ。先ほどまで半開きというよりも、ほぼ閉じようとしていた瞼はしっかりと開かれている。

 

「おお~~~~」

 

「おっきなドラゴンさん!!」

 

「壮観・・・・・・」

 

「ドライグ姉よりおっきいね」

 

 初めて見る新たなドラゴンに妹たちは心を躍らせているようだ。あちらが何も言ってこない。まあ、俺たちが呼び出したのでとにかくこちらからあいさつでもしよう。

 

「初めましてだな、ミドガルズオルム」

 

『キミなの?僕を呼び出したのって』

 

「ああ、そうだ。悪かったな、寝るところだったのか?」

 

 ミドガルズオルムは基本この世界の何処かで眠りについていると聞いている。寝ているところを起こすのは忍びないが、こちらもこちらの事情があることは説明したい。

 

『いや、それはいいけどさ。さっきまで起きてたし』

 

 よかった彼はそれほど気にしていないようだ。

 

「久しぶり、と言っておこう。ミドガルズオルム」

 

「私はこうして面と向かって会うのは初めてね、ミドガルズオルム」

 

 ティアとドライグはミドガルズオルムに声を掛ける。と、ミドガルズオルムはまた目を見開いた。

 

『ええ!!!ティアちゃんに、ドライグぅ!?なんで君たちが!?いや、ティアちゃんは分からなくもないけど、ドライグ!キミに至っては千年くらい前に三大勢力に討伐されて神器にされたはずじゃ!?』

 

 ミドガルズオルムはドライグが復活していることに驚いた。しかし、眠っていると聞いていたのだがよく知っているんだな。このドラゴンは頭が非常に優れているのか?どこからそんな情報を仕入れているのか。疑問が膨らんでいった。 

 

「確かに私は神器に封印されたけれど、蘇らせてもらったのよ。イッセーにね♪」

 

 ドライグは俺の方へ可愛らしくウィンクしながら言った。大人っぽい彼女がこのような可愛らしい仕草をするのはギャップが凄い。

 

『へえ、なるほどねぇ。キミが・・・・・・・・ということは、キミが元赤龍帝ってわけね。じゃあ、ここ数百年の間、赤龍帝が表に出てこなかったのはキミにドライグが宿ってしまったことがすべての発端だったわけだ』

 

 ミドガルズオルムは俺たちの正体に物凄く近づいてきた。どの勢力もこのことは知りもしない。本当に物知りで頭の回転が速い。

 

『にしても、ドラゴンの肉体、ましてや赤龍帝の肉体を完全によみがえらせるなんて、規格外にもほどがあるよぉ。キミはホントに人間なのぉ?』

 

「ああ。正真正銘の人間だ」

 

『ハハハ、にわかに信じられないなぁ。でも、ふぅん・・・。ドライグとしては良かったんじゃないの?その顔を見るにはね』

 

 ミドガルズオルムはドライグを少し観察した後そのようなことを口にした。

 

「ええ。イッセーは私を神器の枷から解き放ってくれたの。イッセーには、とっても、感謝してる」

 

 ドライグは笑みをこちらに見せてくる。俺はその仕草に照れていた。ドライグのあの様子を見る限り、あのとき無茶をしてドライグをよみがえらせたのは間違っていなかったのだと再認識した。しかし、ドライグの様子をみたミドガルズオルムは何やら愉快そうに言った。

 

『へぇ、なるほどねぇ。ドライグ、キミは少しあれだね。おしとやかになったというか、女らしくなったって印象だねぇ。昔はとにかく力を求めて、いろんな奴と戦ってたよね。戦闘欲に飲まれてまるで血で血を洗うみたいにさ』

 

「ちょ、ちょっと!!どこでそんなこと知ったのか知らないけど、やめてよぉ!!!昔のことを話すの!!」

 

 ドライグが少し涙目で顔を赤くしながら必死にミドガルズオルムに訴えていた。時々こちらを横目で気にしながら。

 

『ん?何を慌てているのさ?ドライグ。ん?・・・・・ははぁん。なるほど、なるほど。そういうことねぇ・・・・・・・』

 

 ミドガルズオルムは俺とドライグをきょろきょろと見た後、何かを悟ったようにうなずいた。対してドライグはというと、今だ顔を赤くしていた。

 ミドガルズオルムは何をニヤニヤしているんだ?まあ、いいか。

 

『ま、ドライグやティアちゃんが人間の姿でこんなところで暮らしているなんてね。夢にも思わなかったよ。それに、そちらのおチビちゃんたちもドラゴンかな?』

 

 ミドガルズオルムがドラゴンゲートを開き、それを維持している一役を担っている妹たちを見ながらいった。

 

「うん!そだよ!」

 

「はじめまして、龍王さん」

 

「よろしくね!」

 

『うん、よろしくね、チビちゃんたち。なるほどね。君たちもその年でそこまでの力があるんだね。このドラゴンゲートを開いているのも納得だね。育ては親の教育がいいのかな?』

 

 ミドガルズオルムはまたしても俺の方を見てくる。本当に察しが良いドラゴンだ。こんな龍王も面白くてたまらないな。

 

『うん。今日は本当に面白いな。ドライグにティアちゃん。上級種の龍の子供にも会えるなんてね。そして、さらに珍しい存在がいるね』

 

ミドガルズオルムに視線を向けられたヤトは一歩前に出て口を開いた。

 

「はじめましてで御座る。偉大な龍王殿。拙者は英傑なる刀龍(ブレイド・ブラッド・ドラゴン)、夜刀神でござる。こうして会えて光栄でござる。ミドガルズオルム殿。拙者のことはヤトとよんでほしいでござる。」

 

『うん、わかったよ。でも、そんなにかしこまらなくてもいいよぉ。僕なんて、龍王なんて呼ばれているけど、全然大したことないから。こうして引きこもっているだけの龍王の面汚しだよ』

 

 ヤトの敬意に少し嬉しそうにしながらも、謙遜するミドガルズオルム。ま、ヤトはドラゴンとは言い難いほどの礼儀の良さだ。特に龍王や二天龍などの名を残す伝説級の存在を敬っている。

 

『君のことは噂程度には知っていたよ。なんでも、日本神話の神々と友好的で、日本神話にその存在を承認されているドラゴンだとね』

 

「おや、ミドガルズオルム殿にも知っていてもらえようとは。嬉しい限りでござるよ」

 

『う~~ん、もうどう見ても君のほうが強いと思うけどなぁ。なんでヤト君が龍王じゃないわけぇ?』

 

 龍王と日本神話の戦闘部隊のリーダーが謙遜し合う。そんなドラゴン同士でもお目にかかることのできないような光景を目の当たりにしている。

 

『それで、僕を呼び出したということはそれなりのことなんでしょ?』

 

「それについては拙者から説明するでござる。実は、北欧のオーディン殿と日本神話の会談後、北欧の悪神ロキが襲来したとのこと。これを受けて日本神話としては自衛行動をすることになり、そこで保険として北欧の情報を得ることになったのでござる。結果、拙者は日本神話の依頼を受け、イッセー殿に協力を依頼して貴殿をドラゴンゲートで召喚したでござる。」

 

 ヤトは簡潔にその旨を伝えると、ミドガルズオルムは何やら浮かない顔をしていた。

 

『ああ、なるほどねぇ。君たちもなのかぁ』

 

「ん?ミドガルズオルム、君たちも、とは?」

 

『ん?ああ、君たちが僕を呼び出す前にも同じようなことを聞かれたんだよぉ。三大勢力かな?言ってしまえば。ああ、アグニルにも会ったよぉ。なんかすっごく精神が崩壊しかけてたけどぉ。まあ、まだまだ若いししょうがないよね』

 

 ミドガルズオルムの発言に、俺たちは確信した。オーディンの方の防衛部隊は奴ららしい。全く持って大丈夫なのかと心配する。あのような奴らじゃあ突破されかねない。

 

「そうであったでござるか。しかしそれは気にしなくていいでござる。拙者を含め、日本神話は奴らを信頼していないでござる。それに、今回のことは日本神話がやつらを追及する材料になるかもしれないでござる」

 

『アッハハ!そうなんだ。いやぁ、辛辣だねぇ。これは総督たちも魔王たちも大変だねぇ、これからが』

 

 ミドガルズオルムは他人事のように言った。

 まあ、日本神話の考えも間違っていない。北欧のロキ、さらにはフェンリル、さらにそのロキの娘のヘルときた。そんな強敵相手に未だ力のない学生を神の護衛に充てるとは本当に三大勢力は何を考えているんだ。しゃしゃり出てきたくせにこれとは。本当に護衛をする気はあるのだろうか?フェンリルなんだぞ?あれの牙はどの神だろうと一撃で葬るんだ。

 

『ま、とにかくわかったよ。というか、誰が戦うの?ヤト君とドライグ?』

 

「いや、拙者とイッセー殿。それと、日本神話の部隊でござる」

 

『そっか。それでも僕からしたら戦力としては十分だと思うよ。いいよ、分かった。僕はどの勢力にも肩入れする気は()()()()()はないからね。で、え~~と、じゃあまずは今回の襲撃の親玉であるダディからかな』

 

 いろいろと本題に入るまで時間がかかったが、ミドガルズオルムは説明を始めた。

 

『ん~と、ダディは正直あまり脅威じゃないと思うよ。特に君たちのような規格外の連中にはね』

 

 ミドガルズオルムは俺やヤトのことをそんな風に思っているらしい。まあ、それは置いておこう。引き続き、俺たちはミドガルズオルムの話に耳を傾けた。

 

『ダディよりもやっぱ脅威なのはワンワンかなぁ。でもグレイプニルっていう鎖があればワンワンの動きを止められるよぉ』

 

「グレイプニル、でござるか・・・・・・」

 

「それは、北のダークエルフでしか精製できないと聞くな。俺の魔法の監獄の鎖(レ―ジング)でも果たして捕らえられるかどうか・・・・・」

 

『わお!魔法使い君はそんなのもあるんだねぇ。強度はどれくらいなの?』

 

 俺がつぶやくと、ミドガルズオルムは魔法に興味を示してきた。

 

「まあ、いいとこ龍王を完全にとらえるくらいだ。そんなに使ったこともないから強化もしていない。今のティアには効かないな」

 

「やめれくれ、イッセー。あのころの私にとっては軽くトラウマものだったぞ」

 

『いやいやいや、ティアちゃんを軽くトラウマにするとかどんな魔法なのさ』

 

 昔のことを回想しながらも話がそれたので元に戻す。

 

「イッセー殿、とりあえずグレイプニルは拙者らが調達をするでござる」

 

「分かった。俺もレージングを強化しておこう。万が一使える時があるかもしれないからな。ミドガルズオルム、他の手段は?フェンリルは正面から抑えられるか?」

 

 俺はグレイプニル以外の方法を探るために他の聞いた。

 

『う~ん、ワンワンは少なくとも滅ぼされる前のドライグと同等かそれ以上だからねぇ。でもそれ以上に気を付けるべきなのはやっぱ牙かなぁ。それにさえ気を付ければ君たちならなんとかなるんじゃないかなぁ』

 

「なるほどな、戦前のドライグと一緒、か。なら大丈夫そうだな」

 

 そのあと、俺たちはロキやフェンリルについての情報をミドガルズオルムから聞き出した。ミドガルズオルムは自身を生み出した、いわば親であるはずのロキなのだが、平気でペラペラと情報をくれた。ロキがやられても心配ないのかと聞いても、気にしていない様子だった。まあ、その辺はドラゴンらしいというところだ。

 

『ああ、そうそう。言い忘れてたよ。』

 

「ん?なんだ?」

 

 ミドガルズオルムがふと思い出したことがあるという。俺はその話に耳を傾けた。

 

『えっとね、フェンリルって二体いるんだよね。』

 

「そうなのか?」

 

『うん。それが赤いフェンリルなんだよ。ダディが生み出したものかどうかは知らないけどね。昔いたのを思い出したんだ。そのフェンリルはダディには従わないと思うから、戦闘に参加するかは知らないけどね』

 

「なるほどな」

 

 これは知らなかった情報だった。フェンリルは知っていたが、まさか赤いフェンリルがいるということは初耳であった。

 

『むしろそいつも厄介だよ。知能が異常に高いんだよ。何故かワンワンなのに魔法が使えるっているね。昔そのフェンリルに優しくしてもらってたなぁ。僕はねぇねぇと呼んでたけどね』

 

「そうなのか・・・・すまない、助かった。」

 

 知りもしなかった新たな情報をくれたミドガルズオルムに感謝する。これを知ってると知ってないとでは大きく戦況が違っていた。

 

『ああ、そのことなんだけど。もしねぇねぇが戦場に来たときは殺さないでほしいな。一応昔のことがあるし、死んでほしくないとは思ってるから』

 

 ミドガルズオルムからそのような依頼が来る。それを聞いて俺は少し面食らった。このドラゴンにもそのような感情があったのだと。しかも相手は異種族であるはずなのにだ。

 

「とにかくわかった。その赤いフェンリルが来たら捕縛を優先しよう」

 

 俺の答えを聞いたミドガルズオルムは顔をにっこりとさせた

 

『ありがとう、魔法使い君。恩に着るよ』

 

「俺のことは、イッセーでいいぞ、ミドガルズオルム」

 

『そう、じゃあイッセー。ありがとね』

 

「お互い様さ」

 

 俺とミドガルズオルムの中が深まったその時、俺たちに訪問者が現れた。

 

「え~何々?何をしているの?」

 

 ドラゴンゲートを開いている俺たちのもとに一人の美しい姫君。アーシャが現れたのだ。

 

「アーシャか。見ての通り龍王をドラゴンゲートで呼び出しているところだ」

 

「そうなの、初めて見るドラゴンさんね」

 

 アーシャは種族上はドラゴン、のはずだ。実際俺でもアーシャは不思議な存在といっていい。当然、ドライグやティアともまた違った雰囲気を纏っているアーシャには興味を引き付けられるわけで

 

『えー?キミもドラゴンなの?それにしてはなんか神聖なオーラを纏ってるね?ほんとにドラゴン?どちらかというと神や天使っぽいなぁ』

 

 大いにわかる。あの麗しい見た目ならばそう見えても仕方がなかった。

 

「ええ。そうよ。私はアカーシャ。アーシャって呼んでね?大きなドラゴンさん?」

 

『うん、よろしくね』

 

 初対面同氏のミドガルズオルムとアーシャ。この世界のドラゴンとあちらの世界のドラゴンが顔を合わせた瞬間だった。ミドガルズオルムはあちらの世界のことを知っているのだろうか?知っていたら凄いと思うが。

 ふとここで俺は気づいたことがある。アーシャは普段だいたいは兄貴といることがある。ということは、当然アジ・ダハーカはいるわけで・・・・・・・

 

「んあ?んだよ、誰かと思ったら北の引きこもりやろうじゃねーかよ。それと、知らねぇドラゴンがいやがるな」

 

案の定、魔源の禁龍(ディアボリズム・サウザンド・ドラゴン)、アジ・ダハーカが俺たちの前にいた。アジ・ダハーカの姿をみたミドガルズオルムは顔を豹変させていた。

 

『ちょっ!?なんでここにアジ・ダハーカがいるのさ!?』

 

「あ?俺がどこにいよーと勝手だろ?」

 

『そうじゃなくてさ!大体君は何千年も前に滅んだはずだよねぇ?』

 

 ミドガルズオルムの言った通り、分かる人にはわかる言い伝えだ。悪の体現したドラゴン、アジ・ダハーカは封印される形で永久に滅ぼされた。しかし、それは真実ではないのだ。

 

「イッセー殿、イッセ-殿」

 

「なんだ、ヤト?」

 

 アジ・ダハーカがミドガルズオルムとやり取りをしていると、ヒソヒソ声でヤトが俺に尋ねてきた。

 

「あの方が良くも悪くも有名な邪龍、アジ・ダハーカ殿でござるか?」

 

「そうだ。邪龍最強候補だな。まあ、強いぞ。滅茶苦茶」

 

「イッセー殿のおっしゃる通りでござるな。ああ見えて隙が無いでござる」

 

 ヤトはアジ・ダハーカの強さを感じ取ったようだ。

 

「なんだ、お前もそんな迷信を信じていたのか?確かに俺は封印されたがそれはもう過去の話さ。俺は封印を自力でぶち破ってこの世に復活したってわけだ。伊達に邪龍やってねぇんだよ」

 

『そんなことが・・・・・・・』

 

「お兄ちゃんのお友達もいるよね?クロウお兄さんにアポプスお兄さん」

 

「やめろ、アーシャ。あいつらは友達じゃない」

 

「そんなこと言いつつも、いつもバトルしてるじゃない」

 

 真実を聞いたミドガルズオルムは開いた口が塞がらなかった。自分の知識が間違っていたからだろう。

 そんなミドガルズオルムは

 

『ええぇ・・・・・・クロウ・クルワッハもアポプスもいるのぉ・・・・・ドライグといい、邪龍たちといい、イッセーは世界征服でもするの?』

 

 盛大に引きながらミドガルズオルムは俺を呆れた目で見ながら言った。

 

「なぜそうなる?」

 

 失敬な質問をされる。俺はどこぞの魔王でもなんでもないぞ。

 

『いや、だってさぁ。明らかに昔よりも力をつけてるドライグ。それだけじゃないよね。ティアちゃんもアジ・ダハーカだって昔とは比べ物にならない強さになってるよぉ。そんなやつらが周りにいたら普通じゃないよぉ』

 

「確かにみんな強くなったがそれは世界征服などというくだらない目的のためなんかじゃない」

 

『アハハ・・・・まあ冗談で言ったつもりだったけどねぇ。さてと、今日はこんなところでいいかな?』

 

「ああ、すまないな。ミドガルズオルム」

 

「かたじけない、ミドガルズオルム殿」

 

『ううん、いいよ。今日はとっても面白かったし。意外な出会いもあったからねぇ。あ、そうだ。時々話し相手になってほしいなぁ。君たちとなら全然退屈しないから』

 

「ああ、わかった。時々ドラゴンゲートを開くことにする」

 

『ありがとね、イッセー。ヤト君も、お仕事頑張ってね。まあ、怠け者の僕に言われたくないと思うけど』

 

「龍王からの激励、痛み入るでござる」

 

『じゃあね、またお話しよ』

 

 こうしてドラゴンゲートは閉じ、俺たちは手に入れた情報をさっそく活用するのであった。




というわけでした。
最近マジで書く暇がないです。今日は学校+バイト八時間労働の後に書いていますからもしかしたら誤字があるかもしれません。
次回はドライグとイッセーの絡みから。ここにきてようやく書きたい場面が書けると思います。物語を加速させていきたいです。

―――――――――

終末の大龍 ミドガルズオルム

・皆さんご存知、怠け者君。
・さて、この子が今後出てくるかも
・知能と知識に長けているドラゴンで力も龍王級。
・龍王、序列七位。
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