ハイスクールD×D ―魔法使いと龍―   作:shellvurn 次郎

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どうも、文才が欲しい欲しいと毎日嘆いている作者ことマユです。
本当に文才が欲しい。
今回は場面が変わりまくります。
というわけで、47話です。題名にあるナンバリングがアラビア数字からギリシア数字に変わったのは気づいていますでしょうか?個人的にギリシア数字の方が好きです。まあ、3999までしか表現できませんけどね。その点、アラビア数字、10進法は画期的ですよね。素晴らしいです。


No,XLVII ~決戦前~

 

 ミドガルズオルムをドラゴンゲートで呼び出し、いろいろと情報を聞いたあとだ。俺は今日あった出来事を思い返しながら自身の魔法である監獄の鎖(レージング)の強化にあたっていた。魔法を発動すると、監獄の鎖(レージング)が発動し、鎖の一部が現れる。この魔法は対魔獣用の鎖だ。魔獣を確保、または自由を奪うために作られた魔法である。ミドガルズオルムにはグレイプニルを紹介してもらった。しかし、グレイプニルにも多少の欠点欠陥がある可能背も否めない。ダークエルフがどれほどの技量を持っているかはわからないが、準備しておいて損はないだろう。

 にしても、これで俺がドライグやティア、ましてや邪龍たちをも味方につけているということが新たな人物に知られてしまったわけだ。だが、ミドガルズオルムは口外しないということは約束してくれていたからまあ、心配ないだろう。ドライグは俺にとって切り札といっていい。だが、ドライグという切り札をここで切るわけにも行かない。いまここでドライグが復活したと広まれば、面倒だ。まだ、ここじゃないのだ。しかし、相手はフェンリル。ましてや、それが二体に増えるかもしれない。油断はならない。

 

[フム、面白いやつだったな。ミドガルズオルムは]

 

「そうだな。あんなドラゴンもいたんだな」

 

ミドガルズオルムとは会話をせず、ずっと俺の中で聞いていたニトラはミドガルズオルムに興味を持っていた。

 

[またやつを呼び出すときには私も混ざって話しておきたいものだ]

 

「ああ。それにしても、あいつの驚く顔が浮かぶぞ。龍霊界(あちら)の世界のドラゴンだってことを知ったらな」

 

ミドガルズオルムも流石にはこの世界のことしか知らないはずだ。ただ、気づくかもしれない。アジ・ダハーカとアーシャのことを見ているからな。アジ・ダハーカに縁者がいるということは基本知られていない。彼女はもともとこの世界にいたドラゴンの子で、あちらの世界でうまれ、育った。アーシャはそれほど特別な存在なのだ。今度、そのことも交えてミドガルズオルムに教えてやろうと思う俺であった。

 そんなことを思いだし、対北欧勢とのことをあれこれと考えていると、俺のもとを尋ねる人物が一人。

 

「ねえ、イッセー。ちょっとだけいいかな?今時間ある?」

 

 

「ああ、ドライグか。いいよ、入ってきても」

 

 まさに今俺が思っていた切り札、赤龍帝ドライグである。

 俺はドライグを自分の部屋に入れた。

 

「う、うん。ありがとう」

 

[イッセーよ、ドライグとは二人で話せ。私は先に行っている]

 

「(あ、ああ・・・)」

 

 ニトラはドライグの姿をひと目見て、何かを悟ったように俺の精神世界の奥へと帰っていった。

 ドライグはすこしことばにを詰まらせ、礼を言った。にしても、勘違いだろうか?ドライグの頬が少しばかり赤いような気がしなくもない。

 たどたどしく入ってきて、ちょこんと俺のベッドに腰掛けた。こんな時間にドライグが俺の部屋に来るのはそう珍しいことでもないが、今日はいつもとは雰囲気が違っていた。

 

「それで?今日は一体どうした?いや、別に用がなかったらきちゃだめってことではないんだが」

 

 誤解されそうだったので、俺は言葉を補ってドライグに聴いた。

 すると、ドライグは少し間を開けて喋り始めた。

 

「うーんとね、その・・・ミドガルズオルムが言ってたよね?その、私の昔のこと・・・・・・・・・」

 

 ドライグは自分でも言いたくなさそうにいった。そこまでいいにくいことなのだろう、と思いながらドライグの言葉に耳を傾ける。

 

「それで、その・・・・イッセーはさ、私のことどう思ってる?」

 

 唐突すぎる質問に俺は言葉を失った。それにまず、質問が抽象的すぎて答えに迷う。そりゃあ、今も昔も俺を支えてくれたり、した時間をともにした仲だ。なんにせよ、判断材料が少ない。俺はもっと情報を引き出すことにした。

 

「どう、とは?」

 

 俺が困っているのもあってか、ドライグは喋りだした。

 

「ミドガルズオルムが言ってたじゃない?私の過去のこと。血で血を洗うなんて。イッセーからしたら、そんな血生臭くて、暴力的な女なんて、いい印象を抱かないでしょ?」

 

 それを聞いて俺は納得した。あのとき、ドライグが必死になって過去のことを話そうとするミドガルズオルムを止めようとしていたが、そういうことだったらしい。こちらの顔色を伺っているドライグ。少し目尻に涙を浮かべている。俺は目の前にいる女性の不安を取り除くべく、俺は本心を話した。

 

「別に、そんなことを俺は気にしちゃあいないさ。むしろ、いいんじゃないか?ドライグは、ドラゴンとして戦いをしていたんだろ?ドライグはドラゴンなんだから、戦いを求めるのは当たり前じゃないか?それに、女でありながら、それほどの強さになるまで力をつけてきたドライグを俺は尊敬するよ、カッコいいじゃん。赤龍帝ってさ」

 

「ほ、ほんと?じゃあ、私のことは・・・・・」

 

「嫌う理由がどこにあるの?むしろ好意しか抱いていないよ」

 

「そ、そうなんだ・・・・・・・・よかった・・・・・」

 

 俺の言葉を聞いたドライグは、先程までの自信なさそうな顔が一転し、嬉しそうに笑う。やはり、こうでなくっちゃな。ドライグは。

そういえば、ドライグの過去のことはあまり聞いたことがなかった。これだけ一緒にいても、俺は過去のドライグ、生前のことはあまり知らなかった。ただ、三大勢力に対して、相当な被害を与えながら討伐されたとしか聞いていない。ドライグに聞こうとしなかったという点もあるが、なんとなくドライグが言いたくなさそうだったからなぁ。今度はドライグに聴いてみてもいいかもしれない。

 話題を変えようと、ドライグは口を開く。

 

「そ、そうそう!イッセー、今度はフェンリルたちを相手にするのよね?大丈夫?」

 

「あ、ああ。心配するなよ、ドライグ。俺の今の実力はドライグが一番よく知っているはずだ」

 

 ドライグは、俺の修行を一番近くで見てきたんだ。それも、俺が生まれて弔い合戦で悪魔たち葬ったときからだ。あれからずっと共に強くなってきた。それでも、ドライグは心配しているらしい。しかし、こんなに気にかけてくれる人がいるのはとても嬉しいことだ。幸せというべきか。

 

「それはそうだけど・・・・・今までとは相手が違うじゃない?神なのよ?北欧のロキに、ヘル、それにフェンリルたちだよ?」

 

「わかっている」

 

 そう言われれば、今回が初めてかもしれない。神二体を相手にするかもしれないというこの状況だ。しかし、ロキやヘルはそんなに武神としての性質はあまり強くないと聞く。それに比べれば、雷神トールやオーディンのほうがはるかに強い。勿論相手は腐っても神だ。油断はできない。だが・・・・・

 

「なーに、大丈夫だって。ロキやヘルなんかよりも、よっぽどアジ・ダハーカやクロウ・クルワッハやアポプスを相手することのほうが質悪いだろ?今回は俺ひとりじゃない。ヤトや、日本の部隊もいるんだ。それでも、きつくなったら呼ぶから」

 

「イッセー・・・・約束だからね」

 

 ドライグや、ティアは俺にとっての切り札といっていい。今まで、ドライグやティアをこうした場面で戦わせていない。いや、正確には戦わせないように俺がそのようにもっていっている。ドライグが復活していることを悟られないためだ。ティアも、討伐はされていないが、こうして表舞台から姿を消しているのは知られている話。それを、ここでおおっぴらにしたら、また面倒だ。だが、それでやられたら元も子もない。そして、あのドライグの有無を言わさない鋭い眼。俺は絶対にやばくなったら応援を呼ぼうと誓った。

 

「・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

 と、あれから会話がなくなっている。お互いを見つめたままだ。だんだんと顔が赤くなる。やはり、さっきのことを引きずっているのか 

 

「えっ・・・・とそれじゃ、私、戻るから」

 

「あ、ああ。うん。おやすみ」

 

 パタン。

 この雰囲気に耐えきれなくなったドライグはさっさと俺の部屋を出ていってしまった。

 あとになって、とても恥ずかしいことをドライグに対していってしまったのだと思うと、急に恥ずかしくなってきてしまった。自分でも、顔が少し赤くなっているのがわかる気がする。

 

[フフフフ・・・・・見ていたぞ、イッセー。中々に楽しめた]

 

 そして、ここで絡んでくるニトラ。こういうことに関しては鼻が敏感なのである。

 

「というか、精神世界の奥に行ったのじゃなかったのかよ」

 

[何をいっている。あれはフェイクだ。私はイッセーに気付かれないようにドライグとのやり取りを見ていたぞ?]

 

「なんだと・・・では、あの会話はすべて、筒抜けだとでも?」

 

[当たり前だ。しかし、イッセーがあんなことをドライグにささやくとは。成長したなぁ]

 

「ぐっ・・・・・・仕方ないじゃないか、あの状況なら」

 

[まあ、及第点だな。だが、ドライグのあの曇った表情を消し去ることができたから良しとしよう]

 

 手厳しい・・・・・・・

 精神世界でニヤニヤしながらこちらをからかってくるニトラの姿が思い浮かぶ。きっと新たないじり材料ができて楽しんでんだろうなぁ。

そんなことを思いながら、俺は寝るまで対フェンリル用の魔法の強化作業を続けるのだった。

 

 ――――◆◇◆◇◆――――

 

 パタン

 私はイッセーと少し会話をしたあと、部屋をあとにした。廊下を歩いて、自分の寝床に行く。

 ガチャ

 自分の部屋のドアを開け、自分のベッドに飛び込んだ。

 今までは、妹たちと一緒に寝ていたけど、少し前、妹たちは自分たちだけで寝るって言い出し、妹たちだけの部屋ですやすやと寝ているはず。前まで、夜は苦手のようで私と寝ていたけど、成長したなぁとつくづく思う。

 今、この部屋には私しかいない。

 仰向けに倒れ、私はさっきのイッセーとの会話を思い出す。

 

『嫌いになる理由がどこにあるの?むしろ好意しか抱いてないよ。』

 

 イッセーが私にいってくれた言葉。その言葉が頭の中でループする。

 

「うぅ・・・・・」

 

 顔が熱い。顔が赤くなっているのが自分でもわかる。でも・・・・・

 

「うへへぇ・・・」

 口が勝手ににやけてしまう。

 嬉しかった。ミドガルズオルムが余計なことを喋ってくれたおかげで、私はイッセーに変に思われてしまったんじゃないかと心配した。今の世の中、人間界ではインターネットと呼ばれる一種の通信技術みたいなものがあって、そこで聞いたことがある。一般的に男はおしとやかな女性、守ってあげたくなるような女性、可愛らしい女性のほうが好まれる傾向が強いって。私の周りでいうとアーシャとか、妹たちとか、時々会うイッセーの昔からの知り合いとか。私はお世辞にもそれに近いとは言えないと思った。でも、それは杞憂だった。イッセーはむしろ、私に好意を抱いている、そう言ってくれた。私の耳がおかしくなかったら。聞き間違いではないよね・・・・・・・?イッセーの言葉があまりにも嬉しくて、本当に現実なのかと疑ってしまう。だ、大丈夫だよね・・・・・?

 私はあれこれと考えながら寝返りをうつ。

 にしても、復活してからというものいろんなやつに変わっただの、女性らしくなっただの言われる・・・・・・・・。昔の私ってっそんなにひどかったのかな・・・・・・?今思えば、少しショック。

 

「んん・・・」

 

でも、今日はとってもいいことがあった。おかげでいい夢が見れそうだ。

イッセーの好意がどういう意味での好意なのかわからない。でも・・・・・・・・・嫌われてないってことは、期待してもいいんだよね?

 私はそのような幻想をいだきながら眠りについた。 

 

 

 

 ーーーー◆◇◆◇◆ーーーー

 

 

 同時刻、世界のとある場所で世界を混乱に落としている組織、禍の団(カオス・ブリゲード)のなかの部隊である白龍皇チームが何やら様々な調べ物をしながら計画をしていた。 

 

「なあよぉ、ヴァーリ。本当に乱入するのかい?」

 

「なんだ美猴?不服か?」

 

 この集団のリーダーであるヴァーリは特別な書物を見ながら、美猴の質問に横目で答えた。

 

「俺はぜひともロキやフェンリルと戦ってみたい。なにせ、相手は神だ。神と戦える絶好の機会ではないのか?お前としても、新たな戦闘相手ではないのか?」

 

「そりゃ、そうだけんどよぉ~でもよぉ、今までの相手と違うぜい?フェンリルとか正直どうすんだよ?あれ、話に聞く限りアルビオンと同レベルだったんだろ?」

 

「まだそんな事を言っているのですか?美猴。いつものあなたらしくない。確かに、強敵ですが、だからこうして北欧に関しての勉強をしているのではないですか」

 

 美猴がなおも愚痴を言っていた。そこに、山のように積み上がった本の数々を持ってきた金髪の男が一人。品位のある高そうな服を着ている。

 

「へぇへぇ、わかったよ」

 

 妖怪、美猴はアーサーが持ってきた書物の一冊を手に取りながら渋々承諾した。ヴァーリたちが読んでいるのはまさに北欧に関連する書物諸々であった。ヴァーリはそのなかにある北欧の魔法に関しての本であった。北欧の魔法は世界でも突出していると言われており、その術式などは一般の者共やゴロツキが知ることはできないものだ。しかし、例外としては書物にある。世界の誰かが書いた魔法に関する書物がこの世界に散らばっているわけだ。ヴァーリが目を通しているものはそのうちの一つ。ヴァーリは先程から真剣に北欧の魔法について研究しているようだ。

 

「アーサー、これ持ってきたよ」

 

「ありがとうございます、ジャンヌ」

 

「ううん、どういたしまして」

 

 そこにジャンヌがさらに書物を持ってきて、テーブルにおいた。アーサーがジャンヌにお礼をいうと、ジャンヌは笑顔で応える。本当に嬉しそうであった。 

 

「どうやら、フェンリルには、これといった対処方法はありませんね。強いて言えば、あの牙さえどうにかすることぐらいでしょうか」

 

 アーサーは書物を読みながら言った。

 

「アーサー。俺達がフェンリルを抑えている隙に、その教会が謳っている偽の聖剣(エクスカリバー・ルーラー)でフェンリルを支配できるか?」

 

ヴァーリの狙いに気づいたアーサーは笑みを浮かべて言った。

 

「なるほど、わかりました。検討してみましょう。あ、そうそう。美猴、いろいろ調べているときに聞いた話ですが、あなたのご先祖様が動き出しているそうですよ。なんでも、龍王の玉龍(ウーロン)と一緒にあなたを探しているのだとか」

 

 アーサーが書物のページを捲りながらしれっと美猴に伝える。それを聞いた美猴は顔色がどんどんと悪くなっていき、ダラダラと冷や汗を目に見えて流していた。

 

「げぇっ!?ま、マジかよ、あのクソジジィめ・・・・・俺がテロをやっているのがバレたんか?しかも玉龍(ウーロン)まで!」

 

「ハッハッハ、孫悟空の初代か、それは面白そうだ。美猴、一度お前の故郷を訪ねてみるとするか?孫悟空と玉龍(ウーロン)に会ってみるのも楽しそうだ。」

 

 ヴァーリが冗談交じりにいうと、美猴はさらに顔を青くさせていった。

 

「おいおいおい、ヴァーリぃ、それはほんとにやめとけよぉ・・・・・・引退気味の玉龍(ウーロン)はともかくとして初代のクソジジィは正真正銘のバケモンだぜぇ?未だに現役っつっても差し支えねぇし、仙術と妖術を完全に極めてっからマジで手がつけらんねぇんだ」

 

「んにゃ~~、美猴がシバかれる未来が見えるにゃ」

 

「ちっくしょう・・・・・・おまえらよぉ、みんな他人事だと思ってよぉ・・・・・」

 

 周りからさんざんイジられるキャラ付けとなっている美猴。全員、美猴と初代孫悟空の話で盛り上がっていた。しかし、このときは全員思いもよらなかっただろう。この集まった子孫たちのうち、しごかれるのは美猴だけではなかったということを・・・・・・・・・・

 

 

 ――――◆◇◆◇◆――――

 

 

 

 時刻は午後六時を過ぎたところ。

 三大勢力にとって、決戦の時の数時間前であった。不動誠一は悪神ロキとの決戦ギリギリまで自身の精神世界に入っていた。目的は、そう。相棒であるアグニル対話をするためであった。アグニルを宿すセーイチは二人の少女の胸を揉みしだいて禁手(バランス・ブレイカー)に至ったのは周知の事実である。しかし、それと同時にアグニルはダメージを追ってしまった。それを改善すべく、セーイチは神器の中に潜っているのだ。

 

『・・・・・・・・・・・』

 

「・・・・・・・・・・・」

 

 セーイチとアグニルはこうして面と向かっていた。お互いに無言で喋ろうともしなかった。それを歴代最強の宿主、ハルがじっと傍観していた。このままじゃ何も進まないと思ったのか、ハルは口を開いた。

 

〈二人共、黙ってちゃあ、埒が明かねぇぞ〉

 

 その言葉を聞いて、アグニルは渋々口を開いた。様子を見ると、アグニルの精神状態は回復しているように見られた。

 

『ねぇ・・・・・・・相棒くんさ・・・・・・・』

 

「あ、ああ・・・・・・・・怒ってる?」

 

 セーイチは恐る恐る聞いてみる。セーイチも、セーイチで罪悪感を感じていた。

 

『いいや、僕は怒ってるわけじゃないんだよ。』

 

「え?」

 

 セーイチはぽかんとした表情をした。アグニルは続けた。

 

『確かにさ、君が禁手(バランス・ブレイカー)に至ったことは素直に褒めてあげるよ。でもさ、そのおかげで、ぼくらなんて呼ばれてるか知ってる?』

 

「お、おっぱいドラゴンです・・・・・・・・・・・」

 

 ギロリと視線をセーイチに向けながら言うアグニル。その気迫に気圧され、ほそぼそとセーイチは言うしかなかった。

 

『そうだよ、そうなんだよ。ぼくはさ、悲しいんだよ・・・・・・・・とある人に憧れて、力を付けてきた。それはそれは毎日毎日必死こいたんだよ?それでも、頑張ってぼくは龍王入りしたんだよ?それで?行き着いた先が『乳龍王』?『おっぱいどらごん』?本当に冗談じゃないよ・・・・・・・・ぼくのあの日々を、一瞬でぶち壊してくれたよね?ねえ?どうしてくれるのさ?ぼくは一生このままあんな巫山戯た名前で呼ばれると思うと、もう怒る気もわかないよ。泣けて来るよ・・・・・・・・グスッ・・・・・』

 

「その節は本当に申し訳ありませんでした」

 

 セーイチはアグニルの悲痛な思いと、涙をみて土下座を決める。それをみたハルはこのやり取りを仲介した。

 

〈まあまあ、アグニルよぉ。そのへんにしてやれって。セーイチも才能がゼロながらたどり着いた結果じゃねぇか。それに、今までのような運命も変えたんだぜ?これも一つの道だと思って、突き進んじまおうぜ?〉

 

「ハルさん・・・・・・」

 

〈オメーもだぞ?セーイチ。本当に強くなるなら、アグニルのことも考えてやれよ?女のことを考えるなとは言わねぇけどよ〉

 

「わ、わかりました」

 

『・・・・・・グスッ・・・・・・わかったよ。とにかく、この件はひとまずここで保留にしとくよ。ロキと戦うもんね』

 

 セーイチは必死の対話を続けたおかげで、アグニルとの関係をどうにかロキ戦に間に合わせることができた。

 と、セーイチは現実世界に帰還する。セーイチが外を見ると、もう日は暮れていた。

 時計を見ると、午後八時丁度。

 セーイチは慌てて仲間のところに合流する。

 

「お、おまたせしました」

 

「お、セーイチ、来たか。どうだ?アグニルは?」

 

「は、はい。一応、対話は成功しました。」

 

「おお、よくやった。セーイチ」

 

「はい、頑張ったかいがありましたよ」

 

 アザゼルは神器に理解あるので、少しアグニルの状況を心配していたが、セーイチの報告を聞いて安堵した。

 

「あ、セーイチくん。ごきげんよう」

 

 そこに、最上級悪魔の筆頭、ソフィアがセーイチに近寄ってきた。

 

「あ、ソフィアさん。助っ人っていうのはソフィアさんだったんですね!」

 

「ええ、そうよ」

 

 お互い、再開を喜んでいるようであった。

 

「でも、ベオグラードさんは一緒じゃないんですか?それに、お二人は眷属すらいないのに」

 

「ベオは別の件で出払っていたから、私だけなの。それに、眷属を私達サタン家が持たないのは前に話したでしょ?」

 

 セーイチがそれを聞いて、考え込んだ表情をした。セーイチは、冥界で修行をしたあと、サタン家の二人がなぜ眷属を持っていないか理由を聞いたのだった。そのセリフが、セーイチの中で過った。

 

 ◎◎◎――――――

 

『私達が眷属を持たないのはね、私達自身が、悪魔の駒(イーヴィル・ピース)にいい感情を抱いていないからよ』

 

『え?それって・・・・・』

 

『あれはまあ、お前に分かるように行ってしまえば、命を冒涜する行為だ。神以外なら、意志にかかわらず転生させてしまうものだ。あれを乱用しようものなら、他の神話が黙っているはずがない』

 

『他の神話に、悪い印象を持たれていると?』

 

『ええ。さらには、悪魔の駒(イーヴィル・ピース)に関してのこの制度。これじゃあ、眷属なんて奴隷も同然に扱う悪魔も出てくるし、黙認状態。残念だけど、私達が意見を押し通すのも難しい。だから、私達は行動に表すべく、悪魔の駒(イーヴィル・ピース)の受け取りを拒否したのーーーーーーーー』

 

 ◎◎◎――――――

 

「そ、そうでしたね・・・・・・しかし・・・・・・」

 

 理由を知ったセーイチは衝撃を受けた。しかし、それは悪魔の方針を否定しているも同然だった。セーイチはそのことを理解した反面、サタン家の考えも否定できるものではなく、そのことが気にかかっているようだった。

 

「ま、とにかく、今は目の前の敵を葬りましょ♪」

 

「は、はい。そうですね!」

 

 セーイチは考えることをストップして、目の前の敵に集中した。

 このあと、決戦の時間まで、グレモリー眷属と談笑などをしあっていた。

 

 




というわけでした。
いや、ほんと書く時間をとることができなくて困ってますよ。
さて、悪魔側にもこのような正常たる考えを持つ悪魔を、ということでサタン家の悪魔でした。再三言う。サタンよ、なぜ魔王にならなかった?サタンが魔王になれば、決していくつもの神話から敵意を向けられなかったのに・・・・・・
さて。次回はバトルでぇす。
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