ハイスクールD×D ―魔法使いと龍―   作:shellvurn 次郎

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どうも、えっちぃサキュバスさんとチョメるとあれが溶けて美少女にジョブチェンジできるんじゃないかと言うことを友人と議論したマユです。
ちなみにこの説を私は信じていまする。

我、今正にジョブチェンジせんとす。


No,L ~白龍皇チーム!~

「やあ、また会ったね」

 

ロキへと攻撃したのは俺ではない。勿論ヤトでもない。今代の白龍皇にして悪魔の血を引いているヴァーリ・ルシファーであった。

 

「イッセー殿、あれはもしや・・・・・?」

 

「ああ、ヤト。あれが今代の白龍皇だ」

 

「あれが・・・・・とはいっても、拙者は白龍皇をこうして実際に見るのは初めてでござるよ」

 

 ヤトは白龍皇似合うのは初めてだろう。珍しいものを見るように眼を白龍皇に向けていた。それに、史上最強の白龍皇。そのことも、ヤトならば気づいているはずだ。だが、俺が気になるのはやつだけではない。今日は白龍皇一人だけではないかった。白龍皇の仲間らしき集団。まずは会談の時にもいた孫悟空の末裔、美猴。そして、見覚えのある猫又、いや猫魈。金髪、おそらく俺と同じ欧米出身と思われ、正確な名前は分からないが、何らかの聖剣を携えている美少女。そして・・・・・・・・俺が今最も気になっている人物が一人。聖王剣コールブランドに加えてもう一つの聖剣を携えている。アーサー兄さんに瓜二つ、もはや本人ではないかと思うほどにそっくりな人物がいた。あそこまで似ているものだから、すこし感傷に浸ってしまう。唯一兄さん違うところと言えばメガネをかけているかいないか、それくらいだ。

 

「・・・つ!」

 

 どうやら、あちらも俺の視線に気づいたようだった。油断したな、少し見すぎてしまったようだ。しかし、そんなに気にする必要は無かった。アーサー兄さんそっくりさん、おそらく兄さんの末裔は俺にニコリと意味ありげな笑みを一瞬だけ見せ、すぐにロキの方へと視線を戻した。

 俺もそれにつられて白龍皇へ視線を戻した。

 

「久しぶりだな白龍皇、ヴァーリ・ルシファー。あの会談の時以来か。ところで、何をしにやってきた?」

 

「見て分からないかい?俺たちもキミに加勢しよう。見れば、キミたち二人しか戦力が残ってなさそうだ。それならば、これといった損害は減らせると思うがな」

 

 白龍皇が何を考えているかは知らん。が、どうやらこちらと共闘する気でいるらしい。確かに、白龍皇ならば戦力に関しては申し分ない。あれほどの実力者がいるならばヤトの部下たちを庇いながら戦うのが楽になるはずだ。

 俺が当事者であるロキをのけ者にして白龍皇と会話していると奴が割り込んできた。

 

「ほう・・・・・我に不意打ちをしてきた輩がいると思えば今代の白龍皇であったか。今日は実に愉快な一日だ。規格外の魔法使い、日本の龍にくわえて白龍皇!!なんと刺激的な日だろう!」

 

「ごきげんよう、悪神ロキ殿。唐突ではあるが貴殿らを屠りに来た」

 

「よかろう!!白龍皇一向、日本神話よ!!どちらも相手にしてくれるわ!!」

 

「ハハッ!そうこなくては!」

 

 白龍皇は不敵な笑みを見せ、戦闘態勢に入った。それにつられて白龍皇一向も戦闘態勢に入る。

 

『Vanishing Dragon Balance Breaker!!!!!!』

 

 白龍皇の身体表面に強大かつ高密度なエネルギーが集まっていき、それが白き美しい鎧となって顕現される。ったく、いつみても白龍皇の光翼(ディバイン・ディバインディング)はかっこいいじゃねぇか。

 バリバリバリバリバリィーン!!!!!

 白龍皇はあいさつがわりといった大規模な魔法をロキへと放った。子の空を全て覆うような攻撃はロキのみならず、フェンリルたちをも襲った。

 ドオォォン!!!!!

 ロキは自分に向けられたその大規模な魔法を防いだ。それによる地響きがこのあたり一帯を包んだ。白龍皇が放った攻撃、あれは北欧系列の魔法だった。どうやらこの戦闘にそなえて覚えて来たのだと予想される。俺から言わせればあれはいろいろとツッコミどころがあるのだが、まあそれは置いておく。

 

「北欧の魔術に少しは理解があるようだが、そんな付け焼き刃の魔法などでは効かん!!」

 

 それに関してはロキに同意だ。しかし、初学者にしては威力だけは褒められたもんだ。白龍皇の力という部分もあるだろうな。

 

「というわけだ。イッセー・ヴァーミリオン。ロキとあのフェンリルは俺たちが相手をする」

 

「お、おいおい!ちょっとま―――――」

 

「行くぞ、アルビオン!」

 

『ああ、いいだろう。北欧の悪神と魔獣フェンリル、相手にとって不足はない』

 

 ビシュン!!!!

 白龍皇は俺の反論を待たずしてロキとフェンリルに向かっていった。白龍皇だけではなく、やつの仲間まで。

まあ、これで戦力的には互角以上となったわけだが・・・・・・前と同じことが怒ったなこりゃ。しかも、今回はヤトもだ。

 

「イッセー殿、どうするでござるか?」

 

 同じくして対戦相手をぶんどられたヤトが困惑しながら言う。

 

「全く・・・・・あいつら・・・・一度までもならず、二度も・・・・」

 

 俺は恨み言をちょっとだけ吐く。しかし、それをヤトに聞かれていた。

 

「イッセー殿、まさか、前にも同じようなことがあったのでござるか?」

 

「まあ、な・・・・・しかし、今回ばかりはそうは言っていられそうにない。」

 

 俺はそう言いながら後ろにいるヤトの部下たちに視線を向けた。

 

「今はこいつらがいる。今の日本神話はとにかく人が足りない。そうだろ?」

 

「まあ、そのとおりでござる。それこそ、猫の手をかりたいくらいでござる」

 

 俺はヤトの傷を回復させながら言う。

 

「これ以上人を減らすわけにもいかんだろう。今日限りは乱入してきた白龍皇と共闘が望ましい。二人だけでヤトの部下を守りながら戦うのは難しい。中身に難がありそうなロキのことだ。こいつらに攻撃を向けたって不思議じゃない」

 

「済まないでござる。そうでござるな・・・・・わかったでござる。白龍皇が乱入する前にケリをつけられなかった拙者らの不手際でござるな」

 

「はは、全くだ」

 

 ヤトも納得したようだ。

 

「んで、どうする?あとの残った奴らのどれを相手にする?先に選んでいいぞ」

 

 白龍皇との共闘を決定したところで次は戦う相手を選ぶ話をする。

 カッ!!ドォン!!!ドン!!

 戦いの音がする方に目をチラッと向けると白龍皇一向がロキたち相手に俊敏な立ち回りを見せている。あのフェンリル相手でも全く危なっかしい雰囲気は感じられない。

  

「いいのでござるか?」

 

「ああ、構わない」

 

「では、拙者はあの子フェンリルの相手をさせてもらうでござるよ」

 

「んじゃ、俺は残ったミドガルズオルム擬きだな」

 

 戦う相手が決まったところで俺たちは行動を開始した。

 

「ハァッ!!!!!!」

 

 ヤトは紅桜を抜刀。

 こちらの殺気を感知したのか、子フェンリルがこちらに襲い掛かってくる。フェンリルの本能はすさまじいな。

 ガキィン!!!!

 ヤトと子フェンリルが相対する。紅桜と子フェンリルの鋭い爪がぶつかり合った。

 

「重い・・・・だが、親に比べたら軽いでござる」

 

 ギィン!!!

 ヤトが力押しで競り勝った

 シュバッ!!!!!

 子フェンリルの脇腹を切り裂き、大量の鮮血が噴出した。子フェンリルは悲鳴を上げる。

 傷が回復したに加えてフェンリルを相手にしていたヤトと子フェンリルではどうやらヤトの方が少し上だったようだ。

 俺は後ろを振り向いて白龍皇の方を見た。

 

「ふっ」

 

 ドゴォッ!!!

 

『ギャウゥン!』

 

 白龍皇の戦いを見ていると、流石は歴代最強と言われるだけはあった。

 あのフェンリル相手に近接攻撃に加えてあの強大なルシファーの魔力で翻弄している。

 

「おらおら!!いくぜわんころう!!」

 

 あの伝説の筋斗雲と如意棒を用いて戦う孫悟空の末裔。ロキ相手に涼しい顔をしながら次々とロキの攻撃を聖王剣で切り裂いて無力化しづづけている兄さんとうり二つの末裔。子フェンリル相手に慎重に立ち回っている金髪の少女と黒猫。どれもこれもうまい具合にロキたちを相手取っていた。

 どいつもこいつも相手にしたら厄介な奴らだ。ロキは白龍皇たちの巧みな連携、個々の強さに攻め切れないでいた、

 

「ええい!!厄介な奴らだ!いけ!!ミドガルズオルムたちよ!」

 

 ロキが先ほど召喚したミドガルズオルムのコピーたちに指示を出した。ミドガルズオルムのコピーたちはフェンリルと戦っている白龍皇の後ろから巨大な火球を撃ち出した。

 ドドドドドドォォォォォォン!!!!

 その攻撃は白龍皇へは届かなかった。俺はあえて白龍皇へ向けられた攻撃を全て魔法陣で防いだ。

 俺は白龍皇と背中を合わせる形で後ろに瞬間移動した。

 

「どうした?ヴァーリ・ルシファー。背中が完全にがら空きだったぞ?少し警戒心が足りていないのではないか?」

 

 俺が背中越しに白龍皇へ他愛もない言葉を吹っ掛けた。

 白龍皇は余裕の笑みを浮かべながら言った。

 

「なに、あの程度の攻撃などなんともなかったさ。キミが防ぐまでもなく、俺は避けられたよ」

 

「だろうな。まあ、これはいいとしてだ。俺はあのミドガルズオルムのコピー体をやってやる。そっちは好きにするんだな」

 

 俺はこの戦いにおける交渉まがいの話をチームのリーダーであろう白龍皇と始めた。

 

「意外だな。いいのかい?」

 

「別に構わない。今回はこっちにも連れがいるしな。そうも言ってられない。日本神話側も白龍皇との共闘は了承している」

 

「その日本神話側というのはあそこで子フェンリルを相手にしている者のことか?良く見ればドラゴンのようだが?」

 

 同じドラゴンを宿す者としての性なのか、ヤトにすぐに興味を示してきた。

 

「その通りだ。日本神話に所属しているドラゴンだ。今ここではヤトの意思が日本神話主神の意思だと思ってくれて構わない」

 

 俺の言葉を聞いて白龍皇はさらにテンションを上げた

 

「面白い。神とドラゴン。絶対に手を取り合わないに種族だと思っていたがこんな奴もいるとは思わなかった」

 

 この話に白龍皇、アルビオン本人が食いついてきた。

 

『聞いたことあるな。極東に変わったドラゴンが居るという話は』

 

「アルビオン、知っていたのか?」

 

『噂程度だがな』

 

「まあ、どちらにしても面白そうだ。剣を使うドラゴン。是非とも戦ってみたいな」

 

 まだ目の前に戦う相手が居るというのにもうすでに先のことを考え出している白龍皇。大物なのか、それともただのバカなのか・・・・

 

「戦場でおしゃべりとは余裕だな!だが、よそ見をしていると痛い目にあうぞ!」

 

 と、白龍皇と言葉を交わしているとロキがこちらに向けて攻撃を放とうとしていた。

 

「それはあなたもですよ、悪神殿」

 

「ぬおっ!?」

 

 だが、兄さんの末裔が攻撃を阻止する。いや、正確には攻撃をさせなかった。聖王剣の力で凄まじい斬撃を飛ばしてロキの魔術を切り裂いたのだ。あの使い方、とても久々に見た。

 

「チィッ!」

 

 ロキはいったん俺たちと距離をとり、ミドガルズオルムのコピーたち、フェンリルたちを下がらせた。

 こっちも白龍皇と共にいる俺たちの元にメンバーが集まってきた。集団でお互いが向き合っている状態だ。が、敵が一体減っている。子フェンリルが一体戻っていないのだ。

 

「悪神殿、一体倒させてもらったでござるよ」

 

 ヤトがこちらに合流した。ボロボロになりながらもだ。紅桜を握る左腕からは血が流れている。地上を見ると幾重にも体を切り刻まれて血まみれの状態で横たわっている子フェンリルがいた。ロキはその姿を見て苦々しく言った。

 

「くっ、スコルがやられたか・・・・・厄介な連中だ。我が野望も達成せねばなるまいが、それ以前に危険な奴らだ。ここで排除せねばあとで脅威となろう」

 

 あちらが戦闘態勢に再び入る。殺気がこちらに伝わってくる。

 

「黑歌、ジャンヌ。二人は準備をしてくれ」

 

 白龍皇がメンバーのうちの二人に指示を出した。何やら企んでいるらしいが。まあそれはいいとしてだ。

 二人が俺たちの後方に移動した。そこで最終戦の開始だった。

 

「俺はロキをやろう」

 

「では私はあのもう一体の子犬とじゃれあいます」

 

「拙者はフェンリルを相手取るでござる」

 

「んじゃ、おれっちも同じくフェンリルだな」

 

 即席の混合チームではあるが、みんな好き勝手に相手を決めていく。当然俺は残り物だ。

 

「はぁ、んじゃ、おれはあのミドガルズオルム15体だな」

 

 というわけでそれぞれの相手が決まる。俺たちは一斉にやつらへ攻撃を仕掛ける。

 

「行け!息子たちよ!!あの危険な存在たちを薙ぎ払うのだ!!」

 

 ロキたちもこちらに接近する。

 それぞれが決めた相手と相対する。俺は一番弱い相手だ。だが、数が多い。

 ゴォォォォォォォォォォッ!!!!!!

 ミドガルズオルムのコピーたちが一斉に炎をこちらに吐いた。

 

「ふっ」

 

 とてつもない巨大な炎を俺は防御魔法陣で防ぐ。確かに炎の威力はそこらのものとは比較にはならない。だが、邪龍(あいつら)が放つ炎に比べたら何も恐れるに足らない。

 それでもなお、ミドガルズオルムのコピーたちは俺に向かって炎を吐き続ける。

 

「見せてやる、見本をな。龍帝の豪炎(アラストール)!!!」

 

 俺は倍加で強化した龍帝の豪炎(アラストール)を奴らに放った。

 ゴォォォォゥン!!!!!

 龍帝の豪炎(アラストール)はミドガルズオルムのコピーたちの吐いた炎を簡単に押し返し、その体を焼く。

 

『グギャアァァァアァ!!!!』

 

 悲鳴を上げながらその身体が燃えていくミドガルズオルムのコピーたち。そして、跡形もなく灰と化していった。

 今の攻撃で一五体いたミドガルズオルムのコピーたちは九体まで数を減らした。

 

「おうおうおう!!!凄まじい火力だねぇ!!!」

 

 俺の攻撃の一部始終を見たであろう美猴がフェンリルを相手にしながら叫んだ。こっちはいいからフェンリルに集中しろってんだ。

 

「更に威力を上げる」

 

 倍加を掛け、魔法の威力を上げる。

 

「終わりだ、龍帝の豪炎(アラストール)!!!!」

 

 ゴォッ!!!!!!!!!!

 シュバババババババ!!!

 放たれた炎は残ったミドガルズオルムのコピーたちをまとめて灰燼に変えた。

 というか、直ぐに終わってしまった。

 

「バカな!!量産体とはいえ、十五体もいたのだぞ!それを・・・・」

 

 ロキは驚愕の眼をこちらに向けていた。 

 対して白龍皇は禁手(バランス・ブレイカー)となっているため表情は分からなかったが、面白そうに言った。

 

「あの魔法の威力があの一瞬で段違いなまでに上昇している。本当に面白い存在だ」

 

『あれほど興味をそそられる強者はそうはいない』

 

「こちらも早く倒さねばな」

 

「くっ!おのれぇ!!」

 

 ロキは激昂して、白龍皇に攻撃を放つ。

 

『DividDividDividDivid!』 

 

 ロキの魔法はアルビオンの能力の一つである半減で威力が下げられていき、限りなくゼロになってしまっている。

 

「ちぃっ!!厄介な!」

 

「神格にだけはこの能力があまり効果がない。ならば、それ以外のものに使わせてもらう」

 

 なるほど、良いことを聞いた。

 どうやら神格というものには効きにくいらしい。俺の半減魔法にはそう言った制約はないが。

 

「ハァッ!!!」

 

「伸びろ!!棒!!」

 

 フェンリルを相手にしているヤトと美猴は二人でどうにか抑えている。

 まあ、白龍皇たちが来る前はヤト一人でフェンリルを相手にしていたからな。まだ先ほどと比べて負担は軽いだろう。

 

「ふっ、ほら、こちらですよ」

 

『グゥゥゥ』

 

 兄さんの末裔に至っては完全に遊んでいた。子フェンリルは明らかにイライラしている。

 子フェンリルの攻撃を完全に見切っており、相手が好きを見せたときに攻撃を仕掛ける。 

 

「まずは視力を奪いますか」

 

 ザシュ!!

 聖王剣でためらいなく両目を潰した。

 

「次に爪」

 

 ザシュッ!!

 ヤトの紅桜でも切り裂けなかったほどの硬度を持つ爪をあんなにたやすく切り裂いた。

 

「最後に牙」

 

 ゴリュッ!!

 そして最も固いであろう牙さえも切り裂いてしまった。

 子フェンリルはその三連撃をあびて悲鳴を上げる。魔物にとって聖王剣のダメージはデカいようだ。明らかに動きのキレが鈍っている。

 動きの鈍い子フェンリルはまさに格好の獲物。全身を切り刻まれ、亡き物となってしまった。

 

「ふぅ、もう終わってしまいましたか。とはいっても、一番乗りというわけではないのですがね」

 

 子フェンリルをたやすく仕留めた。

 それだけではない。聖王剣の力もあるが、それだけでは爪や牙を紙のように切り裂くことは出来ない。自身の技量も相当なものだと見える。さらにはあれでまだ本気のほの字も出していない。恐ろしいな。本当に。

 ――――――兄さん。あなたの末裔はとんでもない逸材だ。

 

「ハティまで!!!なんてことだ!」

 

 ロキがもう動かない子フェンリルを見ながら悲しそうに言った。

 

「どうした?よそ見をしている暇があるのなら自分の心配をした方が良いぞ?」

 

 ドォン!!!

 

「グウッ!?」

 

 スキを見せたロキに白龍皇の魔術が突き刺さった。いくら神といえども相手は神をも超える存在になる可能性を持つ白龍皇の攻撃を食らったのだ。しかもほぼノーガード。ダメージはあるだろう。

 

「喰らっとけ!!!」

 

 ドゴォッ!!

 美猴の拳がフェンリルに突き刺さった。フェンリルの身体は分厚い皮膚で覆われているため、ただのパンチではびくともしない。しかし、フェンリルは明らかに苦しそうにしていた。

 

「ヘヘッ!仙術でおめぇの身体んなかちょちょっといじらせてもらったぜぃ。仙術を込めた攻撃の味はどうだ?さすがのフェンリルといえど体の中までは鍛えることは出来ないだろぅ?」

 

 なるほどな。

 しかけは仙術にあるということか。

 俺も詳しいわけではないが仙術は身体などに深く干渉できたりと特殊な力だというのは聞いている。あれで体内に何かをしたようだ。習得が難しいと言われている仙術をある程度は使いこなせるようだ。さすがといったところだ。

 

「未だぜぃ!ドラゴンの兄ちゃん!」

 

「助太刀、感謝するでござる!」

 

 シュバッ!!!!!

 ブシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!

 

 仙術で動きが鈍っている間にヤトが攻撃を叩き込んだ。

 先ほどと同じ箇所を的確に切り裂いた。フェンリルには巨大な切り傷が再び刻まれ、大量の鮮血を撒き散らしながら地に落ちていった。

 

「ヴァーリィ!!こっちは終わったぜ!!」

 

「そうか、あとは二人に任せよう」

 

「行くにゃん♪ジャンヌ」

 

「ええ」

 

 いつの間にか現れた黒猫と金髪少女がたった二人で巨大な鎖を宙に浮かせていた。

 弱ったフェンリルに対して鎖を巻きつける。あれは確かグレイプニル?こいつら、どれだけ用意周到なんだ。

 

「邪魔したな。あとは任せる」

 

 鎖を巻き付けたフェンリルとともに白龍皇とそのメンバーはいつの間にか集まっていて転移をして去っていった。

 

「ったく・・・・・あいつらフェンリルをどうする気だ?まさか飼いならすのか?」

 

 白龍皇のたちは堂々と乱入してフェンリルを持ち去っていきやがったのだ。最初から神殺しの牙を手に入れたかったとでも言うのか。

 

「イッセー殿・・・・・」

 

「ま、これであとはやつだけだ」

 

 残った俺とヤトはロキの方へと視線を向けた。

 

「おのれ白龍皇・・・・・・・最初から我がフェンリルが目的だったわけか・・・・」

 

 既にボロボロとなったローブを着たロキはよろよろとよろめきながら立ち上がり、俺達が浮いている同じ高さまで昇ってきた。

 フェンリルを奪われたことにたいそう腹を立てているようだ。

 

「ま、おかげでこっちは拍子抜けするほどサラッと終わってしまったがな。どちらにせよ、あとはあんただけだ、悪神ロキ」

 

 子フェンリル二体にフェンリル一体、紅いフェンリルに加えて十五体のミドガルズオルムのコピーもいない。

 

「クッ・・・・仕方ない。引きどきだな。我はここで失礼させてもらう。三度ここに現れ、次は必ず仕留めて見せよう―――――」

 

 そう来ると思ったぜ。ロキは悪名高いことで有名だ。ならば、自己保身に走るのは分かっていた。

 

「ぬっ!?何故だ!?転移が出来ないだと!?」

 

 ロキは魔方陣を用いてここから転移しようとした。しかし、ロキの姿はこの場から消えることはなく、ずっとそこに存在し続けていた。

 

「残念だったなぁ。悪いがこの辺一帯にすべての魔法魔術を封じる結界を張らせてもらった。つまり、ここであんたは魔法を使用することは出来ない」

 

「なんだとっ!?」

 

 この技は俺のもともと俺のものではない。邪龍アジ・ダハーカが元来持っている魔法の一つだ。ここで邪龍との戦闘で得られた知識が役に立った。

 こんな魔法までも使えるとは、流石は千の魔法を操るドラゴンだ。魔源の禁龍(ディアボリズム・サウザンド・ドラゴン)の名は伊達ではないな。

 

「馬鹿なっ!そのような力、もはや神の領域(レベル)だぞ!?」

 

 ロキは明らかに動揺していた。まさか、魔法に長けた自分が一切の魔法を禁じられるとはさすがの神でも夢には思わなかっただろうな。転移も魔法の一種として数えられる。ここで逃げ切る方法があるとすれば俺たちを倒す他ならない。

 

「グホォォォッ!?」

 

 俺はなんとも隙きだらけのロキの腹を一発殴ってやる。魔法に長けてしまうとその力に反比例して肉体が弱い。

 これは魔法を主に使うものには効果的だ。

 ロキは俺の連打に為す術もなく、ぼろぼろになっていく。

 

「おのれぇぇぇぇ!!!」

 

 ロキはヤケクソとばかりに俺に殴りかかる。ロクに体術などやっていないだろうその拳はあまりにも軽く、遅く、鈍かった。

 バキッ!!

 

「グハァッ!」

 

 ドォォォォン!!!

 俺はそんな攻撃を避け、ロキを踵落としで叩き落とした。

 そしてすぐさまトドメの攻撃に入る。

 

「グッ・・・・馬鹿な・・・貴様、何故魔法が使える!?」

 

 俺がこの結界の中で魔法が使えることに動揺する。

 

「いや、この結界内は俺も魔法が使えなくなる。が、一部は例外なのさ」

 

 アジ・ダハーカと戦った際にはこれに苦しんだわけだ。よって、一部のみではあるが結界内でも使える魔法になるように改良を施したわけだ。数は少ないがな。

 

「終わりだ、悪神ロキ。広域殲滅魔導収束砲(カルネージ・ストライカー)」  

 

 オレの目の前に出現した強大な魔法陣からは青白い太い光が放たれる。

 

「おのれぇ・・・・おのれぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

 ロキは青白い光りに包まれていった―――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「終わったでござるな」

 

「ああ」

 

「拙者は天照殿と通信をするでござる」

 

 と、ヤトはそう言って天照と通信を取り始めた。

 ちなみにロキは死んでもいないし消滅したわけでもない。神を消すのは今となっては簡単だ。しかしその影響は計り知れない。悪神ロキとはいえ北欧の一柱。消滅すれば影響は大きいのだ。おそらく北欧の奴らに更迭されるはずだ。

 そのあと、ヤトとその部下たちと戻るのであった。

 

 

 

 ーーーー◆◇◆◇◆ーーーー

 

 

 

 イッセーたちが戦闘を終えた直後、その知らせは天照のところに伝わっていた。

 

「そう、わかったわ。帰投してちょうだい。オーディン殿。悪神ロキは倒したとのことです」

 

「おお、そうかそうか。これで一安心じゃ」

 

 会談も終盤に差し掛かっているところ。オーディンは不安の種であったロキをどうにかおとなしくさせる事ができてホッと一息ついていた。

 

「それでのぅ・・・天照殿」

 

「北欧側の言わんとしていることは分かっております、オーディン殿。日本神話と北欧神話の同盟。しかし、今回のようなことがあっては少し不安が残るというもの。三大勢力の防衛部隊とやらもほぼ機能していなかった」

 

 天照は今回の件での問題点を指摘する。これにはオーディンも険しい顔を強いられることになる。

 

「ふぅむ・・・・・確かに今回はこちらに非があることは否めないのぅ。じゃがのう、天照殿・・・・」

 

「ええ。ひとまずこちら側としても前向きに考えたいと思っています。何もたった一度の会談で決めるのは早計でしょう。しかし、前向きに検討するのはあくまで北欧神話のみとの同盟。そこに三大勢力は含みません。そこは誤解なさらず」

 

「わかった。その路線しかあるまいな」

 

 こうして、第一回北欧神話と日本神話の会談が集結したのであった。

 

 

 




というわけでした。
少し筆が進まなかった・・・・・・・・

今執筆中の小説に加えて、新作を同時並行するか、もしくは一本に絞るか。参考までに意見を。

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