ハイスクールD×D ―魔法使いと龍―   作:shellvurn 次郎

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はいどうもこんにちわ。
最近ノベルゲームを買い込んでるのは良いけど全く消化できていない作者のマユです。
手を付けていないゲームが30こあります。PCにインストールしてそのまま放置状態。どうしよう。


No,LI ~新人獲得~

 イッセーたちがロキとの戦いを終えて少し時間が経過した頃、世界のとある場所では何やら怪しげな会話がされていた。

 

「白龍皇に孫悟空の末裔、アーサー王の末裔、ジャンヌ・ダルクの魂を継ぐもの、いやはやどれも化物揃いだ」

 

「それだけではないだろう?あの日本の龍。あれも凄まじい驚異だ。何よりも恐ろしいのはあの金髪の魔法使い。あれはそこが知れん」

 

「俺としてはぜひとも一線交えてみたものだ。同じ英雄の血を引き、魔法を極めるものとして」

 

「俺もだ。アーサーに加えてあの日本の龍。剣士としては全力の勝負をしてみたいね」

 

 ロキが日本の神々と主神オーディンに牙を向いたのはもはや周知の事実。それを分析しつつも戦うことを楽しみにしている集団だった。

 剣士、魔法使いなど様々な人材がそこにはあった。

 

「ヴァーリ・ルシファー。また腕を上げてやがったな。覇龍(ジャガーノート・ドライブ)を使わず、だったな」

 

覇龍(ジャガーノート・ドライブ)の攻略法はあるのか?」

 

「単純に持久戦に持ち込む、ということしか今のところ無いな。流石の歴代最強とはいえ、長時間あれになっていれば精神にも肉体にも致命的な影響を与えるだろう」

 

「幸いこちらには体力や魔力が消耗するのを加速させる神器(セイクリッド・ギア)がある。それ禁手(バランス・ブレイカー)に至らせて練度を高めれば対抗できるでしょ。そんなことよりもあの魔法使いはどうするのさ?」

 

「それに関しては適任がいるだろ?なあゲオルク」

 

「あまり期待しないでくれ。実際に見たわけでもないんだ」

 

「だが、知ってはいるんだろ?」

 

「ああ。偉大なるご先祖様の遺品にいろいろと書いてあったよ」

 

 ニヤリと不気味な笑みを浮かべている眼鏡をかけた魔法使いは分厚い辞書のようなものを周りに見せながら言った。

 

「そうか、頼むぞ。あれをなんとかできるのはお前しかいない」

 

「まあ、なんとかやってみるさ」

 

「それで?今後の予定はどうするんだ?」

 

「まずは、不動の存在である真なる赤龍神帝(アポカリュプス・ドラゴン)を呼び寄せんだろ?」

 

「ああ。そのように曹操から聞いているが」

 

 そのような会話をしているところに一本の連絡が入った。

 

「みんな、その曹操から連絡が入った。どうやらお目当ての龍喰者(ドラゴン・イーター)が見つかったらしい」

 

「へぇ・・・・これで、無限が有限に堕ちる時ももう近いな」

 

 また、新たに動き出す者たちがいるのであった・・・・・・・

 

 

 

 ――――◇◆◇――――

 

 

 そのころ、日本神話の戦闘部隊、並びに伝説の魔法使いの直系と共闘した白龍皇一向は次なる行動に出るための準備に出ていた。

 それに加えてペンドラゴンの末裔は教会の聖剣、支配の聖剣(エクスカリバー・ルーラー)で確保したフェンリルに突き刺していた。支配の聖剣(エクスカリバー・ルーラー)はフェンリルの眉間に突き刺さる。しかし、血が出るわけではなかった。

 

「これで、本来の力を失うことにはなりますが、こちらの支配下にフェンリルを置くことが出来ますよ」

 

 支配の聖剣(エクスカリバー・ルーラー)で刺されたフェンリルはサイズが小さくなっていき、その大きさは全盛期の半分以下、大型犬よりも二回り大きい程度となっていた。これで、ヴァーリたちの軍門に下ることになったフェンリルであるが、そのことに関しては嫌ではなさそうだった。

 

「ご苦労だった、アーサー。あとは、その傷を何とかせねばな」

 

 ヴァーリがフェンリルを見ながら言ったのは先の戦闘でヤトに着けられた巨大な傷であった。流石にこの傷による消耗は大きい。直ぐには死には至らないだろうが、このままにしておけばいずれ出血多量と妖刀の呪いで衰弱し、死ぬのも時間の問題だった。

 

「そうですね・・・しかし、傷をいやす力は今のメンバーには・・・・・」

 

 今代のアーサーが難色を示した時だった。二人の近くに魔法陣が突如出現した。

 

「なっ!?この魔法陣はまさかっ!?」

 

 アーサーだけはこの魔法陣に見覚えがあるようで、焦りを見せていた。

 

「ようやく見つけましたよっ!お兄様っ!!!」

 

 魔法陣から現れたのは一人の少女。十代位の年齢で、髪は金髪。一般的なイメージとして定着している魔女が身につけているような三角帽子をかぶっており、服装はどこでも見かけるような制服姿だった。

 

「ルフェイ!?何故ここがっ!?」

 

「そんなの、探し続ければ何とでもなります!それよりも、初代ご先祖様の時代から大切にされていた家宝のカリバーンを持ち出して、勝手に家を出て良くなんて!!一体どういうことですか?せめて、私に一言くらい言ってくれてもいいではありませんか?私達、兄妹ですよね?」

 

 この場にいるヴァーリを差し置いて、兄妹で言い争いに発展していた。ヴァーリはそれを無言でただ見ていた。いや、その話に入り込むタイミングがなかったのだった。

 

「それについては謝ります。しかし、ルフェイに言ったら絶対についてきたでしょう。私は自分自身の欲のためにルフェイを巻き込みたくはなかったのです」

 

「そんなことありません!水臭いじゃないですか、お兄様。私だって、家を出て外の世界を見てみたかったのです。だから、こうしてお兄様のもとへときました」

 

 ルフェイは兄であるアーサーの眼を見て自信の確固たる決意を突き刺した。

 

「戻れと言っても、戻らないようですね」

 

「ええ、さすがお兄様です。私のことをよくおわかりで」

 

 アーサーは説得を諦め、ため息を付きながら言った。

 

「頑固なところは昔からですね。わかりました。もう家に戻れとは言いません。ルフェイが好きなようにしてください」

 

「はぁ~い!じゃあ、好きにさせていただきますね、お兄様」

 

 兄妹どうしの話に決着がついたところで、ヴァーリが話を切り出す。

 

「終わったのか?」

 

「ええ、すみませんでした」

 

 アーサーはヴァーリを差し置いて話していたことを謝罪する。ルフェイも同様であった。

 

「お見苦しいところを見せて申し訳ありませんでした。あなたが白龍皇ヴァーリ・ルシファー様ですね。申し遅れました、私はルフェイ・ペンドラゴン。ペンドラゴン家の長女でこちらのアーサー・ペンドラゴンの妹です。これからよろしくおねがいしますね」

 

それに加えてルフェイは初対面であるヴァーリに礼儀正しく自身のことを明かした。慣れたようにスカートの短い裾をつまみ、ヴァーリに頭を軽く下げて一礼する。流石に高名なペンドラゴン家の淑女であって、教育がしっかりと行き届いていた。

 

「ヴァーリ・ルシファーだ。よろしくたのむ。俺のことはヴァーリでいい」

 

「わかりました!私のことはルフェイでいいですよ、ヴァーリ様っ!!」

 

「わかった」

 

「ところで、この魔物はなんですか?」

 

 ルフェイは早速アーサーの後ろに鎮座している大型の獣について尋ねる。アーサーがルフェイの問に答えた。

 

「これはフェンリルです。先程わたしたちで確保してきたものです」

 

「これがかの有名な北欧のフェンリルですか。ということはお兄様たちは北欧神話と戦ってきたということですか?」

 

「ええ。正確に言うならばロキだけですけどね」

 

 ルフェイはフェンリルと言う存在は知っていたようで、ヴァーリたちが北欧の神から分捕ってきたということまでも推理していた。ルフェイはずいぶんと博識であるようだった。

 

「あら?このフェンリル、怪我をしているようですね」

 

「ああ。こいつを生け捕る際に日本神話の龍がやった傷だ。俺達としてもこの傷を治療できず困っていたんだ」

 

「そうだったんですか。なら、私にお任せください!」

 

「やってくれるのか?」

 

「はい!」

 

 ルフェイはフェンリルに向かって魔法を発動する。黄色の魔法陣がフェンリルの傷口部分に現れた。すると、フェンリルの傷はみるみるうちに塞がっていった。ヴァーリやアーサーでさえ手をこまねいていた傷がいとも簡単に回復してゆく。

 

「終わりました。あの傷は、ただの傷ではなかったです。呪いに加えて毒性もありました。それで傷が中々塞がらなかったのだと思います」

 

 フェンリルの傷は塞がっていた。傷跡はそのまま残ってしまっているが、流血も止まっていた。また、ヴァーリやアーサーでは直せなかった原因まではっきりと理解していた。

 

「素晴らしい腕だな」

 

「流石ですね、ルフェイ」

 

 この手際にアーサーやヴァーリも素直に称賛する。

 

「いえいえ、とんでもないですよ。この世界にはもっとすごい魔法使いがいますから」

 

 ルフェイは謙遜する。今の魔法の技術といい、ルフェイほどの技量、なによりもこの若さでこの領域(レベル)に到達している人間は人間の片手で数える程しかいない可能性が高い。だが、ルフェイは確信していた。まだ見ぬ魔法があるのだと。

 こうして、ヴァーリたちに魔法の才能あふれる少女と北欧の神殺しの狼が加わることになったのであった。

 

 

 

 

 ――――◇◆◇◆◇――――

 

 

 

 

 ロキとの戦闘が終わってその次の朝、俺はいつもどおりの時間に起床する。そして俺と同じ時間に起床する伽倻とともに始まる朝。いつもどおりの静かな日常が戻った。

 北欧神話と日本神話の会談だが、北欧側としてはまずまずの成果を得られたのではないだろうか。結局同盟とまでは行かなかったようだ。まあ、流石に同盟を結ぶにはまだまだ問題が山積みなのは否めない。とはいえ、北欧神話と日本神話との間にはある程度のつながり(パイプ)ができたことに変わりはない。今後もおそらく日本神話は北欧との会談を余儀なくされるだろう。日本神話が牽制、圧力をかける対象である三大勢力とつながりを持っている北欧神話だが、どれくら日本神話は譲歩するのだろうか。今後も目を離せないな。

 それよりも俺は二つある世界最強と名高い神話の片割れ、聖典神話との会談が気になるところだ。聖典神話は今までどこともつながりを持たない一匹狼であったが、果たして日本神話との会談が成立するのだろうか。もし成功したら世界初となるだろう。聖典神話はいろんなところから警戒されているからな。

 

「イッセ、おはよ!!」

 

「あ、ああ。おはよう、ドライグ」

 

 そんなことを思いながら準備しているとドライグが起きてきた。大胆すぎる格好で・・・・・・。

 クッ・・・・最近ドライグの格好が刺激的すぎる。

 そんなことに悶々としながらも、意識を正した。

 

「で、イッセー。庭にいるあれはどうするの?」

 

 ドライグが言っている庭にいるアレ。それは先日戦った紅いフェンリルのことである。

 戦闘でロキは殺してはおらず、戦闘後に北欧側が連行、投獄したという。子フェンリル二匹は殺害、フェンリルは白龍皇たちが連れ去っていった。そして、あの場に残ったのが紅いフェンリルだった。非常に興味惹かれる存在であったので俺がここに連れてきたというわけだ。

 

「そうだなぁ・・・・・・ひとまず飼っていい?」

 

「えぇ・・・・・イッセー、本気?」

 

 割と真剣だったのに呆れられてしまった。

 

「だってさ、あの紅いフェンリル魔法を使えるんだよ」

 

「ええ?そうなの。ミドガルズオルムが言っていたことは本当だったのね」

 

 ドライグは魔法を使えるフェンリルの存在に懐疑的だったのだが、オレが実際に体験したことを伝えると驚いていた。やはり、赤龍帝からみてもそんな存在は珍しいらしい。

 

「ああ。魔法使いのオレからしたら面白いことこの上ない。それに、ミドガルズオルムに会わせてやるのにも、ここにいたほうが都合がいいだろ?」 

 

「そうは言っても伝説の魔獣よ?」

 

「心配するな。ここには神を軽く凌駕する伝説のドラゴンがわんさかいるだろ」

 

「・・・・・・・そうね」

 

 神を凌駕するドライグはその中の一人だ。

 その中に自分も含まれるということをオレの言葉から察したドライグは渋々了承した。

 

 

 

 

 ―――○●○―――

 

 

 

 

 そんなわけで、裏にある庭でぐっすりと寝ている紅いフェンリルのもとへとやってきた。

 相変わらずでかい図体をしている。

 ちなみにドライグも一緒だ。ドライグいわく、『フェンリルに敵意があってイッセーに襲いかかってきたら大変』、だという。別に問題ないのだけど、ドライグは頑なに意見を曲げなかった。

 このフェンリルは俺が構築した結界の中にいるので、こいつを手に入れて私利私欲に利用しようとしする様なやつらや駆除しようとするやつらが侵入することはない。

 

『・・・・・・』

 

「よお、起きたか」

 

 俺が近づくと紅いフェンリルは目を開け、俺を見た。

 あの時とは違う、覇気のこもった眼差しだ。やはり、こいつは本物だ。

 どうやら、ロキに掛けられた催眠魔法による影響はもうないと考えていいだろう。

 

『はい』

 

 その瞬間俺は驚いた。この目の前のフェンリルは確かに言葉を発したのだ。『はい』と。

 

「おまえ・・・・・言葉を理解するだけでなく、発することができたのか」

 

 このフェンリルだけでなく、ロキが生み出したフェンリルたちもおそらく言葉を理解することができていただろう。しかし、意思疎通を取ることはできていなかった。それなのに、このフェンリルは言葉を発し、コミュニケーションが取れるようだった。

 

『はい。あなたに礼を言います。あのときはありがとうございました。私を正気に戻してくれたこと。本来なら殺されてもおかしくなかったのですが、生かしてくれたことを』

 

「別に気にしなくていい。ミドガルズオルムの頼みだったからな」

 

『そうだったんですか・・・・・・あの子が・・・・・・』

 

 ミドガルズオルムのことをあの子、か。ミドガルズオルムもそうだがこのフェンリルも相当思い入れがあるらしい。お互いに大切に思っているんだろうか。通じ合っているのだろうか。ドラゴンと狼。まったくもって異なる種族だというのに、だ。人間の俺から見ても羨ましいと思った。

 

「合わせてやろうか?ミドガルズオルムに」

 

『良いのですか?』

 

「ああ、構わない」

 

 そして俺は早速、ドラゴンゲートを開く。今回はドライグと俺、ふたりだけでドラゴンゲートを開く。普通はもっと人数を割いてやるものだが、二人なのでかなりの力を使う。

 バチッ!バチバチバチ!

 魔法陣が現れ、龍門(ドラゴンゲート)が開かれる。前回同様にミドガルズオルムの意識を呼び出す。門はミドガルズオルムが司る灰色となった。

 

『んん?ああ、誰かと思ったらイッセーじゃぁないか。あの時ぶりだね』

 

 相も変わらず眠たそうにしている彼、ミドガルズオルムだが今回に至っては眠気もすっ飛んでしまうのではないだろうかと予想している。

 

「ああ。今日はお前に会わせるやつがいる」

 

 俺に変わって紅いフェンリルが龍門(ドラゴンゲート)の意思疎通できる範囲に入る

 

『久しぶりですね、ミドガルズオルム』

 

『えっ!姉ちゃん!?』

 

 予想通りの反応ありがとう。

 ミドガルズオルムは先程の様子が嘘のように変化し、ビシッとした姿になった。グレート・レッドを遥かに上回る長い巨体をとぐろを巻くようにしていたが今ではそれもなく、体を完全に起こしていた。なんなんだ?この差は。龍王の威厳そのものだ。

 

『ミドガルズオルム、あなたは噂通りの様子ですね』

 

『なななななな、なんのことかな、姉ちゃん。僕は今まで通りだよ』

 

『フフフ。まあ、それはいいのですよ。久しぶりですね』

 

『う、うん、久しぶり』

 

 なんか、俺たちを無視して二体だけの世界に足を突っ込んでいないだろうか?

 まあ、何にせよ、久しぶりの再開を喜んでもらいたいところだ。 

 

『姉ちゃん、どうしてイッセーのところにいたの?』

 

 ミドガルズオルムがこのフェンリルがオレのところにいた理由を問う。その問いには俺が応えた。

 

「ロキとの一戦でいたのさ。ロキに操られてたんだ。だから、こっちに連れてきたというわけだ」

 

『はい。私は悪神ロキに隙をつかまして。操られてしまったというわけです。挙句の果てにフェンリルの子を産まされてしまった。あれごときの軍門に下されるとは情けない』

 

『・・・・・・・・・・そうだったんだ。ありがとう、イッセー。姉ちゃんを無事に保護してくれて』

 

「いいさ。俺も面白い体験をさせてもらったんだ。」

 

 言葉を発し、魔法を放つ。そんな狼をこの間近で観察することができたのはとても幸運だったと言えることだろう。保護して運ぶことなんて何も苦ではなかった。

 

『にしても、ダディ・・・・・・・やってくれたね。絶対に許さないよ。姉ちゃんを操った。そして、貞操をも・・・・・・・。今度あったときは容赦はしない。』

 

 それはさておいて、ミドガルズオルムはもうすでにカンカンだ。自身の大切な存在を操り、汚されたのだ。これで怒らないほどやつは怠け者ではなかったのだ。先程とは豹変し、殺気が龍門(ドラゴンゲート)越しでもヒシヒシと伝わってきている。流石、腐っても龍王というわけだ。

 自分を生み出したロキをヤる気だ。親離れのときか。

 

『ミドガルズオルム、そんなやつのことはどうでもいいのですよ。落ち着いてください。私は、あなたにこうして出会えたことが何よりも嬉しいのです。』

 

『っ!ご、ごめんね姉ちゃん。』

 

『いいえ、それでも私のことを大切に思ってくれるのは嬉しいです』

 

 ・・・・・・・・なんなんだ?この姉弟。とたんにイチャつきやがって。

 あそこだけ雰囲気が違うじゃないか。

 まあ、とにかくだ。この姉弟には付け入る隙きがないのでこのままにしておこう。再会して話すことも多いだろう。

 

「ゲートはこのままにしておくからな。二人で過ごすと良い」

 

『はい、そうさせていただきます』

 

『うん、ありがとね。バイバーイ』

 

 俺とドライグはこの姉弟(カップル)を置いてここをあとにした。

 

 

 

 

 

 ―――●○●―――

 

 

 

 

 

 ミドガルズオルムと紅いフェンリルたちをあとにして今俺とドライグは買い物に来ていた。定期的に行かなければならない食材やらなんやらの買いだした。珍しく今日はドライグといっしょだ。 

 

「すごかったね、あの二体。私見てて恥ずかしくなっちゃった」

 

 と、ドライグは少し頬を赤くしていった。

 

「まあ、な。あんなに中がいいとは思わなかった」

 

「うん。羨ましいなぁ。私もあんなふうに・・・・・・・」

 

「ああ、そうだな」

 

「うえっ!?い、イッセー。もしかして、私と!?」

 

「あ、ああ。まあ、その、なんだ。あんな深い関係になる人なんてオレの周りには数えるほどしかいないからな」

 

「あ、うう・・・・・」

 

 ミドガルズオルムたちに当てられてオレもこんな話をしてしまった。ドライグは顔を更に赤くしてしまって俯いたままだった。それとなく言ってみたらこうなってしまった。

 

[なんだ、イッセー。お前もたまには言うじゃないか。お前はドライグのことをなんとも思っていないと思っていたが]

 

 何をバカなことを。あれだけ長く過ごしている人だ。何も思わないはずがない。だが、さっさとそういう関係に成れそうになかった。オレの中で、まだあの子のことが心残りなのだから。

 

[そうか。まあ、いい選択だ。曖昧な気持ちでドライグにそんなこと言ってもドライグが可愛そうだ。だが、かと言っていつまでもそれは許されない]

 

「(ああ、わかっている)」

 

 ニトラにそう釘を刺される。そうだな。いつまでもこれではだめだな。ドライグとの関係を進めるためにも、な。

 

「ん?」

 

 気を取り直してドライグと二人であるいていると、見知った人が路上で座っていた。哀れな格好で。

 

「うっ・・・・・うう・・・・・グスッ・・・・・・・」

 

 銀髪にスーツ。

 そう、この人は。

 

「ううっ・・・・・あれ?イッセーさん?」

 

 共に戦った北欧のヴァルキリー。ロスヴァイセさんだった。

 オレはドライグがいたが、流石にこの人を無視することは心が痛かったので、この人を連れて喫茶店に来た。

 ドライグとオレは隣同士で座り、ロスヴァイセさんは向かい側と言った形だ。

 

「イッセー、このひとは?」

 

「ロキと共に戦った北欧のヴァルキリーだ」

 

 小声でロスヴァイセさんには聞こえないように話す。ドライグは『あぁ、』と納得する。

 とにかくこんなところでは目立つので落ち着いた雰囲気の喫茶店にロスヴァイセさんとともに移動した。

 

「んで?どうしてあんな泥だらけで路上に?」

 

 ロキとの戦いが終わったあともこの日本にい他理由を聞いた。

 

「オーディン様に、オーディン様に置いていかれたんですぅ!!!!!!」

 

 ん?置いていかれた?どゆこと?

 ドライグも訳がわからないといって顔になっているだろう。あの爺さん、優秀な人をほっぽり出すとか何考えてんだ。

 

「それでぇ!!それで、どこにも行くアテがなくてぇ!!!!!」

 

 ロスヴァイセさんは突っ伏して泣き始めた。大声で。ここ喫茶店だから少しどころかとても目立っている。まあ、半分以上はドライグに注目しているが。そんな下心満載の視線を入店時から向けられているドライグは気にしていないようだった。

 

「イッセーさん!どうにか、どうにかしてくれませんかぁ!?」

 

 ロスヴァイセさんは大声で必死に頼み込んできた。

 フム。そう言われてもな。どうしようか。

 

「ちょっと、イッセー。まさか、うちに連れてくるつもりじゃないでしょうね?」

 

 ドライグは機嫌が悪くなっていた。どうやら知らない女を家に入れるのは嫌らしい。まあ、そんなことはするつもりはないからはっきりいう。

 

「ドライグ、それは考えていない。だからそんな機嫌を悪くしないで」

 

「そ、そう。それならいいんだけど」

 

 俺はドライグに真剣な目を向けて言う。するとドライグは直ぐに機嫌を直してくれた。

 さて、とはいえどうしようか。ロスヴァイセさんはヴァルキリーとしては優秀。また、魔法の使い手としても若くてまだまだ伸びる。これを活かせるところ・・・・・・・・

 

「あ、そうだ」

 

 思考していると妙案が浮かんだ。あるじゃないか。裏の事情に精通している人材を欲しがっているところ。ロスヴァイセさんならやっていけそうなところが!!

 俺は早速連絡を入れた。

 

『イッセー殿でござるか。今日はどういった件で?』

 

「至急、ここに来てほしいが、できそうか?」

 

『大丈夫でござる。では、今から向かうでござる』

 

 連絡した相手は日本神話実行部隊総隊長のヤトだ。

 

 

 

 

 

 ―――――

 

 

 

 

 

「なるほど。つまり、ロスヴァイセ殿をうちに入れると」

 

「ああ、そういうことだ」

 

 数十分後、ヤトも交えての会話だ。

 俺の答えは日本神話に丸投げすることだ。人手不足の日本神話の実行部隊にロスヴァイセさんをぶち込むのだ。日本神話側からしてもこの話は決して悪いわけではないはずだ。

 

「ヤトさん、お願いします。私もうここしか行くアテがないんです」

 

 ヤトの隣に座るロスヴァイセさんも必死に懇願する。救いの手がすぐそこまで来ているのだ。わからなくもない。

 両腕を掴まれてまで懇願されたヤトは以外にも考える素振りなく言った。 

 

「そうでござるな。ロスヴァイセ殿は優秀でござるし、魔法力も申し分ないでござる。拙者だけの権限では部隊を編成するのは無理でござるから天照殿にこの件を相談するでござる。まあ、よほどのことがない限りは大丈夫だと思うでござるが」

 

「ありがとうございますっ!!!ヤトさん!!!」

 

 ロスヴァイセさんは本当に嬉しそうにヤトに笑顔を向けた。これは、ただの親愛ではなさそうだ。

 こうして俺、ドライグ、ヤト、ロスヴァイセさんのお茶会はお開きになった。四人分の金を払って店を出る。

 

「イッセーさん、今回はありがとうございました。そちらのキレイな方も」

 

「ええ」

 

「気にしないでくれ」

 

 帰り際、ロスヴァイセさんに頭を下げられる。

 ロスヴァイセさんはドライグのことは知らないはずだ。そんなことよりも気になる男のもとへ行けることが嬉しくてそれどころではないだろうが。

 

「では、イッセー殿、ドライグ殿。拙者らはこれで」

 

「またな、ヤト」

 

「またね」

 

 ヤトとロスヴァイセさんは一緒に術で帰っていった。早速天照がいる高天ヶ原に行ったのだろう。

 

「イッセー、じゃあ行こっか」

 

「ああ、そうだな」

 

 俺とドライグも買い物の続きを再会したのであった。

 

 

 

 




というわけでした。
少しどころかだいぶ遅れたことをお詫び申し上げます。

今執筆中の小説に加えて、新作を同時並行するか、もしくは一本に絞るか。参考までに意見を。

  • 同時並行でもよい
  • 今の小説に絞る
  • 今のを少し停止して新しい小説を投稿
  • まかせる

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