ハイスクールD×D ―魔法使いと龍―   作:shellvurn 次郎

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本当に申し訳ないです。期間が空きすぎて。



No,LII ~西の妖怪勢力~

 とある日、禍々しいオーラを周囲に遠慮なく放つ剣を持った男が分厚い魔導書を読み込んでいる男に近づく。 

 

「やあ、ゲオルク。首尾はどうだい?」

 

 魔導書を読み込んでいる男は試しがてらに魔法を発動させながら応えた。その魔法は木の机が金属に変化していた。

 

「ああ、まあまあ、といったところだ」

 

「招待状は出せたのか?」

 

「当然だ、抜かりはない」

 

「果たして、彼は来るのかねぇ」

 

「来るさ。そうでなくては俺が困る。それよりも、曹操はどうした?何をしている」

 

「曹操なら、今人材探しに行っているよ」

 

「人材探しだって?」

 

 魔導書を読むことをやめ、剣を持った男の方へと向いた。剣士は自身の魔剣を懐にしまいながら言った。

 

「ああ。なんでも、優秀な魔法使いを見つけた、だってよ。仲間に加えたいらしい」

 

「優秀?だれだ?」

 

「先祖が大物らしいよ。それに、君が戦いたがっているあの魔法使いと深い関係があるとか・・・・」

 

「本当か!?」

 

 魔法使いの男が席を勢いよく立ちながら言った。

 

「ああ。本人がそう言ってたからな。お、噂をすれば」

 

 ちょうどタイミングのいいときに一人の男が現れた。先ほどの剣士が持っていた魔剣と対極とも言っていい神々しいほどのオーラと雰囲気を放つ槍を持っている。

 

「やあ、曹操。ちょうどいいタイミングだったね」

 

「それで、どうだったんだ?」

 

「ん?ああ、残念なことに逃げられたよ」

 

 槍を持った男がやれやれっといった表情で言った。

 

「逃げられた?キミからそんな真似ができるなんて、その魔法使いも相当だな」

 

「ああ。凄かったよ、彼女。」

 

「お前がそれほどまで言うのだから、ぜひとも仲間にしたいね」

 

 逃げられたというのに余裕そうに言う三人だった。

 

 

 ――――◆◇◆◇◆――――

 

 

 

 イッセーとドライグがいわゆる買い物デートをしているころ、冥界ではとある人物の復活を皆で喜んでいるところだった。

 

「やあ、セーイチくん。意識が戻ったようだね」

 

「サーゼクス様」

 

「お兄様!!」

 

 冥界、王都ルシファードで最も大きい病院で今代の紅炎龍児(エヴォリュシオン・ドラゴン)を宿すもの、布藤誠一は目を覚ました。ロキ戦において大ダメージを負い、今の今まで意識不明の状態であったのだった。

 

 そのセ-イチはベッドから身を起こしていて会話程度なら十分できるようになるまで回復していた。セ-イチの周りにはグレモリー眷属たちが見舞いに来ていた。そこに悪魔界のトップであるサーゼクス・ルシファーが来ていた。魔王の登場により、セ-イチ以外の全員が例のごとく膝をついた。

 

「みんな、今日はセ-イチ君が目を覚ましたって聞いて私的にお見舞いに来たんだ。気楽にしてくれ。」

 

「はい」

 

「わかりました、魔王様」

 

 サーゼクスは膝をつく眷属たちに楽にするように言う。眷属たちは了承して姿勢を元に戻した。

 

「それでセ-イチ君。気分はどうだい?」

 

「だいぶ良くなりましたよ。まだ戦いには参加できませんけど」

 

 セ-イチはサーゼクスの質問になんなく受け答え出来ていた。

 

「何を言っているんだ。そんな状態の君を戦いに参加させるわけにはいかないさ。せっかくドラゴンが悪魔側に来てくれたんだ。そんな貴重な存在を捨て駒のように扱えるわけがないだろう」

 

 サーゼクスはニッコリと笑顔をセ-イチたちに向けていた。

 

「そうよ、セ-イチ。今は体を大事にするときよ」

 

「そうですわ。無理をすれば確実に体に支障をきたしますわ」

 

 リアスや朱乃もセ-イチに言い聞かした。セ-イチは二度、神殺しの牙をその身に受けた。神でさえも牙に貫かれたら必ずといっていいほど消滅するはずだが、セ-イチは二度も生還している。とはいえ、ダメージは否めない。ここで無理をせず、療養するという選択はまず外せないだろう。

 

『ほんと、どうなるかひやひやしたよ、全く。相棒君は本当に運がいいね。あのフェンリルの牙を二度も喰らって生きているなんてね。こんなに運がいい宿主は君が初めてだね。ほかの宿主だったらこうはいかないよ』

 

 悪魔に比べればはるかに長い時を生きたアグニルでさえもセ-イチの運の良さを称賛するほどであった。

 

「セ-イチさん。ほんと、よかったですぅ」

 

「心配、したんですから・・・・・・」

 

 アーシアや小猫がセ-イチに寄り掛かる。

 

「ああ、ごめんな。今度はこうならないように頑張るから」

 

 セ-イチは二度と悲しませないようにと、二人の肩に腕を回していった。その言葉を聞いて二人、いや、みんなが顔を緩ませる。

 ガラッ

 サーゼクスの後ろからドアが開く音が聞こえた。そして後ろには涙を浮かべたサタン家の長女、ソフィアとその兄妹のベオグラードとシェリーがいたのだった。 

 

「セーイチくん!!!」

 

「ソフィアさん」

 

 ソフィアはセーイチの姿を見ると超速でベッドに駆け寄っていた。この速さには全員が驚く。

 

「よかった!!!よかったよぉ!!意識が戻って!!」

 

 涙やなんやらで顔をぐちゃぐちゃにしながら言うソフィア。あまりの勢いにセーイチ自身も反応に困る。

 

「ごめんね、私のせいで。私のせいで、こんなけがを負わせて・・・・・・・」

 

「ソフィアさん・・・・・・いいんですよ、ソフィアさんが無事で。体張った甲斐があったもんですよ!!」

 

 セーイチは目の前で涙を流している女の子を放ってられない気質だ。ソフィアをフォローすべく、このようなありきたりな言葉を発した。しかし、今のソフィアにはそれだけでも十分心に響いていた。

 

「セーイチくん・・・・」

 

 見つめ合う二人。そして気づいたときはもう遅し。すでに二人だけの世界になっていた。

 

「ちょっと、セーイチ。なにソフィアさまに変な視線を向けているの?」

 

 二人だけの世界から呼び戻すべく、リアスがセーイチにそれらしい理由をつけて耳を引っ張る。

 

「イタタタタ!!部長、別にそんな視線向けてないですって!!」

 

 二人はそれを気に現実に戻された。ソフィアは顔を少し赤くさせており、まんざらでもなさそうな雰囲気を醸し出していた。

 セーイチは気づいていないが、女性陣はソフィアがセーイチに対して少なくはない好意を向けているのを感じ取っていた。

 

「よお、セーイチ。元気か?」

 

 姉、ソフィアの暴走によって出所を失ったベオグラードが落ち着いたところでセーイチに一声かける。

 

「ええ、まあこんな感じっすよ。しばらく戦闘は無理ですがね」

 

 セーイチは病院の寝間着から包帯を見せながら言う。まだ包帯を巻かなければならないほどの傷であったことが良くわかる。

 

「そうか。セーイチ、礼を言うぜ。姉上を助けてくれたこと。サタン家次期当主としても、姉上の家族としても」

 

「セーイチさん。本当にありがとうございます」

 

 サタン家の長男と次女がそろって頭を下げた。サタン家という最上級悪魔という地位をもっている物が下級悪魔に対して頭を下げるというのは異様な光景であった。それほどまで、家族のことを思っており、その家族を助けたセーイチに感謝しているということだ。

 

「いえ、そんな!体が勝手に動いただけですって」

 

 二人が数多を下げているのは気が滅入るのか、必死で謙遜するセーイチ。

 

「いや、セーイチくん。それは誰にでもできる事じゃないさ。それもフェンリル相手にね。キミはまさしく。悪魔にとって目指すべき姿の一つかもしれないよ」

 

 魔王さえも今回のセーイチの働きは称賛するものだった。

 だんだんと賑やかになっていくセーイチの病院室であるが、そこへさらに現れる者が一人。

 

「はぁ~~い、セーイチくん」

 

「セラフォルー様」

 

 魔王セラフォルー・レヴィアタンもセーイチの見舞いに来ていた。

 

「元気そうで何よりだよ☆」

 

 今回は魔法少女の格好ではなく、濃い緑色のジャケットに黒い長めのスカートというものだった。

 

「おや、セラフォルー。今日はいつものあの格好じゃないんだね」

 

 サーゼクスが眼にするあのピンク色の格好ではないことに彼自身が以外そうに言った。

 

「まあね。今日は色々と大事な外交があったから流石にね☆」

 

「外交、ですか?」

 

「そうだよ☆三大勢力としては、これから日本の西の妖怪勢力といろいろ交渉と思っていてね☆京都の妖怪と打ち合わせがあるんだよ。なんでも、妖怪勢力は須弥山と会談するらしくてね☆」

 

 会談と聞いて、セーイチたちはまた顔がこわばる。過去に会談のときには戦いとなったからだ。今回も無事に進むとは思えなかった。

 

「セラフォルー様、でしたら今回は・・・・・・」

 

「そうだ。セーイチくんたちが修学旅行として行く京都で、ということになりそうだ」

 

「じゃ、じゃあ俺たちが今回会談の護衛として行くのですか?」

 

 セーイチが先読みしてサーゼクスに質問する。しかし、サーゼクスは首を横に振った。

 

「いや、それには及ばないよ。なんせ、セーイチくんは手負いの状態だ。それにせっかくの修学旅行だ。戦いのことはこの際忘れて、修学旅行を楽しんでくると良い。こちらのことは我々にまかせてくれたまえ」

 

「わかりました」

 

「では、私達はこのへんで」

 

「じゃあねー☆」

 

 サーゼクスとセラフォルーの両名はここでセーイチの部屋をあとにした。残ったセーイチたちはまだこの部屋で退院の時を待っていたのであった。その間、当のソフィアはというと、お節介すぎるほどにセーイチの世話をしたがっていた。

 そして退院の時。セーイチの部屋に看護師が来てそれの準備を一通り終わらせる。セーイチは病院着から普段着に着替えられこの病院をあとにした。

 

「セーイチ、退院おめでとう」

 

「おめでとうございます」

 

「体は大事にしてくださいね、先輩」

 

 人間界の布藤家に帰宅すると周りから祝福の言葉を掛けられる。セーイチはそれを嬉しそうにしながらも心に誓った。久々に平穏を迎えた兵藤家では修学旅行へと話題が移り変わっていったのだった。

 このまま、何事もなくセーイチたち二年生は修学旅行という一大イベントを迎えるが、その行き先が京都ではなく、沖縄になっていることはまた別の話である。

 

 

 

 

 ――――◇◆◇◆◇―――― 

 

 

「にいた~~ん!!!お手紙が来てたよ!!」

 

「お、ありがとな、ルル」

 

「えへへ、どういたしまして」

 

 数日後の朝のことだ。

 ルルが玄関のポストから手紙を持ってきてくれた。ルルにお礼を言って頭をなでると嬉しそうにはにかんだ。うん、愛らしい限りだ。さながら太陽のような輝かしい笑顔である。 

 

「ん~~と、誰からだぁ?」

 

 ルルからもらった手紙を開封し、内容を確認する。

 

「ああ、なるほどな。もうそんな時期になっていたのか」

 

「イッセー?手紙?」

 

「ああ、京都の妖怪。八坂からだよ」

 

「ああ、あの化け狐ね」

 

「おいおい・・・・・」

 

 ドライグは仮にも西側の妖怪勢力のトップをそのように呼んだ。確かにドライグと八坂は古くから存在する伝説の存在同士でドライグのほうが格上ではある。しかしこんなにも嫌悪を表すかのような言い方をしている。ドライグは何故か八坂をよく思っていないようだった。少なくとも仲は悪そうだ。

 そう。手紙の送り主は他でもない。この日本に古来から住む異形の存在。妖怪の西側勢力の長、八坂からだった――――――――

 

 

 

 

  ―――●●〇●●―――

 

 

 

 

 八坂からこうして手紙が送られてくるというのはただのあいさつ、という面もあるだろうが本当の目的はそのほかにあるのだ。

 というわけで、今リビングにドライグ、ティア、俺、妹たち、そして今回の当事者になるだろう伽耶を集めた。

 

「みんな、というわけだ。俺は京都、正確に言うと裏の京都へ行く予定だ」

 

「ふぅん・・・・・・・イッセーはあの狐に会いに行くんだ」

 

 ドライグが何故か不貞腐れているように言った。明らかに不機嫌なご様子である。

 

「別にそういうわけではない。というか、ドライグも分かっているだろ?この時期なんだからよ」

 

「まあ、ね・・・・・・」

 

 納得はしていないようだが、少しは分かってくれたようだ。だが、今回はいつもと違う。いつもは俺だけで京都に行っているが、今回はみんなに違う提案をしてみる。

 

「まあ、今回はみんなで行ってみることにしないか?」

 

「ここにいる全員でか?」

 

 俺が提案すると、ティアがすぐに食いついてきた。

 

「にいたん、にいたん。キョートって?」

 

「確か、西のほうにある古からある都市・・・・」

 

「ねえ、にぃに。そこって楽しい?」

 

 妹たちが一気に質問してくる。みんな、好奇心というものが強いのだろう。ドラゴン、そして多感な年ごろに入りつつある妹たちだ。気になって仕方ないのだろう。というか、クロア。博識すぎないか?古からある都市って普通はその年で表現する言葉じゃない。流石だな。鍛錬だけでなく勉強までしてるとは。

 

「ああ。こっちじゃ見られないものばかりあるからな。経験として行ってみたほうがいいだろう」

 

「本当ですか?おにいさま」

 

「ああ。いい機会だからな」

 

「わーい!!旅行だぁ~~!」

 

 旅行と聞いて一気にはしゃぎだす妹たち。三人ほど落ち着いているが、表情を見ればワクワクしているのは同じようだ。

 

「それで、その。イッセーさん。私も今回行くというか、当事者というのはどういうことでしょうか?」

 

 なぜ自分も行くのだろう、と疑問を捨てきれないような表情をした伽耶がこの少し騒がしい部屋で俺の耳の近くで尋ねる。

 

「ああ。そうだ。伽耶、君の故郷に行くんだ」

 

 伽耶は意表を突かれたかのような気の抜けた顔になる。

 

「こ、故郷、ですか・・・・?」

 

「ま、君の故郷といったら少し語弊があるな。正確には君の母の故郷らしいぞ」

 

「お、お母さんの・・・・・・・」

 

 そう、今回は京都へ行くことに加えて、伽耶の正式に住む場所となるかもしれない場所に行くことだった。

 

 

 

 

 

 

  ―――●●〇●●―――

 

 

 

「みんな、荷物は持ったな?」

 

「うん!!」

 

「抜かりはありません」

 

「大丈夫だよ」

 

 俺の声に元気よく反応してくれる妹たちに、それを後ろからニコニコと綺麗な笑顔をしながら見守るドライグとティア。そして、楽しそうにしながらも複雑そうな表情をしている伽耶。今回は大所帯だ。この人数で移動するとなるとはぐれる可能性が出てくる。しっかりとしていなければな。

 今回は流石に人数が多すぎたので前回同様に転移魔法で目的地へ向かうことにする。旅としてはロマンのかけらもないけども。

 

「みんな乗ったな。じゃあ、行くぞ」

 

 全員と荷物を載せたことを確認して俺は転移魔法を発動させる。転移する場所はあらかじめ決められている。一般人からすれば、いきなりなにもないところから人が現れたら驚くだろう。目立ってしまうのは目に見えている。俺たちは一目に着かない京都市内の端に転移する。

 シュン、と転移の音をたてながら一瞬で目的地に到着する。

 目の前には一般人が認識できない寺院がたたずんでいる。ここはいわゆる裏側のものたちが使う、表の京都にある施設の一つだ。京都に転移するときはだいたいこの場所が集合場所となることが多い。

 現在の時刻は午前十時。約束の時間だ。

 ちょうどだった。目の前の寺院の門が木と木が擦れあう年季の入った音をたてながら開いていった。

 

「お待ちしておりました。イッセー殿」

 

 開かれた門から姿を現したのは一人の少女だ。だが、人間ではない。姿はそっくりだが、頭にピンと立った耳と後ろでふわふわと動いている尻尾がついている。裏の京都に身を置く妖狐だ。この京都ではもっともよく見かける種族の一つである。

 昔から続いているという赤と白の巫女服を着ている。

 少女はお辞儀をこちらに深くした。

 

「ああ、時間通りだ。久しぶり、大きくなったな、月夜」

 

 目の前にいるこの妖怪の名前は月夜(つきよ)。この京都の長、八坂の一人娘である。

 端正な顔立ちに妖怪特有のこの妖艶さ。まさに八坂の遺伝子を受け継いでいるだけあって男が好きそうな容姿である。

 

「はい、お久しぶりです。イッセーさん。イッセーさんのお連れの方もこちらへ。」

 

 俺たちは月夜の後についていく。俺たち全員が境内に入ると門は閉められる。

 

「では、今から裏の京都へ参ります」

 

 境内の建物にはいり、月夜は呪札を取り出した。呪文をとなえると、目の前に現れたのは扉だ。

 そう、ここから裏の京都へ向かうのだ。昔はこんなことしなくても行けたのだが、色々な事情があるのだ。その話はあとにしよう。

 裏の京都へ入ると景色ががらりと変わる。

 濃い霧と暗がり。妖怪たちが好むこの空気。表では昼だが、こっちは夜だ。

 

「真っ暗・・・・・」

 

「そとではあんなに明るかったはずですのに・・・・」

 

「すっごぉ~~いい!真っ暗!!」

 

 初めて見る光景にキョロキョロと周囲を見回し、ワイワイと騒いでいる。 

 魔物に近いドラゴンにとってもこの環境は悪いわけではない。すぐに適応できるだろう。むしろ、人間にはあまり居心地は良くない。

 裏の京都のは木造の建物がずらにと並び、妖怪たちでにぎわっている。日本の本に出てくるような妖怪たちがたくさんいる。妹たちは興味深そうに妖怪たちを見ている。その一方伽耶は母親以外の同族たちを見るのは初めてなのか、緊張しているようだった。

 

「皆様を宿泊する宿へと案内します。そこはこちら側の人間が経営しているところなのでご安心を」

 

 どうやらこちらに気を使ってくれたらしい。まあ、そちらのほうが慣れているのでありがたいが。

 

「皆様はこちらへ。それと、イッセー殿と伽耶殿はわたしとこちらへ」

 

 宿に着くと、俺と伽耶は月夜と一緒に総本山のもとへと向かうように言われた。ドライグたちとはここで一度お別れということになってしまう。

 

「えっ?イッセー、一緒に今日は行かないの?」

 

 ドライグは俺のもとに寄って、心なしか悲しそうに言った。そんな表情されたら一緒にいたくなるじゃないか。

 

「ちょ~~っと八坂に挨拶するだけですぐ帰るよ」

 

[八坂といやらしいことをするなよ、イッセー]

 

「(んなことしねーよ、ニトラ)」

 

 ニトラが話をエロい方向へもっていくがそれを軌道修正する。

 ともかくドライグたちと別れ、俺と伽耶は八坂のいる御殿へと向かった。

 八坂がいるのは裏の京都の中心部。八坂がいなくてはここは成り立たない。中心に近くなるにつれ、妖怪たちの姿が変わってくる。屈強なまでに鍛えられた兵士たちの数がどんどん増えている。八坂たちを守る警備隊たちだ。

 しばらく歩き、門へと到着した。

 

「月夜です。お客様をお連れしたので通してください」

 

「はっ」

 

 月夜が一声かけただけですんなりと通ることが出来た。流石は京都の姫。

 そして、本殿の前に数人の姿が目に入った。周りには護衛部隊。そしてその中心には俺の知った顔と知らない顔がいた。

 

「久しぶりやじゃなぁ、イッセーはん」

 

「ああ、久しぶりだな。八坂」

 

「一先ず、あがってぇな。そちらの子も」

 

「は、はい」

 

 俺たちは本殿の方へと案内され、応接室に招かれた。もちろん、和風の応接室だ。座布団の上に正座。これは慣れるまできつかった。

 

「では、イッセーはんに頼まれたことから話そうかのう。伽耶、といったな?」

 

「は、はい!」

 

 伽耶は目の前の大妖怪、八坂にタジタジであった。まあ、仕方ないか。今まで同族を見たことのなかった子が妖怪の長を相手にしているんだからな。

 

「そなたの母親のことはすでに調べてある。そなたの母親、(みやこ)はここ京の者じゃった」

 

 少し前、この子の家族のことを八坂に調べてもらうように言っていた。そして、今回こちらでその結果を聞きに来たわけでもある。そして、伽耶のこれからの身の振りを決めるため、これが第一の目的だ。

 

「そ、そうなのですか・・・・」

 

「いかにも。実際に京は下級の妖怪ではあったが力のあるほうじゃった。彼女は神社の巫女をしていたんじゃ。その場所も判明しておる。今日は遅いから明日にでもその場所にいってもよかろう」

 

「は、はい・・・・ありがとう、ございます」

 

 伽耶にとってはどれもこれもすぐには受け止めきれないだろう。俺が助けたときはすでに一人でいた。悪魔などに襲われもしていた。両親とどれくらいの期間を過ごしたのか知らないが、苦労していたはずだ。家族ともども散りじりになって。

 少し重い話になったが、俺は先ほどから気になっていたことを八坂から聞いた。 

 

「なあ、その子は誰だ?」

 

 八坂のとなりに先ほどから黙って座っている小さな子。こちらをず~~~っと見つめている。八坂や月夜とおなじ耳、尻尾。しかも九尾。まさかとは思うが・・・・・・・・

 

「ん?九重のことかえ?この子はわしの娘じゃ。ほれ、あいさつせい。この方が前話した人じゃ」

 

「は、初めましてなのじゃ、わ、わしは九重と申す。そ、その、よろしく頼むのじゃ、イッセー殿」

 

 噛みっ噛みの自己紹介をする八坂の次女、九重。どうやら人見知りらしい。

 にしても、ここ十年くらい京都に行かなかったのだが、二人目がいたとは。知らなかった・・・・・・いつのまに二人目を・・・・・

 

「おう、よろしくな、九重」

 

 そんなことを考えながら俺は九重言うのだった。

 

 

 

 




最近いろんな意味で執筆が出来ないです
また、魔源の赤龍帝の方が書きたくてこちらがはかどらなくてヤバいです

今執筆中の小説に加えて、新作を同時並行するか、もしくは一本に絞るか。参考までに意見を。

  • 同時並行でもよい
  • 今の小説に絞る
  • 今のを少し停止して新しい小説を投稿
  • まかせる
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