どんな夢を見たのかと聞かれると詳しく説明はできないけれど、確かに奇妙と思われる夢を見た。
現実と幻想の境界で揺らぐような、未知の感覚に包まれる気がした。
彼女は幻想。俺達は現実。その間に引かれる境界線は酷く曖昧で、気が遠くなるほどに虚ろだ。
それでも、俺達は前に進もうと思う。
彼女が待っているであろう、あの境界を目指して――――
最近よく、不思議な夢を見る。
どんな夢を見たか、と聞かれて詳しく説明できるほど記憶に残っているわけではないが、なんか、こう、感覚的に奇妙な夢を見た気がするのだ。具体的には言えないけれど、言葉に言い表せないほどの不思議な夢をここ最近頻繁に見ている。
そう、言うなれば、この世界にはあり得ない幻想の中へと飛び込むような――――
「どうせ貴方の思い込みじゃないの? ほら、貴方って虚言癖と妄想癖の塊だから」
「人がいい感じで幻想の余韻に浸っているのに夢をぶち壊すような発言すんなよ」
「だって事実でしょ?」
「否定はしないけどさ……」
見続けていると吸い込まれそうな心地になる紫の瞳で俺を見上げながらも小動物のようにコクンと可愛らしく首を傾げる少女の言葉に、俺は眉間を抑えつつ心の中の悔しさを呻き声として放出するしかなかった。文句を言おうと思えば後三十分はペラペラ口を動かすことはできただろうが、変なところで芯のしっかりとしたコイツと口喧嘩をしたところで行き着く先は平行線だ。
はぁ、と行き場のない虚脱感を溜息に乗せながらココアを口に含む。ここのファミレス店長オススメの一品らしいのだが、俺にはどうも他のココアとの違いが判らない。目の前の金髪少女は「使ってる素材が違うわねー」と知った風な口を叩きながらココアの味を楽しんでいるのだが……俺が味音痴なだけだろうか。
なんか俺が無能に思えてきたので、カップを回して無駄に香りを楽しんでみる。
「うん、やっぱ他のとは匂いが違うよな」
「ココアはコーヒーとかと違ってあんまり香りの違いは出ないんだけどね」
「…………俺は鼻がいいんだよ」
「あらそう」
しまった、と思った時にはもう遅い。俺のハッタリを一瞬で見破った彼女は心底ムカつく笑顔を貼り付け、俺を小馬鹿にするように一瞥していた。負けを認めたくなかったために言い訳の一つでもしてみたが、やはり得られたのは空しさと後悔だけだ。くそぅ。
「慣れないことするからよ、馬鹿ね」
「ふふん♪」と得意気に鼻を鳴らす少女。彼女が愛用しているナイトキャップと紫のドレスのせいでいちいちどこぞの令嬢に見えるのがなんとも腹立たしい。いや、実際育ちは良いらしいんだけど、コイツは自分の立場と魅力を十二分に理解したうえでこういう所作を見せてくるからタチが悪い。性格が悪いとも言う。
何がお気に召したのかソプラノボイスで小さく歌を口ずさむ彼女。確か一昔前に流行ったクラシックだったか。懐古趣味をお持ちになっているコイツらしいチョイスとは思うが、もう少しこのご時世に乗っかっても罰は当たらないとは思う。ま、そこら辺は本人の自由だから俺は口出ししないが。
時折ウインクを飛ばしてくる金髪女に舌を出しながらも、俺は大仰に嘆息する。
マエリベリー=ハーンというのが、彼女の名前だ。
初めて会ったのは、大学に入学してから一週間が経過したある日。キャンパス内を適当に歩き回っている最中に、コイツはいきなり俺に声をかけてきたのだ。
『貴方、幻想を見つけてみたいとは思わない?』
ダッシュでこの場を去りたいと思った俺は、おそらく正常な思考能力の持ち主だ。変なオカルト思想の女から逃げ出したいと本気で思った俺を責める奴はいないだろう。それほどまでに、衝撃的な勧誘だった。
心底逃げたいという衝動に駆られながらも、一応話を聞いてみようとした俺を誰か褒めて欲しい。さすがに無言で走り去るのは人としてどうかと思ったので、最低限の会話だけでもしておこうと俺は彼女の二言目を待った。
『私達は秘封倶楽部。この世界に秘められた幻想を解き明かす、現代のインディ=ジョーンズよ』
二秒で後悔した。
もう常識がどうとかモラルがこうとか言う前に、根本的な考え方の部分で崩れ落ちてしまいそうだった。厄介な奴に関わっちまったと内心地団駄を踏んでしまったのは俺だけの秘密だ。
これ以上関わるのはやめよう。適当に愛想笑いを向け、足早に立ち去ろうとした俺だったが、最後にコイツが残した言葉が嫌に頭に残った。
『貴方はきっと来てくれる。なんだかそんな気がするの。何故だかわからないけど……私は、貴方を信じているわ』
そう言って優しく笑う彼女の顔は今までに見たことがないほどに美しく、そして妖艶な輝きを放っていた。思わず胸が高鳴り、顔が火照ってしまったことは言うまでもない。
その後一日中考えた結果……、
(結局、入部しちまったんだよなぁ)
俺自身押しに弱いわけではないのに、何故か彼女の勧誘を断れなかった。彼女の美しさに惹かれたのか、幻想という二文字に魅了されたのかは分からない。無意識のうちに、俺は真っすぐ秘封倶楽部の部室を訪れていたのだ。
まぁ結果的にはサークルの活動も楽しいし、コイツともう一人のメンバーも愉快な奴だったから後悔はしてないけどさ。
「なぁに? 突然ニヤニヤしちゃって」
「……いや、そういえばメリーは初めて会った時からいけ好かない感じだったなぁって思ってさ」
「失礼な。こぉんな綺麗な女の子に声かけてもらえただけでも光栄だと思いなさいよ」
「内面がもうちょっと整っていたら崇拝していたろうよ」
「死になさい」
ビシッと親指を地に向け虫を見るような視線で俺の全身を貫くメリー。……ちなみに、メリーというのはコイツの渾名だ。本名はマエリベリーなのだが、発音しづらい上に面倒くさくて胡散臭い名前なので俺と前述の三人目がその場の勢いで命名した。本人は結構嫌がっているのだが、俺達的には結構グッドなネーミングなので彼女の意志を全力で無視している。最近では反論することに疲れてきたようでメリー呼ばわりを受け入れているようだ。順応性の高さは相変わらずらしい。
「つーか、宇佐見どんだけ遅刻してんだよ。ファミレスに放課後すぐ集合って言ってたのに……もう学校終わって二時間は経つぞ?」
「未提出の宿題。サボり続けた授業。鉢合わせた教授」
「あぁ……何があったかよく分かったわ」
今頃教授の下で泣く泣く課題のレポート作成に勤しんでいるであろうメンバーの一人に思いを馳せ、合掌することもなくココアを飲むことにする。あの幻想馬鹿は普段から俺とメリーがもう少し真面目に授業受けろと注意しているにも拘らず一度たりとも言うことを聞こうとしないのだから、いい加減に痛い目を見ておいた方がいいはずだ。不思議と可哀想という気持ちが出てこない辺り宇佐見の人柄を表していると思う。悪い奴じゃないんだが、不真面目すぎるので自業自得感がハンパない。
「じゃあ宇佐美のヤツもう参加は無理だろ。放課後に捕まったってんなら今日中は解放してもらえないだろうしさ」
「そうよねぇ。よりにもよって厄介な人に捕まっていたみたいだし……」
「ちなみにその教授の名前は?」
「岡崎教授」
「夢美さんかよ……」
二人して頭に浮かべるのは全身真っ赤な残念美人。人知を超越した異常なレベルの天才っぷりで飛び級に飛び級を重ね、最終的に二十歳で大学教授にまで登り詰めたワケの分からない御人である。常識に囚われない性格をしているが、あまりにもぶっ飛んだ思考回路をお持ちの為に多くの学生達から距離を置かれるという非常に残念な女性だ。それでも彼女の講義自体は興味深く、毎回満席になるのだから不思議なことだと思う。人柄と抗議は反比例するらしい。
そんな不思議超人夢美さんは講義や実験に対しては誰よりも真面目なため、宇佐見のような不真面目生徒を見つけると無条件でみっちり補習をしてあげないと気が済まないタチらしい。すでに今回で十回目の被害に遭っている宇佐見である。哀れとは思わない。
あの夢美さんに捕まってしまったとなれば、本日のサークル活動にアイツが参加するのはほぼ不可能であると判断していいだろう。もしかしたら二日以上監禁される可能性も無きにしも非ずだ。実際、以前宇佐見は最長で五日間の幽閉生活を送った実績を持っている。まぁ、彼女のことは諦めた方が無難だろう。
「うーん、蓮子がいないとなると今日の活動は無理かぁ……」
「別に毎日活動する必要はないんじゃないか? たまには幻想追っかけてないで買い物にでも行こうぜ」
「不思議な夢を見たとか言っている虚言癖クンには言われたくないわよ」
「誰が虚言癖クンだ誰が。俺には
「男の子のクセに【美】が名前に入っているとかプライド的にはどうなの? やっぱり恥ずかしい?」
「馬鹿にしてんのかお前は!」
「ね、ね、ね?」とテーブルに身を乗り出しながらずずいと顔を近づけてくるメリー。外国人特有の整った綺麗な顔が視界の中で段々と大きくなっていき、自然と心臓が高鳴ってしまう。コイツ無駄に美人だから、なんか変なところで緊張してしまうのだ。顔の数十センチ下の辺りでテーブルに潰されている大きな柔球も俺の動揺を引き起こす原因の一つと考えられる。なんでコイツはこんなに無防備なんだろうか。俺が肉食系だったらその場で襲い掛かっている。
「何顔赤くしてんのよ」
「なんでもねぇよ」
こういう時は誤魔化すに限る。内心の動揺を悟られたくなかったためそっぽを向いてメリーの視線から逃げた。今の照れた状態でメリーの顔を見ると、自分がどうしようもないところまで行ってしまいそうだったから。決して性的な意味ではないので勘違いしないように。
(……まぁ、活動できないってのは事実だよな)
秘封倶楽部は三人で構成されるサークルだが、その活動内容を決めているのは主に宇佐見である。リーダーシップと行動力が無駄に溢れているあの馬鹿は、いつの間にか方針を打ち出して有無を言わさずに俺達を引っ張り回すのだ。俺とメリーがあまり自己主張をしない人種であるということもそれに拍車をかけているのであろう。別に遠慮をしているわけではないが、俺達三人の間ではそれで関係が成り立っているのだから仕方がない。変に信頼関係のあるサークルなのだ。
そういうわけで、宇佐見が来れない以上秘封倶楽部が活動するのは不可能に等しい。俺は今日の活動内容を決めているわけではないし、勿論メリーだって何も考えてきていないはずだ。行動指針が決まっていない以上倶楽部が活動することはできない。
いつも騒がしいくせに必要な時に限って不在な残りメンバーを思うと、自然とため息が漏れた。
「……ねぇ、椿」
「なんだよ」
手持ち無沙汰にメニュー表を眺めていると、不意にメリーが声をかけてきた。いつもの彼女らしくない、どこか弱気な響きの声に思わず視線をツインハンバーグセットの写真からメリーの美しい顔に移す。
「……林檎?」
「は?」
「いや、こっちの話だ」
思考が無意識に口に出ていたようだ。不思議そうに首を傾げられたが慌てて誤魔化す。危ない危ない。
しかし、思わずそう呟いてしまうほど彼女の顔は朱に染まっていた。さっきまではそ知らぬ顔で俺をからかっていたくせに、何故か今度はメリーの方が恥ずかしそうに顔を俯かせている。どうしたのやら。
メリーは気まずそうに視線をあちらこちらに泳がせながら、
「今日って、これから用事とかある?」
そんなことを聞いてきた。
「……いや、ないけど」
「ホント?」
「嘘つく意味が分からないだろ」
「そっか……」
「?」
正直に答えると、わずかに口元を綻ばせつつ恥ずかしそうに目を背けるメリー。もじもじと全身で身じろぎしているが、何かくすぐったいことでもあったのだろうか。何にしても不思議な奴だ。
それからしばらく顔を俯かせてぼそぼそと呟いていたメリーだったが、二、三度コクコクと頷くと、何やら覚悟を決めた眼差しで俺の瞳を射抜き、
「じゃあ……これから、私とデートしない?」
「…………は?」
停止した思考の中で、その一言だけでも発することができた俺を誰か褒めて欲しい。
☆
メリーがデートと言ったのは、どうやら天体観測の事らしかった。
「ほらほら、もっと早く自転車漕がないと。一番良い見所を逃しちゃうわよ?」
「だったら後ろから降りて押すくらいのことをなぁっ……」
「あら、椿は女の子に肉体労働を強いるようなサディストだった訳? いやーん、見かけによらず肉食系男子っ♪」
「……もういい」
はぁ、と何度目か分からない溜息をつく。相変わらず掴めない性格をしているメリーに今日も今日とて振り回されてしまうようだ。コイツと知り合ってから約一年半。休む間もなくからかわれ続けているような気がする。しかも今日は宇佐見がいないから、いっそう弄りが酷い気がした。
腰掛けるようにして自転車の後部に横向きに座っているメリーと駄弁りながら自転車を進める。天体観測とはいっても、天体望遠鏡なんていった立派な機材は持ってきていない。肉眼で星を眺めるだけの、チャチな冬の星観測会だ。
「チャチ、とは失礼ね。夜空に浮かぶ星は椿みたいな小さな器の人間と比べるまでもなく雄大な存在なのよ?」
「じゃあそんな矮小な俺から剥ぎ取ったコートをすぐに返してはくれませんかね」
「いやよ。だって寒いじゃない」
「俺だって凍えそうなほど寒いんだが……」
まだ十一月だというのに、外の気温は真冬のように低い。地球温暖化がどうこう世間が騒ぎ立てているのに、なんでこんなにも夜中は冷えるのだろうか。京都が盆地だからという理由もあるだろうが、それにしてももう少し可愛げのある気温になってくれてもいいんじゃないかと思う。
年がら年中季節を問わず紫色のドレスを着用しているメリーだが、さすがに冬の寒空の中にそのままの格好で飛び出すのは無理があったらしく、ファミレスから出た瞬間に俺が着ていた茶色のコートを奪い取っていた。その速さはまさに光速。普段東北人並にのんびりしているくせに、こういう時だけ人外的な身体能力を見せてくるのだから驚きだ。現金なヤツ、と肩を竦める。
「行け行けー、進め椿号!」
「はいはい……」
ポンポンと背中を優しく叩いて激励の言葉を送ってくるメリーに適当に相槌を返す。こういう変なノリをしている時のメリーは適度に流しておくのが最適な対応なのである。この一年半で学んだことではあるが、真っすぐマトモに受け入れようとすると疲れるだけだ。それは宇佐見も然り。秘封倶楽部の女性陣は非常に面倒くさい奴らの集まりだった。
と、メリーが突然「止まって!」と制止の声をかけた。
「うぉ……っぶねぇな。どうしたよメリー」
慌ててブレーキを踏んで自転車を止めてからメリーの方を向く。彼女は自転車から降りると、数歩離れた辺りの空間を指差してじぃっと真剣な面持ちで見つめていた。
意識していなかったのだろうが、ぽつりと呟きが漏れる。
「ここ、『スキマ』が……」
「あぁ……」
またか、と口に出すと、応じるようにメリーが頷いた。
彼女は、普通の人間とは違った不思議な能力を持っている。
【結界の境目を見る程度の能力】だったか。メリーは現実と幻想の境目を判断することができ、それらを視認することができる【目】を持っていた。
結界の境目は彼女曰く『スキマ』と呼ばれる不思議な物体として見えるらしい。幅一センチほどの狭いスキマの中には無数のギョロ目がひしめき合っているのだとか。絶対に見たくない代物である。
メリーによると、最近この『スキマ』の数が著しく増加しているとか。何かの結界が緩んでいるのか、はたまた未知の空間への門が開いているのかは分からない。ただ、不思議を求める秘封倶楽部的には興味深い話ではあった。
(興味深いとか思っている時点で、俺もいよいよコイツらに毒されてきているよなぁ)
どうやら俺は、既に秘封倶楽部の一員として奇人変人の仲間入りを果たしてしまっているようだ。思考回路が無意識に幻想を求めてき始めている。なんだかなぁとは思わないでもない。
結局それ以上は『スキマ』に注目することはなく、メリーを乗せて再び走り出す。キュッと心細げにセーターの背中を掴まれたことで若干鼓動が早まっていたが、俺はできる限り表情を殺してペダルを踏み続けた。
三十分ほど漕ぎ続けて、ようやく目的の観測地点に到着した。
そこはネオン溢れる街から遠く外れた、街灯なんてものがほとんど存在しない草むらだった。メリーが持ってきていた懐中電灯が無ければ周囲を確認することができないほどの闇に包まれ、思わず辺りを警戒してしまう。きょろきょろと挙動不審気味に視線を彷徨わせる俺を見てメリーが吹きだしていた。
「この辺に座りましょ。ほら、さっさと隣に座る」
ポンポンと手のひらで地面を整えてから俺を呼ぶメリー。彼女の隣に座ることに対して若干の羞恥心が生まれるが、当の本人はいたって気にしていないご様子だ。なんか俺が馬鹿みたいだった。
どうにもやるせない感情が思考を圧迫するが、頭を振って煩悩を霧散させる。余計なことを考えてもいいことは生まれない。とにかく今はメリーとの天体観測の事だけを考えよう。
ゆっくりと腰を下ろす。片膝を立てるようにして座ると、メリーは何を思ったのか、俺の肩に頭を乗せるようにして上体を傾けた。
ストン、と肩から重みが伝わり、メリー独特の柑橘系の香りが俺の鼻をくすぐる。
「……誘ってんのか?」
「さぁ、どうかしらね」
「あんまりふざけたことやってると終いには押し倒すぞコラ」
「そんな度胸もないくせに」
さらっと毒を吐いてくるが、図星を突かれて黙り込むしかない俺。そもそも、これくらいで女性を襲う度胸があるのなら秘封倶楽部に入部した時点で二人と関係を持っていただろう。お世辞を言いたくはないが、コイツも宇佐見も見てくれだけはハイレベルなのだし。……内面は、推して知るべし。
俺に身体を預けたまま、メリーはぽつりと呟きを漏らし始めた。
「……最近、不思議な夢を見るのよね」
それは、今日俺がコイツに言った台詞そのままだった。
……いやいや、
「二番煎じはいただけないな」
「違うわよ。とにかく聞きなさい」
ペシッと額を叩いて注意を促してくる。そこからいつものようにくだらないふざけ合いへと移ろうと思ったのだが、彼女の纏う雰囲気がいつも以上に真剣なものだったので口を噤むことにした。
俺が黙ったのを確かめると、再び口を開く。
「どんな夢を見たかって聞かれると詳しく答えられるわけじゃないんだけど、なんとなくそんな気がするの。感覚的に……ホント、フィーリングなんだけどさ」
「……あぁ」
「どこか知らない世界に行くような……幻想に包まれた異世界に飛び込むような、そんな夢をここ最近頻繁に見るの」
「……へぇ」
俺が言ったことを繰り返しているだけなのに、何故か心がざわついてしまう。神経を直に撫でられているような気味の悪い感覚が全身を蝕んでいく。
だが、そんな俺の様子を他所にメリーは言葉を続ける。
「声が、聞こえるのよね。夢の光景は何一つ覚えてやしないけど、夢の中で聞いた声だけは鮮明に覚えているの」
「珍しいな」
「『幻想郷』『創造主』『管理者』……そして、『貴女は救わなければならない』。天啓ってやつ? 私を救世主にでもするつもりなのかしらね」
「さぁな」
「あぁ、後、『幻想になりゆく者達のために楽園を作れ』って啓示もあったわね。胡散臭い喋り方だったけど……なんか親近感が湧いたの。もしかしたら死んだお祖母ちゃんだったのかな? 不思議と私に似通った雰囲気を感じた――――」
「メリー」
俺に名前を呼ばれて、はたと言葉を止める。だが、止まったのは言葉だけではない。今まで単調に浮かべていた笑顔が、引き攣ったままその顔に貼り付けられている。
メリーの身体を引き剥がすと、俺は彼女の前に移動する。
そして、メリーの瞳を頑なに見据えた。
「……どう、したの?」
「…………」
無言のまま、視線を送り続ける。
紫色の、妖艶な輝き。見ているだけで吸い込まれそうになる彼女の瞳。くらっと立ち眩みのようなものを覚えながらも、俺は決して彼女の双眸から視線を外そうとはしなかった。
「ち、ちょっと、いきなり何やって……」
「メリー」
もう一度、彼女の名を呼ぶ。
今まで何十回、何百回も呼び続けてきた彼女の渾名を、噛みしめるようにして呟く。
そして、
「誤魔化さないで、言いたいことをはっきりと言え」
俺自身聞いたことがない程の低い声で、彼女にそんなことを言っていた。
何故この台詞が口を突いたのかは分からない。ただ、一つだけ確信できることがあった。
メリーは、俺に何かを伝えようとしている。
元々嘘をつくのが得意ではないクセに、本心を伝えようとすると回りくどい言い方で徐々に話を逸らしてしまうのがコイツの悪い癖だった。その結果、いつも言いたかったこととは違う結論に落ち着いてしまうという、なんとも不憫な人間なのだ。その度に軌道修正を図るのだが……今回も、例に漏れずそのパターンであった。
言葉を失い、パクパクと魚のように口を開閉するメリーに、俺は思わず流れるように言葉をぶつけていた。
「お前の言うとおり、俺は確かに虚言癖野郎だ。妄想癖持ちかもしれないことも認めよう。いつも何かある度に自分を誤魔化して、失敗すると他人を誤魔化す。そうやって毎回本当の気持ちを隠してきたさ」
「…………」
「でもな、これだけは言っておく」
嘘だらけの俺だけど、自信を持って言えることがある。
「俺は、お前に対する気持ちだけには絶対に嘘はつきたくない」
一年。考えようによっては短くも長くも感じられる時間。そんな期間を三人で……いや、『マエリベリー=ハーン』と一緒に過ごしたことで、俺の中にとある感情が確かに芽生え、そして成長し続けていた。
傍若無人で人使いの荒いメリー……そんなコイツの傍にいたい。
どこか天然で、放っておけないメリー……そんなコイツを一生支えたい。
弱いくせに、強がろうとするメリー……そんなコイツを一番近くで見ていたい。
恋とか愛とか、そんな俗染みた言葉で言い表したくはないこの想い。『メリーの傍にいたい』という感情が、この一年で徐々に膨れ上がっていた。自分ではどうにもならない程に、それは俺の大部分を支配していた。
……だから、俺はメリーに胸を張って言う。
「俺は絶対にお前に本心を伝える。だから、メリーもちゃんと自分の気持ちを言ってくれ」
両肩に手を置き、覗き込むような体勢になる。メリーの無駄に整った顔が結構近くにあった。懐中電灯のおかげなのか、闇の中でもうっすらと彼女の頬が朱に染まっているのが分かる。耳を澄ませば心臓の鼓動が聞こえてきそうなくらい、メリーは赤面していた。
「……うるさい」
絞り出すように、呟きが漏れた。
それは次第に勢いを増し、濁流となって押し寄せる。
「五月蠅い五月蠅い五月蠅い五月蠅い! 本心を伝える? 自分の気持ちを言う? 好き勝手言わないで! 私がどんな気持ちでいるのか、まったく考えていないくせに!」
彼女らしくない、本気で激怒している様子で言葉を捲し立てる。目の端には涙が浮かび、両拳はぎゅぅと強く握られていた。
「言いたいことを言えるのなら、とっくの昔にそうしているわ! こんな尾を引くような回りくどい言い方せずに、蓮子にも貴方にもすぐ話しているわよ!」
「……じゃあ、なんで話さないんだ。お前が何も言わない以上、俺達がお前の気持ちを分かってやれるわけないだろ! 何を葛藤しているのか知らないけど、言いたいことがあるならはっきり言え!」
「だから……だから! それができるなら苦労しないって言っているでしょう!?」
「理由がわからねぇよ!」
「そんなのっ……!」
怒りのあまり俺の胸倉を掴むと、メリーは血走った目で俺を睨みつけながら叫んだ。
「好きな人達を傷つけたくないからに決まっているでしょう!?」
「…………は、ぁ?」
「好きなのよ! 蓮子のことは親友として、貴方の事は異性として好きなの! どちらも種類は違うけど、私が世界で一番大好きな二人なのよ! その二人を、私の都合だけで傷つけたくないっていう気持ちがなんで分からないの!?」
「は、いや、お前何言って……」
「あぁもうこの分からず屋! こんなに言っても分からないワケ!?」
「もういい! じゃあ言ってやるわよ!」襟を掴んでいた両手を離すと、メリーは立ち上がる。突然の豹変っぷりに理解が追いつかない俺はぽかんと口を開けたまま呆然と彼女を見上げていた。
その顔に怒りとも悲しみともつかない複雑な表情を浮かべ、メリーは絞り出すように吠えた。
「もう、貴方や蓮子とは会えなくなるの!」
「――――――――――っ!」
思考が止まったとか、そもそもそんなことを考える余裕自体が完全に消失した。
頭の中でメリーの台詞がグルグルと回る。会えない? アエナイ? あえない? は、え、はぁっ!?
「ど、どういうことだよ!」
「……詳しいことは、言えないわ。私自身、よく理解していないことでもあるし」
「会えなくなるって……どっかに引っ越すとかか!? それとも、里帰りか何か……」
「うぅん。そんな単位では計れないくらいに遠い場所。時代も世界も空間も、何一つ貴方とは噛み合うことのない場所に私は行くの」
「どうしてっ……!」
「それが、私の使命だから」
「っ!」
――――その時の彼女は、どれだけ悲しい顔をしていたのだろうか。
いつも明るくて我儘で、俺の手をどこまでも引っ張っていたマエリベリー=ハーンの顔ではない。あらゆることに絶望し、新たな希望を見いだせない人間の顔だった。
何が彼女をこうさせたのか。何が彼女を決意させたのかは分からない。
ただ……メリーの言っていることは本当なのだろう、と心のどこかが肯定していた。
「……絶対、会えないのか?」
「うん」
「もう、お前と幻想探索をすることもできないのか?」
「うん」
「この世界に秘められた、幾多もの幻想を解き明かすってのも無理なのか?」
「……うん」
「……そっか」
次第に頭が冷えてきて、やけに冷静な会話が続く。沈黙とも騒動ともとれない中途半端な空気が場を支配していた。
(もう会えないと、コイツは言った)
今までにない真剣な面持ちで、メリーは俺に別れの事実を告げた。
彼女が言っていることが本当ならば、俺達がメリーに再び会うことは二度とできないのだろう。世界も時間も空間も異なる場所に行くコイツに、どうやって会いに行けばいいのかもわからないのだから。
目と鼻の先にいるのに。こんなに近くに立っているのに。
俺とメリーの間には、目に見えない境界線が引かれているような気がした。
「黙ってて、ごめん」
「……あぁ、まったくだ。いきなりにも程がある。こんなに急だと、お別れ会の一つも出来やしない」
「……そ、だね」
「まだやりたいことはいっぱいあったのにさ。俺だって言いたいことはあるのに、勝手に告白して勝手にいなくなるだって? おいおい、こんな生殺しが許されていいのか?」
「……ごめん」
「…………」
その場凌ぎの軽口なんて、続く訳がなかった。現実から目を背けている俺の言葉なんかが、彼女に届くはずがなかった。
――――嗚呼、これが夢だったら、どんなに良かったことだろう。
ここ最近頻繁に見る夢。今のこの会話もその一つであったならば、どんなに救われたことだろう。
幻想は求めても手に入らないのに、必要のない時に自分からやってくる。
「……椿」
境界を見ることができる目を持った少女が、悲しそうな輝きを瞳に讃えて俺を見つめる。
彼女の目が見るのは俺の姿か、それとも俺との間にある境界線か。今までメリーが見つけてきた『スキマ』が、この数センチの間に存在しているのかもしれない。
何がいけなかったのか。どうして俺は、メリーと離れなければならないのか。
後悔も疑問も、形となることはない。言葉として発されることはなく、ただ空中に空しく霧散していく。
(こんな時……)
宇佐見なら、なんて言うだろうか。
誰よりもメリーを愛している彼女は、彼女との別れをどう思っているのだろうか。
怒る? 悲しむ? 落ち込む? ……いや、違う。
おそらく、彼女はそのどれにも当てはまらない。俺とメリーの知っている宇佐見蓮子は、そんな型に嵌るような単純な奴ではない。誰よりも繊細で、誰よりも豪快な彼女がどんな言葉を並べるかなんて、想像に難くはなかった。
俺の知っている宇佐見ならば、きっとこう言うはずだ。
『メリーが自分で決めたことなら、アタシは何も言わないよ。止める気も一切ない。遠くに行っちゃうのも認めてあげる』
そして、笑ってこう宣言するはずだ。
『でも、アタシはアンタに会いに行くからね! 例え何百年かかろうが、アンタがどんな場所にいようが、アタシはどんな手を使ってでもアンタに会いに行くからね! 覚えておきなさいよこの馬鹿メリー!』
「……っは」
……思わず、笑みを零してしまう。
そうだ。何を難しく考えていたのだろう。俺の答えなんて、最初から決まっていたじゃないか。
無駄に強がって、誤魔化して、嘘ついて。本当に大切なことを見失っていたんじゃないのか。
メリーと離れてしまうことは、確かに悲しい。好きな人と離れ離れになるのだから当然だ。普通に考えて、その気持ちはおかしなことではない。
だが、だからといってメリーを引き留める理由にはならないのだ。
彼女は彼女なりに考えて結論を導いたのだろう。俺や宇佐見との別離を悲しみ、悩みぬいた末に別れを選択したのだろう。無駄に真面目なメリーのことだ、相当迷ったに違いない。
だからこそ、俺はメリーを笑顔で送り出してやらなければならない。後腐れ無いように、気持ちよく別れてやらなければならない。それが俺にとっても、メリーにとっても最善の方法なのだろうから。
「メリー」
名前を呼ぶ。愛する彼女の名前を呼ぶ。
今だけは……いや、今だからこそ、この気持ちを伝えよう。
「好きだ、メリー。お前のことを愛している。この世界のどんなものよりも、マエリベリー=ハーンのことが大好きだ」
「……うん、私も。私も椿のことが好き」
「初めて秘封倶楽部に誘ってくれた時、電波な事ばっかり言っていた時から、俺はお前に惹かれていた」
「貴方を初めて見た時、何故だか分からないけど、この人なら私を受け入れてくれると思った。私も、私の能力も、貴方なら包み込んでくれると思った」
「お前の目が大好きだ。あらゆる境界を見る、お前だけの目が大好きだ」
「貴方の目が大好き。誤魔化しながらもいつも真実を見据えようとする、貴方だけの目が大好き」
お互いに繰り返す。何度も何度も、思いの丈をぶちまける。
気が付くと、メリーは俺の胸元にそっと手を置いていた。徐々に近づくように身を寄せ、少しづつ俺との距離を埋めていく。
幻想と現実の境界線を、今だけは無くしていく。
「椿」
目鼻の先に、メリーの顔がある。彼女の甘い吐息が鼻腔を刺激し、密着によって潰された乳房の柔らかさが俺の官能を呼び起こす。
「メリー」
彼女の頬に右手を添える。幻想を司るような紫の瞳に視線を吸い込ませる。彼女の全てを、今この時だけは手に入れる。
「たとえお前がどこかに行ってしまっても、俺は必ずお前に会いに行くよ」
「……待ってるわ。どんなに遠い場所であっても、私はずっと貴方を待ってる」
「どれだけの時が経とうとも、俺は絶対お前を忘れないよ」
「私も。何十年、何百年経ったとしても、私は貴方を忘れない」
「俺は本気だ。この世界の全てを利用してでも、俺はマエリベリー=ハーンとの未来を掴んでみせる」
「……私が今の姿じゃなくても?」
「お前がどんな姿になっても、お前がメリーだってことに変わりは無い」
「私が人間じゃなくなっても?」
「人間だろうが幽霊だろうが妖怪だろうが、お前がその優しさを失わない限り俺はお前を愛し続ける」
「……ホント、椿って馬鹿よね」
「お前ほどじゃないよ、メリー」
くすっ、とどちらともなく吹き出す。最後にしては滑稽で、とても格好いいとは言えない言葉の応酬に笑いを堪えることができなかった。
「椿」
メリーが目を閉じる。身体を俺に預けるようにして、そっと顎を上げる。
「メリー」
俺も目を閉じる。彼女の身体を抱き寄せ、これ以上ない程抱き締める。
そして――――
☆
「ツバキ」
「んあ?」
不意にかけられた声に振り向くと、視界を覆う一束の書類。文字の羅列を無意識に見つめたせいで網膜が悲鳴を上げている。
文字許容量の限界を迎えた目元を指で解しながら、俺は容疑者の顔を睨んだ。
「言葉の大切さをもう少し学んだらどうだ、宇佐見」
「うっさいわねー。もう二年以上も一緒にいる相棒を未だに苗字呼びするような余所余所しい軟弱者に言われたくないっての」
「そんなだから苗字でしか呼ばれねぇんだよ」
「天誅」
拳が顔面に炸裂した。女のくせに腕力だけは強いヤツめ。鼻が折れるかと思ったじゃないか。
「いいでしょ、ツバキだし」
「なんだその意味不明かつ滅茶苦茶な言い分は」
「いいじゃないの。メリーに会うまで死なないんでしょ? それなら、いくら殴っても問題ない!」
「あるわボケ」
「あ痛っ」
ドヤ顔がムカついたので思いっきりデコピンしてやった。このでこっぱちめ。あんまり調子に乗っていると頭の額占有率を八割以上にしてやるぞ。
「いやー! そんなことしたらメリーに言いつけてやるんだからー!」
「俺とアイツの愛情はその程度じゃ揺らがないよ」
「おーおー、おアツイねツバキくぅーん」
「うっせ」
ケラケラ笑う宇佐見の相手をしていると、こっちまでアホらしくなってくるから不思議だ。
どこまでもゴーイングマイウェイな相棒に肩を竦めながら、俺は立ち上がる。
「そろそろ行こうか」
「まだ正午だけど、授業は?」
「ミステリーツアーが優先」
「だよねっ」
にぱっと満面の花を咲かせる宇佐見を引き連れ、自転車でキャンパスを後にする。
……結論から言って、マエリベリー=ハーンはこの世界から姿を消した。
あの夜、最後の言葉を交わした直後にメリーの背後にでっかい『スキマ』が開き、彼女を呑み込んだのだ。初めてみる『スキマ』に若干焦った俺だったが、『スキマ』が閉じる寸前に彼女が見せた笑顔のおかげで平静を保つことができた。やはりどこまでいっても掴みどころのない奴だったと今でも思う。
正直、メリーと再会するための算段は全くと言っていいほど立っていない。
民間月面旅行が計画されるほどに科学が発達した現代ではあるが、未だに時間や空間を超える機械は発明されていないらしい。夢美さんがそれっぽいものを設計してはいるが、完成するのは当分先のことだろう。
時間はかかる。目的地は不明。手段も皆無。
一貫して絶望的な状況だが、俺は決して諦めたりはしていなかった。
愛は障害が大きい程大きく燃え上がるとは誰の言葉だったか。まぁ何にせよ、追い詰められれば追い詰められるだけ俺は俄然やる気が出るのだった。
「今日はどこに行くの?」
「さぁな。とにかく適当に不思議を探すさ」
「まさに探索って感じだね! そういうのアタシ大好きっ!」
幻想なんて見つけようと思って見つけられるものではない。追いかけていけばそれだけ逃げていくし、かといって立ち止まれば勝手に進んでいく。俺達の予想を遥かに超えて、ソイツは全力で距離を空けていく。
だが、それがどうしたというのか。
追いかけても逃げていくならば、それ以上の速度で追いかけていけばいい。立ち止まって途方に暮れるくらいなら、死ぬ気でもがいた方が百倍マシだ。
俺には何もできないんだから、せめて抗うくらいはしてもいいだろう?
あれ以来不思議な夢は見ていない。
メリーとの繋がりが一つ消えた気がして悲しくはなったが、アイツは「待ってる」と言ってくれた。その言葉さえあれば、俺とメリーはずっと繋がっていられる。
現実にいる俺達と、幻想にいるメリー。
俺達の間に引かれている境界線は、飛び越えられそうに見えてその実激しく遠い。手を伸ばせば届きそうに思えて、いくら腕を振り回しても掠りもしないかもしれない。
それでも、俺達は前に進む。
アイツが待っているであろう、あの境界を目指して。
「よしっ、それじゃあ飛ばすぞ宇佐見!」
「蓮子って呼びなさいよ馬鹿ツバキ!」
確かな決意と覚悟を胸に、俺と宇佐見は自転車を走らせた。
読了、お疲れ様でした。
多少支離滅裂な場面があったかもしれませんが、書きたいことは書いたなという感じです。
この作品を書こうと思ったのは、やはり『別れ』をテーマにしてみたいという思いからですね。
もしメリーが現代を去る時に、愛している男がいたならというIfによって成り立っております。「だったらもう秘封倶楽部増やすしかないよね!」という考えの末、椿は秘封の一員となりました。
今回ので一応完結はしていますが、読者様方の希望次第では連載物にしようかなと思っております。椿と蓮子、メリーの悲しくも美しい友情譚が読みたいという方は、是非ご一報を。
それでは最後に。
終わりまでお付き合いいただき、本当にありがとうございました!