とある幼女の最強恐竜 (一旦完結)   作:カリーシュ

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第6話

side真尋

 

 

「……おらおらー」

 

「ヒィヤッハァァァァァ!!」

 

 

――バカ2人が目立つように(わざとだよな? テンションの所為じゃないよな??)、奇声をあげ、エンジン音をけたたましく鳴らしながら爆走する。

音に怯えたらしいコンピーが逃げていくのを尻目に、思った以上揺れない車上から周囲を警戒する。

 

 

あのバカ共があの調子になってから、かれこれもう5分は経つのに、未だインドミナスは姿を見せない。

 

 

「まひろくん、そろそろまずいよ。 まっくらになっちゃう……!」

 

「ああ。 なにか、なにか手は――」

 

熱帯の気候の影響か、熱にやられたように頭が働かない。

くそ、このままじゃ、本当に、――

 

 

 

 

 

 

 

ブシャッ

 

 

……? なんだ、この鉄っぽい匂い?

気になって、思わず匂いの漂ってくる方を見ると、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ニャル子、ニャル子ォ……」ドクッドクッ

 

「ギィヤァァァァァァ!! ど、何処になに突っ込んでるんですか?! つかあっつ!? アンタ体温どうなってるんですか?! え?!? クトゥグアって自分の熱は平気なのに他所の熱ではフツーに熱中症になったりするんですか?! なんてハタ迷惑な!!」

 

首の所からガッツリ両手を服の中の前面に突っ込んだクー子が、鼻血でバギーをニャル子ごと塗装しながら力無く項垂れている。

その声に覇気はなく(普段から無いけど)、目も何処か虚ろだ。

 

 

「おいぃ?! 一旦止めろ、匂いでヤバイのが寄って来たら、どうす、る………」

 

 

……アレ? 僕らって今まさに、そのヤバイのを探していたんじゃ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――ズシン――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

わずかに、重いモノが地に落ちたような音が聞こえる。

 

バギーから鼻血が滴るテンポが、一瞬だけ、早くなる。

 

「ま、真尋さん……」

 

「……ニャル子、手榴弾のピン抜いとけ。 ハス太、クー子の看病頼む」

 

抑え込むにしろ、撃退するにしろ、単純な火力ならニャル子を上回るクー子のダウンは痛い。

そう考えて指示を出す間にも、少しずつ足音は大きくなる。

 

真っ先に匂いに寄りそうな腐肉食生物が居ないことが、ソレが、聞き違いでないことを証明する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――ズシン

 

 

 

 

 

 

 

――ズシン!――

 

 

 

 

 

 

――ズシン!!――

 

 

 

 

――ズシン!!!――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グルルルルルルル………フゥゥゥ…………」

 

ついに、足跡のヌシが姿を見せる。

 

 

血の匂いの元であるクー子を視界に収め、匂いを確かめるように鼻で一呼吸置き、咆哮する。

 

 

 

 

 

 

 

「――ゴォアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

「オッリィヤァァアアアアアアアアアアア!!」

 

咆哮した隙に放られた冒涜的な手榴弾は、的確に足元を爆破。 僅かに怯む。

 

「はっはー! 流石に最大威力なら通用しますか!! おらもう一丁!!」

 

「おいニャル子!? それはやり過ぎだ!!」

 

好機と見たのか、盛大な数投げられた手榴弾は、

 

 

 

 

 

「グルッ!」

 

 

 

 

 

ブンッ! ←前足を振る音。

 

 

コンッ! ←手榴弾が弾き返された音。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「……………あ"」」

 

 

ちゅどーーーん!

 

 

 

跳ね返された手榴弾が目の前で派手に爆発する。

………ん? その割には、ダメージの無いような?

 

 

「――ふ、ふぅ〜〜。 間一髪でした……」

 

「おいニャル子? どういう意味だ?」

 

「ギリッギリで宇宙CQCをワザとファンブらせることに成功したんですよ!

……まあ手持ちの冒涜的な手榴弾、あれで全部だったんですけど

 

「おいぃぃぃぃぃ!?!

そ、そうだ! 前に使ってたRPG(ロケラン)はどうした?!」

 

劇中でもロケランで転倒させているし、爆発を受けて逃げるところを生で見ている。

宇宙の謎技術が混ざったロケランなら――

 

「あー……大変申し上げにくいのですが、あのロケランは事前許可の支給制でして。 それに私、最初のルルイエでの一件で、『冒涜的な手榴弾は私の数ある宇宙CQCの中でも随一の威力』と言った気が……」

 

「なん……だと………?!」

 

そんな、まさか、うそだ、――

 

 

「という訳でして、こうなったらクー子を餌に一旦体制を立て直s

お前が前に言った設定をちゃんと持ち出すとか、さてはお前ニャル子じゃないな?!?

『悲報』 真尋さんの私への評価が想像以上に酷かった件について

 

オヨヨと泣き崩れ、アホ毛もシオシオと枯れる。

 

 

 

「――グルァァァァァァッッ!!!」

 

「あ、ヤベっ」

 

律儀に待っていたのか、再度咆えるインドミナス。

 

「急いで逃げるぞ! ハス太! そのままクー子を頼む! ニャル子――」

 

運転頼む、と言おうとして、ピンと立つアホ毛(・・・・・・・・)が、て事は。

 

「――邪神。 私たちの世界線の神話生物です!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――その通り。 また会ったな、八坂真尋っ!」

 

「グルゥアアァァッッ?!?」

 

突如、インドミナスの足が黒い沼に嵌り、身動きが出来なくなる。

 

いや、それ以前に、この声、は、――

 

 

 

 

 

「――ニョグ太、だと?!」

 

「そのとぉぉり!!」

 

沼の一部が盛り上がり、見覚えのある人影になる。

 

ウソだろ?! だってアイツは、イースの連中に囚われてるんじゃ、

 

 

「ふははははは! 幾ら高等技術を持っていようが、所詮菌は菌! この俺を捉え続ける事など出来ぬ!

それどころか、再度コイツ(・・・)を奪われる程のマヌケだったな!」

 

コイツ、を強調したタイミングで抜いたのは、これまた見覚えのある拳銃型の機械。

 

「……ニョグ太? ま、どうでもいいです。

それより、なんでアンタみたいなポッと出モブが、そんなモノ(ハイパーイース)なんて持ってるんですか!?」

 

「拾った」

 

「ウッソだろお前?!」

 

確かに『テキトーなトコにポイするですョ』とは言ってたけど!!

前科持ちがあっさり見つけるような所に置くとかあり得ないだろ?!?

 

 

「だ、だとしても! なんでお前がこんな場所にいるんだよ?!」

 

「よくそ聞いたな! あの一件の後、宇ー○ューブに戻った俺に居場所はなかった。 クビにされたのだ!!」

 

惑星メー○ルみたいに潰れれば良かったのに。 あんな人を機械に組み込もうとする会社。

 

「だから私は復讐を誓った!!

具体的には、宇ー○ューブとミゴミゴ動画の再生数1位を獲得する事で」

 

「メッッチャ平和的だなオイ」

 

「だが、壁として立ち塞がったのは、動画のネタが無い事だ。

悩む傍、手慰みにハイパーイースを弄っていたら、見つけてしまったのだよ。 そう――

 

 

 

 

 

 

 

――意図的に次元振動を引き起こす機能をなぁ!!」

 

「「なっ!?!?」」

 

つまり、あれを奪い取れば、帰れるって事だよな!?

 

「もっとも、未知のエネルギーを相当量使うようで、もう帰りの分しか残ってないが、まあそれはいい。

肝心なのは、この世界だ!」

 

捉えられ、未だもがいているインドミナスを指し、高らかに言う。

 

「――こいつら、『ジュラシック・パーク』シリーズの恐竜を捉え、俺の手で究極のパークを創り上げ、動画を撮る!! そして俺をクビにした経営陣の悔しそうな顔を肴に美味い麻婆を食って愉悦る!!

既に試験で異世界の物体を持ち帰れるのは確認済みだからな!」

 

「ソーナノカー」

 

うん、セリフの端々から何処に逝ったのか察せたよ。 お前もある意味被害者だったんだな。

 

 

「ふははは、ふぅ。

最早貴様らなぞどうでもいい。 そうやって指を咥えて見ていればいい!」

 

「ハッ! 状況が分かってないのはアンタですよ。 もういっぺん校庭に埋めてやりましょうか?!」

 

「バッチリ覚えてんじゃねえか!!

だが、俺はあの時とはもう違う。 貴様らでは麻婆の力を取り入れた俺には勝てない!! ぬおおおおおおおおおおおお……」

 

 

ゴゴゴゴゴと地響きが鳴り、ニョグ太の身体が人の形を保ったまま肥大化する。

 

 

「麻婆ってなんだよサ○ヤ人の血か核物質かよ?!」

 

「少なくともどっかの泥よりかは力が高まる、溢れるぅ!!!」

 

「帰れ本気狩ル(マジカル)☆キチガイ!!」

 

ガチムチ化した変態が外見に似合わないスピードで距離を詰め、拳を突き出すのを、ニャル子がバールの二刀流で受け止める、が。

 

「ムダァ!!」

 

「チッ!」

 

一撃で2本とも木っ端微塵になり、ダメージこそなさそうでもニャル子が押される。

 

「ハス太ッ!! クー子はまだか!?

………ハス太?」

 

フォークは刺さるもダメージが余り通ってないようで、それでも援護射撃しながら声をかけるも、返事が返ってこない。

気になって後ろを見れば、

 

 

 

 

 

「……そうか。 あの世界線に妙な跡があったと思ったら、テメェかゴルゥァ…………!!」

 

「―――!? ―――!!」

 

指をゴキゴキ鳴らす、インドミナスに潰されたハズの邪神がいた。

その後ろには、半透明な、結界のような空間に閉じ込められたハス太とクー子が。

 

 

「――!?! クッ、」

 

「安心しろ、ニャルラトホテプ。 私の狙いはそこのバカだけだ。

………覚悟は、いいな?」

 

フッと、虚空から現れた刀を握る。

 

「……クソッ!」

 

流石に己の不利を悟ったのか、慌てて下がりながらハイパーイースの銃口を―――僕に向ける。

 

「――――ッ!?!」

 

「真尋さん!!」

 

「――死ねぃ!」

 

撃ち出されたエネルギー弾をニャル子が急いで打ち返し――

 

そのまま、動かなくなってしまう。

 

 

「?!? にゃ、ニャル子?!」

 

「落ち着け。 ただの時間停止だ」

 

邪神が足元の影から飛び出してきた古い銃でニャル子を撃つと、

 

 

「――りゃぁ!! っと、真尋さん?」

 

「よ、良かった、助かった。

………その、ありがとな」

 

「いえいえ。 夫を守るのは妻の仕事ですし」

 

「……お前には言ってねえよ」

 

隣を見ると、いつの間にか邪神は消えていた。

ついでにインドミナスを捉えていたニョグ太の『タタールの黒き拳』も。

インドミナス本人(人?)は、僕らと会うと酷い目にあうと思ったのか、イライラした様子で逃げてった。

 

 

「……そうとう、面倒なことになっちゃいましたね。 あのインドミナス、背中に抉ったような痕がありました」

 

「てことは、本編の個体か」

 

「ええ。 そして、あちらを見てください」

 

ニャル子が深刻な表情を向ける先に目をやれば、薄く煙が立ち上がっている。

耳を澄ませると―――銃声と、悲鳴のようなモノも。

 

 

 

 

 

「――ラプトルが、解放されてしまったようです」

 

 

 

 

 

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