とある幼女の最強恐竜 (一旦完結)   作:カリーシュ

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第8話

side真尋

 

 

ズシン、ズシンと大地を揺るがす足音をBGMに、もう何度目かの森を抜ける。

ま、僕はシャンタッ君の上に座ってただけだけど。

 

「――まひろくん、できたよ!」

 

「……手の届く範囲は。 歩きながらだと足周りは無理」

 

「ま、小細工ですらない悪足搔きみたいなもんだ。 あれだけでも上出来だよ」

 

この2人には、インドミナスの応急手当を頼んでおいた。

具体的な怪我は、マルドゥークさんがジープで体当たりしたのと、インジェンの部隊のロケランのダメージが頭部と左脚に、同じくインジェン部隊+αに撃たれた銃創が多数。

分かってもらえたと思うけれど、原作でラプトルと会話したのはこっちのインドミナスだった。 まあ、動くモノ=敵or餌な原作インドミナスが、言葉が通用するとはいえラプトルと会話した理由に納得がいったよ。

 

それで、治療を頼んだ理由としては、

 

 

 

 

 

 

 

――GOAAAAAAAAAAAAaaaaaaa――

 

 

 

 

 

 

 

「ひっ?!」

 

「……大丈夫。 遠い」

 

さっきからちょくちょく轟く、どこまでも響きそうな咆哮。

 

ティラノサウルスの声が聞こえるからだ。

 

 

恐らく、いや確実に、あの "楽園の女王" とは戦うことになるだろう。

 

 

 

「……おい、ニャル子。 あれ」

 

「ええ。 ビジターセンターの屋根ですね」

 

赤々と照らされた夜空に、藁製っぽくみえる屋根が浮かぶ。

 

 

 

 

 

 

 

「――さて、クライマックスといきましょう!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ビジターセンター前

 

 

扉のサイズ的に入れそうにないインドミナスとシャンタッ君から降りる。

 

もう既に原作イベントは片付いた後のようで、所々建物は崩壊、火を吹いていて、モササウルスのいる湖を囲う柵は破壊され、その部分だけ僅かに湿っている。

 

……数時間前も既に惨状だったけど、これじゃ完全な地獄だな。

 

 

「レクシィとブルーは………いないようですね」

 

「よ、よかったぁ。 あの2ひきとはたたかいたくないもんね!」

 

「それには同意だな」

 

辺りを警戒するクー子たちの言葉に同意して、ビジターセンターを見据える。

……にしても、色々とボロボロだな。

あの窓のガラス割れとか、翼竜が突っ込んだのか―――ん??

 

なんだ? 今窓の方で、チラッと赤い光が見えた気が………?

 

 

「それじゃ、突撃します、よ……?」

 

「? ニャル子?」

 

猛っていたニャル子が、突然僕の胸の1点を指先でトントン突く。

その部分を見ると、小刻みに震える、小さな赤い点が。

 

これって、……レーザーポインター??

なんでこんなモノが――

 

 

 

 

 

――PORORORORORORORO!!

 

 

「?」

 

なんの音だ、と口を開きかけて、

扉を破壊する勢いで黒いカゲが飛び出して、襲いかかってくる!??!

 

「GISYAAAaaaaa!!!」

 

「ギャァァァァァ?!?! ちょ、これシャレになりません!! ヘルプ! ヘルプ!!」

 

丁度間にいたニャル子を押し倒し、嚙みつこうとするのをバールで防いでいる。

異様に長い手足で引っ掻こうとするのをクネクネ、割とガチでキモい動きで避けるニャル子に覆い被さる『ソレ』は、見たことのない、

悪魔のような、竜。

 

「こ、コイツは、一体、」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――また会ったな、八坂真尋ォ……!」

 

呻くような声が聞こえるセンター方向に振り向けば、満身創痍と言った具合のニョグ太が。

そしてその手には、レーザーポインターの取り付けられたハイパーイースが。

 

「ニョグ太?!!」

 

「クックック………無様だなぁ、ニャル子ォ!! もう逃がさん!! 確実に息の根を止めてくれるわぁ!!!」

 

ニョグ太がニャル子に照準を向け、横に飛び出たボタンを押すと、さっきと同じ、甲高い機械音が鳴る。

それを合図とするように、黒い恐竜が一層力を込める。

 

「ふは、ふっはははははぁ!!」

 

「おいニョグ太! なんなんだ、コイツは?!」

 

「ふ、なんだかんだと聞かれたら、応えてあげるが世の情け!!」

 

「あやっぱいいや」

 

「」

 

白目を向いて呆然としているニョグ太をスルーして、丁度インドミナスの鼻先で吹っ飛ばされた所の件の竜を観察する。

 

全体的なシルエットとしては、背筋にビッシリ生えている棘といい、何処となくインドミナス・レックスに似ている。

体色は黒で、黄白な線が胴体に走る。

足にはラプトルのような、曲がった、動く鉤爪が。

 

……あんなの、少なくとも映画には出ていないよな?

 

 

「ふ、遅れている貴様らに特別に教えてやろう!」

 

何処となく嬉しそうなドヤ顔で復活するニョグ太。 とてつもなくウザイです。

まあ、話が進まないから止めないけど。

 

 

 

「そいつの名は、『インドラプトル』。

貴様らがこちらに来た1年後に上映された新作で登場する、ハイブリッド種だ」

 

「い、1年後!?」

 

このニョグ太は、未来から来たとでもいうのか?!

それともイースの連中と一緒にいたから、未来視でも出来たって言うのか?!

 

いや、それよりも、

 

「インドラプトル(・・・・)!?」

 

「そう、ラプトルだ。

インドミナス・レックスはその名の通り、ティラノサウルス・レックスをベースに造られたハイブリッド。

一方インドラプトルは、ヴェロキラプトルをベースとしている。

分かるか、この違いが。

インドミナスは所詮、客寄せパンダ。 ホスキンス共が多少の悪意を混ぜたとはいえ、その本質は魅せモノだ! アトラクション用の玩具だ!!

だが、インドラプトルは違う!!」

 

立ち上がり、インドミナスに飛びかかってあっという間に全身から血を噴き出させるインドラプトルを指差し、高らかに宣言する。

 

 

「――そいつは最初から、軍事利用をする前提で造られたラプトル(ハンター)!!

より賢く! より疾く!! より残忍に!!!

殺戮兵器であれと造られた生物兵器!!

インドミナスとはスペックが違うのだよ、スペックが!!!」

 

「!! ウソだろ!?」

 

劇中で圧倒的な存在として描かれたインドミナスが、目で追いきれない程のスピードでズタボロにされていく。 お前は進○のリ○ァイ兵長か?!

 

ニャル子たちが攻撃しようにも、同士討ちをするように誘導されて、ニャル子に蹴りを入れてしまうクー子という、普段なら絶対ありえない光景が見られる。

 

 

「ちょっと待て、生物兵器?

お前の目的は、僕らの世界にジュラシックパークの偽物を創ることじゃなかったのか?」

 

「ああ、そのつもりさ。

だが、貴様らニャル子や、未だ俺を狙う邪神を始め、俺の成功を妬んだ連中がやってくるだろうからな!! 事実その邪神のせいで俺の身体はボドボド! つまり、そんなヤツらを殺すための存在だ! まず手始めは――貴様らだ!!」

 

「グ……グギャ、ァァ………」

 

インドミナスから力が抜け、倒れ込む。

 

「!? おい、大丈夫なのか?!」

 

「まだ息はありますが、大分キツいかと!!」

 

薄っすらと腹が上下するのを確認出来るけど、その動きは小さく、弱々しい。

ニョグ太は自分で言った通り、戦えるような身体ではないから、インドラプトルに向き直る。

一瞬、ニョグ太からアレの制御方を聞き出そうかと思った。 ていうか多分あのレーザーポインターなんだろうけど、相手はインドミナス以上に頭が回る。 騙されていて肝心なタイミングで効きませんでしたなんてオチが過ったから無視。

 

 

「GISYAAAAAAaaaaaaaaaa――」

 

伏したインドミナスに容赦なく爪を突き立てながら、こちらを伺うインドラプトル。

 

「……勝てそうか?」

 

「……少年。 答えを知っている質問をするのは酷いと思う」

 

「黙ってなさいクー子。

3人がかりでなら、なんとか……」

 

ズ、とインドラプトルの足が僅かにズレる。 途端にニャル子たちから、完全に余裕が消える。

 

 

「……真尋さんだけでも逃げてください」

 

「は? お前らを置いていくわけないだろ」

 

「大変嬉しいのですが、流石に今回ばかりは洒落になりません」

 

「でも!」

 

「いいからっ!!」

 

黒い甲冑に覆われたニャル子が搔き消え、インドラプトルに殴りかかるも紙一重で躱される。

 

 

「……焼き尽くす」

 

「ふっ!!」

 

クー子の腕から噴き出た業火が鞭のようにしなって相手の動きを制限、その隙に黄衣の王モードのハス太とニャル子の蹴りが繰り出される。

流石に避けきれなかったらしく、インドミナスの上から吹き飛ばされる、が。

 

 

「!? これでも効かないだと!?」

 

「こうなったら、合体技です!!」

 

 

ハス太が竜巻を作り出し、クー子の炎を纏ったニャル子が、再度突っ込む。

よし、前にもデカイヤツを斃した、アレなら!

 

 

「GIIJYAAAaaa!!」

 

真っ向から迎撃するつもりなのか、直線に疾り―――??!

 

 

 

 

 

「?! しまっ、」

 

ギリギリでカクンと体勢を下げることでラリアットを躱し、そのまま走り抜ける。

 

その目は、

 

 

「少年!?!」

 

「八坂、?!!」

 

 

 

 

 

――はっきりと、僕を見据えていた。

 

 

 

「GAAAAAAAAAAAAAAA!!!」

 

「う――うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

――ブシュッッ!!

 

 

 

生暖かい液体が、辺りに飛び散った。

 

 

 

 

 

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