side真尋
………
……………
…………………
…………………あれ?
確か僕は、インドラプトルに襲われて……なんで意識があるんだろう?
薄っすらと目を開けると、赤い壁が目に映る。
「……はい?」
つい出た間抜けな声に反応したのか、壁の一点が裂け、黄色い瞳が僕を見下ろす。
思わず悲鳴をあげそうになって、その瞳がインドミナスのだと分かる。
? じゃあ、インドラプトルは何処に?
ブシュッっと血が何処からともなく降ってくる。
ふとそちらを見上げれば、インドミナスの首に噛み付くインドラプトルがいた。 喰いちぎるように首を左右に振ると、それにあわせて血が流れる。
「――ッ!?!? お、おい! 大丈夫なのか?!?」
「グルルルルル」
目を細めると、首にインドラプトルをぶら下げたまま、ゆっくりと立ち上がり、
「ゴォアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
力強く咆哮する。
ショックを受けたのか、振り落とされたインドラプトルが距離を取り、互いに睨み合う。
って、あの怪我じゃ無茶だ! なんとかしないと――
「無粋な真似はよせ、真尋」
シャラァと、赤く輝く、抜き身の刀が突きつけられる。
持ち主は、
「!! アンタは、」
「よ、また会ったな」
例の、フードを被った邪神――!
「なんで止めるんだよ!? このままじゃ、」
「その必要は無いと言っている。
インドミナスがインドラプトルに負けるとでも思っているのか?」
「当然だ!! 俺が造った、最強の恐竜だぞ!!」
お前は黙ってろよニョグ太!!
邪神も言いたいことがあるらしく、呆れたような雰囲気を漂わせて、
「……お前、馬鹿だろ。
インドミナスが勝つに決まっているだろう」
そう、断言した。
「なぜそう言える?!?」
「なぜ、か。
ならば逆に聞くが―――
それぞれラテン語で、『王者』と『略奪者』だ。
――
そんな言葉を証明するように、辛うじて残っていた売店に、インドラプトルが叩きつけられた。
「………ばか、な、」
「当然の結果だ。 原作でも、ラプトルの名を冠する恐竜がレックスに勝てたことがあるか?」
「………無いな」
インドラプトルが両手の爪を無茶苦茶に振るが、牽制にすらならず、蹴り飛ばされる。
「グルァッ!!」
「kusomala!!」
「……あのKYを血祭りにあげるのは私がやっておくよ。 だからな、真尋。 お前らはいつも通りにすればいいんだ。 正直、今のお前らは見るに堪えん」
「……いつも、通り?」
「そう。 いつも通り」
肩に手を置こうとして――身長的に背伸びしても届かず、二の腕を掴んで、インドミナスの方へ押しやる。
「ほら、お待ちかねだ」
……いつも通り、か。
………いつも通り、ね。
じゃあまず。
「なあ、アンタ。 アンタにずっと言いたかった事があるんだ」
「ん? 私か? なんだ?」
「お慈悲〜」とか叫んでるニョグ太をサクッと亀甲縛りに処している邪神に向けて、
「お前さぁ、
――キャラブレし過ぎなんだよ!!」
「△△□○! ニョグ太シールド!!」
スコーーン!!
「イギャァァァァァアアア!?! 目が、目がぁぁぁぁぁぁ?!?」
投擲したフォークがニョグ太の両目に突き刺さり、ム○カに早変わりする。
「ホント、ずっとツッコミたかったんだよ。 シリアスの時しか出ないで、シリアスなセリフ吐くくせして、なんかあったらネタに走りやがって!! 今のニョグ太シールドだってパタ○ンだし!! さっきの刀だって紅桜だし!! 1人用ポ○ドで潰れるし!!!」
「ちょ、やさ、やめ、グボァーー!?!」
フォークの雨を浴びせたら、全部ニョグ太の急所で防がれた。 チッ!
「テメェもテメェだインドラプトルゥ!!」
「GGyAAAAAAAAA?!?」
隔壁に叩きつけられているインドラプトルの鼻先にフォークを1本突き刺す。。
「お前さぁ、僕らの時間軸からみたら未来のネタなの! 分かる!? なのにポッとラスボスポジに収まりやがって!! しかもここはユニバ○サル時空だって何度も言ってるのにパワーインフレが起きるわ『クソマァ』言いながら蹴り飛ばされるわ岩盤浴始めるわ!! いつからここはDB時空になった!?! つかうp主の趣味丸出しじゃねえか!!」
「……USJでコラボしてるからよくnハイダマッテマス」
余計な事を言いかけた邪神をフォークをチラつかせる事で黙らせる。
「重要ポジみたいな感じで出てきたマルドゥーンさんは出番あれで終了だし!! なぜかニャル子は設定守るし!!」
「えっと……ごめんなさい??」
まだまだツッコミたい所はあるけど、取り敢えず、
「い・い・加・減・に・しろお前らぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「GyAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA?!?!?!」
「」
手元に残っていたフォークを全弾インドラプトルにブチ込んでおいた。
フォークって恐竜にも通用するんだな。
……え? インドミナスが巻き添えくらってる? ちゃんと血で滑る分を計算して曲投げしたから、当たるわけないだろ。
「……物理法則仕事して、どうぞ」
「1番物理法則ガン無視してるお前らが言うな」
縛られて転がされてるニョグ太の腰からハイパーイースを取る。
「なあ、僕ら元の世界に帰りたいんだ。 これどう使うんだ?」
「こ、答えるとでm
「そっか。 なあそこの黒フード、お前自力で次元振動?起こせるのか?」
「黒フー……余裕で出来るぞ」
「じゃあお前は置いていくな」
頼む連れて行ってくれ!! 教える!! 教えるからぁ!!! せめてそれ置いて行ってぇぇぇぇ!!!」
ビッタンビッタン撥ねて自己主張する。 その姿はまさに、まな板の上の鯉。
「じゃ、頼むぞ」
「あいよー」
「スルーヤメテェェェェェ!!!」
黒フードがパチンッと指を鳴らすと、空間がスキマのように裂ける。
――高度10メートルくらいの所に。
「「「「……………はっ???」」」」
「んじゃ! サラダバー!!」
呆然としている間に、浮いた黒フードが裂け目に飛び込んで姿が見えなくなり、すぐに裂け目が閉じる。
「………ウソだろオイ」
お、置いて行かれた?!!
「こうなったらニョグ太を拷m……尋問して使い方を聞き出すしかないようですね」
「待て待て待て待て待て待て!! 帰れなくなったら困るのは俺も同じだ!! 素直に教えるからそのバールwぉるたなてぃぶ!?!?」
堅いもので固いものをブン殴る音が連続で聞こえる。
精神安定の為に後ろを向き
「……GRRRRRRRRRRRRRR」
「………オーマイガ」
ズゥゥゥゥゥンと、死神どころか地獄の釜そのものが歩き出したような地響きの主と目があう。
『振り返る』という動作をしたせいなのか、バッチリと僕を見据えるのは、『楽園の女王』。
――ティラノサウルス・レックス。
通称『レクシィ』が、そこにいた。
「……? 少年、どうし……………ォゥ」
「GOAAAAAAAAAAAAaaaaaAAAAAAAAAAaaaaaAAAAAAAAAAaaaaaAAAAAAAAAAaaaaaAAAAAaaaaaaaaaa!!!!!」
「「「「「ギィヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアアアアア!?!?!?」」」」」
動かない物は見えないとかいう設定があったけど、これはムリ!?!!
インドミナスたちもボロボロでとても戦えそうにないし!!
回れ右! 全力で走れ―――
「――楽しんでいるようでなにより。
じゃ、これで本当にお別れだ、真尋。
――――
ジャリィィィンと、何かを引き抜いたような音が響く。
紅い風が吹き荒れ―――――