真龍様は今日もワガママ!   作:虹野衣司

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ゼノサジ武器を装備して強くなる(予定)のスカーサハとシエテ


⑤スカーサハとシエテ、村へ着く

「あれ~。なんかやけに今日は静かだね~」

「そうか。人通りがないわけでもあるまい。そなたの気のせいではないか」

「そうだといいんだけどね~。この手の予感って言うのは外れたことがなくてさぁ。やれやれ」

魔物を蹴散らし、ジータの故郷の村にたどり着いたシエテとスカーサハ。村の様子を不審に思いながらもジータの生家を目指して歩を進めていた。

「スカーサハちゃん、気付いてる?」

「おぬしが我をいやらしい目つきで見ていることか」

「いや、俺普通に見てるだけなんだけど。そんなに不審者に見えるかなぁ」

「むしろ村人がそういう目で見ておるな」

「うわぁ…落ち込むなぁ。でもそうなんだよね、僕らのことをすごく警戒してみている」

「警戒されておるのは、お主だけじゃがな。まぁ、差し詰め前回何かやらかしたのだろう」

「そんなことないと思うんだけどね~。ちゃんとジータちゃんと仲良くしてるって伝えたし」

「感じたか、今村人たちの視線が鋭くなったぞ」

「嫉妬ってやつ?うそでしょそれこそ!」

「ふむ。自尊心が高いのも考え物だ。我はそこの丘でのんびりしておるから、お主は何が原因なのか突き止め、解決せよ。あまり待たせるでないぞ」

「うおおい!まじかーい!やれやれ~あんまりワガママだとお兄さんも困っちゃうよ~」

「ワガママか?合理的で理論的な判断だと思うが」

「はいはい、そうですねー。ま、このままじゃ居心地悪いしね。ちょっと行ってくるよ」

「さっさと行くがよい」

「あはは…」

こうしてシエテと別れ、スカーサハはなだらかな丘の上でひとり寝転ぶ。

空は青く、心地よい風が包む。

「お昼寝がしたくなる気分、というのはこういうことであるな」

目を閉じる。自然と今までの旅が脳裏を駆け巡る。

アイルストを出ようと言って。ノイシュとセルエルに止められて。しかたないからびっくりさせてみたりして――

そのまま夢の世界へと身をゆだねる。夢の中でもスカーサハはノイシュとの思い出に…

 

「と、なるとでも思ったか?そこにいるのは誰だ」

「わわわ、お兄ちゃん、気付かれちゃったよ!」

「おいバカ、声出すな!寝言だろ?くそう、くそう、まだ活路は――」

「活路なんてないぞ」

「うわあ、やっぱり気付かれてる!逃げよう!」

「まあ待て、お主らが危害を加えるつもりがないことは分かっている。安心せい。我も子どもに手をだすほど野蛮な龍ではない。こちらに来るがよい」

「か、体が勝手に…!」

「お兄ちゃん、こわいよ!危害加えてるよこれ絶対!」

「たわけ。そもそも勝手にのぞき見していたのはお主らの方であろう」

「…」

「何か言うことがあるだろう」

「すみませんでした」

「ごめんなさい!」

「ふむ。悪いと思っているのか。我はてっきり何か用があるのかと思っていたのだが…まあよい。名はなんと申す」

「俺の名前はパズウ!ジータちゃんに言われてここに来たんだ!」

「お兄ちゃん!?」

「え、どうかしたか?」

「なるほど、事情は分かった。あの小娘…なにか企んでおるな」

「あ…」

「もう、お兄ちゃんのバカ!」

「に、逃げよう…」

「逃げられるものなら逃げるがよい」

「無理でした!」

「もう、ほんとお兄ちゃんのバカ!アホ!ドジ!」

「ところでそちらの娘の名前を聞いていないが」

「あ、私はザンクティンゼルのキャスター。真名はまだ明かせないわ」

「ふふ、キャスターか。笑わせてくれるわ!魔術回路を所持しておらぬというのに…。まぁよい、幼さゆえの戯れ言であろう、許す。ではキャスター、お主はどうしてここへ来た?」

「お兄ちゃん…どうしよう」

「我はお主に聞いているのだ、ザンクティンゼルのキャスターよ。なぜ来た?」

「そ、それは山へ芝刈りに…」

「うそだ!!」

カラスが背後の木から一斉に飛び立つ。

「それはそれとして…さ、話すがよい。だいたいジータのことだ、想像はつくがな」

「実は私たち…」

 




タイトルのなんとなくさむ~い感じは狙ってやってます、大丈夫です。
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