クッパ戦記   作:鰹ふりかけ

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奴隷兵士とプロパガンダ

ジャンボル諸島近海 夜明け前

 

上空400メートル

 

普段ならば偵察の為に少数の戦艦が浮かんでいるのだが、その日は違った

 

今までに観測されたほどのない濃霧が発生。

その上に見たこともないような大きさの雲の塊が形成されているのだ。

 

当然の事ながら現地の観測所はてんやわんやの騒ぎを起こした。

 

本国への通信を行う者

 

計器の点検を行う者

 

上空の様子を眺める者

 

慌ただしくデータの計算を行う者

 

誰もが作業に没頭していた。

いや、してしまったと言った方がよいだろう

 

誰もがその雲の中を通過する無数の存在とその唯一の手がかりである大型回転機のわずかな駆動音を聞き逃してしまった。

 

「気づかれていないようだな………」

「はい、提督」

「魔法部隊の様子はどうだ?」

「今のところ問題はありません!」

「うむ、霧発生の魔法が切れないように注意しろ」

「は!」

 

「まさか、私がこのような大作戦の指揮をとることになろうとは………」

 

そう呟きながら艦橋から辺りを見渡す。

そこには霧に隠れて輪郭のみしか視認できないが多くの艦影がお互いに一定の間隔を開けて飛行している。

 

「艦と艦との間隔に注意しろ!」

「はい!」

 

灯火制限をしているため艦橋の中は暗く、時折射し込む月光が唯一の光源であった。

その僅かな明かりで怪しげに光る蛍光が、開かれた羅針盤から漏れる。

 

「航海長!現在の当艦現在地は?」

「ジャンボル諸島水道を通過進路を西にとっています」

「うむ、予定通りか………」

 

今度は時計を取り出し確認すると自分の手が震えているのに気がついた。

それは上空の寒さによるものなのかそれとも緊張から来るのか自分にはわからなかった。

 

 

 

夜明けが近い

 

遠くの地平線に目を凝らせば僅かにしろずんでいる

 

 

「航空参謀!」

 

 

作戦の開始が近づきつつある

 

 

…………………………………………………………………

 

 

キノコ王国首都キノコタウン

 

夜明けを迎え朝日がさっと射し込んでいく、多くの住民はまだ眠りについているが。

港の漁師達が活発に活動しており、丁度漁から帰ってきたであろう漁船で賑わっていた。

 

 

「なあ、ありゃなんだ?」

「なんだいきなり」

魚を船から運びだそうとするキノピオが上の方を指差す

つられて見れば空に黒い点々が見えた。

 

「鳥か何かだろ」

「それにしてはでかくないか?」

「ちょっと待ってろ」

やがて一人が望遠鏡をのぞきこむ。

 

ガタッ

 

そして手元から望遠鏡を落として呆然と立ち尽くした。

その異様な様子に周囲が肩を揺すってしっかりしろと言うように語りかける中でじっと空を見つめながらこうつぶやいた。

 

「クッパだ………クッパがきた!」

 

その言葉で一瞬にしてその場が氷ついた。

 

そして、数分後に一斉に動きだす。

あるものはあわてふためきその場をいったりきたりし、その他の者も頭を抑え怯えてその場に座りこむ。

 

やがて、その中でも勇敢な者達が非常時用の鐘を鳴らすべく走り出すが………時すでに遅し。

 

 

「#%#<%>%<%>%>%(}/{」

彼らが鳴らそうとした鐘が木っ端微塵に吹き飛び、その残骸の上を編隊を組んだカメック達が飛び去っていく

 

そして、彼らが飛んでいく方向からさらに多くの爆発音が響き始める。

 

危険を知らせるための鐘が、塔が、煙を上げて崩れさっていき、その後にピーチ城の方向へと飛行していく。

 

「「「「姫様が!」」」

 

いきなりの出来事に呆然となり立ちすくみ、しばらくしてから敬愛すべき姫の危機だと自覚する。

 

「どうする?どうする?」

「どうしよう……」

「とにかく城に向かわない………なんだ?」

クッパの襲撃である。

いつもならばマリオさんが向かってくれてクッパをやっつけてくれる………だけど今国元に英雄はいない。

では、どうすべきか?自分達ではどうすることもできないのも十分に理解しているのだが、じっとしていられなかったのだ。

 

とにかく様子だけでも見ようとかけだそうとするが、いきなり周囲が闇につつまれ足を止める。

 

 

ゴウン、ゴウンという音と共に恐るべきクッパの飛行戦艦が自分達の上を通過しこれが戦艦の影だと理解してしまう。

 

 

そして

 

「降下ーー!降下ーー!」

「「「「「ワアアアアアアア!!」」」」」

パラシュートクリボーやパタパタ等が降下してくる。

 

 

「「「「あわああわわわ」」」」

 

 

 

 

ピーチ城の周囲には飛行戦艦が着陸し中からハンマーブロスを中心とした重装歩兵が飛び出していき、大砲や尖塔を破壊され城壁の上までもが占拠された城には防衛能力など皆無に等しく易々と城門を突破し場内へとなだれ込んでいく。

 

 

「上層の人物を確保しろ!」

「書類の破棄をさせるな!」

「逃がすんじゃないぞ!いけええええええ!」

蜘蛛の子を散らすように場内を走り回るキノピオ達を追いかけ回し、他の部隊が大臣や閣僚の事務室を制圧していく。

 

そして、城内はてんやわんやの騒ぎになっていくのだが、問題が起きた。

 

 

「「「「「「キノピオの見分けがつかねえええええええええええええええええええええ」」」」

 

事前の調査で上層部の人相は調べられており現場の人間にも人相書きが配られているのだが………ほぼ同じ顔なのである。

 

それが大量にしかもあちこち無茶苦茶に走り回るのだ。

 

当然の事ながら現地で大混乱が生じた。

 

「こいつだ!」

「傘の色が違うぞ!」

「こいつか?」

「なんか微妙に違うくね?」

「こいつ!こいつだ!」

 

「違いますよ!」そっくりさんA

「自分じゃないです!」そっくりさんB

「うええええええん」そっくりさんC

「姫様ああああああ!」そっくりさんD

「マリオさん助けてえええええ」そっくりさんE

 

 

「おい!こっちにも似たような奴が沢山………」

「「「ファ!」」

 

そしてこれは市街地へと降下した部隊にも発生、一時指令部が機能不全を起こす事になり城からの逃亡者が多数出てしまう結果になってしまった。

 

 

 

「ピーチ城の制圧及びキノコタウンの占拠が完了しました!」

「うむ、それでピーチ姫は?」

「やはりいなかったようです!」

「そうか………押収した資料は情報部に送らせろ!それと万が一に備えて周囲に偵察隊を派遣しておけ!」

「はい」

 

作戦成功である。

だが、提督の心は喜べなかった。

 

多数の大臣や閣僚を捕獲してほぼ無傷の状態で首都を占拠できたのにも関わらずだ。

 

「嫌な予感がするぞ………」

 

 

 

 

そして、提督の予感は的中する事となる。

 

 

 

キノコ王国侵攻から数日が経過。

 

クッパ軍団は首都から周囲の集落や都市へと進出を開始しほぼ無抵抗で勢力範囲を広げていく。

 

だが、ある日を境に妙な報告が出始めた。

 

 

 

 

ノコノコが襲撃してきたのだ。

 

 

 

 

最初はキノコ王国側のノコノコ達だと思われたのだが、報告が増えるにつれて嫌な予感が雪だるま式に増えていく。

 

 

顔は痩せ焦げて身なりは貧相で、煤に汚れた甲羅はもはや色の識別も困難。

 

その上でしきりに我が軍団の反対、自陣を見返し恐怖の表情を浮かべ泣きながら走って来るのだ。

 

極めつけに軍団に突撃してきた者達を制圧して話を聞こうとすると周囲を巻き込んでノコノコが爆発したのだ。

 

これによって何の情報も得られず。さらに前線部隊の士気が著しく低下している。

 

 

 

某所

「なかなかよい案だったな」

 

「ええ、」

 

「奴隷を戦場に突撃させるとは思い切った考えだ」

「家族を人質に取れば簡単でしたよ」

 

「そうか、そうか、でそいつらは?」

「はい、あとぐされなく消しておきました」

 

「その上で怯えて帰ってきたやつは処刑、突撃したら爆死か………傑作だな!」

「少しもったいない気がしますがどうせクッパ軍団が来たらなくなるんです。資源の有効活用と思ってくれればよいのです」

「資源か………言えておるの」

 

「彼らには我々が資産を回収する時間をかせいでいただかないと行けませんから」

「笑いが止まらんな」

「全くだ」

 

「難民となった国民からは金を巻き上げられるし」

「武器も売れに売れている」

「政府が無茶苦茶なおかげでいろいろできる」

 

 

 

「「「「「「戦争は最高だな」」」」」

 

 

「それで、例の計画は?」

「滞りなく」

「そうか、下級国民達も本望だろうよ」

「ええ」

 

 

「「「「「愛する国のために死ねるのだからな」」」」

 

 

暗い一室の中に不気味な笑い声が響く、彼らの目はギラギラとひかり口元は薄い三日月のようになる。

 

 

 

 

 

 

数週後 キノコ王国ある町

 

町の広場にはこの地の住民のほとんどが集められており、皆侵攻してきたクッパ軍団の噂を聞いてみんな不安がっていた。

 

「クッパ軍団がもうすぐそこまで来ている!そのため他の町へと避難する事になった!!」

どこかから派遣されて来た兵士がそう言って住民を急がせる。

 

あまりの急報に住民は慌てて準備をして兵士に誘導されて町から逃げていく。

 

他の町とは反対の方向へと。

 

 

「あのー兵士さん、私達どこに向かっているんですか?」

「行けばわかる」

「そうですか………でもだんだんとなんだか森深くなってきていませんか?」

「………」

「兵士さん?」

 

「「「「「………」」」」

 

 

「えっ!?どういうっ」

「お前のような勘のいい奴は嫌いだよ」

周りの兵士達の様子がおかしいことに気がついたキノピオだが言葉を最後まで発する事はなく切り伏せられた。

 

それを目撃した人々に恐怖が伝染していく。

 

「へっ兵士さん一体何をガッ」

「皆殺しだ!一人も逃がすな!」

おそる、おそる近寄ってきた住民が喉を貫かれ物言わぬ屍へと変わる。

同時に周りの全ての兵士が抜刀し近くの住民へと切りかかる。

 

「うわあああああああ!!」

「にげろおおおおおおおおおおお」

「いやあああああああああああああ!!」

それを見て住民達は道を外れて逃げ出そうとするが周囲の藪から潜んでいた兵士達が現れて退路がたたれる。

 

周囲には悲鳴が響き、地面が赤く染まり濃厚な鉄が錆びた匂いが漂う。

 

 

 

 

 

数時間後、そこで動く者はだれもいなかった。

 

 

 

 

それから、数日後

 

 

全世界にあるニュースが発信された。

 

〈クッパ軍団がキノコ王国で虐殺か?〉

 

これが、詳細な写真と文書、そして情報源が明確だった事もあり大反響を巻き起こした。

 

 

マメーリア王国、クッパ帝国へ非難声明

 

同じくドルピック諸島政府、サラサランドなどからも非難声明が発信される。

 

 

そして、多くの国が貿易の停止を宣言した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




仮説

なぜキノコ王国がこんなことになってしまったか?

マリオ&ルイージRPG2をプレイしてた時。

ヤバいです

赤ちゃんピーチ姫しか王族いないとかあかんやん

しかも政治能力皆無の赤ちゃんとか権力継承もできないし権力が宙ぶらりんじゃね?



信頼できる家臣が爺一人とか………仮に爺が大臣の立場だとしても一人で全政治の監督とか無理だろ
(さらにキノコ大臣とか言う別のキャラクターが居たので最悪の場合世話役の可能性すらある)

ヤバいです

しかも、この状態のキノコ王国にゲドンコ星人が襲来し国中の基盤がガタガタに

ヤバいです

逆臣が暗躍できる要素がありすぎる


その点クッパは

幼少期はカメックババが家臣団を統制
(ヨッシーアイランドの時点でクッパの命令にカメックが従っている

さらにゲドンコ襲来時にはすでにカメジェットの指揮を行っている。

さらにクッパ帝国は基本的にマリオ以外はだれも攻めて来ることがなく国家基盤が安定しているし

あと、クッパ幼少期の時点で強いんだな

クッパ帝国という国家の性質上で強者は権力継承しやすいし



と思ってた




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