英雄王《偽》の英雄譚   作:課金王

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作者の都合により、最後の部分を書き直しました。
削除したり投稿したりと、読者様をぶん回してしまい申し訳ありません。



13話

戦場で繰り広げられる《海魔》による蹂躙を見たギルガメッシュとエーデルワイスは突入する頃合いと判断して戦場へと突入。

自分と親友たちの次代を担う英雄の卵達に喜びながら、ギルガメッシュは《天の鎖》と宝具の射出により贋作の軍団を壊滅させた。

 

デブガメッシュもエーデル武蔵も塵に消え、すべてが終わった。

傷ついた連合と同盟の騎士達は水使いの騎士の治癒や現地に運ばれた最新式の移動カプセルによって一命をとりとめた。

 

治療中にカプセル内で暴れ、レンタル中であるカプセルの一部が凹んだりしてしまったが騎士達は気にしない。

全ては自分たちを地獄へと放り込んだ愚かな上司達が膨大なメンテナンス料を払ってくれるのだから。

 

わざと(・・・)カプセル内で暴れる騎士が続出する中、戦場の隅では二人の学生騎士が再会を果たした。

 

「チビスケェエ!!」

 

「ぶふぅ!?」

 

再会そうそうに西京(さいきょう)寧々(ねね)の顔面に滝沢(たきざわ)黒乃(くろの)による鋭い拳が叩き込まれた。

疲弊し、魔力も西京寧々の攻撃によってもたらされた全身の骨折の治療により枯渇寸前とは思えない一撃によって、地面を転がる西京寧々。

その光景は辺りを《解放軍(リベリオン)》を警戒しているギルガメッシュとエーデルワイスはもちろん、他の騎士たちの視線も集めていた。

 

「貴様のせいで日本に帰る前にあの世に旅立つ所だったぞ!!」

 

「い、いやー、そんなに怒んなよ、く、くーちゃん(・・・・・)?」

 

「……おい、なんだその気色悪い呼び方は?」

 

一メートルほど後方に転がった西京寧々だったが、事前に完全回復していたお陰で、すぐに起き上がり、ぎこちない引きつった笑顔で今まで見せた事のないフレンドリーな態度で滝沢黒乃の元へ歩み寄る。

西京寧々の態度もそうだが、今まで自分が呼ばれた事のないあだ名にドン引きする滝沢黒乃。

彼女は未知の化け物を見るような目で彼女を見ると、一歩後ろに下がった。

 

――もしかして強く殴り過ぎてしまったのだろうか?

 

「え、えー?何言ってんだよこのクソ……くーちゃん。

うちら親友(・・)だろ?」

 

親友という言葉を強調しながらドン引きする滝沢黒乃から、これ見よがしにチラチラとギルガメッシュへと視線を動かす西京寧々。

その表情は頬は紅く、初々しさと必死さに溢れていた。

たぶん頬が赤いのはクリーンヒットした滝沢黒乃の拳のせいだけではない。

 

西京寧々がチラチラと伺っている先の人間を見て、何となく察しがついた滝沢黒乃。

彼女は目の前の女のチョロさに呆れた。

少女漫画に登場する、頭がお花畑なヒロインも驚く程のチョロさだ。

 

でも、納得は出来る。

滝沢黒乃は目の前の西京寧々の悲惨すぎる恋愛模様を知っているからだ。

 

例えば……。

 

一年前の秋。彼女は転びそうになったところを学校の先輩に受け止められた事があり、その優しさに一目ぼれした。

相手は三年の先輩。

時期的にもうすぐプロの魔導騎士として活動するための研修と訓練が忙しくなる。

特に、彼はDランクすれすれの学生騎士で努力しなければならない。

だから、彼女は時間を見つけて先輩に一世一代の勝負にでたのだ。

 

『よ、よかったら、あの……。

今度私とお食事でもいかがですか?』

 

彼女の精一杯の勇気。

彼女の勇気あるお誘いに先輩は、身長の低い彼女と視線を合わせて優しく答えた。

 

『えーっと…おままごとは小学校のお友達とやった方ブヘェ!?』

 

小学校のお友達と聞いた瞬間。

西京寧々の乙女のハートは粉々に砕かれた。

あまりのショックで想い人である先輩を殴り倒し、マウントポジションで拳を何度も振り下ろしてボコボコにした挙句にキャメルクラッチを決めてしまう程だ。

 

 

先輩は西京寧々を覚えていない所か小学生と間違えたのだ。

確かに学校指定の制服を着ていたにもかかわらずに軽率な返事をした、その先輩にも非はある。

しかし、彼女の身長はそれほど低かったのだ。

学校指定の制服がコスプレにしか見えないほどに……。

 

先輩が全治一週間以上のケガをカプセルによって一日で治療されて以降、ボコボコにした先輩を思い出し、少しでも大人に見えるようにする為に彼女は原付バイクでの登校を決める。

しかし……。

 

『西京寧々さん…もうしわけありませんが県警が定めた基準よりも身長が……』

 

彼女は教習所でバイクに乗る所か入学を拒否されてしまう。

これによって希望が絶たれた彼女は荒れに荒れて、学校のマドンナとして同級生のみならず上級生からも熱い視線を送られている滝沢黒乃にケンカを売りに行った。

 

それが、彼女と滝沢黒乃のファーストコンタクトであり、滝沢黒乃が彼氏持ちと分かると彼女のボルテージも更に上昇。

にっくきリア充である滝沢黒乃を倒す為に《闘神》に弟子入りする程だ。

 

ぶつかり合う度に成長する彼女達の試合が死合になる没収試合を増やし、二人そろって学園の問題児と呼ばれるようになり男も女も寄り付かなくなった。

クールで彼氏持ちの滝沢黒乃は痛くも痒くもないが、彼氏なし=年齢の西京寧々には大ダメージだ。

 

学生の間は学校の誰もが彼氏は出来ないと認識している。

故に、これは彼女が花の十代で恋が出来るラストチャンスであり、彼女にとって例えライバルの足の裏を舐めてでも、成就させたい想いなのだ。

 

西京寧々の必死な姿に納得すると同時に西京寧々から視線をエーデルワイスに移す滝沢黒乃。

彼女は、エストニアが彼等の参戦が決定した時から二人が恋人同士であるかもしれない…と、流れている噂を知っている。

 

スラっと背が高く、学生騎士で一番スタイルがいいと噂される滝沢黒乃よりも出ている所は出て、引っ込むところは引っ込んでいる美しき戦乙女(ワルキューレ)のような容姿。

対して……。

視線を西京寧々に戻す。

 

特殊な性癖を持つ男が好きそうな、幼い容姿にストンストンストンな幼児体型。

勝ち目はゼロに等しい。

 

「なあ……チビス…西京。

彼はやめておけ。男なら私が神宮寺(じんぐうじ)に頼んで紹介してやる。

な?」

 

「急に優しくなるなよ!!なんだ、その優しい瞳は!!?

もしかしたらワンチャンあるかも知れないだろ!!

これでも……お、男から何度も告白されてんだぞ!!」

 

もちろんその男達は、法治国家において危険な性癖(ロリコン)という業を背負った紳士たちである。

そして、告白した彼らは全員が血で汚れた唇で地面との熱いベーゼをしながら崩れ落ちた。

彼女が自覚している強がりに滝沢黒乃は人生で今までに向けた事のない優しい瞳と声色で目の前の西京寧々の肩をポムっと叩いて語りかけた。

 

「ああ…そうだな。

うん、私が悪かった。

だから…一度冷静になれ、な?

そうだ、今までの事は忘れて一緒に酒を飲もう。

なに、すぐに新しい恋が見つかるさ」

 

「振られる前提で話を進めんな―――――!!!」

 

 

―――――。

 

二人の微笑ましいやり取りを遠くで見ていたギルガメッシュはエーデルワイスに声を掛ける。

 

「なあ…エーデ。もし、国を作ったら建設予定の学校に入学してみないか?

村の女性以外の友達も出来て、楽しいかもしれないぞ?」

 

「では…ギル。貴方も入学してください。

貴方も村の大人達や私以外の友人を作るべきです」

 

「そうか?」

 

「そうです。あなたは確かに英雄で私よりも大人です。

でも……もっと人生を楽しんだらどうですか?

まるで隠居したおじいさんですよ」

 

「か、考えておく」

 

「はい。そして……私はあなたが何処で隠居しようが何処で学生をしようが、どこまでもついて行きます」

 

今までに何度か見た事のあるエーデルワイスの笑顔が今まで以上に美しく感じたギルガメッシュは思わず顔をそむけた。

ここまでストレートな事を言われたのは人生初めての経験だった故に気恥ずかしくなり、戸惑っているのだ。

そして、そんなギルガメッシュに優しい目を向けていたエーデルワイスの視線が移動して瞳が鋭くなる

 

「ギル……敵が来たみたいですよ」

 

「ん?あ、ああ…そのようだな」

 

エーデルワイスの方に顔を戻して、視線の先を見るギルガメッシュ。

彼等の瞳には剣気を辺りに振りまき、一振りの大剣を肩に担ぎながらこちらに向かってくる一人の男の姿が映していた。

 

「やぁ、王者。ここは初めましてと言わせてもらおう」

 

「ほう?ここは(・・・)とは、どういうことだ?

(オレ)は貴様なんぞ知らんが?」

 

一定の距離で立ち止まった男はギルガメッシュの言葉に笑い出す。

 

「クックック、これでも指名手配を受けてるんだが……。

流石は第二次世界大戦の三大英雄様だ。

私の様な小物には興味ないとは……」

 

言葉を区切ると、男の顔から表情が消える。

 

「つれないではないか?貴様が日本軍に肩入れしたせいで、我が一族は英雄から咎人に変わったのだぞ?」

 

男の言葉で、ギルガメッシュは気づいた。

第二次世界大戦で自分が日本軍に加担した事により英雄から犯罪者の如くアメリカ国内で叩かれていた人物の事を……。

 

「貴様…ダムラス・マックーサーの縁者か?」

 

「ああ、そうとも。

私はダムラス・マックーサーの孫だ。

今は《解放軍(リベリオン)》の使徒。《剣聖》のヴァレンシュタインと呼ばれている。

今日は我が人生を困難なものへと変えた貴様を殺す為に来た」

 

表情は消えたまま、ドブの様に濁った瞳をギルガメッシュに向けるヴァレンシュタイン。

正直、あれは戦争でギルガメッシュからしたら逆恨み以外の何物でもない。

 

「復讐か……他には何かやることはなかったのか?」

 

「あいにく、ガキの頃からお前を殺して一族を復興させようと燃える祖母をはじめとする一族達から拷問みたいな修行をさせられてきたからな……。

私はこれ(・・)以外に知らんのだよ。

まあ、その一族を皆殺しにしたのは私なんだがね。

今は、世界を《弱肉強食》の本来の姿に戻す為に活動中だ」

 

ギルガメッシュの質問にスラスラと答えるヴァレンシュタイン。

そして、話は終わりだと言わんばかりに大剣を両手で構える。

 

「弱肉強食…か。

では、貴様が食われても文句はないのだな?」

 

ギルガメッシュの言葉と同時に彼の背後の空中に展開される五十を超えるバビロンの門。

 

「もちろんだ。出来るものならな!!」

 

こちらに向かって走って来るヴァレンシュタインにいつも通りにバビロンの武具を射出するギルガメッシュ。

斧と剣と槍の雨がヴァレンシュタインに向かって降り注ぐ。

しかし、彼に避ける素振りはない。

 

一体何を考えている?

 

疑問に思ったギルガメッシュは念の為に自動防御を行う円盤の宝具を周囲に展開した。

数多の宝具がヴァレンシュタイン目掛けて着弾し、爆炎と土煙を巻き上げる。

 

「奴め…一体何をした?」

 

土煙が巻きあがって数秒。

視界が曇ると煙の中からヴァレンシュタインが五体満足で現れた。

これにはいつの間にか戦闘を観戦していたギャラリーやギルガメッシュも驚いた。

 

「ならば、縛り上げてから殺してやろう」

 

ヴァレンシュタインの動きを封じる為にギルガメッシュはバビロンの門を彼の周囲に展開。

門からは《天の鎖》が射出され、蛇のように獲物を捕らえようとジャラジャラと音を鳴らしながら絡みつく。

しかし……。

 

「すり抜けた…だと?」

 

鎖が巻き付いたにも関わらず、ほんのわずかな動作で鎖から抜け出すヴァレンシュタイン。

これはおかしい。

《天の鎖》は確かに対神専用の宝具ではあるが、ほかのサーヴァントに対してもとてつもなく丈夫な鎖として、しっかりと機能はする。

ギルガメッシュの必勝パターンが通じないと分かったギルガメッシュはスキル《千里眼》を発動する。

これにより、視力が大幅に上昇し、瞳に映る自分よりも格下である相手のステータスを看破する事が出来る。

 

「そうか……そういうことか。」

 

「ギル、私が行きましょうか?」

 

「いや、問題はない」

 

ギルガメッシュの後方に新たに展開する百のバビロンの門。

そこから顔をのぞかせるのは全く同じ朱色の槍。

 

「これで終わりだ。雑種」

 

朱色の槍が射出され、ヴァレンシュタインに殺到する。

 

「はっ、バカが!!武器をいくら変えようと同じっ!?」

 

一番初めにヴァレンシュタインに到達した槍は……。

彼の左手を吹き飛ばした。

 

「ぬぅううううう!?」

 

腕を吹き飛ばされた痛みに耐えながら、残った右腕を使って大剣を盾にして防御に徹する。

全ての槍が射出された後、彼は吠えた。

 

「どういうことだ!?何故、私に攻撃が通った!?」

 

彼の伐刀絶技(ノウブルアーツ)はあらゆる摩擦をなくす絶対防御の力。

一族の人間もこの力によって容易に殺せたし、裏世界と表世界で有名な伐刀者も何人も殺してきた。

この力は彼にとって絶対であり揺るぎない最強の力だったのだ。

 

それが目の前の理不尽に紙切れの様に破られた今、彼の動揺は計り知れない。

 

「別に不思議な事ではないだろう?

貴様の手品が魔力に依存するものであるのなら、ただ魔力を食らって貴様の体を穿てばいい」

 

ギルガメッシュが放った槍はすべてが破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)

ギルガメッシュが上位ランクに入りたての頃、多くの輝く顔面を殺処分して対キャスタークラスのサーヴァント用に収集した百の破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)

本家ではありえないゲームアバターならではの一種の嵌め業である。

 

「なるほど……つまり貴様の前では魔力によって行われるすべての防御が無意味ということか?

ふざけ過ぎだぁあああああ!!」

 

遠距離から放たれる超火力の武具に魔力を食らう破邪の槍。

あまりにも無敵すぎる敵にブチ切れるヴァレンシュタイン。

 

戦いを観戦していた騎士達も、彼の意見に同意した。

まさにチートである。

 

「もう、やっていられるか!!私は撤退させてもらう!!」

 

「させると思うか?」

 

大剣によって弾かれた槍も、ヴァレンシュタインの近くに刺さる槍も、粒子となってバビロンに回収されて再びギルガメッシュの背後に展開される

 

「アリスゥウウウ!!」

 

ヴァレンシュタインが怒りの声で叫ぶと同時に彼の影が、彼を一瞬で飲み込んだ。

後に残ったのは吹き飛ばされた彼の左腕と大量の血液がしみ込んだ地面のみだった。

 

こうして、権力者たちが引き起こしたエストニア戦争は終戦した。

 

連盟と同盟の全ての権力者達は加盟国の首脳達の要請により、全ての責任を取らされて解雇。

 

その上、連盟と同盟が背負わされた膨大な借金の一部を背負わされる事により資産のすべてを奪われて破産。

 

彼等は全員、行方不明(・・・・)となった。

 

もしかしたら、ギルガメッシュに腕を奪われた復讐者による八つ当たりで、この世に居ないのかも知れない。

 

そして、彼らが行方不明になると同時にギルガメッシュの建国宣言によって世界最強の国家が誕生した。

 

彼の財によって作られた国家という名の大要塞。

何者にも侵せぬ、絶対国家にして世界で最も文明が進むことが約束された先進国。

 

その国はこう名付けられた。

 

バビロニア

 

 

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