英雄王《偽》の英雄譚   作:課金王

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14話※リメイク版

エストニアとの契約によって、エーデルベルク周辺の土地はギルガメッシュの領土となった。

エーデルベルク周辺を領土としたギルガメッシュは世界に向けて、建国宣言。

この建国によって、ギルガメッシュは王となり、エーデルベルク周辺地域はバビロニアという国へと変わった。

 

それと同時に、各国の衛星カメラがバビロニアとなった何もない土地に、入れ替わるようにウルク本社が出現したことを観測。

街ほどの広さを誇っていたウルク本社がマジックのように移動した現象に、ウルク本社があった日本をはじめ、世界が驚愕した。

 

世界が驚く方法で誕生したバビロニアの首都は日を追うごとにさらなる発展を遂げていく。

大砲が備え付けられ、バビロニアを囲うように出現した巨大で堅牢な壁。

 

世界中の誰もがバビロニアとギルガメッシュを注目する中、スキャンダルをすっぱ抜く事で有名な週刊誌《センテンス・スプリング》がウルクはギルガメッシュ所有の会社である記事を連載。

あまりにも出来過ぎた展開にネットでは、第二次世界大戦から計画されたギルガメッシュの《建国計画》として広がり、何時しかメディアもそれを取り上げた。

 

これにより、ギルガメッシュは武力のみならず、世界を相手に出来るほどの智謀を持つ《賢王》として認識され、世界からは英雄の中の英雄…《英雄王》と呼ばれるようになり、世界中の権力者達から恐れられた。

 

 

――――。

 

 

さて、建国宣言から数か月の時が流れた現在。

 

バビロニアはウルクの最新技術とギルガメッシュの宝具によって、時代の最先端を順調に突き進む。

 

他国に追従を許さない経済・武力・文明が揃う最強国家バビロニア。

 

曰く、国民の全てを潤す国。

 

その、素晴らしいバビロニア王国にも影はあり、繁栄の背後には犠牲(・・)があった。

 

 

 

「次の会談を行う者の情報収集を怠るな!彼等と世界情勢の情報は新しければ新しい程よい!

情報処理科に更新を怠るなと伝えておけ!!

奴らがこの国の利益のおこぼれに預かろうと考えているのは明白だ。

こちらが働いた分、奴らの口実が一つでも減ると心得よ!!

弱みを見つければ良し!!特別ボーナスと有給をくれてやる!!

エストニアと我が国の為に指を止めるな!!」

 

『はっ!!』

 

首都の中心に建設された宮殿では黄金の青年が玉座で仕事をしている。

バビロニアの王、ギルガメッシュである。

 

この国の国政は王である彼と自動人形を含む、世界から引き抜いた優秀な人材達によって支えられている。

特にギルガメッシュの仕事量はブラック企業すら青ざめる量であり、貫徹は当たり前の日常を過ごして居た。

国の繁栄は彼の犠牲によって成り立っているのである。

 

「秘書部、新しい人材の選別と教育はどうなっている!?」

 

『はっ!!順調に進んでおり、研修も終わってます』

 

「よし!それぞれの得意分野の部署にぶち込んでやれ!!

後、お前はそろそろ有休を使い、家族と存分に遊べ!!許可する!!

代理はルヴィアに任せよ!!」

 

『はっ!!有難うございます!!』

 

優秀なギルガメッシュの肉体とはいえ、彼が国を運営できるほどの能力を発揮しているのには理由がある。

 

ゲームシステムにあった《クラスチェンジ》というスキルだ。

 

クラスチェンジとは、複数のクラス適正を持つサーヴァントが一定のレベルを超える事で与えらえるスキルである。

ジル・ド・レェならキャスターからセイバーへ。

アルトリアならセイバーからランサーへ。

または一般市民であるNPCへの攻撃によってカルマ値を上昇させる事によって習得する《オルタ化》と言うスキルも存在する。

 

ギルガメッシュは《クラスチェンジ》を使用する事によって、戦闘力を大幅に下げる代わりに領土や国を自分の陣地にする事の出来る《陣地作成A》を得た。

これにより、バビロニアを《工房》として設定した彼は魔術を用いて《工房》である、国の情報をゲームの様にパラメーターや詳細を脳内で見る事で、バビロニアの情報を把握し、適切な判断と国の運営を行う事が出来るのだ。

もし、これがなかったらへっぽこな彼は王にならなかったし、恐らく自動人形であるアンジェリカが女王として君臨していただろう。

 

「ええい!!アメリカのポップスターの来訪などアンジェリカに対応させよ!!

この間、完成したアヴァロンスタジアムの使用を許可する!!

空港警備隊とスタジアムの警備はやって来る観光客の為に数を増員させよとエーデに伝えよ!!」

 

『ギルガメッシュ王!エストニアの学生たちの社会見学ですが…』

 

『ギルガメッシュ王!日本の総理大臣が会談を求めています!!』

 

『ギルガメッシュ王!新たに決まったエーデルワイス殿の試合の日時ですが…』

 

『ギルガメッシュ王!《解放軍》と思われるテロリストを確保いたしました!!』

 

『ギルガメッシュ王!中国の国家主席が留学生と人材を送り、企業交友を図りたいと連絡が!!』

 

「やかましい!!順番に報告しろ順番に!!

一から順番に片づけてくれる!!」

 

画面すべてに映る秘書室の職員達の案件を全て解決していくギルガメッシュ。

当然、その表情は疲労の色が非常に濃く出ていた。

 

 

―――――。

 

 

仕事を片付ければ片づけるほどに《幸運A》に因って導き出される必要以上の結果と増える国民達の期待と仕事。

彼は三日ぶりに帰還する事の出来た自室の椅子に座り、テーブルに突っ伏しながら、この負のスパイラルに悩まされていた。

そんな彼に微笑み、ギルガメッシュの為にお茶とおにぎりとデザートの軽いお菓子を夜食に差し出すエーデルワイス。

 

「上手く行っていてもここまで大変とは……。

覚悟していたが、この僅かな期間で国の運営が想像以上に凄まじいものであると痛感した」

 

「確かに、ギルの仕事量は異常だと思います。

でも皆が、貴方の判断によって国が発展した事で生活が楽で楽しいと、国民達と国営に関わる職員達全員が、貴方に感謝していました」

 

ちなみにエーデルワイスであるが、彼女はギルガメッシュの代わりにバビロニアの代表騎士としてKOKに参加。

僅か一年で公式戦最強の世界ランキングトップ騎士、《比翼》のエーデルワイスとして活躍し、バビロニアの軍事部で新兵の教育をしている。

忙しい彼女であるが、ギルガメッシュが帰っているという情報を得ると、今のようにギルガメッシュの為に、彼を労ったり夜食を作るなどして良妻ぶりを発揮。

 

国民とエーデルワイスの両親は二人の結婚を楽しみにしており、どちらが告白するかが国民達の賭けの対象となっている。

ちなみに一番に賭けられているのは『エーデルワイスの告白で結婚』である。

市によっては大穴として『エインズワース社長との結婚』 『遠坂凛とルヴィアの二人を嫁にする』がある。

 

知らないのは本人達ばかりだ。

 

「ギル、そろそろお休みを取ったらどうですか?

いくらギルが、常識外の存在とはいえ、そろそろ限界でしょう。

スカウトした優秀な人達が基本過程を終了しています。

そろそろ、人に任せてみてはどうでしょう?」

 

「……ああ、そうだな。

仕事が忙しすぎて奴らの存在を忘れていた」

 

労わるように肩に手を置くエーデルワイスに言われた事で、新しい人材の事を思い出したギルガメッシュ。

彼は、久々に仕事を休んで親友たちに会いに行く事にした。

 

久々の日本に何気ない会話が出来る数少ない親友たち。

彼等に会う事を決めた彼の顔から若干、疲労の色が消え、食べ始めた夜食がいつも以上においしく感じるのは決して、勘違いではないだろう。

 

 

 

 


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