愛しい瞳   作:シーマイル

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ようやくここまで来ました。

では、どうぞ、


15 伸びる影 

あれから一ヶ月は経っただろうか?

何しろ地底にいると昼夜も、寒暖差も無いのでよくわからない。

一応、地底の桜は見れたが···なんだろう、とてもじゃないが

ずっと見ていられるものではなかった。

天井から舞い降りるその桜色の欠片は、

禍々しかった。心奪われる程に、

心踊る程に、それは。

冥界にあると言う桜もあんな感じなのだろうか?

こいしも、お燐も随分と感激していたなぁ。

一日だけなら花見をするのも良いかもしれない。

まぁ冗談なのだが。

それともう一つ、私の時間感覚を狂わせたことがある。

 

仕事だ、

とにかく仕事だ。

あのこいしのペットを決めた次の日からそれは馬車馬の様に、

さながら人権など無視した労働だった。

まぁ妖怪に人権など元々ないが。

まず、屋敷の更に地下にある怨霊の発生源の鎮圧、

旧都に紛れ込んだ怨霊の駆逐、

そして有力者の面々への挨拶。

····思い出したくも無い。

一ヶ月前の私に言ってやりたい、

ここは極楽でもなければ仏もいないことを。

なのでペットの世話はこいしも手伝わせることになってしまった。

そのお陰かだいぶ雅やお空とも馴染んでいたのはよかったが。

この一ヶ月、心休まるのはペットと戯れていた時だけだろう。

やはり数が多いと世話は大変だがそのぶん可愛がれる子も多いので素晴らしいものだった。

そして今、私がこうしているのは

一段落ついたからだ。

ようやく旧都から怨霊は消え、地底の地下に留まり、

今は地獄の業火に焼かれていることだろう、

そしてその地下に何故かたまっていた死体も一緒に焼いている。

お燐が、

あの子随分喜んでいたわね。

思わず私が目を背けてしまう様な惨場も、

「えぇー、良いんですか?こんなに沢山の し た い!

 ええ是非とも私に任せて下さい!

 いいえ、任せて貰います。

 こんなに素晴らしいパラダイスを逃すわけにはいきません!」

と嬉々として言った。

···腐っても火車もどきなのねお燐。

お陰で助かったと言えば助かったのだが。

··もう考えるのは止めておこう。

今はただ、ペットと戯れながら紅茶を飲みたい。

随分酒臭い臭いしかかいでなかった。

今はこの紅茶の香りと風味を楽しみたい。

ペットをモフリたい。

  明日あたりお菓子でも作ろうかしら?

「そう言って明日も外回りじゃない。フレンチトーストも作れないと思うけど?」

「· · ·こいし、今は現実に戻さないで、私の桃源郷に居させて。」

「そう言ったってさぁ私に仕事させないのはお姉ちゃんじゃん。」

「それとそこれとは別よ、貴女にはペットの世話をしてもらわないと。」

「お姉ちゃん、それ本当に紅茶? 見たことない顔になってるけど?」

「··正真正銘、白濁液入りの美味しい紅茶よ。」

「紅茶をキメるより寝たほうが良いんじゃない?発言が危なくなってるし。」

「こいしさま、キメるって言い方はないんじゃありません。

 それに休むのは寝るだけじゃないですし。

 紅茶を呑むのも一ヶ月ぶりですしね。」

「そうよ、禁断症状が出そうだったんだから。」

「····飲んでるのって紅茶だよね?」

「緑茶に日本酒、梅酒、焼酎、大吟醸、倉囲まであるわよ。

 珍しいとこでワインとかコーヒーとか。」

「何時の間にまぁそんな、」

「外回りするたびに2~3本は増えてるかしら?」

「大丈夫?肝臓と脳、死んでない?」

「·····心は殺してるわよ。」

「御愁傷様です。」

「死なないで下さい!流石のわたしもさとりさまのしたいは····」

「良いわよ、お燐は想像以上の働きを見せてくれるしこいしもペットの扱いに慣れたみたいだし。」

「良いですよ、半分しゅみみたいなものですし。」

半分?半分で済むのかしら?

「そうだねー呼んでみようか?雅ぃーー、」

何処からともなく一羽の烏が飛んできた。

「クワァアー?(なんでっすかー?こいしさまー。)」

「今地下の方はどうなっているかしら?」

「カァ、(お空が見はってるよー)」

「そうなの?悪いわね。 もうそろそろ交代しないと。」

「クワックワァー(だいじょうぶですって。)」

「そうだって、今は休みたいんでしょ?

 休める内にやっとかないと。」

「そうは言っても····あぁ分かったわよ!今は存分に休むとするわ。」

「そうですって、本当にたいへんな時はよびますから、

 それまであんしんして下さい。」

あぁ、皆の優しさが痛いわ。

それほど身に染みて伝わってくる。

「そんなに染みこんでるなら素直に受け取って。

 そんな顔してると不安になるから。」

「そうですよ、よめなくたってつたわります。」

「こっちも色々不安なのよ、新しい環境でまだ間もないし、

 特にこいし、貴女のことが。」

「····分かってる。けど、今は沢山家族がいるじゃない。

 確かに怨霊の声は時々うるさいけど、

 私は大丈夫。分かるでしょ?」

こいしは確かに前向きになった様だ、

どうなることかと思っていたけど。

「そうね、だいぶ良くなってるみたいで安心したわ。

 ごめんね心配性で。」

けど、

「仕事は任せられないけど。」

「えぇー、いい感じだったのに。」

「貴女に話し合いができるわけないでしょ。

 まずはペットの世話をこなしなさい。話はそれから。」

「あーはいはい、分かりましたよーだ。」

ごめんなさいね、私もまだ忙しいし見れる訳じゃないから。

「けど、近日にお客様をお出迎えすることになるだろうから、

 その接客は頼むわ。」

「··それで妥協してあげる。けど、何時か行こうね地獄巡り。」

「あぁ、それは観光に成るのかしら?」

「楽しいのは間違いないって!血の池地獄とか見てみたいなぁ。」

「カァァー(いいですよー、あそこは。)」

「そうなのね···。」

まぁ地獄での生活を楽しんでいるようで何よりだ、

私楽しみたい。

小説読みたい。

だが、取り敢えず。

「紅茶も無くなったことだし私は寝るわ。」

「あぁそうなの? 私はもうちょっと起きてるから。

 おやすみー。」

「おやすみなさい。」

「カァー(休んでね。)」

「えぇおやすみなさい。」

そういって私は明日に備え寝ることにした、

ここ最近の疲れのせいかうなされながら寝ていたと思う。

そうやって眠っていたのだが、

叩き起こされた。

「おきて!!さとりさま!早くおきてください!!」

どうした?まだ朝には早いはず。

「どうしたの?お燐?」

「あぁ、こいしさまが、こいしさまがぁ!!」

その思考を読みとった瞬間、悪夢が始まった。

「こいしさまがさらわれました!」

 

 

 

 

·····はぁ!?




ようやく物語が終わりに向かい初めました、
初めたんですが、これから色々と忙しく成るのでより不定期になるかもしれません。
7,8月には再開すると思うのでよろしくお願いします。


では、また、
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