魔法科高校の救世主   作:ノット

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名前

「本当に一人で行くんですか。やはり私も付いて行きます」

「いや、ここから先は俺一人で行きます。穂波さんは俺が敵を取り逃がすかもしれないので、ここで見張っていてください」

 

 勧誘週間から一週間後の夜、俺は真夜から頼まれたお願いを今日実行することに決めていた。

 仕事内容は反魔法組織、ブランシュの日本支部の制圧。

 

 真夜から仕事を頼まれたが、これは別に絶対やらなければいけないというわけでは無い。俺は四葉の一員というわけでは無いからだ。それでも、こうして制圧に動こうとするのは誰の為でもない、自分の為である。

 

 レオやエリカ、光井さんや森崎、第一高校(ここ)に通う事で出会うことができた友達がいる。彼等との居場所である高校でテロなんて起こさせたくない。俺がテロを止めるには十分な理由だ。

 

 

 穂波さんは最後まで俺についてこようとしたが、断った。今日、此処にはブランシュの全メンバーと下部組織であるエガリテのメンバーが全員集まっているという事しか俺達は知らない。真夜がそれしか伝えなかったという事はそれしか情報を手に入れられてないということだろう。

 そんな場所に穂波さんを連れて行くなんて事は俺には出来なかった。

 なので、口八丁で言いくるめて外で待機してもらうことにした。

 

 真夜は穂波さんの手を借りたくないだろうと俺が言うことはすでに予測していたらしく、人手が欲しかったら達也の力を借りても良いと言ってくれたがそれも断った。

 達也なら喜んで力を貸してくれるだろう。なにせ、深雪に少しでも害がある存在を達也が野放しにはしないだろうから。

 

 だが、達也には俺が突然消えるという事で巻き起こった事件によって、今まで辛い目に合わせてきてしまった。達也にはもうそんな事を思う感情もないのだろうけども。

 だからこそ、高校生活くらいは普通の人としての暮らしをさせてあげたい。四葉でも、軍属でもなく一人のシスコンな兄として生活させたいと、そうなれば良いなと俺は願っている。

 以上の事から達也には今回の事は知らせていない。

 

 見張りに立っていた人員を素早く気絶させ、気配を消して俺は中に侵入した。

 通力により耳を強化し、索敵をしながら奥へと進んで行く。誰もこちらに近づいてくる音がしないので侵入したことには気づかれていないようだ。少し、ホッとしながらも緊張は解かずに進む。

 

 俺は自分の事を弱いとは思っていないが、強いとも思っていない。純粋な肉体面だけなら達也をも超えていると自覚しているが、それだけで絶対に魔法師に勝てるとは言い切れない。

 

 遠距離から三百六十度に波状攻撃を打ってきて近寄らせない等の事をされると俺には遠距離攻撃の手段があまりないので苦戦を強いられる。

 こちらも魔法、もしくは闇術を使えば良いと思うかもしれないが事はそう簡単ではない。

 魔法に関しては、そもそもあまり知識が深くないので攻撃に使用できるほどの魔法を使えない。

 闇術は行使するまでに時間がかかりすぎるというデメリットがある。第一階梯闇術でも早くて一秒半は使うまでにかかってしまうし、それだけの時間をかけて使えたとしても第一階梯では威力がそこまででない。まぁ、避けながらスペリングを行うという離れ業があるにはあるが、そんな事をするくらいなら光技のゴリ押しで倒した方が楽だ。

 

 そんな事情により一見、俺はとても強そうに見えるが意外と弱点も多いのだ。

 

 

 

 魔法式を起動してから魔法を打つまでだいたい一秒しない程度。CADの操作時間も考慮したらもう少し余裕がある。

 そんなに時間があるなら、俺に届く前に回避し反撃するには余裕だ。

 

(魔法師を見つけたら、優先して倒す)

 

 自分の中でルールを決めて、おそらく全ての人がいる部屋に侵入した。

 中では、代表のような男が大勢の仲間に向けて演説をしているところであった。

 

 部屋に入ってきた俺に気付き、視線を向けてくるが仲間と判断したのか何も言ってこなかった。そのうちに部屋にいる魔法師の位置を特定する。

(魔法師の数は八か。思ったより多いな)

 反魔法師組織にくみしているあたり、魔法はあまり得意ではないのだろう。油断している彼等のもとに一息で近づき、手にサラティガを顕現させて峰打ちで意識を刈り取る。

 

 それぞれ別の所にいた魔法師が突然倒されるという異常事態が起こってようやく、敵の存在に気づいたようだ。

 リーダーの男が指示を出す前に、俺はもう五十人程の意識を刈り取っていた。

(後、半分!)

 

 更にスピードを上げて敵をなぎ倒していく。

 

 途中から銃を使ってきていたが、銃弾くらいなら見切れたので怪我ひとつ負うことなく制圧することができた。

 一人を除いて。

 

 リーダーの男は峰打ちをする前にその場で、ひとりでに倒れこみ蹲ったまま動かなかったので、後回しにして他を先に優先した。

 それが油断だったのだろう。

 

 最後にコイツの意識も刈り取ろうと近づいたところで予想外の反撃を受けた。

 

 魔法。

 

 目から出ている謎の光に警戒して俺はそれを観察してしまった。

 直後、俺は意識を失った。

 

 

 ◇

 

 

「シュウ、私を助けてくれてありがとう」

 

 ーーあれ? これって誰だっけ?

 

 ーー忘れてはいけない人のはずなのに。

 

 ーーどうしても名前が出てこない。

 

 ーー貴女の名前は?

 

「私は、四葉 ーー。本当に助けてくれてありがとう」

 

 ーー君の名前を教えてくれ!

 

「私は、四葉 真ー」

 

 ーー君の名は。

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

「真夜。それが君の名前だった」

 意識を取り戻した俺は俺に魔法を使った男へと視線をやる。

 

「ど、どうして。催眠をかけたはずだ! そ、それなのに……」

 

「俺は……」

 

「俺から奪って行く奴を絶対に許さねぇ‼︎」

 

 強く握りしめた右拳で男の事をぶっ飛ばした。

 十メートル程飛んでいき、壁にヒビが入ってようやく止まった。

 

「これがその報いだ。人の記憶を勝手に消した、な」

 

 

 

 

 

 




シュウは精神攻撃に対する防御手段を持っていませんでしたので、ちょっとだけ苦戦しました。

真夜への想いで、すぐに目覚めることができましたが。


そういえば、この小説がランキングに入っていました!
ちらっとみたら入っていたので本気でビックリしました。
これからも、なにとぞよろしくお願いします。

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