魔法科高校の救世主   作:ノット

17 / 26
模擬戦

 ブランシュのアジトを制圧してから少し経ちようやく高校生活に慣れてきた時、俺はエリカに模擬戦に誘われた。

 勧誘週間の時に模擬戦をやると約束してしまったので、あまり乗り気ではなかったが勝負を引き受けた。

 

 ルールは魔法は使用しても良くて、重傷を負わせる攻撃でなければ何をしても良いという事に決めた。

 この模擬戦に観客も審判もいない。それは、エリカが真剣勝負に観客なんて無粋と言ったからである。

 

 一勝負目は俺の圧勝だった。エリカは俺の速さについてくる事が出来ず、竹刀を首に寸止めしてあっさりと終わった。

 しばらく呆然としていたエリカだったが俺があらかじめ、魔法を使っているのはズルいと詰め寄ってきた。もちろん予め魔法なんて使っていなかった。説明が面倒くさかったので、実際に目の前で動いてみたら何か反則をした選手を見るような目で俺をみてきたが納得はしてもらった。

 

 その後も結局、エリカは俺の速さについてくる事が出来ずに終わった。しかし、エリカもここまでコテンパンにされるとプライドが許さなかったのだろう。その日から毎日、放課後に試合を挑むようになった。

 俺も家で勉強をしたり、クラスメイトの森崎と魔法の練習をしたりするので放課後丸々という訳にはいかないが必ず一勝負をするのが放課後の決まりごとになった。

 

 

 初めのうちは、なす術なくエリカは負けていった。俺の速さを分かってしまったので自分も速くなろうと思ったのだろう。開始早々、エリカは自己加速術式を使おうとしたが、使う前に俺の竹刀はエリカの首に添えられていた。

 

 俺のはじめの一撃目はエリカが自己加速術式を使う前に余裕で間に合う。これはどうしようとも覆しようがないとエリカも悟ったのだろう。

 途中から魔法無しで俺の攻撃を受け流す、もしくは避けるようになってきた。

 

 それから一ヶ月。何回負けても挑み続けたエリカの努力は報われたのだろう。遂に、はっきりと攻撃を把握した上で避ける事に成功させた。俺もビックリしたが誰よりもエリカ自身が驚いていた。そして、避けれた事に満足したのかエリカは顔を綻ばせる。

 その顔を見て少しドキッとしてしまった。

 

「ようやく、スタートラインに立てたって事かな?」

「まぁそうだな。今までは竹刀を一回も交えて無かったしな」

 エリカは俺がスピードを抑える事をよしとはしなかった。なので、今まで剣の勝負と言っておきながら一回も竹刀を打ち合っていなかった。

「ここからが、本当の勝負!」

 

 もう一度、俺はエリカに斬りかかる。エリカは魔法を組み立てながら竹刀を避けた。二度目なのでもう驚くことはなかった。再び攻撃を仕掛けようとするがその前にエリカの魔法が発動する。自己加速術式、その名の通り自分の速さを上げる魔法だ。ここで初めてエリカが攻撃に出る。魔法を使ってもまだ俺の速さには届かないが、今までのように余裕で避けるという事は出来ないくらいの速さだ。

 ここで、ようやく竹刀を打ち合った。

 

 ここから先は剣術の勝負。

 

 前世の穴だらけの知識を流用して鍛え続けてきた剣術。まだまだ本物には届かなかったが、エリカとやりあうだけのレベルには仕上がっていたようだ。あらゆる方向から攻めていく。

 見慣れない剣術のせいか、エリカはやり辛そうに捌いていくが遂にミスとは言えないが次に繋がらない受け方をした。そこを見逃すわけもなく、エリカの竹刀を弾き飛ばして勝負は終わった。

 

「また、負けちゃったか」

 言葉とは裏腹に少し嬉しそうだった。俺が不思議に思っているのが分かったのだろう。エリカはその理由を話してくれた。

「だって、やっと後ろ姿が見えてきたんだよ。嬉しくないわけないじゃない!」

 

「それに今日剣を交えてみて分かった。貴方の剣はまだ発展途上。にも関わらず、今の私より強い。なんかその事が嬉しかったんだよね。シュウくんと戦っていたら自分の剣も強くなっていけそうな気がしてさ」

 

 そう締めくくったエリカは手を振りながら演習室から出て行ってしまった。

 

(まだまだ、だ……)

 

 絶対的優位な立場は今日、崩れ去った。俺もそれを望んでいて試合に付き合っていたのだが、こんなに早く対応されるとは思ってもいなかった。

 

(俺も強くなりたいんだ、エリカ)

 

(みんなを守れるように)

 

 俺は学校が閉まるまで、剣を振り続けた。




九校戦までの繋ぎ回です。

シュウは最強なんかじゃない、けど、それでも守りたい人がいるんだという事を伝えたかった。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。