魔法科高校の救世主   作:ノット

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投稿遅れました。すいません。
それと、お気に入り1000人超えました。ありがとうございます‼︎




理由

 ーー思い出せ。

 

 ーーお前の過去を。

 

 ーーどうしてここまで来たのかを。

 

 ーー記憶を失う前の俺を。

 

 ーーお前が何者なのかを。

 

 

 

 ーー手遅れになる前に……。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 九校戦、四日目。

 

 無茶な動きをした俺は、慣れないことをしたせいなのか真夜と穂波さんと少し話した後、すぐに寝てしまった。

 何か、夢を見たような気がするが思い出せそうで思い出せない。大事な事の様な気がするが、なんの夢だったのだろうか。

 

「ーーーー‼︎」

 考え事をしていたせいなのか、背後から肩に手を置かれて異様に驚いてしまった。振り返ってみると、渡辺先輩が立っていた。

 

「おはようございます。どうかしましたか?」

 

「あぁ、おはよう。体調でも悪いのか?」

 

「いえ、少し考え事をしていただけです」

 渡辺先輩に話しかけられた事により、思い出しかけていたものが霧散してしまったが、まぁ良いか。忘れてしまうということはその程度の事なのだろう。

 昨日は寝てしまったので、渡辺先輩が目を覚ましてから体調がどうなっているのかを知らなかったが、見たところ後遺症などなさそうだ。

 むしろ、こちらの方が酷いかもしれない。

 普段通り、一高の制服を着ているので見た目からは分からないかもしれないが俺の腕は折れている。

 

 通力のお陰で他人よりは回復が早いだろうが、流石に一日では治るわけもない。今も、ズキズキと鈍い痛みが腕を襲っているが顔には一切だしてはいないと思う。

 目の前には怪我の原因ーーといったら聞こえは悪いがーーの渡辺先輩が立っているのだ、罪悪感を感じさせたりしたくはない。

 

「昨日は灰村が助けてくれたと真由美から聞いてな。その、助かった」

 なんだか少し照れ臭そうにしながら、渡辺先輩がお礼を言ってきた。

 

「いえいえ、渡辺先輩が無事で良かったです。競技の方はどうなったか知ってますか?」

 

「あぁ、バトル・ボードは棄権という事になってしまったよ。まぁ仕方ないとはいえ、やっぱり悔しいな」

 

 渡辺先輩と七高の選手は事故とはいえ、コース外に出てしまっている。

 

「でも、怪我はしなかったからな。ミラージ・バットに出れるのは不幸中の幸いだな」

 

 その言葉を聞いて、ふと疑問が浮かんだ。

 渡辺先輩は何故、吹き飛ばされたのか。

 先輩ほどの魔法師ならボードに魔法を使いながら、七高の選手を受け止めるという事など、そこまで難しいことではないはずだ。

 にも関わらず、あの様な事になってしまった。

 

 渡辺先輩が魔法を使うのをミスしたと考えるのが普通だと思うが……。

 

(何か、引っかかるな)

 

 ◇

 

 昨日の事について、達也に意見を聞こうと思い一高本部に行ったのだが今日から新人戦が始まるという事で達也は忙しそうにしていて話しかけるタイミングがなかった。

 それに加えて、昨日の俺の動きが瞬間移動の魔法だと周りには思われているらしくその事について根掘り葉掘り聞きにこられて俺も忙しかったということもある。他人の魔法について聞くのはマナー違反なんじゃないのかと思ったが、それほど瞬間移動という魔法がすごいという事なのだろう。

 俺のは瞬間移動などではなくただの力技なのだが……。

 

 なんとか言い含めて、新人戦の女子スピード・シューティングを観にいく。

 

 会場はまだ朝早いにも関わらず、観客で溢れていた。魔法を使っているのを直で見る事など一般人にはそうそうないから当たり前といえば当たり前かもしれない。

 

「シュウくーん‼︎」

 

 何処に座ろうか、辺りを見渡していると何処からかエリカの声が聞こえてきた。声が聞こえた所をみると、エリカや深雪など達也を除いたいつもの面子が固まって座っていた。

 

 

 

 北山さんの試合は圧倒的というほかなかった。

 ミス一つなく全てのクレーを撃ち落とし、相手との対戦形式になる準々決勝までは順当に進むだろうなぁというのが俺の、というか殆ど全ての人が思っている事だろう。

 北山さんは深雪には劣るが魔法力が高い。

 が、魔法力が高い人が優勝するとは限らない。

 変態老師も言っていたが、魔法は使い方次第でどうにでもなる。一高で二科生といわれている生徒達でも使い方次第では九校戦で優勝できるかもしれない。

 

 しかしその点でいうと、北山さんは隙がない。北山さんは上手く使う為の魔法式を達也に組んでもらっている。

 老師の言っていた巧いとは違うが、上手く使う事も魔法師には必要な事だと穂波さんに教えてもらった事を今の競技を見て俺は思い出した。

 

 達也に今の魔法の事と昨日の事について聞きに行こうと思っていたら、またもや後ろから呼び止められた。

 

(達也に会えなくなる呪いでもかかっているのか?)

 

 

「……どうしたんだ、エリカ」

 学校にいる間は森崎の次くらいに一緒にいる事もありエリカといるとよく分からない安心感がある。

 

「ちょっと話があるんだけど、いい?」

 

「いいけど、何かあったのか?」

 

 エリカは人がいない場所に俺の腕を引いて歩き出した。

 

 

「……私との模擬戦は手を抜いてたの?」

 エリカは歩きながら唐突に話しだした。

「抜いてないけど」

 

「嘘! 昨日のあの動き、みんなは瞬間移動とかなんとか言ってるけど本当は速く動いただけなんでしょ。事故が起こった瞬間のシュウ君の動きはなんとか目でおえたけど急に消えたと思ったらあの女の側に移動してた」

 

「シュウ君は魔法の事をあまり知らないから瞬間移動なんてことは絶対にできない。……私との勝負の時は手加減してたの?」

 

 エリカはーー俺もだがーー剣についての勝負では絶対に手を抜かない。お互いに譲れないものがあるからだ。

 それを汚された思い、俺にこうして詰め寄ってきたという事だろう。

 

「エリカ、俺の腕を触ってみろ」

 

 折れた方の腕をエリカに向けた。

 エリカは訝しみながら、腕を触った。はじめは何か分かっていないそうだったが、よく触ってみると気づいたようだ。

 というか、じっくり触られると痛い。

 

「腕、折れてる」

 

「あぁ、決して手は抜いてなかった。信じてくれ」

 

 目と目が合う。気恥ずかしいが、エリカの目から目を逸らさない。

 

 

「はぁ、分かったわよ。……というか、私もなんか変にムキになっちゃって悪かったわね」

 

 エリカは耐えられなくなったようで、目を俺からそらした。

 

「それで、一体どういう事なのか説明してもらってもいい?」

 

 

 ◇

 

 

「なるほどね、で競技はどうするの? たしかクラウド・ボールとモノリス・コードに出るのよね」

 

「もちろん、出るけど?」

 

「クラウド・ボールはともかくモノリス・コードはその怪我じゃ無理よ。棄権した方がいいわ!」

 

「いや、出るよ。出なきゃいけない理由があるんだ」

 穂波さんとの約束のため、真夜の失った時間の分も楽しませてあげたいため。出ないわけにはいかない。

 

 

 

「それにこれくらいちょうどいいハンデだよ」

 

 格好つけるように俺はエリカにニヤッと微笑んだ。

 

 

 

 





ギャグ1割、恋愛2割、バトル2割、シリアスちょびっと、他諸々を意識して書いているんですが、最近はギャグ成分が薄いですね。
ギャグって難しい。

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