魔法科高校の救世主   作:ノット

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真相

「あの、これ解いてください」

「ダメです。逃げたら困りますので」

 俺は今、体をぐるぐる巻きにされて桜井さんに担がれている。名前を言って少ししたら、とんでもない手際で俺は捕まってしまった。どうやら、物騒なことはしないと言っていたので命の危機とかいうことにはならなそうだ。実際にぐるぐる巻きにされてはいるが丁重におもてなしされている。

 

 そんな俺と桜井さん、謎の女性、謎の子供二人は飛行機に乗っていた。

 相変わらず、動けないが特に不便というわけではなかった。桜井さんがせっせと動いてくれるし、トイレに関しては子供二人のうち男の子が手伝ってくれているので少し恥ずかしいくらいだ。

 

 しかし、一緒の空間にいて思ったが、この人達の間には会話がない。なんでもこの三人は家族らしいが、家族とは思えないほど冷え切っている。兄と妹の仲はそこまで悪くないというかとても仲が良さそうに見えるが、問題は母親の方だ。

 俺と話していた時、出ていた素の感じを出せば仲良くなれそうなものを……。

 そういうことで、母親の方はずっとぷりぷりしているので必然的に俺の会話相手はそれ以外となる。

 

「やぁ、初めまして。なんかよく分からないけど、拘束されているけどよろしくね。シュウって言います」

 俺は愛想よく、兄妹二人に話しかける。

 

「よろしくお願いします。私は、司波 深雪と言います。後ろに立っているのが、兄の司波 達也です」

 妹の方である深雪さんが返事をしてくれる。兄の方は俺に向かって軽く頭を下げるだけで何も話そうとはしなかった。正確にいうと話す許可が下りてないだろうか?

 

「あの、貴方は一体何をしたんですか?」

「それはこっちが一番聞きたいことだよ。なんか名前を言ったら捕まっちゃってね」

 桜井さんの方を見ながら言ってみるが、彼女は首を横に振るだけで何も答えようとはしなかった。

 

「シュウさんと言いましたよね。特に珍しい名前でも無いですし、やはり何かやってしまったというのが一番考えうる事ですね」

 深雪さんは結構真面目に考えてくれているあたり、良い人なのかもしれない。母親とは大違いだ。

 

「やらかしたか……。俺の人生の中で一番やらかしたのはあれだな。研究所を凍らせたやつ。やったことは後悔してないんだけど、使った技がな……」

 禁呪を使ってしまった。前世では使うのに政府の許可が必要という、被害が出すぎるがゆえに滅多なことでは使わない技を使ってしまった。

 あの時は、まだ記憶も割と朧げでちょっと強い技ぐらいの気持ちで使ってしまったが、今考えてみるととんでもないことをやらかしたものだ。

 おそらく、禁呪を使った場所は二度と氷が溶けることはないだろう。周りに住んでいる人にはすごい迷惑だろうなぁ。

 

「凍らせたですか。大丈夫ですよ、私も少し気が高ぶると周りを凍らせてしまうので大したことじゃないですよ」

 おぉ、なんて良いなんだ。だが、君の凍らせるとレベルが違いすぎるんだ。なんて良い人なんだ。

 そして、桜井さんはこちらを見て冷や汗をダラダラ流している。もしかして、その事知ってるの?

 

 兄妹の母親も貧乏ゆすりが先程から止まっていない様子から知っているらしい。

 

 

 それゆえに俺は捕まっているのかもしれない。

 ヤバイな。弁解の余地がない。

 

「あー、トンズラしたいな」

 つい本音が、口をついて出てしまうのだった。

 

 ◇

 

 俺たち一行は、あれから飛行機を降りてその晩はホテルで一泊。次の日、車を走らせる事数時間漸く目的地に着いた。

 沖縄の別荘が小さく見えてしまうほど、でかい屋敷だった。残りの四人は見慣れているからか特にそのことについては反応しなかった。むしろ俺の反応を見て楽しんでいる節があった。

 

 俺は相変わらず桜井さんに担がれたまま移動する。兄妹二人とは既に別れて、俺と桜井さん、兄妹の母親の三人で屋敷の地下へと進んでいる。

「あの、どこまで進むんですか。もうかなり深いところまで来てると思うんですけど」

 特に疲れたというわけではない、むしろ桜井さんは俺のこと担いで疲れないのだろうか?しかし、こんな場所にまで来て何をするのだろうか。

 

「そうね、そろそろ話してもいいかもしれないわね。ここには私たち三人しかいないし、盗聴のおそれもないですし」

 桜井さんは俺の事を下ろし、拘束も解いてくれた。

「それで、一体どういうことなんですか」

「そうね、まずは何から話せば良いことかしらね。自己紹介でもしましょうか。私の名前は四葉 深夜。四葉 真夜の姉よ」

 

 まぁ、顔のつくりがかなり似ていたので血縁関係があると思っていたのでそれほど疑問はない。ただ、

 

「それにしては、歳が離れすぎてませんか?真夜は十二歳と確か言ってました。それに対して深夜さんは三十前後ですよね。いや、でも、ありえるか……。ご両親は色々頑張ったんですね!」

 ありえないというほどではないが、歳がはなれすぎている。それについては、ご両親がやんちゃしたという可能性があるのでなんとも言えない。

 

「残念だけれども私の歳は四十二よ」

 ちょっと嬉しそうにするのやめて。可愛いから。

「って、え⁈ とてもそうは見えないです。お若いんですね」

 

 じゃあ、桜井さんも結構歳がいっているのかもしれない。見た目的には二十代前半だと思っていたが、もしかしたら三十路……。

 

「ちなみに穂波は三十よ」

 

「え⁈ 桜井さんもそうは見えないです‼︎」

 桜井さんも顔を赤くするのやめて。かわいいから。

 

「さて、話を戻すけれど私の親は特に頑張ったとかいうのはないわ。そして、これが一番大事なことだけれども私と真夜は双子よ」

 

「そ、そんなバカな。真夜はあんな小さいのに本当は四十二だと……」

 

 俺は人生で一番衝撃的な事を聞いたかもしれない。あんな幼気な少女が実はおばさんだと。そんな事を考えていたら、深夜さんから頭を小突かれた。

「いえ、そんなわけないでしょ。たしかに、貴方と出会った時の真夜は十二歳だったわ。でも今は四十二歳。この意味わかる?」

「……俺は時間を跳躍したのか?」

「おそらくはね。方法は分からないけど貴方は三十年程未来に飛ばされた。見たところ、貴方自身の力ではないらしいから何故起こったのかは分からないけれど」

 

 とても信じられないが、というか今でも信じていないが深夜さんが全て正しい事を言っているのなら俺は時間を跳躍したらしい。

 

「何故、俺が真夜を助けた人物だと確信したんですか?」

「そうね、私は真夜から自分を助けてくれた人についてそれはそれは詳しく語られたわ。そして貴方を見たとき、私の勘が貴方だと感じたわ。話を聞いていくうちに確信したわ。貴方なのだと」

 

 名前も同じで、おそらく顔や髪などの特徴も教えてもらっていたのだとしたら不思議ではない。まぁ、おそらく彼女達は三十年歳を重ねた俺を探していたのだろうけれども。

 

「ちなみに、貴方が作った氷の地獄は今も当時と何も変わらないわ。三十年経っても溶けないなんて、凄まじいわね」

 

 三十年経ってもとけなかったか。あと百年くらいしたら溶けないかな?

 

「話を戻すわね。人物捜査に協力してくれていた穂波も貴方のことを対象だと判断したから、私たちは貴方を拘束したの。逃げられないようにね。まぁ、貴方が意図して消えたわけじゃなかったから拘束してた意味はなかったわね」

 

「そして、対象を見つけた私たちがすることは今向かっている先にあること」

「真夜がこの先にいるんですね?」

「えぇ、そうでもあるけれど、違うとも言えるわね」

 

 どういうことだろうか、と俺が深夜さんに聞く前に一つのドアの前で深夜さんは止まった。

 

 

「この先で、全てが分かるわ。私も貴方も」

 俺が分かっていないのはわかるが、貴方まで?ここにきて更に疑問が増える。

 

 

 

 深夜さんはドアを開ける。

 

 

 

 

 ドアを開けた先に見えたのは棺桶に入っている真夜だった。




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