しぶとく生きております。
職場にも慣れつつある今日この頃、頼りになる先輩の異動という事件発生。
回転率おかしい我が病棟から何故……。
とまぁ、毎日忙しく生きております。
おかげでFGOのイベントも素材集めまで手が回らず。
もちろん、オルタちゃんは確保の上スキルマにしてやりましたがね!
聖杯もくれてやりましたがね!
さて、あれから下に降りたアーチャーやセイバーとも合流し、今後の方針について話し合った。
その際、通信の向こうから聞こえてくる『私』の声がうるさかったためマスターには通信を切ってもらう事に。まぁ此方の話している内容は向こうに届いているので問題はなし。必要な時だけダヴィンチにつないでもらえばいいのだ。
そして我々の持つ情報をすり合わせ、電話による情報提供もあり最終目標をあの巨大な塔――バレルタワーに定める。
あの場所に到達する為には先ず、敵の戦力を削り取る必要がある。黒いアーチャーは取りあえずおいておくとして、新宿のライダーとアサシン、バーサーカー辺りから仕留めるのが妥当なところだろう。
ここで問題になるのは優先順位である。可能ならば余裕のあるうちに大物を狙い仕留めておきたい。となるとライダーかバーサーカーな訳だが、割とどちらも脅威度は高い。それぞれ、単体の戦闘力と物量が特徴な厄介者なのである。新宿のアサシンに関しては、山の翁に全てを任せた。暗殺者には暗殺者だ。一度敗北した山の翁は、持ちうる全てを使ってアサシンを討ち取ってくれるだろう。負けたとしても手は打ってある。
そして主に私と新宿のアーチャーが話し合い、時々ダヴィンチの横やりなどが入り、最終的に先ずはライダーを狙う事となった。
作戦は簡単だ。国道の外で準備を済ませ、私たちが侵入。サーヴァント三騎で徹底的に足止めを行う。私の炎で退路を断ち、アーチャーがサポートに徹し、セイバーが前面に立ち、私が砲台として一撃を叩き込む。
アーチャーのサポートは流石の一言だった。敵として相まみえたことがあるからわかる、あれは数字の化け物だ。何でもかんでも数値に変え計算し読み解いてしまう。
流石に相手のスペックが高すぎて、読み解けても反応しきれていないところがあるがそこは私たちがサポートすればいい。
そして、時が来る。
通信を用いての連絡を聞き、私の宝具をキャンセル。
一瞬で消え去った炎の壁に困惑するライダーにセイバーが斬りかかり、アーチャーがライダーの行動を阻害する。
苛立ちからうなり声をあげるライダーだが、次の瞬間には大きく目を見開いた。
ライダーを囲うように立つ、黒服連中が砲身を構えていた。彼らは私の宝具展開後から炎の壁を囲うように待機していた身内である。彼らが持つのはダヴィンチとアーチャー設計のワイヤーガンである。
一斉に発射されるワイヤーの網を回避しようと足掻くライダーだが、アーチャーがそれをさせない。
うっとうしいと爪が振るわれ、いくつかの網は無残にも散るが百八十度全てに対応することはできない。
一瞬、ライダーの動きが阻害される。同時に、宝具をキャンセルした後再度フルパワーで次弾を装填していた私が憎悪の炎を開放。
ライダーの足元から発生した爆炎が、その巨体を包み込む。
炎の中から夜空に向かって放たれる、怨嗟の遠吠えは徐々に徐々に小さくなりやがて消える。
そして炎が消えたその場所には何者も居なくなったのである。
次のターゲットはバーサーカーだった。
とは言え私はマスターの魔力も使ったが自前の魔力をほぼ使い果たしてしまった。何せライダーが本気になる前に仕留めなければならなかったのだ。実際のライダーの耐久力は正確には計れないし、であれば今ある最大をぶち込むしかなかった。
セイバーの聖剣解放も考えたが、あれは直線で進む。あの環境ではワイヤーガンを持った仲間ごとジュッといくので却下となったのである。
またアーチャー、セイバーも多少なりとも傷を負っていた。
その為一度拠点に戻り、英気を養った。
また、以前にもあったように電話にて情報の提供がありバーサーカーの根城が明らかになる。
外回りに出ている者たちからも確認が取れ、作戦会議が始まった。
問題となるのは、敵と私たちの戦力差である。此方は片手程、対して相手は合計三百の集団である。私たちはいいとして、マスターが死ぬだろうという結論に私とアーチャーは至る。
ここで人員に関しては私の部下のような扱いになる彼らを使えばいいのではないかとアーチャーは提案する。
しかし、この場所の防衛に回せる人員がいなくなると私が反論を返せば膠着状態に陥る。
最終的にマスターに判断を仰げば、彼女は迷い、それでも自分たちだけでやると結論を出した。
対しアーチャーが、その結果残酷な選択肢を突きつけられたとしても? と覚悟を問うても彼女の意見は変わらなかった。世界を救ったマスターの片割れは、この残酷な世界の仕組みを理解した上で覚悟を決めたのである。その様子にアーチャーはどこか納得したように、眩しいものを見るように笑った。
そして開始された、コロラトゥーラ爆破作戦。
人間が加工されて出来上がる、バーサーカーの手足たるこの人形に、爆弾を埋め込んで奴らの中央で爆破する作戦である。無論、マスターも人形の材料に関しては承知の上だ。人形にされてしまった以上、元には戻れないしそもそも無理やり生かされているだけの存在となる。解放する、という意味でもマスターはそのスイッチを自らの意思で押す覚悟を見せたのだ。
ならばこれ以上言うことはない、とアーチャーは作業に取り掛かった。
数時間もせず出来上がったスイッチを手にしたマスターは、弱々しい笑顔で私を見た後、自らの頬を叩いて前を向いた。
何となく彼女の頭に手を置けばキョトンとした後にその手を強く握りしめる。
――行こう。
その言葉を合図に、私たちはバーサーカー討伐の為に拠点を出た。
結論を簡潔に。
アーチャーの奴がやりやがった。
マスターが覚悟を決めてスイッチを押そうとした瞬間、何処からともなく別のスイッチを取り出しぽちっとな、と爆破したのだ。唖然とするマスターを他所に、アーチャーは困ったように笑っていた。
確かな覚悟を見て満足してしまったというのが奴の言い訳だ。
いや、まぁ、結果オーライでいいのだが何だか釈然としない。
何より、あの姿を見て確かに奴は我々の信頼を一定以上得ることに成功している。
――彼の言葉を信じるならば……彼は敵だ。
彼はいずれ裏切るだろう。
その時、マスターはどうするのだろうか。
敵であるなら私は何の躊躇もなく屠ることが出来る。
だが、マスターはどうか。
私はバーサーカー……ファントムとクリスティーヌを前に、やがて来るその瞬間のことを考えていた。
バーサーカー戦はそこまで苦にはならなかった。
奴の恐ろしさは敵の数であり、サーヴァントとしての戦闘力はそれ程高くはなかった。
あっけなくセイバーの聖剣が致命傷を与えた。
問題があるとすれば――――
「ほう、駆け付けるのが早いな、竜の魔女」
「ええ、ソコソコ優秀な部下がいるもので。雀蜂に動き在り、と連絡がありましてね。少し警戒していました」
独自行動を始めたファントムを消滅させた、黒いアーチャーの出現。
彼はコロラトゥーラに紛れ、いつの間にかマスターと新宿のアーチャーの元に姿を現した。
そこで彼の霊基パターンから、エミヤの反転した姿だと判明する。
「ここで一騎落としておこうと思ったが、そう上手く事は運ばないらしい。まったく使えない人形どもだ」
そう言って彼は手に持つ銃を突き付けてくる。
新宿のアーチャーが武器を構えるが、彼は気にした様子もなく此方だけを見ていた。
銃弾が放たれる。
マズルフラッシュに目が焼かれながらも、旗で迎撃。
一気に踏み込み、旗を叩きこむがエミヤは両手に持つ銃でそれを防ぐ。
「チッ、馬鹿力が!」
「あって困ることなんてないでしょう? 持たざる者の妬みなど聞くだけ無駄というものです」
距離を取ってバカスカと銃弾を撃ち込んでくる。
先ほどのファントムの消滅の仕方から、銃弾は
対して此方は近づいてぶった切るしかないのだから厄介だ。いや、焼いてもいいのだが常に動く奴を捉えるのは難しい。ここ一帯を爆破していいのなら話は別だが、ここにはマスターもいる。
「まったくネチネチと!」
「ふ、イノシシに近づくのは怖いものでな」
嫌味の応酬。前回もそうだった。
決定打のない戦いだ。
前回は
ちらりと見れば、彼の指が動く。続いて視線。
成程、と納得した瞬間、エミヤを狙って一本の短刀が投げ込まれた。
「これはこれは。暗殺者がのこのこ姿を見せてくれるとは珍しい」
「知らぬ顔ではなかったものでな。ご無事ですかな、魔女殿?」
姿を現したのは山の翁。
どういうつもりかと睨めば、彼は手を振り言う。
「そう睨まないでいただきたい。私の方は一段落つきましてな。ご安心を、新宿のアサシンは確かに始末しました。同じ相手に二度も不覚を取る恥さらしにはなりたくなかったですからな」
そう言って彼はダークと呼ばれる短刀を構える。
マスターはと言えば、どうやら彼を知っているらしい。通信の向こうでもマシュ・キリエライトが彼の登場を喜んでいた。
「新宿のアサシンを始末しましたか……ご苦労様です。ええ、助けたかいがあったというものです。ところで、貴方はカルデアを知っていたので?」
「ふむ、私に覚えはありませんが、この身の霊基が彼らを味方だと言っております。何より、魔女殿と共にいるのですから心配ないと思いまして」
彼はエミヤと相対しながらそう言った。
「成程、これで二対一か。動くのが少し遅かったか。俺としたことが情けない」
「ええ、これで二対一です。まったく、
ハサンを先頭に、その後ろで魔力を充填する。
「チッ、これ以上は此方が消耗するだけか。ここは引かせてもらおう。どうやら彼の騎士王もご到着のようだからな――!」
エミヤは一つ舌打ちをすると地面に煙幕を叩き込む。
同時にキュイラッシュに乗ったアルトリアが彼のいた場所を猛スピードで駆け抜けていった。
まったく遠慮のない王様である。
「後数秒早ければ、ひき殺せたものを……」
そう言いながら煙幕が晴れたその場所にいたのは悔しそうにするアルトリア一人。
やはりエミヤには逃げられたらしい。
残る敵は後一人。
「まったく、詰めが甘いですね暗殺者」
「いや、申し訳ない。しかし、次こそは……」
「次などありませんよ。急ぎか気まぐれかは知りませんが、なりきりが甘い」
「成りきりとは一体……なっ、魔女殿なにを!?」
驚愕する山の翁。
当然だ、彼は今、私の宝具の範囲内で炎に囲まれているのだから。
「く、落ち着いてください! 私は味方で――」
「くどい。言ったでしょう、甘いと」
最早彼に逃げ場はない。
宝具は発動し、ジリジリを彼を焼き焦がす。
山の翁はこれまでと理解してか、額に手を当てる。
そして次の瞬間――山の翁でありながら彼ではない、一人の青年が姿を現した。
通信の向こうではまたもや混乱する叫び声が聞こえてくる。霊基数値がだとか、見た目は本物だったのにとか、色々だ。
青年は困ったように笑い、山の翁とは違うその声で訊ねてくる。
「あー、何時からバレてた?」
「貴方が姿を現した瞬間から」
彼はアチャーと再び額に手を当てた。
「いやぁ、丁度始末し終えた時にアンタらを見つけたからさー。これはチャンスかなって思ってたけど、自らピンチを呼び込んだかぁ」
これも事前の打ち合わせの賜物である。
私は山の翁から新宿のアサシンの情報を聞いた時から対応を只管に考えていた。山の翁は自分が対応するからご心配なく、というが絶対はない。特に奴に一度敗北しており、かつ、奴を相手どる山の翁が不慮の事態に陥ることは十分に考えられる。
そこで一つ、徹底させることにした。
「彼には以前から、私と合流する前はどんな状況であろうと連絡を入れるように言ってあります。連絡なしで合流した場合、偽物と断定して必ず殺すと言い添えて」
「……うへぇ、鬼かよアンタ」
「鬼で結構。信じて裏切られるより、疑って裏切られる方が何倍もマシでしょう? ほら、こうして対応もできますし」
「あーあ、ミスったなぁ。立ち位置から何もかも! まぁ、これで終わるんなら悪くないか」
そう言って新宿のアサシンは座り込む。
逃げも隠れもする必要がない、そう悟った彼は満足そうに笑う。
「では、おさらばです」
そして次の瞬間、彼の霊基は消滅するのだった。
「……これはまた。その用意周到さは好ましいが、扱いづらさが増したか?」
エミヤは明かりの灯るビルの上、アサシンの最期を見届けていた。
本命はジャンヌ・オルタがどう対応するのかであったが、及第点である。
同時に、ただの駒として扱うには彼女は考えすぎる。
「いっそ、扱いやすいように飼いならしたいところだがアレはそういう玉ではあるまい。最悪、噛みつかれてお陀仏か……」
まぁいい、そう結論付ける。
今回の目的は同じで、敵ではあるが味方でもある。
「厄介なことだ。まぁ精々、俺の為に派手に暴れてくれ」
そう言って彼は夜の闇に姿を消した。
さて、思わぬところでアサシンも討つことができた。
残るはあのアーチャー、エミヤだ。彼は恐らく塔の防衛に回るはず。雀蜂の部隊も集結しつつあるとの情報もある以上、ほぼ間違いないだろう。
「ふむ、報告ご苦労様です。では一度、拠点に戻り最後の戦いに向けて作戦会議としましょう」
「私も賛成だ。何よりマスター君の休憩のためにもね。セイバー君、君はどうする?」
新宿のアーチャーがそう問えば、セイバーはカヴァス二世を連れてくる、と言ってバイクを走らせ去っていった。待機していた黒服に声をかけ、車を出させる。一台はセイバーの後を追って彼女のアジトへ。もう一台は私たちを乗せて拠点へ。
マスターは車の中でスピーと心地よさそうに寝ていた。
私の、膝の上で。
後部座席に引きずり込まれ、次の瞬間にはこの様である。なんという瞬発力と図々しさか。通信先の『私』の声がうるさくてかなわない。
「落ち着きなさい。貴方は一応、聖女なのでしょう?」
『私が自ら名乗ったことなどありません! それより次、次は私が予約します!』
「指名制かつ予約制など存在しません。少々俗にかぶれすぎでは?」
『私、あなたに関しては正直になろうと思ったのです。そこで皆さんに相談して回って……そしたら太ましいセイバーさんが……』
「……カルデアに乗り込む理由が一つできましたね」
どこのセイバーか。取りあえずお礼の一つでもしてやらねばなるまい。
「まったく、碌でもないサーヴァントばかりですか。まぁ、マスターがコレですからね。色物も集まるのでしょう」
ポン、と頭に手を乗せればくすぐったそうに身をよじる。
本当に警戒心の緩い少女である。それだけ周りを信頼しているということなのだろう。そんな彼女だからこそ、英霊も力を貸すのだろう。私も、含め。
「さて、新宿のアーチャー。拠点につく前に話しておくことがあります」
「む? それは構わないのだが……随分と苦々しい表情をしてるネ? なぁんかアラフィフ、嫌な予感してきた」
「逃げ出そうなどと考えないように。貴方がロックを外し扉を開ける、もしくは扉をぶち抜いて逃走するよりも、私の剣の方が早い」
「君はあれだね、考え方がここの誰よりも過激だよネ! 生かすか殺すかしかないのかな!?」
「えぇ、基本的には」
やだこの子バッサリ、そう言って新宿のアーチャーはうなだれる。
次の瞬間には頭を抱えることになるだろうに。
「さて、話を戻します。最終決戦につき、私の協力者が合流します。えぇ、貴方とも非常に関わりが深い彼が」
「……私がほぼ、自身の真名を推理し終えていることに気づいていたのだね。そして、そんな私と関わり深い相手となれば最早彼しかいまい」
新宿のアーチャー、真名をジェームズ・モリアーティ。
彼は心底いやそうな表情で、一つの名を紡いだ。
「我が宿敵、シャーロック・ホームズ」
車が止まる。
そして拠点の入り口に一人の男。
「やぁ、待っていたよミス・ジャンヌ・オルタ。そして、ジェームズ・モリアーティ教授」
パイプを咥えた色白の優男。
かの名探偵、シャーロック・ホームズがそこに立っていた。