教会の白い死神   作:ZEKUT

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 いつの間にかお気に入り登録数が3000を超えていました。
 皆様本当にありがとうございますです。
 そしていままで誤字を指摘してくださった株式たまご様、天ノ狐様、ニノ吉様、緋想天様、north1boy様、Drachen様、みたらしパン様、クオーレっと様、豚々様、syu_satou様、Nekuron様、本当にありがとうです。

 多くの感想と評価をしていただきありがとうございます。
 返信を返すことができなくて心苦しくはありますが、大変作者の励みになっています。
 この作品は自分の書きたいように書かせてもらっています。
 なので感想を見て『これいいな』みたいな案があったら採用させていただくことがあります。
 決して、読者の皆様の感想に答えようとして取り入れている訳ではありませんので、そこはおわかり下さい。
 作者からしたらその方が面白いかな?と思って書いているだけですので。
 誤解を招くような発言をしたことを謝罪させていただきます。
 申し訳ありませんでした。

 これからも教会の白い死神をよろしくお願いしますです。



不和

 突如駒王学園を中心に時が停止した。

 その影響は、学園の結界外で待機していた三勢力の軍勢にも及ぶ。

 もしもの為と用意した軍勢もその役割を全うすることなく機能停止する。

 だが幸いか、停止する世界の中でも未だに動き続ける姿がある。

 サーゼクスを筆頭に勢力のトップたちだ。

 それ以外に時間停止から逃れることができた者は二天龍を宿す一誠とヴァーリ、聖魔剣と言う規格外(イレギュラー)を持つ祐斗、デュランダルを持つゼノヴィア、滅びの魔力を持つリアス、元々の強力な力を持っていたグレイフィアとジークの以下の者達だけだ。

 彼らは時間停止が発動したことを確認すると、続々と校庭に召喚されている魔法使いたちの攻撃から身を守るため、校舎内を結界で覆い籠城を始めた。

 彼らは襲撃者が何者か探るべく、結界内から攻撃を繰り返す。

 その結果、魔法使いたちは彼の有名なマーリン・アンブロジウスが独自に解釈し、再構築した魔法を扱う魔法使いであることが判明した。

 魔法の威力から、実力は最低でも中級悪魔ぐらいあり、若手たちからしたら苦戦は免れない相手だが、この場にいるのは各勢力のトップだ。

 悪魔と分類していいのかと言われるほどの実力者サーゼクス、戦争当時は聖書の神と魔王を相手にしていたアザゼル、聖書の神の後を引き継いだミカエル。彼らを相手に中級悪魔程度では足止めにすらならない。

 アザゼルは上空に光の雨を降らし、魔法障壁ごと破壊して敵を殲滅していく。

 対する魔法使いの攻撃はサーゼクスとミカエルの展開する結界によって阻まれ、彼らに掠り傷一つ付けることすら敵わない。

 それでも尚、攻撃を続けるのは彼らを結界の外に出さないためだろう。

 その為なら命すら投げ出す、その信念は狂気にも等しいだろう。その行為で、どれだけ彼らが他の者から恨みを買っているのかが分かる。

 幸いな事に、結界の外で停止している者達を人質に取られたり、殺されていないのは運がよかったというべきか、それとも彼らが人間界に被害を出したくなかったからはわからないが、それでも抵抗すらできずに殺される者がいないことに安堵する首脳陣。

 だが、事態は急を要する。

 現在、時間停止が起きている原因はグレモリー眷属の一人、ギャスパー・ヴラディが原因だった。彼の神器は停止世界の邪眼(フォービトゥン・バロール・ビュー)、その力は名前通り、周囲の時間を止めることができる。

 ギャスパーの潜在能力は極めて高く、スペックだけを見れば上級悪魔に引けを取らない程の実力を持っているが、本人の性格とトラウマからその力を十全に発揮させることができず、力は常に不安定な状況にあった。

 そんな彼に力を譲渡し、強制的に力を暴走させ神器を禁手させた。

 その結果、外の護衛の部隊を停止させるほどの力を発揮した。その力は今も尚とどまりを知らず増大し続けている。

 このまま力が増え続ければ首脳陣も停められる可能性があることを考え、サーゼクスはリアスにギャスパーの救出を指示する。アザゼルとミカエルはその救出の陽動と囮を兼ねてヴァーリとジークに校庭で敵の眼を引くように指示する。

 ヴァーリは溜息を吐きながら、ジークは淡々と返答を返し、校庭に躍り出る。

 禁手したヴァーリは縦横無尽に校庭を駆け回り、敵を戦闘不能にしていく。

 ジークは敵の攻撃を避けながら懐に潜り込み敵を切り伏せていく。

 両者とも近距離戦を得意としている。そんな相手に接近されれば遠距離戦を得意とする魔法使いは堪ったものじゃない。

 ヴァーリとジークによって次々と倒されていく魔法使いたち。しかし、彼らが魔法使いを倒すよりも魔法使いが召喚される速度の方が速い。倒せど倒せど次々と現れる魔法使いたち。

 そんな状況を見てか、その場にゼノヴィアと木場が参戦する。

 二人は騎士の速度を生かし、小まめに動き魔法使いを翻弄していく。

 いくら中級悪魔並の一撃を持とうとそれを当てる技術が無ければ意味がない。だが、当たらなければ当たるまで打つと言わんばかりに数の暴力が彼女らを襲う。

 そんな二人をフォローするようにヴァーリとジークは魔力の嵐の中を突き進み、敵の懐に飛び込み内から撹乱する。

 そんな中、会議室に二つの魔法陣が浮かび上がる。一つは旧レヴィアタンの魔法陣、もう一つは誰も見たことがない魔法陣だ。

 会議室に誰が現れるのか察したサーゼクスはすぐさまリアスと護衛の一誠をギャスパーの居る旧校舎に飛ばす(転移させる)

 それと同時にスリットの入ったドレスを着た女性と白髪の少年が魔法陣から現れる。

 女性の名はカテレア・レヴィアタン、初代レヴィアタンの血を引き継ぐものであり、戦争さえなければ魔王となっていたかもしれない悪魔。

 白髪の少年はこの場に居ないリアスたちにとって因縁深い相手だった。コカビエルと一緒に堕天使領に連行するはずだった人物、フリード・セルゼンだ。どうやらフリードは狸寝入りを決めていたらしく、ヴァーリに連行され駒王学園から離れてすぐの場所でヴァーリから逃走した。

 何故接点がない2人がこの会議室の中に現れたのか?

 

 

「私達、旧魔王派は禍の団(カオス・ブリゲード)に協力することに決めました。偽りの魔王とされる貴方の時代も終わりです。神も魔王もいない今、我々は世界を改革する必要があると判断しました。そこに貴方たちの居場所はない。消えてもらいます!」

 

 

 瞬間、カテレアが展開した魔法陣が会議室を爆破する。

 彼女がここに現れた理由は唯一つ、彼ら首脳陣の抹殺だ。

 

 

「はっ!各勢力のトップが一丸となって障壁を展開する。見苦しいことこの上ない!」

 

 

 カテレアは自分の攻撃を防ぎ切ったサーゼクスらに嘲笑の籠った言葉で罵倒する。

 余程彼らの和平が気にくわない。いや、今まで戦争で戦い続けてきた天使と堕天使と手を組むことが我慢ならないらしい。

 

 

「カテレアちゃん落ちついて!私は貴方達とは争いたくないの!」

「セラフォルー、よくも私にそのような言葉を吐けたものですね!覇権争いから敗れ、辺境の地に追いやっておきながら、今更争いたくない?妄言を吐くのも大概になさい!上から目線の物言い、私達を下に見ているつもりか!」

 

 

 セラフォルーの言葉に耳を貸すどころか、その言葉によって余計感情が高ぶり、魔力が高まっていく。

 彼女の言う通り、かつて悪魔は新魔王派と旧魔王派の内戦があった。

 結果は彼女の言ったとおり、旧魔王派の敗北で内戦は終結した。

 敗北した旧魔王派は、都市部であるルシファードから遠く離れた辺境の地に追いやられ、現政権に関与する術を奪われた。

 この時点で彼女たち旧魔王派は現政権に不満を抱えて生きてきたことが分かる。

 

 

「私達はオーフィスの力を象徴に、世界に新たな秩序を構成します。私達だけではなく、オーディンや須弥山の力を借りればそれは可能です。ですので、貴方たちの時代はこれで終わりです!」

 

 

 今の現政府に反旗を翻すだけあって、これから何を成そうとしているのか具体案がある。

 だが、この案は欠陥だ。

 この案の前提は、他勢力が助力することを前提として練られている。他勢力が助力に応じなければ息詰まることは必定だ。

 

 

「フリード・セルゼン、なぜ貴方がこの場に」

 

 

 それとは別に、ミカエルは警戒の色を示しながらフリードに問いかける。

 その言葉に対して、フリードはへらへらした表情で答える。

 

 

「あらら、ミカエル様がいまさらそんなこと聞いちゃいます~?俺っちにそんなこと聞かなくても、心当たりはいくらでもあるんじゃないんですか~?」

 

 

 挑発も混じっているが、彼にもこの場で襲撃に参加する理由があるらしい。

 ミカエルはフリードが何のことを言っているのか分かっているらしく、表情が苦々しい。

 

 

「貴方が言いたいことはわかります。その怒りは最もです。ですが、だからと言って彼らを皆殺しにしていい理由はありません」

「は~、あれだけのことやっておきながら随分とお優しいことで。その優しさを少しでも俺達に分けてほしかったぜ」

 

 

 フリードの皮肉が混じった言葉に言葉を詰まらせるミカエル。

 第三者からしたら何の事を指しているのかわからないが、天使も悪魔と同じく、身内での不祥事があるようだ。

 どの勢力にも不祥事と言うものがあるが、それでもテロに加担する程の不祥事をそのままにしておいたのは、彼らに非がある。

 

 

「あの事は私達は関与していません。だからと言って私に非はないとは言いません。ですが、私達もあれからできる限り、そのようなことがない様に働きかけています。貴方に謝罪をしたとしても、その気は晴れないかと思いますが、どうかお願いです。投降していただけませんか?悪いようにしないと誓います」

「流石ミカエル様!俺っちが負けることを前提として考えてますねぇ!ですが残念でした~!俺っちにはやらないといけないことがあるんで、死ぬのも投降することもできませ~ん!ということで開幕一撃失礼しま~す!」

 

 

 フリードは手に持った禍々しい魔剣を振り上げ、障壁に一撃入れる。

 それだけでサーゼクス達が展開した障壁が破壊される。

 

 

「なっ!?」

 

 

 それに動揺したのは意外にもサーゼクスだった。

 この中で一番の実力者であるサーゼクス。その実力は超越者と言われるほど高く、他の悪魔と比べ一線も二線も画す。だからこそ、慢心していたのだろう。自分が張った結界が人間に破られるはずがないと。

 その動揺を察したフリードは手始めにサーゼクスに斬り掛かる。

 

 

「その首もーらいっ!」

 

 

 サーゼクスの首を撥ね飛ばさんとする凶刃が迫る。心の内で慢心していたことに毒づくが時すでに遅し。この場に居たのがサーゼクスだけなら死んでいただろう。

 

 

「クッ!重い!」

 

 

 そんなサーゼクスの窮地を救ったのはミカエルだった。

 ミカエルはフリードの持つ禍々しい剣が何なのか一瞬で看破し、障壁が破壊され、動揺していたサーゼクスと斬り掛かるフリードの間に割って入ったのだ。

 フリードは奇襲が失敗したことに落胆することなく、鍔迫り合いによって発生したエネルギーで弾けるようにバックステップする。

 奇襲は戦いにおいて非常に有効な手段であり、最も警戒すべきことだ。奇襲をするにあたって大事なことはいくつかある。それは的確かつ、迅速に終わらせることだ。一撃で仕留められたら満点、深手を負わせれるなら良し、間違っても引き際を間違えてはいけない。

 その点、フリードの行動は満点だ。

 

 

「ふぅ、油断は良くありませんよ?サーゼクス」

「すまない、どうやら知らぬ間に油断していたようだ」

「では油断したことを悔いながら死になさい!」

 

 

 フリードが後退したことを見計らってカテレアが再び魔法陣を展開、校舎を倒壊させるほどの爆発を引き起こす。

 

 

「お前らも俺のこと言えねえなぁ。裏切り者ばっかじゃねえか」

 

 

 二人を庇うように障壁を展開するアザゼル。

 ここでアザゼルが障壁を展開していなければ、サーゼクスとミカエルはまだしも、停止状態にあるソーナや朱乃達はひとたまりもなかっただろう。

 

 

「サーゼクス、あの女は俺が相手する。お前は手ぇ出すなよ」

「すまない、迷惑をかける。グレイフィア、セラフォルー、結界を再展開する」

「「わかりました(オッケー☆)」」

 

 

 サーゼクスとグレイフィアによって停止状態の者を護る結界が展開される。

 これで余程の事が無い限り、結界内に被害は出ないだろう。

 

 

「ミカエル、俺はあの女の相手をするがお前は大丈夫か?」

「ええ、とお答えしたいところですが・・・・そうもいかないみたいです」

 

 

 ミカエルは相変わらず苦々しい表情で、フリードが握る魔剣を睨む。

 その威力は容易く障壁を破壊することでわかる様に、熾天使と言えど直撃すれば致命傷は避けられない程の威力を秘めている。

 

 

「魔剣ディルヴィング、破壊重視の魔剣で軽く振るうだけで地面にクレータができるほどのパワー重視の魔剣です。ですが、この魔剣の恐ろしいところはそれだけではありません」

「伝承通りなら悪しき願いを三度まで叶え、最後は持ち主に破滅を齎すんだったか?」

「ええ、今までその力を解放する者は居ませんでしたが、彼はその力を解放できるようです」

「おお、物知りのようで何よりですぜ。ならこの魔剣がどれだけヤバいもんかはおわかりだな?」

 

 

 魔剣ディルヴィング、伝承では黄金の柄で錆びる事が無く、狙った獲物は逃さない。そしてその剣は二度のみ悪しき願いを叶え、三度目にはその持ち主に破滅を齎すと言われている曰く付きの魔剣だ。

 

 

「この力を使うのは何度目か教えましぇーん!てことでばいちゃ☆」

 

 

 フリードは人ならざる動きでミカエルに肉迫する。ミカエルは光の雨を降らし、接近されまいと距離を保つように動き始める。

 

 

「ミカエルは人間に任せ、私は貴方を屠るとしましょう。心配せずとも、貴方方がいなくても世界は回ります。大人しく消えなさい!」

「そう言われて素直に死ぬには、やり残したことが多すぎるんだよ!」

 

 

 アザゼルとカテレアが空中で何度もぶつかり合う。

 二人は空中を自由に飛び、斬りつけ、防ぎ、魔力と光をぶつけ合う。

 何合目かわからないが、何度か打ち合っていると徐々に戦況が変わっていく。

 最初こそ、先手を取っていたカテレアが優位を保っていたが、そのアドバンテージは少しづつ失われていく。流石堕天使総督、かつての大戦で神や魔王と闘って生き延びただけはある。アザゼルの実力は大戦の頃より何段か落ちているが、それでもカテレアに比べればその戦闘経験の差は凄まじい。カテレアも何とか食らいついているが、このままでは敗北は必須だ。だが、彼女とて何の策も無くこの場に現れたわけではない。カテレアは胸元から何か取り出し、それを口に含む。それと同時にカテレアの魔力が爆発的に跳ね上がる。

 

 

「その力、オーフィスの蛇か!」

「ええ、勝つために彼からいただきました!この力があれば貴方に勝つことは造作もない!」

 

 

 アザゼルの優位に傾きかけていた流れが引き戻される。爆発的に増加した魔力による力押し。単純だが、この場においてはそれが有利に働いた。

 アザゼルの光を魔力の嵐が打ち消し、防戦へと追い込んでいく。

 飛来する蛇の形を取った魔力の塊がアザゼルに襲い掛かる。並の堕天使ならこの力押しを受け流すことができず、死んでいただろう。だが、アザゼルは今まで培ってきた戦闘経験による先読みでカテレアの攻撃を尽く躱し続ける。だが、それでも躱し続けるには限度がある。避けられるなら球を大きくすればいい。そう言わんばかりに極大な魔力を惜しげなく使ってくる相手からの攻撃を避け続けるのは至難の業だ。回避が追いつかず、被弾する回数も少しずつ増えている。

 

 

「チッ、その馬鹿でかい魔力、オーフィスから力を借りたな?」

「ええ、私一人では貴方達を倒すには少しばかり力が足りませんのでお借りしました。今の私は前魔王と遜色ない。この力さえあれば、偽りの魔王を倒すことができる。そして私達が世界を統べる!貴方には、私達が創りだす新たな世界の創造の礎の一人として死んでもらいます!」

「仕方ねえ。お披露目にはチョイと速いが、試運転ってことで使わせてもらおう」

 

 

 アザゼルは懐から小型の短剣を取り出し頭上に掲げる。

 

 

禁手化(バランス・ブレイク)!」

「まさかっ!?」

 

 

 嫌な予感が彼女の中に芽生える。

 そして予感は現実となる

 

 

「俺が造った人工神器の最高傑作、墮天龍の閃光槍(ダウン・フォール・ドラゴン・スピア)の疑似的な禁手状態、墮天龍の(ダウン・フォール・ドラゴン・)(アナザー・アーマー)だ!」

 

 

 金色をベースにした鎧を身に纏ったアザゼルの力は、人工神器によって大幅に跳ね上げられ、戦闘能力はカテレアのそれを超える。

 その事に驚きと動揺を隠せないカテレア。

 

 

「アザゼル!貴方はそれだけの力を持ちながら!?」

「御託は言い、来いよ」

 

 

 人工神器が無事に起動し、気分が高揚しているのか挑発的な言葉を発する。その言葉は動揺を隠せないカテレアには効果覿面だった。

 

 

「私は偉大なるレヴィアタンの末裔!例え貴方がどれだけの力を持とうとも負けはしない!」

 

 

 口ではこういっているが、気後れしているのは明らかだ。

 そんな状態でアザゼルを相手にする事は自殺行為に等しい。アザゼルは過去の大戦でその魔王レヴィアタンと互角に渡り合ったのだ。オーフィスの力に頼らねばその領域に至れない彼女に勝ち目はなかった。

 恐怖を紛らわせるように放たれた極大の魔力は人工神器の槍に斬り裂かれ霧散し、斬撃はカテレアの肉を斬り裂く。追い打ちをかけるように突き、払い、殴りつける。辛うじて耐圧障壁を展開し、致命傷を免れているが、無理な魔力行使に身体が耐え切れず身体にガタがき始める。

 その事を察したカテレアは最後の手段に出る。

 

 

「ただでは死にません!」

 

 

 身体の一部を触手に変え、アザゼルの片腕に巻き付ける。それと同時に額に魔法陣が浮かび上がる。

 このままでは何も成せぬまま死ぬことを察し、せめて堕天使総督だけはと最後の力を使い自爆攻撃に移ろうとする。

 カテレアの行動から何をするつもりか理解したアザゼルはすぐさま触手を切り離そうと斬り付ける。

 

 

「無駄です!この触手は特別製、簡単に斬れはしない!」

「そうか、重要なことありがとよ」

 

 

 その言葉を聞き、躊躇いもなく自分の左腕を斬り捨てる。

 まさかの行動に目を見開く。

 自分が助かるためとはいえ、躊躇いもなく自身の左腕を切り捨てる。

 言葉にすれば簡単だが、それを実行できるものが世界にどれだけいるだろうか。

 普通は恐怖で実行できないものだが、それで助かるなら安いものだという考えがアザゼルだ。

 

 

「少し勿体ないが、せめてもの手向けとしてそれはくれてやるよ」

 

 

 じゃあなと言い、槍をカテレアに投擲する。

 最後のカードを切った彼女にその攻撃を防ぐことができるはずもなく、投擲された槍は無情にもカテレアに突き刺さりその命を終える。

 戦闘が終了すると同時に禁手が解け、鎧がパージされる。

 

 

「時間切れか、まだまだ改良する必要がありそうだな」

 

 

 一先ず今回の黒幕を倒したことで一息つくアザゼル。

 黒幕を倒してしまえばあとは残存勢力を掃討するだけだ。

 

 

「さて、ミカエルの野郎はどうなってんだ?」

 

 

 ミカエルとフリードの戦いがどうなっているのか。

 戦況を知る為に周囲を見渡す。

 

 

「・・・・おいおい、なんであいつがここに居やがる」

 

 

 アザゼルが目にしたのは魔剣の禍々しいオーラを身に纏うフリードと。

 この場に居るはずがない白い死神の姿だった。

 

 

 

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