読者の皆様からの感想が凄まじい(白目)
眠りそうになりながら書くことは良くないという事が身にしみてわかりましたです。 納得いただけない展開かと思いますが、書きたいように書いたらこうなりましたです。
納得できなければブラウザバック願いますです。
ではどうぞ。
若手悪魔の会合、その会場に一足早く到着した有馬とジーク、ジャンヌの三人。リントは一人ガブリエルの護衛を継続して行っている。
会合が始まる前に少し打ち合わせがあり、その打ち合わせに多くの護衛を連れていくわけにもいかず、有馬たちの中で最も常識を持っているリントがそちらに出向くこととなった。
ガブリエルとは会場で落ち合う予定になっている。
その合間の時間、有馬は会合前の待機場所で一人読書に勤しんでいた。
「有馬さん、何読んどるの?」
「白秋」
「はくしゅー?」
待機場所を歩き回っていたジャンヌだったが、それに飽きたのか有馬お本をのぞき込む。
本の内容は小難しい漢字や普段使われることがないような表現が書かれている小説だった。
「あ、頭痛い……」
「そう?面白いけど」
あからさまに拒否反応を起こすジャンヌ。
基本的に本などは読むことがないジャンヌ。読んだとしても数ページで飽きて投げ出すことなどざらにある。
「有馬さん、そろそろ時間です」
今まで置物のように有馬の後ろに佇んでいたジークが口を開く。
ジークの言う通り、会合が始まるまであと数十分と言ったところだろう。
そろそろガブリエルと合流しようと動き出そうとした瞬間
――――――――ドゴォォォン!
待機場所に煙が舞う。
入り口付近から同時に二つの魔力が高まる。
「ゼファードル、こんなところで戦いを始めても仕方ないのではなくて? 死ぬの? 死にたいの? 殺しても上に咎められないかしら」
「はっ、言ってろよクソアマ! 俺がせっかくそっちの個室で一発しこんでやるって言ってやってんのによ! アガレスのお姉さんはガードが固くて嫌だね! だから男が寄って来ないんだよ! 何時まで処女やってる気なんですかねえ! だから俺がわざわざ開通式やってやろうって言ってやってんのによぉ!」
どうやら若手悪魔同士の諍いが起きているようだ。プライドが高いであろう者をこのような場所に集まればこうもなるだろう事は予想できなかっただのだろうか?
そうは考えたもののそろそろ時間が迫っている為、諍いが収まるのを待っている時間はない。
有馬は溜息を吐きたい気持ちをぐっと抑え、入り口付近でもめている二人の前を横切る。
「あっ?おい、何でこんなところに人間が居やがんだ?」
だが、そう簡単に面倒事を避けることはできない。
最近は鳴りを潜めていたが、有馬はどこぞのツンツン頭の少年ほどではないにしろ不幸体質だ。
そんな不幸体質な彼が目の前の面倒事を避けることができるはずがない。むしろ呼び込んで来る。
有馬はそんな相手を無視しようとするが、それは許されない。
「おっ、美人な奴もいるじゃねえか」
目を付けられたのジャンヌ。
ジャンヌは稀に見る美人だ。その美貌は彼女が聖女の頃から有名で、一時期は悪魔にも言い寄られていたほどだ。
その結果、悪魔がどんな末路をたどったかはジャンヌのみぞ知るが。
ジャンヌは悪魔を一瞥するとすぐに視線を元に戻し歩き始める。
その瞬間、無視をされたことにゼファードルの額からブチッと言う音が聞こえる。
「無視してんじゃねえぞ、クソアマァ!」
先程まで女性悪魔に向いていた矛先がジャンヌに向かう。
その場から立ち去ろうとするジャンヌの肩へ乱暴に手を伸ばすが、その手はジャンヌの肩に触れる直前で掴まれる。
ゼファードルの手を掴んだのは冷めた目をした男、有馬だ。
「あっ?人間如きが俺に触ってんじゃねえよ!」
突然掴まれた腕を振り払おうとするが、その行動に反して腕はピクリとも動ない。
「なっ!?てめえ離しやがれ!」
強引に振り払おうと力を入れる。
そのタイミングに合わせた様に有馬は力を緩め腕を離す。
すると体制を崩し、勢い余って尻餅をつく。
「いっつぅ……てめえ舐めてん――――――――」
有馬の行為に憤りを感じた男は睨め付けようとしたが、ゾワリとした寒気がゼファードルの動きを止める。
いや、止めさせられた。
ゼファードルの眼には、上から見下ろすように視線を向ける有馬の冷たい瞳のみが写っているだけだ。だが、その冷めた瞳に気圧され、思わず尻込みし、動きと共に思考を停止させられる。
その出来事と同時に、先程までの喧騒が嘘のように静まる。
突然の出来事に、この場の時が止まったかの様にさえ錯覚する。
数秒ほどすると有馬は男から視線を外し、踵を返して入り口から去っていく。それに追従するようにジークとジャンヌもこの場を後にする。
この場の悪魔達はその後姿を見ることも、止めることもできず、その場に縫い付けられたかのように動くことができなかった。
悪魔達が再び動き始めたのは、有馬たちの姿が完全に見えなくなった後だ。
「……噂を凌駕する程の凄まじさだな」
そう一人呟いたのはこの場で一際頑強な身体を持った男。
この悪魔の男はサイラオーグ・バアル。今回集められた若手悪魔の中でナンバーワンと呼ばれている期待の悪魔だ。
その男ですら動けなかった。
先程、ゼファードルがジャンヌに掴みかかろうとしたのを止めようと動こうとした、その矢先の出来事だった。
ジャンヌの先を歩いていた有馬は、背後で起きていることをまるで見えているかのような動きを見せた。
有馬の一連の動作をサイラオーグは眼で追うことはできていた。動き出しも見えた、ゼファードルの手を掴む瞬間も見えた。にもかかわらず、身体はその動きを一切反応することができなかった。
まるでその瞬間だけが時間から切り離されたような感覚すら感じた。
サイラオーグ自身、血反吐吐き、肉体の限界を超えた絶え間ない鍛錬を行い今の力を得た。そこに一切の妥協はなく、その過程を微塵たりとも恥じることもない。自分は強いと声高らかに叫ぶことができるほどの自信を付けた。
だからこそ、有馬の異常なほどの動きに驚愕を禁じ得ない。
悪魔ですらない、人間があれほどの動きをすることができるのか。
魔力や仙術、特殊なことは何もしていない一連の動作、それにサイラオーグは魅入られた。
あれこそが自分の辿り着くべき修練の先なのだと。
サイラオーグの口元は自然に笑みを浮かべる。
「下らん集まりだと高をくくっていたが、そうでもないらしい。白い死神、是非とも一手ご教授願いたいものだ」
サイラオーグは尻餅をつくゼファードルを助け起こすために手を差し出すが、それが彼の琴線に触れ、再びその場が喧騒に包まれることになるのだがそれは小さな些事。先程に比べれば些細な出来事だったとでも言っておこう。
□■□■
「ジャンヌ」
「何です、ジーク」
待機場所からガブリエルと合流するまでの時間、ジークは静かにジャンヌを説教していた。
「さっきの悪魔、ゼファードル・グラシャラボラス。斬ろうとしたな?」
「あ、見えました?」
あの時、ゼファードルがジャンヌに触れようとした瞬間、彼女は周囲にばれぬように腰の剣に手をかけていた。
もしも有馬があの時割って入っていなければ、彼の手首は綺麗に斬り落とされていただろう。
「別に悪魔なんだから腕の一つ無くなったって死なないっしょ」
「そう言う問題では無い。奴は若手悪魔の会合に呼ばれるほどの悪魔だ。不用意なことをすれば、此方の立場が悪くなる」
「えー、何かされても我慢するんですか?」
ジークの言葉にブーブーと文句を言うジャンヌ。
確かにセクハラ紛いの事をされるのは我慢ならないだろうが、それで腕の一本斬り落とすのは流石に問題がある。そう言うのは別世界のスカルマスクだけで十分だ。
ジャンヌ・ダルクの魂を継ぐこの少女、その行動は聖女の魂を継いだとは思えないほど好戦的だ。
「ジャンヌ、もう少し穏便に済ませて」
「有馬さんがそう言うなら」
今までの不満が嘘のような反転した返事が帰ってくる。
その事にジークは何も言わないが、内心イラッと来ている。
有馬は有馬でこんな感じで護衛任務大丈夫か、とキリキリと痛んでいるような気がする胃を気にしながら合流地点へ急ぐ。
「少し遅かったですね、有馬さん」
案の定、合流地点にはガブリエルとリントがすでに待っていた。
「すまない、待たせた」
「いえ、私達も先程来たばかりですのでお気になさらず」
そんな有馬をフォローするガブリエル。
それから会合の簡単な流れが説明される。
話を聞く限り、有馬たちは特にすることも無く、ガブリエルの背後で待機していればいいだけだ。唯一注意すべきことは襲撃があった場合のみだ。それ以外は特に何もすることはないだろう。
説明も終わり、会合の会場に到着する。
ガブリエルの席は魔王やアザゼルの席の隣、最上段に位置する場所だ。ガブリエルが着席すると有馬たちは後ろで待機する。
しばらく待つと悪魔のお偉いさん方や魔王、アザゼルも集まりだす。若手悪魔も無事にそろっているが、先程ジャンヌに触れようとしていたゼファードルの顔が腫れがっている。有馬たちが去った後、何やら一悶着会ったのかもしれない。
「では、これより若手悪魔諸君の顔合わせも兼ねた会合を開催する」
サーゼクスの言葉を皮切りに若手悪魔の会合が始まる。
そこから若手悪魔の今後についてから始まり、今話題のテロリストについて、若手悪魔達が今後の悪魔達にとって宝であるなど、長い話が続く。
そんな話の中、上層部に位置するであろう悪魔達は若手悪魔達を品定めするように見ながら、有馬に目障りそうな視線を向ける。
有馬は良くも悪くもこの場で視線を集めている。今まで多くの悪魔を葬ってきたのだからそれも仕方のない事だろう。少し話がずれるが、教会は何もはぐれ悪魔だけを討伐している訳ではない。場合によっては吸血鬼、妖怪、魔法使いなども討伐対象に入ることもある。そして悪魔も、はぐれではない悪魔がその対象に入ることも。
有馬はその実力の高さから、上層部に位置する悪魔の討伐も行う事もあった。その中には、悪魔の政界に少なくない影響を持った悪魔も存在する。彼らの中には、そんな悪魔と繋がりがあった者もいるだろう。そんな彼らの前にその本人が居れば少なくともいい気はしないだろう。
そのせいか、所々教会の戦士についてと言いながら遠回しに皮肉を投げる悪魔もいる。
その事で魔王やアザゼルがフォローに回っているが、それが面白くないのか言葉にはしないが、有馬の事を邪険な目を向ける者まで居る。
その状況にアザゼルは内心ハラハラしているが、それを知る者は何処にもいない。
話は進み、若手悪魔の各々の目標、夢について話すことになった。
ある者は『魔王になる』と啖呵を切り
またある者は『レーティングゲームで王者になる』と宣誓する
最後の者は『どの悪魔にも平等な学校をつくる』と夢を語った。
その言葉にこの場の大勢の者が笑う。
『面白いジョークだ』、『平民や下級悪魔如きが』、『魔王の妹の言う事は傑作だ』、『そのような戯言』等と、言い腹を抱えて笑い出す。
それに対し、夢を持つ少女、ソーナ・シトリーは本気です、と再度その覚悟を示すが、その言葉に反して彼らの対応は温かいものではなかった。
その夢は多くの貴族悪魔達にとって面白いではない。今の悪魔の社会は貴族主義だ。階級を持っている悪魔でさえも、その階級によって平民や下級悪魔と大差ない扱いをされる社会だ。この場に参加する全ての者が全てそういう訳ではないが、それでも多くの者はその血筋や生まれというだけで今の立場に座っている。そんな彼らが今までのように暮らしていくには、今の社会を維持する必要がある。当然、そこにソーナのような考えを持つ悪魔など不要だ。
そこでソーナの眷属、匙元士郎が異議を申したてる。何故自分たちの夢を笑わなければいけないのか?その言葉はお世辞にも上層部の悪魔に使うような言葉ではなかった。
それをきっかけに彼らは口論を繰り広げる。自分たちは本気だと主張する匙、それに対して意地悪な返答が帰ってくる。
――――――――――なら証明してみろと
上層部の悪魔の考えはこうだ。下級悪魔や平民に可能性を見いだせと言うならまずはその証拠を見せてみろ、つまりここまで啖呵を切った匙にお前の力を見せろと言っているのだ。
そこで上層部の悪魔はガブリエルの護衛として今会合に参加している教会の戦士とレーティングゲームの真似事をしてみたらどうだ、と進言する。
上層部の悪魔達の考えは決まっていた。自分たちの生活を脅かすようなことを考えるソーナにきついお灸を添えてやろうと。最初は若手ナンバーワンと噂されているサイラオーグをけしかけようとしたが、少し考えその考えを破棄した。ちょうどいい、今回冥界に訪れた白い死神、有馬貴将の実力を図る為の生贄にでもなってもらおう、と。
今回会合に参加した上層部の悪魔の中には、有馬を目障りと思うものも少なくない。むしろ多いと言ってもいいだろう。彼らはこれを機に冥界に滞在している間に暗殺でもしてやろうかと画策していた。だが、有馬貴将の戦闘データはほぼ0、内容は噂程度にしか知らなかった。所詮は噂だと鼻で笑う者もいたが、今まで多くの悪魔がその手にかかっていることもあり、その真偽を確かめたいという意見もあった。そんな時に今回の発言はちょうどいい渡り船だった。暗殺に差し向ける悪魔の実力を図る為に、ソーナを利用してやろうと考えたのだ。
勿論、魔王やアザゼル、ガブリエルすらもそれには反対した。
だが、彼らもそう簡単には退かない。今回のチャンスを逃せば有馬を殺すことは困難だと理解していたからだ。正確には暗殺することは可能かもしれないが、その痕跡が残る可能性が高いと考えていた。ならどうとでも理由の付けようができる冥界で動いた方が良いと踏んだ。
上層部の悪魔と各勢力の首脳陣の口論は若手を外野に白熱していく。
特にアザゼルは周りが驚くほど反論していた。当然だ、有馬の戦闘能力はいくら低く見積もったとしても若手の手に負える物ではない。
本来の会合の目的から大きく脱線した口論はやがて終局を迎え、やがて両者が幾分か妥協することによって口論は終わる。
レーティングゲーム自体は行われる。
その内容は若手悪魔全員対今回のガブリエルの護衛として参加した教会の戦士4名と言う内容だ。
最初、ガブリエルはこの事に大きく反論していたが、アザゼルの必死の説得により引き下がった。と言うより余りにらしからぬ行動に引いたと言う方が正しい。
それでも有馬一人を戦わせることに負い目があったガブリエルは他の三名も参加できるように計らった。その発言にアザゼルは『あいつ一人でオーバーキルもいいところだぞ』と愚痴を零していたが、それを聞いた者は誰もいない。
ルールは簡単、戦闘フィールドは荒野。有馬たちの勝利条件は若手6名の悪魔達の撃破。若手の勝利条件は有馬貴将の撃破。
端から見れば見渡しの良い荒野に少数で多数の敵との戦闘、それも悪魔のような空を飛ぶことができる相手との戦闘はムリゲーに近いが、それでもアザゼルは戦力差を埋めるには足りないだろうと踏んでいた。
有馬は先日の戦闘で、上空を自在に翔るヴァーリを相手に無傷で倒したのだ。空を飛べないことはデメリットにすらなりえない。地面が無ければその限りでもないかもしれないが、あの有馬なら地面が無くても戦えそうで怖い。
上層部の悪魔もソーナを失脚させることができないことは残念だが、これだけの数がいるのなら有馬の戦力をさらに正確に測ることができると妥協した。
若手対有馬で有馬が負ければそれはそれで良し、わざわざ暗殺する手間が省ける。有馬が勝ったとしてもその戦力を把握できるから良し。
中には今回のレーティングゲームにシステムに干渉し、リタイアのシステムにでも細工をしておいてやろうとまで考えてい者もいる始末だ。
そんな事を本人の了承も無くするのだ。
結局最終確認の段階で構わないか問われる。勿論、有馬がこの状況でノーと言えるほど肝が座っている訳も無く、渋々と言った感じで了承することとなった。
その事に歓喜する若手ナンバーワン
先程コケにされた借りを返すと有馬を睨め付ける男
先程の光景を思い出し身震いするメガネをかけた女性。
これはチャンスだと不気味な笑みを漏らす優し気な男
コカビエルとの戦闘を思い出し苦々しい表情を零す紅髪の少女
すぐにでも勝算を探るために考え始める生徒会長
各々思いはバラバラだが、試合自体には不服はないようだ。
ただ一人、有馬はどうすっかなー、なんて現実逃避をしかけている。まさかここに来るまで大した不幸事が来なかったことが、ここに来て裏目に出るとは。まるで今まで溜まっていたものが噴き出したような惨事だ。
「………」
「フフフ、見せどころですね」
「面倒な」
どうやらこちらもやる気満々なようだ。
静かに佇むジーク、だが心の中では二刀を試すには良い機会だと考えている
明らかに有馬に良い所を見せようとやる気に満ちているジャンヌ
口ではああ言っているが、久しぶりの有馬との戦闘に喜びを隠せていないリント。
そんな中、一人やる気を出すことができない有馬。
まさか裏では自分を殺すために様々な駆け引きがされているとは夢にも思わないだろう。
こうして、本来の歴史とは大きくずれたレーティングゲームが始まることになった。
悪魔狩り過ぎて悪魔からのヘイトがえらい事に……
最後はどう終わるか決めてるんですけど、その過程は未だ決まってなくて作者はちょっと迷走してますです。
投稿が進んでいなかったら、病院に行ってるか、過程を考えていると思ていただけたらありがたいです。
それとは別に、ここまで読んでくれてありがとうです!
皆さんからの感想や評価は大変励みになるので、これからもよろしくお願いしますです!