精霊転生 ~転生したけど崩壊した現代でした~ 作:緒方 ラキア
リーフは、警戒されながらもなんとか村の代表と話をする事となった。
現在、リーフは星原姉妹の家の中にいた。目の前いるのは初老でこの村の村長夫妻と家主の星原 光、そして・・・
「そろそろ離れてくれないか明美ちゃん?」
何故か先程から腕に抱き付いて来る明美の四人だ。
「やだ。」
うむ、可愛い。
どういうわけか、ひどくなつかれてしまった。これから大事な話をするから出来ればどこかに行って欲しいのだが。
光もどうしたら良いのかわからずおろおろしている。仕方ない、このまま話をしよう。
リーフは 、村長婦人の出してくれた白湯を口につける。
この村の生活レベルは、かつての日本と比べると、非常に落ちていた。電気やガスなども存在していない。まあ、当然と言えば当然なのだろうが。
この白湯も、火打石で火を起こし、井戸から汲んできた水を竈で沸かすなど、全て手作業によって出してくれたものだ。
気分はファンタジーの世界の貧しい村にいるような気分になる。
「・・・とりあえず、自己紹介しておくと、私はリーフです。」
とにかく、いつまでも無言でいる訳にもいかず、軽い自己紹介から始める事とした。村長夫妻も名乗り、最後に光も自己紹介して本題に移る。
「こちらの質問に答えられる限り答えてください。」
「はい・・・。」
村長の顔色は、相変わらず暗いままだ。やはり、木精霊族は恐れられているのだろう。
「まず、この村に『小林』の名字の者はいらっしゃいますか?」
リーフが真っ先にそう質問する。いきなり家族の手掛かりが見つかるとは思っていないが、少しでもないかと尋ねる。
しかし、村長達は互いに確認し合っているが、どうやら知らないようだ。
「残念ながら、知りません。」
「そうですか・・・」
やはりそう簡単に見つかる訳ないか。
少し残念に思いながらも話を続ける。この村の事、世界の事、戦争の事、いろいろな出来事を聞いていく。ちなみに話の内容は全て、胸に仕舞っているタブレットに録音している。後で情報をまとめておく為だ。
アブルホールの情報は数年前のものである為、新しい情報は自分でまとめる方が良いと言われていたからである。
「では、さっきの
すると、周りの空気がさらに重苦しくなる。
あれ、何かまずい事聞いてしまったか。
心の中でそう思っていると、村長が吐き捨てるように語り出した。
「奴は悪魔ですよ。」
「・・・どういう事ですか?」
「この村は、精霊族が私達のような人々が暮らせる為に作った所ですが、奴は貴族の立場を利用して、私達に重い税をかけてきたんです。」
「それだけではありません。奴はこの村の若い娘達を次々に妻に迎えると称して拐ってゆくのです。飽きたら捨てられると悪い噂しか絶えないほどでした。」
「今回、光を助けていただいた事には感謝しています。ですが、私達には奴と戦う力はありません。ですから、ここからすぐに出て行く事をおすすめします。」
「・・・・・。」
リーフは村長の心の叫びを、ただ黙って聞いていた。そして口を開く。
「つまり、巻き添えになりたくないから、ここから出て行けと言う事ですね。」
それを聞いて、村長は小さく頷いた。
エルオンは大貴族とまではいかないものの、それなりの兵力を持っている。村長はリーフに復讐する為に、その兵を連れてくると考えていたのだ。
もしそうなれば、この村は無事では済まないだろう。
そこで、リーフはある提案を出す。
「では、もし再びエルオンが現れたら、私が返り討ちにしましょう。」
明美とリーフを除く、家の中にいた全員が驚きの表情を浮かべる。
「まぁ、そこで縛っている
気絶させた
「・・・何故あなたは、そこまでするのですか。」
村長の質問に、リーフは素直に答える。
「ただの、人間が好きな
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その後、村長は覚悟を決め、エルオンと全面対決する事を決めた。現在は村人達にその事をどう伝えるかと家の中で悩んでいる。
リーフは、例の三人を仲間に加える為、放置している広場に向かっていた。まだリーフと手を繋いでいる明美と共に。
先程まで冷静に対話をしていたリーフであったが、その内心は、
(あぁぁぁーーー!なにしてんだオレは!いきなりこの村絶体絶命な状況に追い込んで!もうこれ
自らの失敗を払拭する為に、リーフは戦う事を決心したのだった。
その為の作戦を考えていると、後ろから声をかけられる。振り向くと、明美の姉の光がいた。
「あの・・・、助けてくれてありがとうございます。」
「いえ、大したことでは。」
「それと、迷惑じゃないですか?」
迷惑とは、明美の事を言っているのだろう。いつの間にか、明美は登ってきていて、リーフは彼女を肩車をしていた。
「いえ、大丈夫ですよ。」
「そうですか。」
まぁ、これから交渉に行くのに明美を連れていくつのは変だろうと、明美を光に任せようと言おうとするが、
「あの!・・・、私も交渉に立ち会わせてください。」
光の発言に止められる。
「へっ?」
思わず、変な声が出てしまった。
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「・・・っと言う訳で、お前達にも働いて貰う。」
リーフは縛られている
だが、
「お断りだ。」
「何でお前なんかに。」
「従う訳ないブー。」
全く従う気はなく、それどころか開き直って逃がせと要求してくる。正直、この場で調理してくれようかと、リーフは考え始めてきた時、リーダーのポークがこんな事を言い出した。
「俺たちは傭兵だ。従わせたいのなら、それ相応の見返りが必要だぜ。」
「・・・つまり金か。」
ポークはニヤリと笑う。つまり、こいつらを雇うための金が必要になってくる訳か。
「あの
「そんな!村にそんな大金ありません!」
リーフではなく、横にいた光が声を荒らげる。
この村の財産全てを集めても、銅貨70枚位にしかならないと言う。
この世界に変わって、通貨は金貨や銀貨、銅貨などが流通しており、まるでファンタジーの様なシステムに変わったそうな。
現在の通貨を日本円で例えるならば、金貨一枚=100,000円、銀貨一枚=10,000円、青銅貨一枚=1,000円、銅貨一枚=100円らしい。
確かにそれでは足りない。もう、無理やりにでも言う事き聞かせようかと考えし出した時、ふと重い出した。
リーフは持っていた風呂敷の中から、小さな袋を一つ取り出す。その袋からはチャラチャラと硬貨の鳴る音が聞こえる。
旅立つ時に、グランとリトビから貰ったリーフの全財産だ。しかし、リーフはまだ中身を見ていなかった為、中にどれ程入っているのか知らない。
袋のサイズからして入っているのは50~70枚位だろうが、結構軽く感じる。
袋の紐を解き、光に中身がどれ程なのか確かめさせる。
「これでどのくらいの金額になりますか?」
袋を受け取った光は、袋の中身を覗く。
すると、両目から目玉がこぼれ落ちるのではないかと言うくらい目を見開き、驚きをの表情を浮かべる。そして、か細い声で中身を口にする。
「ぜ、全部・・・は、白金貨・・・70枚。」
リーフを除く、その場にいた全ての者が、光と同じような表情を浮かべる。
白金貨は金貨の10倍の価値がある。つまり、白金貨70枚を日本円で表すと、70,000,000円に相当する。
あの二人は、そんな大金をリーフに持たせていたのだ。まぁ確かに、自給自足のあの人達なら、
ともかく、金の問題は解決した。リーフは袋から女神の絵が彫られた白金貨を3枚取り出す。
「前金としてこれを、働きに応じてさらに報酬を支払う、どうだ?」
ポークは先程とは打って変わり、従順に頭を下げる。
「よろしくお願いいたします、ボス。」
「契約成立だな。」
リーフは三人を縛っていた縄を解き、自由にすると手を差し出す。
ポークも理解し、握手をしようとしたその時、リーフ達の場所に影が通った。
リーフは空を見上げると、そこには緑色のエネルギーの球体が4つ、リーフ達目掛けて迫っていた。
「避けろ!!」
咄嗟にそう叫ぶも、間に合わないと感じたリーフには、触手を使い
その直後、エネルギーの球体はリーフ達の所に着弾する。
「「「ブヒーーーーー!?」」」
リーフは直撃を逃れたものの、
豚肉の焼けるような匂いが周囲に充満する中、リーフは姉妹の無事を確かめる。
「無事か、二人共?」
球体から守る為に、二人を押し倒す様な形になっており、光ともう少しで触れてしまいそうなくらい顔が近くにあった。
光に抱かれていた明美からは返事があり無事だとわかる、しかし光の方は、白い肌を耳まで真っ赤に染めて、口をパクパクしていた。
一体どうしたのだろうかと考えるが、何者かの気配を感じ、光を押し倒したままそっと振り返る。
すると、先程の影の正体が舞い降りてきた。
そこに降り立ったのは、三人であった。
一人目は腕が大きな翼で、足がまるで猛禽類のような鋭い鉤爪となっているタレ目のおどおどしている
二人目は頭から猫耳を生やし、爪の付いたガントレットを装備している猫目、口から覗かせる八重歯が特徴の
三人目は白いフード付きのコートに緑色のスカート姿。フードを深く被っている為顔はよく見えないが、中から伸びる緑の触手が木精霊族だと推測される。
そして何より、三人全員が女性であった。
すると、木精霊族の女性が前に出る。おそらく、彼女がリーダー格なのであろう。
「あなた達ね、エルオンが雇った傭兵は。報告では
どうやら彼女達は、リーフを連中の一味として見ているようだ。誤解を解く為に彼女達に話しかける。
「あの、誤解です。私は・・・」
「問答無用!」
しかし、
実力はまずまずのようだが、二人相手でさらに姉妹がいる為戦い難い。
リーフは姉妹二人を抱き抱える。
「きゃあ!?」
ただし、お姫様抱っこで。
リーフは二人を抱えながら、攻撃を避け続ける。
「卑怯だぞ!光と明美を人質に取るなんて!」
すると、木精霊の彼女が気になる発言をする。まるで、二人の事を知っているかのような。
気になったリーフは抱えている光に尋ねた。
「彼女達は知り合いですか?」
「えっ?」
光は今まで惚けていたが、リーフの問によって横を見ると、
「はい。知り合いです。」
「・・・では、あの三人に説明して貰えます?」
その後、光と明美の呼び掛けでなんとか誤解は解けた。三人は揃ってリーフに頭を下げている。
「そもそも、あなた方は一体何なんですか?」
三人から謝られる中、リーフは気になって質問する。すると、木精霊の彼女が答えた。
「はい、私達は『ヴァリアント』。この村と共生する者達です。」
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町へと続く道の途中で、エルオンの馬車は止まっていた。リーフから必死で走り続けた為、片側の車輪が壊れ立ち往生する羽目になっていた。
「くそが、あの
エルオンは壊れた馬車の中で怒りに燃えていた。御者は壊れた車輪を応急修理している。
「次に会った時に、真っ先に処刑してくれる!」
その為には、中央都に帰還して報告した後、全ての私兵を連れあの村に攻めなければ。例えどこに逃げようと、大貴族の力を使って必ず見つけ出してやる。
エルオンは黒い感情がこもった笑みを浮かべる。
「おい!修理はどうなっている?」
エルオンは御者に修理状況を尋ねるが返事はない。苛ついたエルオンは馬車の扉を開ける。しかし、それは致命的な間違いだった。
「なっ・・・!?や、やめろ!・・・ひぃ・・・!!」
森の中でエルオンの断末魔が響き渡る。しかし、その叫び声は誰にも聞こえない。
そして、新たな脅威がイオタ村に迫りつつあった。