転生したのでせっかくだから対戦車道をやってみようと思う   作:倒錯した愛

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俺もなー、みほちゃんとなー、喫茶店デートしたいなー………。


知恵を借りて作戦会議を

Vooooooo………

 

波に揺られること数時間、黒森峰の学園艦に乗船した。

 

受付にて乗船許可証を提示し、学園艦の街へ。

 

ドイツをリスペクトしているだけあり、入り口はブランデンブルグ門を模したアーチがあり、街並みは綺麗に整い美しさを感じさせる。

 

小さな聖堂や教会もあって、霧のロンドンとはまた違っていてで

、THE・普通、という大洗とも違う、無駄のない洗練された美しさを感じさせる。

 

っと、観光してる場合じゃない、遊びに行くのは試合が終わったらだ、よし、西住の待つ喫茶店を探そう。

 

実はあの後メールで『せっかくだからちょっと街並みを見ておきたい』と言って現地の喫茶店で集合することにしたのだ。

 

西住は迷子にならないでくれと送ってきたが、おいおいこの歳で迷子は………いや、迷子になる人もいるか、この街並みでは。

 

さて、喫茶店と一言で言っても特徴はいろいろある、ここ黒森峰の学園艦の喫茶店の特徴は、ノンアルコールドイツビールが飲めることだ。

 

もちろん、コーヒーも美味しい、だがマジノ女学院もなかなかのはず、向こうはフランスリスペクトだし、きっとワインも…………あぁ、今は飲めないんだったか。

 

おっと、見つけた。

 

お洒落な扉を開けて店内に入る、見た目より小さな喫茶店で、オーナー1人でやっているようだ。

 

小さな店内で私服の西住を見つけるのは簡単だった………というか、西住しかいないからな。

 

「guten Tag 西住」

 

「ふぇ?………あっ、ジョージ君、こ、こんにちは」

 

自分のそこそこのドイツ語で挨拶したが、どうやら西住はドイツ語に明るいわけではないようだ。

 

まあ英語のほうが………面倒だから日本語でいいだろう、うん、面倒ごとは避けるべきだ。

 

「少し遅れてしまったか?」

 

「ううん、そんなことないよ、私も今来たとこだから」

 

「そうか、ではさっそく作戦会議………と言いたいところだが、お腹が空いてしまってな、ちょっと食べたいんだが、おすすめはあるかな?」

 

「おすすめって言われても、私はそんなに詳しくないよ?」

 

「いいんだ、西住の好きなものを食べたい」

 

「え、あ///………う、うん、ちょっとまってね」

 

メニュー表をとってどれにしようか選び始めた、少しプレッシャーをかけすぎただろうか?

 

しかし、西住は弄りがいのある表情をする、まるでボコだな。

 

「しかし、前の制服姿もよかったが、その服も綺麗でいいな」

 

「ほ、ほんと?」

 

メニュー表から頭をスッと上げて私を上目遣いで見てきた、西住って結構魔性だな。

 

「あぁ、とてもよく似合ってる、うん、カワイイ」

 

「か、かわ……………ふみゅぅ……」

 

恥ずかしい表情を見られないようにメニュー表を盾にする西住、やはり弄りがいがある。

 

だが戦車道の試合では凛々しい表情を見せるんだよな、そのギャップも良い。

 

「……………えっと、こっちのワッフルケーキとパフェが美味しいよ」

 

「ふむ…………じゃあ、今回はワッフルケーキにしよう」

 

「うん、店員さん呼ぶね」

 

「西住はもう決まっているのか?」

 

「え?私はいいよ」

 

「そう言うな、せっかく貴重な休日を使ってくれたんだ、奢らせてくれ」

 

「そ、そんな!別にいいよ、私だって気分転換になればと思って………」

 

「気分転換なら、美味しいものを食べたりしたほうがいいんじゃないか?」

 

「じゃ、じゃあ………えっと………」

 

うーん、決まりそうにない、仕方ない、店員呼ぶか。

 

「ご注文お決まりですか?」

 

「こっちのワッフルケーキとこっちのパフェを」

 

「ジョージ君!?」

 

「ハハハ、もう頼んでしまったぞ西住、それで飲み物は?」

 

「うぅ…………それじゃあ、アイスコーヒーを」

 

「わかった、店員さん、それとアイスコーヒーふたつ」

 

「かしこまりました、しばらくお待ちください」

 

カウンターのほうに戻っていく店員、というかオーナーは、小さなキッチンでワッフルを焼き始めた。

 

「その、ご馳走になります、ジョージ君」

 

「気にするな、急な呼び出しでお礼も兼ねてるんだ、気にせず美味しく食べてもらったほうが、こっちとしても気分がいい」

 

「うん…………ありがとう、ジョージ君」

 

「お礼を言うのは私の方なんだがね」

 

「ふふっ………あれ?いつもの俺って言わないんだ?」

 

「ん?あぁ、あれは西住と2人の時くらいしか使わないからな」

 

あの、いつになく熱くなってしまった一件以来、西住とのメールでは俺で通しているが、感情的になると出てくるものだししょうがない。

 

前は、感情的なることができずにいたからな、その反動もあるのだろう。

 

「もちろん、西住が違和感を感じるのなら、私はこれから自分を俺と言うが………どうする?」

 

「私は…………うん、ジョージ君は『俺』のほうがいいよ、そっちのほうが………か、かっこいい、と思うし」

 

「そうか?じゃあ、これからは俺で通そう」

 

なんか、気持ち楽になった気がする、人付き合いで損得勘定する必要がないというのはここまで気楽でいられるのか、素晴らしいな。

 

「俺、俺か、なんだか話すのが楽になった、やっぱり俺には堅っ苦しいのは無理みたいだ」

 

「ふふっ………ジョージ君はちょっと女の子っぽい顔と身長だけど、男の子らしいっていうのかな?そういうのが出てると思うよ」

 

「うぐっ………西住、できれば女顔については言わないで欲しい、ちょっと自分でも悩んでてな」

 

「ご、ごめんね!も、もう言わないよ」

 

「助かる、向こうでは散々いじられたのでな、少しウンザリしていて…………すまない、愚痴を言ったな」

 

「全然いいよ!だって、愚痴を聞くのも友達でしょ?」

 

「ふっ………全くその通りだな、さすが西住、俺のベストフレンドだよ」

 

満面の笑みでそう言う西住、自信に満ちた姿にしばし心奪われた。

 

「はい、ジョージ君は私のベストフレンドですからね」

 

「言ってくれるよ………さて、このまま楽しくおしゃべりしてもいいが、ここらでひとつ西住の知恵を借りたい」

 

持ってきたバックから練習試合に関する資料を取り出した、フィールドのマップはコピーしたものをビニールを被せて事前に汚れないようにしておいた。

 

ついでカラフルな水性ペンを4、5本ほど取り出して資料と一緒に机に置いた。

 

「フィールドは雪原で変わりなく、双方の使用車両も変更なし、時間もそのままで夜戦は確定、プラウダは戦車猟兵なしだ」

 

「……………狙撃できそうな高所はある?」

 

「事前に分かっている高所は10mほどの塔がある程度で、あとは高さ2〜3mほどの民家風オブジェクトが並んで村のようになっている、それが合計で5カ所、マップの中心部とそこから各角に向けた直線上のどこかにあって、各村に2〜3棟ある」

 

「それだけあれば十分だよ、聖グロリアーナ女学院とプラウダ高校のスタート地点は?」

 

「聖グロリアーナは北西の村近くからになる、プラウダはその逆」

 

「夜戦で雪原フィールドなら遭遇戦が前提になるはずだから、足の速いT-34を使えるプラウダ高校のほうが有利、聖グロリアーナ女学院のチャーチルやマチルダで遭遇戦は厳しいからどこかの村で防戦をすると思う」

 

「となると北西の村か?」

 

「スタート地点すぐ近くにある北西の村なら、陣をこしらえるのに時間は十分にある…………でもそうなると、機動力のある相手に北東、南西側からも攻められて退路がなくなっちゃう」

 

「無理にでも中央の村を取るべきか?だが、我が国の戦車ではあるが、チャーチルの登板能力はともかく走行性能はあてにできない、原付の方がまだ速い」

 

「うん、だから聖グロリアーナ女学院の隊長さんは、たぶん北西の村で陣地をこしらえると思うの」

 

「だが、それだと退路はないんだろう?」

 

「それは相手にとっても同じ、陣地をこしらえるなら村の深いところでやらなきゃ意味がないの、入り口で待ってても先に発見される可能性があるから、でも村の奥で構えていれば相手はすぐには攻撃できない」

 

「なるほど、見え見えの罠を張って突っ込むのを躊躇させるわけか」

 

「うん、それで、ここからはジョージ君の仕事になるんだけど、各村にスノーモービル『アエロサン』RF-8が設置されているみたいだから、これを使おう」

 

「どうするんだ?」

 

「まず、聖グロリアーナ女学院が村の奥に篭って籠城を始める、しばらくしたら、プラウダ高校は、こうやって………」

 

北西の村の中心付近に青ペンで円を描い西住は、赤ペンに持ち替えて村の外側から中心に向かう矢印を描いた。

 

「青が聖グロリアーナ女学院、赤がプラウダ高校だよ」

 

そう説明を加える西住の表情は楽しそうである、まるで、これからいたずらする子供みたいだ。

 

「ある程度包囲されたら、ジョージ君はアエロサンを使って、こう迂回して………」

 

村の後方より黒ペンが走り、プラウダの包囲より外側を半円で囲った。

 

「…………こんな感じに、攻勢をかけるプラウダ高校を、時速50km出るアエロサンで回り込んで、背面から奇襲するの!」

 

おぉ、まさに『いたずら大成功!』といった自信に溢れる笑顔だな、俺には眩しいよ………。

 

「このとき攻撃するのは車体よりも履帯や外部燃料層、できれば砲塔基部を優先して攻撃して、行動不能にして欲しいの、足さえ止めれば垂直に狙えるから、そうすればマチルダの砲でもT-34を撃破可能、行動不能になった戦車の砲塔の向きを聖グロリアーナ女学院の戦車に無線機で教えれば、安全に処理できるはずだよ」

 

無理に撃破を狙わずに行動不能にさせ、無線機で連携を取って戦車に撃破してもらう。

 

なるほど確かに、夜戦で遭遇戦ともなればそもそも人影すら視認するには難しい。

 

吹雪が出たりすれば、いくらスノーモービルがうるさくとも、戦車の小さなペリスコープでは見えず、自車のエンジン音で聞こえもしないだろう。

 

「このとき気をつけなきゃいけないのは、履帯を攻撃して行動不能にしたあと、すぐにその場を離れて反撃を受けないようにしてね」

 

「H&A(ヒットアンドアウェイ)、一撃離脱の徹底だな」

 

「うん、夜で視界が悪いとはいっても、包囲している状況で後ろから衝撃を受けたら戦車猟兵が自分たちの後ろにいるってバレちゃうから、2回目以降仕掛けるときは慎重に、ちょっとでも危ないと思ったらアエロサンで逃げて」

 

「わかった」

 

「ふぅ………こんな感じだけど、いけそうかな?」

 

「あぁ、いけそうだ」

 

問題は、ラハティで履帯を1発で切れるかどうか。

 

そして夜戦ということなので、20m〜50mくらいで撃って離脱できるのか。

 

最悪、雪に埋もれて相手から見えないようにすればいいが、寒くて凍え死ぬか。

 

「ほっ、力になれてよかった」

 

「西住がいれば100人力だよ、持つべきものは友だ」

 

「そんな………恥ずかしいよぉ」

 

「お待たせいたしましたお客様、ワッフルケーキとパフェ、アイスコーヒーふたつになります」

 

やっときたか、喉が渇いてしょうがない。

 

「いただこうか」

 

「うん、いただきます」

 

そう言えば、西住の動作はどれも流れるように綺麗だな、良家の出身なんだったか?

 

戦車道の流派の家元の娘、って言ってたか、なら一挙一動すべてが綺麗なのも納得だ。

 

「おいしー………」にへぇ

 

甘味を食べてだらしねぇ顔してるのは綺麗ではないな、これはかわいいというんだな、うん。

 

俺も食べるとするか………コーヒーは存外悪くない、だがやはり紅茶に比べ苦味が強く、香りも全く異なるもので強烈な違和感を感じる。

 

しかし、このワッフルケーキの甘い味付けと正反対の苦味のおかげか、とても美味しく感じる。

 

なるほど、ワッフルケーキ自体が甘いからこそコーヒーの苦味が引き立つ、逆もまた然りというわけか。

 

イギリスでは主にプレーンスコーンをジャムや蜂蜜を付けずそのまま食べていたから、甘い味のする柔らかいパン食品とは少し遠かったから違和感を感じたのか。

 

うむ、美味しい。

 

この後、西住との談笑は続いた。




まだもうちっとだけ続くんじゃ
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