人間は過去にしか生きられない者
ならば過去を持たない者達はどうするのか…
何にすがればいいのか

すがる物を探し大きな異変を起こした妖怪のお話

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急に何かが降りたって一気に書ききってしまいました
お空がこんな事思いながら霊夢と戦っていたら…と妄想しながら書きました

そう言えば実写化銀魂見てきました
基本的に僕は実写化反対派なんですが銀魂は普通に楽しめました
トゥルーエンディングも見なければ(使命感)


赤いリボン

人間は思い出の中に生きる…

良く聞く言葉だ

妖怪であってもそうだと思う

どれだけ他人の心が読めようとも

運命を操れようとも

妖怪でさえもたった一秒先の事は解らない

もしかしたらあたしも一秒後に何かがあって死ぬかもしれない

つまり妖怪でも過去しかはっきりとしたものは持たないと言うことだ…

でもあたしには…

その生きるべき"過去"がない…

 

 あたしの名前は霊烏路空

地獄鴉と呼ばれる種族の妖怪…らしい

というのも先程言ったようにあたしには過去がない…からはっきりとは解らない

確かにあたしはかなり忘れっぽい常人の二倍は忘れっぽい…

メモを取ったらメモを置いた場所を忘れしまいには取った事を忘れる

でも、どれだけ忘れっぽくても今の主であるさとり様との思い出は忘れた事はない…楽しい、悲しい、苦しい…

感情が籠った記憶として…鮮明に残っている…

でもあたしは…旧都でお燐と出会う前の記憶がない

何をしていたのか…どうやって生活していたのか…解らない

でも2つだけ覚えてる事がある

ひとつは鮮明に…そして美しく

風に乗り輝く赤いレースのリボン

ひとつは身を焦がし、潰されるような強い喪失感…

それだけ覚えている

あたしは今、さとり様の元で生活しているが

いつかはこの謎を解いて…この喪失感とレースのリボン正体を確かめるんだ

 

「お空…どうしたのですか?」

さとりの声が響く

お空はハッとして振り返る

そこには見慣れた地霊殿の風景と心配そうに自分を見つめるさとりがいた

「どうしました?お空…最近、ボーッとしていることが増えましたが」

「えぇっと…」

さとりは左目を閉じてお空を見つめた

さとりの能力は心を読む程度の能力…サードアイと呼ばれる第三の目で人間や妖怪、妖精の考えている事が読める

だがさとり自身その能力のせいで忌み嫌われている

「…赤いレースのリボン」

「うぅ…」

「お空…ごめんなさい…私では力になれなくて…」

「さとり様が謝るような事では!…あたしはただ知りたいんです…この胸を締め付けるような気持ちはなんなのか…あのリボンはなんなのか…」

「お空…」

お空は無邪気ににこりと笑った

「失礼しました、さとり様、あたしらしくなかったですよね」

さとりはため息をつくとお空に耳打ちした

「空元気はよしなさいな…持たなくなりますよ…」

さとりはそのまま、どこかへ歩いて行った

「…持たなくなるか…違いないや」

お空は強くスカートを握りしめた

 

 あたしと出会った時の事をお燐から聞いた事があった

みんなが寝静まったころ

お燐…あたしの友人が旧都らへんを歩いていると

ボロボロで痩せ細ったあたしを見つけた

初め見たときは焦ったらしいけど

さすがはお燐、初対面のあたしをすぐに自分の塒へと連れ帰ったんだって…

その時、お燐曰く頬には涙の跡があって手首が冷たかったらしい…やっぱり泣いてたんだ…

あれ?なんであたし…今、やっぱりって…

 

「お空?…おーい」

お空はまた、現実に戻ってきた

こんな事ばかりだ、と首を横に振る

そしてまた、振り替える

そこには地霊殿の外装と猫車を押しているお燐がいた

「どうしたんだい?ボーッとして」

「ちょっと考え事をね」

お燐はきょとんとした表情をしてしっぽをゆっくりと振る

「お空でも考え事することがあるんだねぇ」

「地味に酷いこというなぁ…あたしだって色々考え事してるもん」

お空はいじけたように頬を膨らます

「解った、解った、あたいが悪かったよ」

お燐が苦笑いしながら諭すように言った

「ところでお燐は何してたの?」

「あたいかい?灼熱地獄の燃料を取ってきたのさ」

猫車には大量の死体が入っていた

「これが?」

「うん…まぁ半分はあたいの趣味さ、お空なら知ってるだろう?」

「お燐って…ネクロフィリア?」

お燐がガクッと肩を落とす

「どこでそんな言葉知ったのさ!?」

「勇儀さんが教えてくれた」

「勇儀さん…また余計な事を…なんて教わったの?」

「死体が好きな人だって」

お燐はうってかわって怪しげにクスクスと笑った

「お空、いいかい?あたいは死体を性的な目で見たことはないのさ…死体はその人が残した最後の芸術だと思っているの…生きて、生きて、生き抜いて最後に作り上げた人生最後の芸術(答え)…だから死体が好きなのさ、その人の全てが見えるようでね…だからあたいはネクロなんとかではない…解ったかい?」

「うーん…良くわからないけど解った」

お燐はまた苦笑いしながら燃料を運んでいった

 

 お燐に出会って…さとり様に拾われて…

あたしの今の生活はとても刺激的で楽しい…

でも楽しいことがある度に

心のどこかでなにかが心を締め付ける

あたしは何か大切な事を忘れている

そんな…気がする

 

「地獄烏よ…聞いているのか?」

また、ハッと見慣れた景色が映る

今度は旧都…そして目の前には見知らぬ人…いや、神様がいた

「は、はい!」

「では私が先ほど何を言ってみたかいってみろ」

お空には答えられる筈がない

何故なら今の今まで物思いに更けていたからだ

山の神…八坂神奈子がため息をつく

「もう一度、だけ言うぞ、我々はこの土地に利用価値を見いだしている…ここを利用すれば我々の目的とする山の産業革命も可能だ…そしてそのために汝にヤタガラスの力…核融合の力を授けようと思ったのだ」

「ヤタガラス…?かくゆーごー…?」

お空には理解できなかった

がその力が強大で自分の手に負えるような物では無いことは解った

同時にこんな思いも出てきた

「この力を使ってさんぎょーかくめいしたら…この旧地獄は賑やかになりますか?」

「もちろんだ」

「では喜んで…あたしが…あたしの行動でここが賑やかになるなら…あたし…頑張ります!」

お燐、さとり、こいし、勇儀…

旧地獄には大切なものが多い

のにそんな旧地獄は寂れてしまっていてさみしい…

お空やお燐はかねてよりそんな思いだった

「よろしいなら授けよう…核融合の力を!」

神奈子の胸元の鏡のような装飾が激しく光る

 

 神様から強い力を授かった

種族も地獄鴉からヤタガラスになった

神様から強すぎるこの能力を制御するための制御棒ももらった

あたしとしては変わりはない、いつも通り過ごすだけだけど

どれだけ強い力を得ても

どれだけ旧都が賑やかになっても

あたしの胸の締め付け

喪失感は消える訳ではなかった…

…そうだ、この能力さえ使えば

もしかしたらレースの人に会えるかも

 

「お空?…本気なの?」

また、ハッと景色が目に映る

地霊殿の外装と心配そうにお空を見つめるお燐がいた

お空は地上を破壊すれば新たな灼熱地獄が生まれると思っていた

それだけではない、それだけ大規模な異変を起こすのだ、博麗の巫女が動かない筈がない

お空でも分かる博麗の巫女が動くならそれはすごく大事、幻想郷中に情報が広まれば忘れたレースのリボンに会える可能性が増えると考えたのだろう

最悪、新たな灼熱地獄を生むのは博麗の巫女に阻止されてもいいと考えた

自分が退治されてもいいと考えたのだ

「本気だよ、神様からこの力を貰ってから…絶対にやろうと考えてたんだ…お燐…止めないで…あたしは本気だから」

お空はわざと殺気を込めて呟いた

お燐を自分から遠ざけ博麗の巫女がお燐に被害を及ぼさないようにしたのだ

「お空…やめた方が…」

「お燐…何度も言わせないで…あたしは本気なんだ」

お空は地底都市最深部へと歩を進めた

「お燐…後は頼んだね」

お空は自らの力を出力に全神経を集中させた

 

 博麗の巫女はすぐに嗅ぎ付けたらしい

すぐに地底の旧都に侵入者が来たようだ

さすがは博麗の巫女…仕事が早い

恐らく間もなく博麗の巫女はあたしの元へ到着する

きっと博麗の巫女はあたしを殺すだろう

さぁ…忘れてしまった人よ、見ているかな…いや見ている筈がないかな

また、会えることはなかったけど…

あたしの大切な人へ送るんだ…あたしの生涯をかけた大花火!

 

「だー!もう!駄目!」

博麗の巫女らしき人物の嘆き声にも似た声が聞こえてハッと景色が映る

場所は地底都市最深部

「こんな所にいたら目的の烏見つける前に焼け死んじゃうわよ、焼け巫女よ焼け巫女」

確かに地底都市最深部は人間にとっては暑すぎる

誰かとやりとりしているようだがわからない

しばらくすると博麗の巫女は威圧的にこちらをみる

「何の根拠があって言ってるのかわかんないけど…私もそう思う」

お空は最大にラスボスぶり威圧的に話そうとする

「やっとみつけたわ!貴方が噂の地上から来たよ変わり者ね? 私に会いに来ると聞いていてもたってもいられなかったわ!」

「ほらねやっぱり…私の勘に間違いはないんだから」

お空は自分の過去を託す博麗の巫女の姿を見た

するとお空は目を見開いた

 

 あたしは驚いた

そうとしか表現できなかった

天地が逆さまになったかのような驚きがあたしを襲った

博麗の巫女はあたしの記憶の断片に残る

淡い赤のリボンを頭に着けていた

見間違えようがない、あたしの頭から離れないあのリボンだ

その時、パズルの足りないピースが填まるようなそんな感覚に陥った

あたしは…この巫女を知っている…

そのあともあたしは高圧的に話したのは覚えているが

自分を取り繕うのに必死であまり覚えていていない

 

「ちょ…ちょっと!あんた!」

巫女の焦るような声でハッと景色が映る

最深部の天井のない真っ暗な空

「…良かった…さすがにやり過ぎたわね…ごめんなさい」

「あ…」

お空は声が出せなかった

全身を鋭い痛みが走り回る

自分が退治された証拠だった

「立てるかしら? 」

博麗の巫女は手を差しのべた

お空はその手を借りなんとか立ち上がった

「…あたし…こそ…バカな事を…」

「はは…それは否めないわね…でももっとバカを相手した事もあるし…何より…本気じゃなかったんでしょ?」

お空は苦笑った

「どうしてそれを?」

「私、勘だけは当たるのよ♪…だからあんたは殺さなかった…なんでこんなことしたのかも気になったし」

「あたしは…」

お空は悟った

"この人には嘘はつけない"

「とある人を探して…」

「それで?異変を起こして有名になろうとしたの?」

「貴方と話してるとさとり様と話してる気分になるよ」

博麗の巫女は首をかしげた

「貴方の言うとおりさ…この胸のモヤモヤを解決するために…赤いレースのリボンをした人間を探してた…で見つけた」

「…」

博麗の巫女は目をそらした

「貴方の名前を教えて」

「…霊夢よ」

お空はうーんと唸りながら考えた

しかし何も思い出しはしなかった

「どう?」

「駄目だ…何も思い出せない…でもリボンはそれで間違いないんだけどなぁ…」

「そりゃ、そうよ…私ら初対面でしょ?…それに」

霊夢は微笑んで告げた

「こんなリボン着けてる人なんて沢山いるわ」

「そう…だよね」

お空は少し残念そうに呟いた

霊夢はため息をつくとお空に近づいた

「でも諦めるのは癪ね」

「え?」

「こんな異変起こされて暑すぎる思いまでして…せっかく頑張って解決したのに人探しみたいな簡単な目的が達成されてないなんて癪だ、って言ってんの!…手伝ってあげる…その人を見つけるまで」

お空はきょとんとしてしまった

「ありがとう…博麗の巫女…」

「あと、その呼び方はやめなさい、霊夢でいいわ」

霊夢は少し頬を赤めて言った

「じゃ霊夢…それまでよろしくね」

お空は握手するために手を出した

「…ん」

霊夢はその手をしっかりと確実に握った

 

 まだ、胸のモヤモヤは取り払う事はできなかった…

赤いレースのリボンは見つけたけど

どうやら違うらしい…

でも博麗の巫女と…いや霊夢と一緒なら見つけれると思う

どれだけ時間がかかってもいい…きっと見つけてみせる

あたしの大切な人…

 

例の異変からすぐにお空と霊夢は仲良くなった

具体的に言うと神社にお空がいることが多くなった

この日も霊夢とお空は縁側に座っていた

お空は両手でゆで卵を持って一心不乱に食べていた

「ゆで卵、好きなの?」

「うん!」

霊夢がクスっと笑って続けた

「鳥なのに?」

「そういえば…なんでだろうね」

お空と霊夢はしばらく視線を交わしたあとお互いにクスクスと笑った

 

そんな様子を紫はスキマから見てため息をつく

「過去の封印は解けてはいないわね…空と霊夢が出会った時は驚いたけど…過去の封印は揺らぎようがないようね」

紫は部屋の棚にある写真立てを手に取った

その写真立てに入った写真は

博麗の巫女らしき女性と幼い頃の霊夢とお空が笑顔で写っていた

その写真を儚げな視線で見つめると元の棚に戻し窓から外を見た

「空…思い出さないほうが貴方の爲よ…人間は本当に脆い生き物なんだから…」

紫はまたスキマで仲睦まじい様子の二人を見てため息をつく

「空…貴方は…本当に今に生きているわね…」




後書きってたまに何を書けばいいのか分からなくなります_( _´ω`)_

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