綺礼の妻、クラウディアの死の間際の独白。

※Pixiv様にも投稿しています

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友人と話してて「クラウディアさんみたいな聖女がなんで麻婆と結婚したんだろうなぁ」みたいな話題が出たので「逆に考えるんだ、彼女も綺礼と結ばれるべくして結ばれた破綻者だったんだと」みたいな思考で書きました。

※原作や多くの二次で語られている聖女クラウディアのイメージを粉々にする危険性がありますのでご注意下さい。


ある女の独白

「私はお前を愛せなかった」

 

 ああ、やっぱりこうなったわね。

 

 綺礼さん。私の愛しい人。

 私はあなたの苦悩を知っている。たぶん、あなた以上にあなたの事を理解している。

 あなたが求める空虚の原因も、その埋め方もきっと知っているの。

 

 でも、あなたには教えてあげない。だって私が愛したのはそんな空虚なあなただもの。

 

 知っていたかしら、綺礼さん。聖女だの何だのと言われているけれど、私はね、とても醜悪な女なのよ?

 あなたが私の傷ついた姿を見て笑みを浮かべそうになって自戒する時、私は心の中で笑ってた。

 あなたが空虚さを埋められる『答え』を探して必死に足掻いている時、私は心の中であなたを哀れんでいた。足掻いて足掻いて、それでも何も掴み取れないあなたを哀れんで、愛おしいと思った。

 

 そう、私はね、人の苦悩や挫折が大好きなの。人々の苦悶の声や表情が、私にはとても美しく見えるの。

 誰かが苦悩して、それを解決する為に努力して、その努力が無に帰って挫折した人たちが失意に沈む姿を、何より愛おしく感じるの。それが愛している人なら、尚更に。

 

「いいえ。あなたは私を愛しています」

 

 そう。あなたは私を愛している。これだけは自信を持って言えるわ。

 だって、あなたはずっと、私を壊したいと思っていた。私を殺したいと思っていた。

 それは、どうしようもなく壊れているあなたが表せる、唯一の愛の形だと思うから。

 歪みなあなたの愛情が、歪んでいないはずはないから。

 その執着こそが、あなたの愛だと私は確信している。

 

 だけどね、綺礼さん。あなたに殺されてはあげないわ。だって私は空虚なあなたが好きだから。あなたの苦悩が私の幸福だから。

 だからあなたを満たしてなんてあげない。

 

 それに、本性がこれでも一応私は聖女らしいからね。あなたに殺されたら、きっと天国へ行っちゃうわ。

 綺礼さん。あなたはきっといつか自分の本質に気付くでしょう。それで絶望して自殺するのか、あるいは嬉々として悪徳の限りを尽くすのか、そこまで私もわからないけれど。どの道、ろくな死に方はしないでしょうね。

 

 だから、私は自ら命を絶つ。そうすれば、きっとあなたとまた逢えるから。

 

「ほら、あなた、泣いているもの」

 

 そう、あなたはきっと嘆くのでしょう。何故死んでしまったのだと。どうして自分に殺されなかったのだと。そうすれば、あなたはきっと私を忘れない。忘れられない。

 大きな心の傷としてあなたはずっと、私を覚えていてくれるもの。

 

 ああ、そろそろ、目も霞んできたわ。

 

 じゃあね、綺礼さん。

 私が愛した人。私を愛してくれた人。

 

『いつかまた、地獄で逢いましょう――』

 




一般的な聖女クラウディアさんの自殺理由
「目の前で死んでみせることで綺礼が人の死に涙を流せる、他人を愛せる人間だと証明したかったから」

この小説におけるクラウディアさんの自殺理由
「空虚な綺礼が好きだったので、綺礼が自分を殺して満たされるのが嫌だったから。また、綺礼はどうあがいても真っ当な死はむかえられないだろうと理解しているので、自殺という悪徳を成せば地獄で再会できると思って」

死がふたりを分断つとも、愛は永遠です!

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