第3話目です。
どうぞ~
***2015/4/15:内容修正済***
(――――まったく。メンドくせーたら、ありゃしねぇ……)
ノーヴェは内心で悪態を吐きながら、冷めた感情で現状を把握していた。
事の始まりは一昨日の夕方、天瞳流道場に立ち寄った際にミカヤから、「入場無料のチケットを知人に貰ったんだ。もしナカジマちゃんの都合が悪くなかったら、一緒に遊びに行かないかい?」とお誘いを受け、最近話題の遊楽施設にタダで行けると知って二つ返事で了承したノーヴェ。
更に昨日は女二人連れ立っての買い物巡りを敢行し、本日着る物を購入。あまりこの手の遊楽施設に普通に遊びに行くということをミカヤとしたことがなかった為、ノーヴェとしてはかなり楽しみしていたのだ。
だが、現時点でノーヴェの目の前には楽しい予想を大きく外れる光景。先程からノーヴェ達の行く手を阻むようにして延々と話し掛けてくる男達の姿。傍らには、同じような心境であることがありありと伺い知れる表情の友人ミカヤ・シェベル。折角の友人との憩いの時間は既に台無しになっていた。
周囲には楽しげな表情で余暇を満喫する家族連れに恋人達や友人グループ等が沢山いるが、残念ながら彼等はノーヴェ達の救いの主には成りえそうもない。
それも当然だろう。所謂、行楽地での他人のナンパ行為にいちいち首を突っ込むモノ好きはそうはいない。
「ねぇねぇ、お姉さん達、いいじゃんさ~。どうせ他に連れはいないんだろう? 折角なんだし、俺達と一緒に行動しようぜ」
「そうそう、女二人だけじゃサビしいって」
顔はそれなりにレベルが高いが、浮かべている笑顔は締りがなくて、脱色した髪や派手なピアスやアクセサリーと見た目にも言動にも軽薄さが滲み出ている男達だった。しかも、視線は明らかにノーヴェとミカヤの肢体に注視され、下心が見え見え過ぎて腹立たしさよりも呆れの感情が湧き上がってくるくらいだ。
とは言え、そんなナンパ男達からの邪な視線も仕方ないと言えば仕方ないのだが。何せこの場所はプールであり、今の二人は水着姿なのだから。
「さっきからずっと言ってるだろう。悪いがナンパはお断りだ。今日は友人と遊びに来ているんでね」
キッパリと何度目かになる断りの言葉を発するミカヤ。最初の頃はまだ笑顔だったのが、今では露骨に嫌そうな表情に変化している。
「そんなツレないこと言わないでさ~」
そして、何度目かになる拒絶にもめげることなく、見事なまでの面の皮の厚さでミカヤの言葉をスルーし続けるナンパ男達。彼等にしてみれば、ノーヴェもミカヤも系統は違うが衆目を集めるに足る美人二人組だ、これ程の上玉の二人をそう簡単に諦めることができないのだろう。
「絶対に俺等と一緒に行動した方が楽しいって。保証するからさ」
その自信がいずこから来るのかは判断に窮するところだが、一緒に行動した方が楽しいのは確かだろう。少なくとも、彼等ナンパ男二名にとっては。
(せめてパーカーでも羽織っとくべきだったかな?)
男達からの視線を胸や腰付近に感じ、今更な後悔をするノーヴェ。
ノーヴェもミカヤも現状は上に何も羽織ってないほぼ水着だけの状態だ。
健康的でしなやか、そしてなかなかの起伏を魅せる肢体を、ブルーのペイズリー柄のホルターネックビキニにデニムのショートパンツを合わせた動きやすいスタイルで包んだノーヴェ。
長い黒髪を軽く編み込んでシュシュで纏め、確実な成長を見せている胸部とは裏腹な凛とした雰囲気とスレンダーな全身を、黒地にカラフルでトロピカルな花柄の三角ビキニで包み、白地に水着と同系統の花柄がプリントされたパレオを腰に巻いたミカヤ。
本来なら、花が咲くような空気が二人の周囲に漂っていてもおかしくないはずだった。
「とにかく、ちょっとでもいいから俺達に付き合ってくれよ」
現実はそうもいかないみたいだが。
(たく……)
あまりにもしつこい男達に、いい加減ノーヴェの堪忍袋の緒も限界に達しそうだった。
(ちょいと脅せば、どっかに行くだろう)
かなりヤクザな思考だが、それも致し方ない。いつの間にか握り込んでいた拳を開き、自分の体に馴れ馴れしくも触れようとしているナンパ男の手を捻りあげようとの考えに至ったノーヴェ。
結論を行動に移そうとした矢先、ノーヴェは不穏な気配を感じて反射的にその場から後退る。横目で見れば、傍らのミカヤもまた同様に後ろに退いていた。
何故? と思う間もなく、答えはノーヴェ達の眼前にて示された。
「――――チィィェェェスゥトゥゥゥッッッーーーーー!!!!!!」
高らかな鬨の声。
両足を揃え、両腕と全身をピンッと伸ばし、Y字型の姿勢を取った状態で足から飛び込んできた少年。つまり、彼は飛び蹴り(所謂、ドロップキック)を放たわけである。
「――――グゲェボッッ!!!」
横合いからの予想だにしなかった一撃がナンパ男の片割れを捉え、悲痛で奇怪な声と共に勢いよく吹き飛ばされた男はそのまま自身の相方をも巻き込んで、二人縺れ合ったままプールサイドから水面へとダイブする。
「ほぅっ!!」
派手な水柱が上がったプールサイドを背景に、相手に蹴り込んだ時の反動を利用して空中でバランスを取り、一回転して『シュタッ!!』と擬音語でも聞こえてきそうな感じで、昔のヒーローアニメの主人公のような鮮やかな着地をかます少年。
しかし、常識的に考えて困難なはずの空中での行動を顔色ひとつ変えずにやってのけるとは、無駄に優れた運動神経である(魔法を使って補助していた可能性も考えられるが)。
「……ふっ、やはり正義の味方の登場シーンは、悪役の不意をついた飛び蹴りによる乱入こそが王道だよな」
片膝を折って地面に臥した状態で、この世の真理を語る哲学者の如く、澄ました表情で曰った自論に頷く少年。
一方、呆然とその様子を見ている少女達と周囲の人々。
そりゃそうだろう。
いくらナンパ男達に絡まれている少女達を助け出すためとはいえ、行き成り不意打ちで飛び蹴りを見舞う人間はそうそういない。殴りかかるとか、物を投げて相手の気を逸らすとかならば思いつきもするが、普通の人間はまず飛び蹴りなんて思い切った攻撃には出られない。いや、戦闘を生業にする者でも、そんな馬鹿げた行動には躊躇するはずだ。
「むむ? ミカヤにノーヴェさん、二人共どうしたんだ? そんな鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をして――――はっ!! まさか!? 俺のあまりにも格好イイ&ナイスゥ~な登場の仕方に、運命を感じちゃったヒロインモードに突入したのか!!」
立ち上がって周囲の――――主に自分を見ているミカヤとノーヴェの視線に少年は気づく。
「「…………」」
「そうかそうか。いや~、参ったね~! 悪漢からヒロインを助けるのがヒーローの宿命とはいえ、二人の少女の心を同時に掴んでしまうなんて、なんて罪な男なんだ……俺!!」
清々しいまでに得意満面な顔で、究極的に唯我独尊な妄言を吐きまくる少年。ミカヤとノーヴェ、二人の視線が加速度的に冷たくなっていくのにもまるで気がついていないようだ。
腕を組んで、「うんうん」と頷いている少年だが、プールの方から聞こえた叫びにそれが途絶える。
「「ざっけんな!! テメェェェッッ!!!」」
残念ながら、水も滴るイイ男にはなれなかったずぶ濡れのナンパ男達がプールから這い出し、血走った目と怒り心頭な表情で少年の方へと向かってくる。
これから起こると予測される荒事に、周りにいた野次馬な人達が一斉に少年の周囲から距離を取る。
ナンパ男達の様子に表情を鋭くしたミカヤとノーヴェだが、そんな少女達の予想外の行動を取る人物が一人。
己の危機的状況を悟ったのか、滅多に見せない真剣な表情を作り、
「ちょっと待て! ひとつだけ言わせてくれっ!!」
強い声で静止を呼びかける少年。
「「なんだ、ごらぁっ!!」」
怒鳴り声を上げながらも寸前のところで停止したナンパ男達。意外と律儀なのか、それとも少年の雰囲気に呑まれたのかは判断に困るところだが。
「今更泣いて謝ったところで、許してもらえると思うなよ!!」
少年の言い訳が終わり次第、すぐにでも殴りかかる準備万端といった風情のナンパ男達は、気炎を吐きながら少年を睨みつけている。
(おいおい、何を言うつもりだよ)
ノーヴェの心配を余処に、殺気立ったナンパ男達を押し留めるように右の手の平を前に向けて差し出し、真剣な顔の少年は、本気で真剣な様子で言った。言いのけた。
「暴力はいけない。話し合いで解決しよう」
………………………………。
沈黙だ。
沈黙が、今この瞬間の周囲一帯を支配し、
そして、
(((((――――おいっ!! さっきお前は普通に飛び蹴りかましてたじゃん!!)))))
ツッコミがその場にいた全員の心の中で盛大に一致した。
「「……ふ、ふざけんじゃねぇぇぇ!!!」」
少年の言葉の意味に一足遅れで理解が及び、激昂の声を揃えて上げたナンパ男達。その目に奥に明確な殺意と呼べる炎を灯しながら、問答無用で少年に向かって拳を放つ。
――――ッ!!
多くの周囲の人々が思わず目を背けたが、次に彼等が視線を戻して見た光景は、大方の予想を大きく裏切るものだった。
「「なっ!?」」
驚愕の声を上げるナンパ男達。
当然だ。彼等がそれぞれ少年に向けて振るった腕が、少年の体に届く前に横から伸ばされた異なる手によって掴み取られ、ビクともしないのだから。
「もう、その辺にしといてくれないかな? 正直、これ以上はただのナンパじゃ済まなくなると思うのだが?」
「そうだな。バカな遣り取りはここまでにしとけ」
左手でナンパ男の片割れの腕を掴んでいるミカヤの忠告の言葉に続き、右手でもう片方のナンパ男の腕を掴んでいるノーヴェも警告を促す。
「く、くそっ! なんだ!? 動かねぇ!?」
「この、ナメてんのかっ!! こんなコケにされて、黙っていられr――――」
蹴擊一閃。
ピクリとも動かない腕に悪戦苦闘しながら、尚も悪態を吐いたナンパ男の一人の顎元に、瞬速で蹴り上げられた左足が皮一枚の距離で寸止めされる。
「言っとくが、あたしはこれでもストライクアーツの有段者だ」
片足立ちでナンパ男の顎に標準を合わした状態で空中に静止している左足を示しながら、ノーヴェは鋭い眼つきでナンパ男達を睨む。
「ついでに言うと、あたしの連れも格闘技経験者だからな。まさか、ナンパした女に抵抗されてコテンパンにのされた奴等――――なんて言われたくないだろう?」
「「ぐぅっっ……」」
ノーヴェの囁く程度の音量で言われた内容に、歯軋りしながら呻っていたナンパ男達だったが、既に彼等の中で結論は下されていた。
「い、行こうぜ」
「……くそっ」
潔く諦めるしか選択肢は存在しないのだ。
周囲の野次馬達の囲みを掻き分けながら、肩を落としてスゴスゴと去っていくナンパ男達。それを見て、どうやらこの騒動も終わりかと集まっていた人達も散開していく。
そして、その成り行きを見届けて、
「悪は去った……」
全てを終えて哀愁を湛えた孤高のヒーローのような台詞を紡ぐ少年が一人。
腕を胸の前で高らかに組み、着ている派手な柄の真っ赤なアロハシャツの裾を微風にはためかせ、幽遠の涯てを見据えるように目を細めて天上を見上げながら少年は呟く。
「お前、なんもしてねぇだろ」
ノーヴェの正直なツッコみは、きっと彼の耳には絶対に届かないのだろう。
色々な種類の疲労感が一気に押し寄せてきたような錯覚に、ノーヴェは思いっきり深い溜息を吐きたい気分だったが、ここで溜息を吐くとなんだか様々なことに負けてしまうような気がするので、取り敢えず我慢することにした。
「それで、どうして君がこんな場所にいるんだい?」
ノーヴェが内心で人知れず葛藤をしている間に、少年に向き直ったミカヤが怪訝な面持ちで問い掛けを行っていた。
ミカヤにしてみれば、知り合いである少年とこの場所でこうやって出会ったことに何かしらの作為を感じたのかもしれない。目の前のバカみたいにカッコつけた少年は、ミカヤの知る限りでは、偶然のような必然と必然のような偶然を状況に応じて平然と装って行動する節があるのだから。
「愚問だな、ミカヤ。正義の味方の登場に疑問を持つなんて、空気の読めなi――――グエッ!!」
『ヤレヤレ』といった風情で頭を振り、尊大な調子で口上を述べていた少年。だが、途中で奇妙な声を上げたのは、流れるような動作で少年の細首を鷲掴みした人物がいたからだ。
「で?」
「だ、だから、水着なんてぶっちゃけ下着と大差ない露出面積のエロ姿や、水に濡れて肌に張り付いた布地とかの持つ得も言えぬ扇情的な姿の女性という素晴らしい素材を見ることで、俺の芸術家としてのイマジネーションとインスピレーションを湧き上がらぁぁぁ――――ゴメン! 嘘です!! 妄言です!! 首を絞めないで!!」
完全に頚動脈を締め上げるくらいに首にめり込んだ指。酸欠で青紫色になりつつある顔の少年は、笑顔で己を絞首刑にしようとしているミカヤに向かって慈悲を乞う声を上げる。
「知り合いの子の付き添いです!! お世話になった人に頼まれたんです!! 孫と一緒にプールに行ってくれって言われたんです!!」
「……初めからそう言えばいいだろう」
生命活動の危機に、必死でプールに来た理由を説明する少年。これ以上の冗談は本気で己の人生に幕引きを齎しかねないと判断したのであろう。
その姿と言葉に嘘がないと判断し、ミカヤは少年の首を己の手から解放する。
(ミカヤちゃん。こいつに関しては、ホント容赦ないな)
その様子を見ていたノーヴェは、どこか達観した思いを抱いていた。この少年と接した機会はほんの数回程度しかないが、既に彼女の中では少年との遣り取りに慣れが生まれつつあったのかもしれない。
喉元を摩りながら荒い呼吸を繰り返し、涙目の少年を見ていても、心配だと思う気持ちがまったく浮かんでこない己の心境に、ノーヴェは多少なりとも危機感を感じたりもしたのだが。
「ミ、ミカヤ。あんまり暴力的だと、いくら美人でも嫁の貰い手がna――――」
「もう一回その首を絞められたいのかい?」
「よっ!! 次元世界一の器量良し!! 誰もが惚れるイイ女!! 引く手数多だぜ、ミカヤなら!! 寧ろ、逆ハーレムだって築けちゃうね!!」
ヒイコラ言っていた状態から、俄に太鼓持ちのゴマスリ男に変身した少年。変わり身の早さは彼の十八番だった。
「もう、いい……」
ミカヤの発した声が、本気で疲れ果てた人間の声だなと傍らで聞いていたノーヴェは思った。先程の自分以上の疲労感がミカヤの全身から負オーラの如く漂い出ているようにも見えた。
無言でミカヤの肩に手を置くノーヴェ。
「……ありがとう、ナカジマちゃん」
ノーヴェの方を向き、力なく礼の言葉を言うミカヤに、ノーヴェはただ静かに頷いて上げることしかできない。悲しいかな、ノーヴェは己の無力さというものをこの時にイヤというほど思い知ったのだ。
「ホントホント。顔も良ければ性格も良し!! 『立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花』を地でいけるね!! その上、腕っ節もある。その年で道場の師範代なだから将来性だってバッチシ!! 正しく『才色兼備』、『仙資玉質』、『解語之花』……いやいや、ミカヤなら、その気になれば、『傾城』どころか『傾国』も可能だと俺は信じてる!!」
対面の少女達の様子などなんのその。
尚も美辞麗句を矢継ぎ早に連ね、寧ろそんな賛辞を言える自分自身に陶酔しているような表情の少年だが、
「――――八重歯ちゃん?」
不意に脈絡のない言葉を発する。
完全にミカヤとノーヴェから注意を逸らし、此処ではない何処かに意識を傾けながら、誰か探すように周囲を見渡す。
「ワリぃ、ミカヤ。一緒に来てる子が俺を探してるみたいだ。飲み物を買いに行くって言って、すぐ戻るつもりだったから一人で置いてきちまったから……そろそろ戻らないと」
どうやら念話で呼び出しをくらったらしい。視線が定まらなかったのは、無意識に相手の姿を探していたからだろう。
「……そうか。だったらさっさと戻り給え。いつまでも一人にしていては心配だ」
少年のバカな口上に対する呆れ顔から一転。状況を知ったミカヤは、少年にすぐに戻ることを促す。
一人で少年の帰りを待っている相手がいると分かったこの状況で、少年をこれ以上自分の元で引き留めることは出来ない。流石にそれは自分勝手過ぎる。
「オーライ、それじゃあ俺は戻るわ」
手を振り、踵を返して立ち去ろうとする少年。だが、
「――――そうだ、ミカヤ」
数歩進んだところで立ち止まって振り返り、少しだけ真面目な顔をミカヤ達に向ける。
「なんだい?」
少年が不可解な行動をすることはいつものことなので、ミカヤの対応はぞんざいだった。いちいち真面目な態度で応じることがもう億劫になっていたのかもしれない。
ミカヤの適当で面倒くさげな反応もどこ吹く風。少年にはなんの障害にもなりえない。
だから、至って真面目な表情のままで少年は、
「その水着――――メッチャ似合ってる!! 久々にミカヤの水着姿を見たけど、随分と成長してて驚いた! 特に……胸とか!!」
躊躇なく叫んだ。
晴れ晴れしいまでにぶっちゃけた。
彼は己の中の漢に忠実だった。
「なっ!!??」
「――――ノーヴェさんも、そのスタイリッシュな水着姿……もう、最高ですっ!! でも、個人的にはもう少し大胆でセクシィ~なタイプの水着でも『超絶オッケーッ!!』な感じです!!」
「き、君は――――」
自分に対する称賛(?)で顔が真っ赤になり、ノーヴェに対する称賛(多分……)で更に顔を真っ赤にしたミカヤ。
「じゃ、そゆことで! アデュ~~~!!」
羞恥と怒りと呆れと(ほんの少しの)喜び等の感情が乱雑に混ざり合い、混乱をきたした思考故に次の言葉が定まらないミカヤを尻目に、己の欲望と少女達に対する賛辞を言うだけ言った少年は、素早くその場から離脱した。
何故か立ち去る時に、「クェ~ケッケッケッケッケッ!!」と怪鳥の鳴き声のような声を上げながら去っていったのは謎以外の何ものでもなかったが。
「…………ホント、いろんな意味でスゲェ奴だな」
思わず呟いたノーヴェの言葉は、嵐のように場を掻き混ぜてさっさと去っていった少年に向けて言ったものなのか、隣で水着の胸元を隠すように両腕を組んで、赤面した顔を俯かせている友人に向けたものだったのか。
「な、何が…胸…だ。……成長し……だって…? 当然…じゃ…いか……」
(ミカヤちゃんをこんな状態に出来るのは、多分あいつくらいだしな)
「それ…に……私は…逆ハ…レム……いらな…い。君が…フラフラ…せず……。そうだ…なんで……私…こんな……悩ん…り……苦労…を………」
完全に己の世界に浸り、愚痴モードに突入したミカヤ。
そんな最近よく見るようになったミカヤの様子を傍らで見ながら、
(それにしても……)
己の着ている水着に視線を落とし、
(もう少し大胆な感じが好みなのか……)
なんとなくそんな考えを浮かべているノーヴェだった。
3話目にして、既にオリ主がなんでもアリになってきてますね……。
それから、作中でオリ主がミカヤ達に叫んでいることは、個人的に一般論だと思います。絶対に!!