最強生物の力を宿した白兎   作:タイルアルゴウ

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九話

謝罪と会計をするために【豊穣の女主人】の中に戻ると、いきなりシルさんが僕に抱き着いてきた。

 

「もう、心配したんですよベルさん!!」

 

そう言って来るシルさんの目尻には涙が溜まっていて今にも零れ落ちそうだった。

 

「すみません。シルさん、この通り僕は何ともないので安心してください。」

 

僕がそう言うと、シルさんは僕から離れるとこう言って来る。

 

「確かにそうですけど・・・・。」

 

そう言って俯くシルさんにどう話しかければいいのか迷っていると、エルフの従業員の人がやって来る。

 

「それでどういった要件でしょうか?」

 

そう聞いてくるエルフの従業員の人に僕はこう言った。

 

「あの、このお店のお会計をと思いまして・・・。」

 

僕がそう言うと、エルフの従業員の人は納得をした表情をしてこう言ってくる。

 

「そうでしたか、それではお会計は5.960ヴァリスになります。」

 

「そうですか、それじゃあこれでお願いします。」

 

代金の額を聞いて僕はヴァリスの入った袋を取り出して代金を支払った。

 

それを終えると、シルさんが僕にこう言って来る。

 

「ベルさん、またのご来店をお待ちしてますね。」

 

「あっ、はい。わかりました。」

 

シルさんの言葉に僕はそう言うと、その後に女将のミアさんの所に向かう。

 

「ミアさん、すみませんでした!!」

 

そう言って頭を下げる僕に対してミアさんはこう言って来る。

 

「今回は見逃してやるが、今度やったらタダじゃ置かないからね。」

 

ギロリと睨み付けてくるミアさんにブルッと身体が震えてしまう僕。

 

何とかお許しを貰った僕は外で待っている神様の元へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ベル君がお店の中に入っていくのを見届けた後、ロキが話しかけてきた。

 

「おい、ドチビ。」

 

「なんだい、ロキ。」

 

ボクへの相変わらずの呼び方に辟易しながら言葉を返すと、ロキはこう言って来る。

 

「あのお前の眷属(こども)の言葉、あれはどういう事や?」

 

ロキのその問いに関してボクはすぐには言葉を返せなかった。

 

そんな事はお構いなしにロキは言葉を続けてくる。

 

「あんな冒険者になりたての子供が言うようなセリフとは思えれへんで。」

 

「そんな事、ボクだって解ってるよ。」

 

ロキの言っていることは正しい、だけどボクにはベル君を止める術がない。

 

だけど、ベル君の中で何かが変わったことは解っていた。

 

ミノタウロスを倒したとあの子から聞かされた時に心臓が止まるかと思った。

 

もし、あの子を失ってしまったらと考えるとそれだけでも怖い。

 

だけど、あの子は冒険者だ。

 

そんな危機的状況に陥るかなど分かる訳がない。

 

だから、ボクは強く言う事が出来ない。

 

でも、この言葉だけは言わせてもらった。

 

『ボクを一人にしないでおくれ。』と。

 

「ドチビ、ちゃんと自分とこの眷属を見とかなアカンで。」

 

そう言って来るロキにボクはこう言った。

 

「大丈夫だよ、ロキ。ベル君はそんなに馬鹿じゃないからね。」

 

「そうか、ほんじゃあな。」

 

そう言ってロキは自分の眷属の待つ本拠(ホーム)にへと帰っていくのだった。

 

すると、それと同時にベル君がボクの所へ戻ってきたのだった。

 

 

 

 

所変わって、摩天楼施設(バベル)の最上階・フレイヤの私室(プライベートルーム)では・・・。

 

「あぁ・・・、いいわ。」

 

美の女神にして最強派閥の一角【フレイヤ・ファミリア】主神・フレイヤは両手で頬に添えてウットリとした表情を浮かべながらある人物を注視している。

 

その人物はベルである、ロキの子供との喧嘩で圧倒的な力を見せつけたベルにフレイヤは心を奪われていた。

 

その様子は側仕えの様に佇む大男、【フレイヤ・ファミリア】首領・オッタル。

 

他の神の子供に意識を向けている主神の姿にも微動出せずに立っている。

 

すると、フレイヤがふと呟いた。

 

「でも、まだ何か(・・)が足りないわね。」

 

ため息交じりにそう言いながら椅子に座るフレイヤ。

 

ここで初めてオッタルが口を開く。

 

「何が足りないのでしょうか、フレイヤ様。」

 

そう言って来るオッタルに対してフレイヤは笑みを浮かべながらこう言って来る。

 

「それは私にも分からないわ。」

 

それを言った後、フレイヤはフゥッと息をつくのだった。

 

 

 

 

 

神様の所へ戻って来ると、あれだけいた人だかりも無くなっていた。

 

「それじゃあ僕達も帰ろうか、ベル君。」

 

「はい、神様。」

 

神様の言葉に僕はそう返事をして本拠(ホーム)へと帰るのだった。

 

本拠に帰ると、僕は神様にこう言った。

 

「神様、【ステイタス】の更新をして貰っても良いですか?」

 

そう言って来る僕に対して神様はこう言って来る。

 

「別に構わないよ、僕も少し気になっていたからね。」

 

そう言って来る神様に対して僕は上着を脱いでいつも【ステイタス】更新している格好になると、その上に神様が乗って来る。

 

そうして、着々と【ステイタス】が更新されていく。

 

それが終わると、神様がこう言って来る。

 

「ベル君、スキルが一つ増えたよ。」

 

そう言って来る神様は【ステイタス】を書き写された羊皮紙を見せてくれた。

 

その書き写されていた更新の結果は・・・。

 

ベル・クラネル

 

Level2

 

力EX 耐久EX 器用EX 敏捷EX 魔力I0

 

百獣S 覇気S 破砕A 耐異常S 拳打A 幸運A

 

この世における最強生物(カイドウ)

・力、耐久、器用、敏捷のアビリティを常時超高補正

最強(おもい)が続く限り効果持続

最強(おもい)の丈により効果向上

 

【覇気】

・三種の覇気を扱う事が出来る。

・武装色:肉体や武器に纏わせて硬度と攻撃力を上げる力

・見聞色:周囲を感知する力

・覇王色:全てを威圧する力

 

【海賊としての矜持(パイレーツ・プライド)】

・自由を求める事で敏捷のアビリティを高補正

 

【一騎打ち(タイマン)】

・一対一での戦闘の際、全アビリティ高補正

 

【百獣の憤怒(ラージ・オブ・ビースト)】

憤怒(いかり)による全アビリティ高補正

憤怒(いかり)が続く限り効果持続

憤怒(いかり)の丈により効果向上

 

羊皮紙に書かれている自分の【ステイタス】を見ていると、神様がこう言って来る。

 

「いいかいベル君、もう今日みたいに誰彼構わずに喧嘩を買ったり売ったりしたら駄目だよ。」

 

「・・・はい。」

 

そう言って来る神様に対して僕はそう言うのだった。

 

 

 

【豊穣の女主人】の一件から一夜が明けて、僕はエイナさんから呼び出しを受けてギルドにやって来ると、何故か個室の面談室に案内された。

 

面談室に入ると、そこにはエイナさんが座って待っていた。

 

僕がエイナさんの正面に座ると、エイナさんがこう言って来る。

 

「ねぇ、ベル君私ね朝凄い話を聞いちゃったんだけど・・・。」

 

そう言って来るエイナさんの表情は笑顔でも目は笑っていなかった。

 

たぶん昨日の【ロキ・ファミリア】の団員との喧嘩の事だとすぐにわかった。

 

「エイナさん、それ僕ですよ。」

 

色々と話の流れをぶった切ってそう言うと、エイナさんがこう言って来る。

 

「そうだよね、この話を聞いて白髪に赤い眼って私の知っている冒険者だと君しかいないからね!!ただでさえ君は特異なスキルを持っているんだよ!!それなのになんでその自覚が薄いの!!」

 

大声をそう言った後、エイナさんは手で顔を覆いながら溜息を吐くと疲れた顔をして続けてこう言って来る。

 

「ベル君、お願いだから私に心配させないでね。それと、極力は面倒事は避けるように!!」

 

そう言いながら迫って来るエイナさんの迫力に押されて僕はこう言った。

 

「ぜ、善処します。」

 

いや、そう言うしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エイナさんとの話を終えた僕はダンジョンに向かう前にアイテムの補充をすることにした。

 

西の目抜き通り(メインストリート)から外れた少し深い路地裏にある【青の薬舗】という【ミアハ・ファミリア】の本拠(ホーム)兼店にやって来た。

 

「こんにちは、アイテムが欲しいんですけど・・・。」

 

僕はそう言いながら店の中に入ると、犬人(シアンスロープ)の女性が奥の方から現れた。

 

「・・・あっ、ベルだ。」

 

「お久しぶりです、ナァーザさん。」

 

ナァーザさんはこの【ミアハ・ファミリア】の団員であり薬師なため、僕はここの回復薬(ポーション)を買っている。

 

「ベル、最近・・・ここに来なかったから・・・何かあったの?」

 

そう聞いてくるナァーザさんに僕はこう言った。

 

「まぁ、色々ありまして・・・。」

 

茶を濁すように言う僕に対して首をかしげるナァーザさん。

 

すると、また店の奥から一人の男性がやってくる。

 

「おぉ、ベル・クラネルか。しばらく顔を見なかったが息災だったか?」

 

僕にそう言って来る神物が【ミアハ・ファミリア】の主神・ミアハ様だ。

 

「はい、ミアハ様達も元気そうで何よりです。」

 

僕がそう言うと、ミアハ様は笑みを浮かべながらこう言って来る。

 

「はっはっは、俺もナァーザも元気にやっているよ。」

 

そう言っているミアハ様に対してナァーザさんはこう言った。

 

「ミアハ様は相変わらずタダ同然で回復薬(ポーション)を渡しちゃうから火の車。」

 

「・・・ははははっ。」

 

ナァーザさんの一言に乾いた笑いをするミアハ様。

 

「何はともあれ元気そうで何よりです。」

 

僕はそう言った後、注文をする。

 

「それじゃあ回復薬(ポーション)を1ダースください。」

 

僕がそう言うと、ミアハ様が驚きながらこう言ってくる。

 

「ベルよ、そんなに回復薬を買うのだな。そんなに気合を入れてどこまで潜るのだ?」

 

「行ける所までにしようと思っているんです。」

 

ミアハ様の問いかけに僕はそう答えているとナァーザさんがケースに入った回復薬1ダースを持ってやって来る。

 

「・・・はい、ベル・・・回復薬1ダースだよ。」

 

そう言いながら僕の前に回復薬を置くナァーザさんに6000ヴァリスの入った麻袋を渡した後、回復薬をバッグパックに入れる。

 

「それじゃあ僕はこれからダンジョンに行ってきますね。」

 

「うむ、怪我の無い様にな。」

 

「気をつけてね。」

 

そう言って来るミアハ様とナァーザさんに僕はこう言った。

 

「はい!!」

 

そう言った後、僕は真っ直ぐにダンジョンにへと向かうのだった。




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