最強生物の力を宿した白兎   作:タイルアルゴウ

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十話

青の薬舗を出た後、ダンジョンに向かった僕はゴライアスを討伐した後すぐに地上に戻った為踏み込まなかった十八階層にへと足を踏み入れた。

 

十八階層 この階層はモンスターが発生しない安全階層(セーフティーポイント)であり水晶と自然に満ち溢れた地下世界で、別名が「迷宮の楽園(アンダーリゾート)」と呼ばれている。

 

その事をエイナさんから聞いていたけど・・・、本当に地下なのに明るいな。

 

そんな事を考えながら階層内を歩いていると階層の東部にある断崖の上に村があるのを見つけた。

 

これもエイナさんから聞いた話だけど、この階層には冒険者達が独自に作り上げた街があるとか。

 

確か街の名前はリヴィラだったかな。

 

今回リヴィラに行く事は無いため、通り過ぎて十九階層に続く階段を下りていく。

 

十九階層は二十四階層まで木肌でできた壁や天井、床は巨大な樹の内部を彷彿とさせていて、燐光の代わりに発光する苔は無秩序に迷宮中で繁茂し、青い光を放っているから視界は開けている。

 

その十九階層の中を歩いていると、バトルボア、バグベアー、ガン・リベラ、リザードマンなどのモンスターが群れとして襲ってきた。

 

だが、こんな群れ(もの)では僕は止まらない。

 

武装色の覇気を纏った拳でバグベアーの頭を砕き、突進してくるバトルボアを蹴り上げ、噛み付いてこようとするガン・リベラに石を投げつけて撃ち落とし、リザードマンの首を掴むと同時にへし折った。

 

その群れを一掃した後、持ってきた巨大な麻袋へと魔石とドロップアイテムを入れていく。

 

魔石とドロップアイテムを回収し終えた僕はまだまだ入る麻袋を持って下の二十階層にへと降りていく。

 

二十階層に降りてくると、僕は見聞色の覇気を使ってモンスターがより多くどこに集まっているのかを調べようとしたその時!!

 

前方から冒険者の一団が慌ただしくこっちにへと向かってきた、というよりはやっとの事で逃げてきたという方が正しいな。

 

そう考えていると、冒険者達は僕の横を通り過ぎていき上の階層にへと昇って行くのを見ながらこう思った。

 

二度目だな、この状況。

 

「グオオオォォォォォォッ!!」

 

そんなことを考えているとその後にやって来たのはバトルボア、バグベアー、ガン・リベラ、リザードマンに加えてグリーンドラゴンが雄叫びをあげながら迫ってきていた。

 

グリーンドラゴン、確か二十四階層に出てくる希少怪物(レアモンスター)だった気がするな。この階層まで上がってくるのは珍しいな。

 

そう思っていると、グリーンドラゴンが口を開いて鋭く巨大な牙を突き立ててくるが、その牙が僕に突き刺さることはなかった。

 

むしろ、僕の身体によって自慢の牙は無残にも砕けたのだった。

 

牙が砕かれたことによって走る激痛に絶叫するグリーンドラゴンをよそに僕は拳を隙だらけのどてっ腹に叩き込む。

 

その瞬間、グリーンドラゴンは近くにいたほかのモンスターたちも巻き込みながら後ろにへと倒れていく。

 

巻き込まれなかったモンスター達がその隙間をすり抜けて襲って来るが、僕はそのモンスターの群れを殲滅するのだった。

 

モンスターの群れを殲滅した後、僕は魔石とドロップアイテムを回収していく。

 

全部回収し終えて持ってきていた麻袋は入る所が無いくらいに膨れ上がっているのを確認すると、地上に向けて歩き始めるのだった。

 

 

 

 

地上に戻ってくるとギルドに行き、集めて来た魔石とドロップアイテムを換金する。

 

換金を終えると、僕は掲示板に張られていたある張り紙が目に入って来た。

 

怪物祭(モンスター・フィリア)?」

 

そう目に入った言葉を呟くと、余計に気になってしまったためエイナさんに聞くことにした。

 

「エイナさん、掲示板に張ってあった怪物祭(モンスター・フィリア)って何なんですか?」

 

「あぁ、この怪物祭(モンスター・フィリア)っていうお祭りはねこのオラリオで数年くらい前から開催されるようになった年に一度のお祭りの一つなの。」

 

「へぇ、そうなんですか。」

 

「【ガネーシャ・ファミリア】が主催で催されるこのお祭りは闘技場を一日借り切ってモンスターを調教(テイム)する所を観客に見せるっていうものなの。本来ならダンジョンに生息しているモンスターは気性が荒くて凶暴なものが多いから調教を行うのは極めて難しい上にそれ以前にモンスターをダンジョン内で捕獲して闘技場まで連れてくることも難儀なんだけど、【ガネーシャ・ファミリア】に所属をしている冒険者達は腕利き揃いであるためこういったことも可能にしているからなの。」

 

僕がそう聞くと、エイナさんはその事について教えてくれた。

 

その話を聞いて僕は少し考え込む、神様と何処かに出かけた事ってなかったな、と。

怪物祭(モンスター・フィリア)か・・・、息抜きには丁度良いかもな。

 

「それは僕もちょっと気になりますね、当日は休息日にして祭りの参加しようと思います。」

 

僕がそう言うと、エイナさんがこう言って来る。

 

「そうだね、いい考えだと思うよ。」

 

「それじゃあエイナさん、ありがとうございました!!」

 

そう考えた僕はエイナさんにお礼を言った後、まっすぐ本拠(ホーム)にへと帰っていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

本拠に戻ってくると、どこかへ出かけようと準備をしている神様がいた。

 

「神様、何処か出かけるんですか?」

 

「あっ、お帰りベル君。そうだよ、今日は【ガネーシャ・ファミリア】で神会(デナトゥス)があるからそれに参加するんだ。」

 

「そうなんですか、気を付けて行って来てくださいね。」

 

そう言って来る神様に対して僕はそう言った。

 

「うん、それじゃあ行って来るね!!」

 

神様はそう言いながら神会にへと出かけて行ったのだった。

 

本拠(ホーム)に残った僕は換金したばかりの金を持って慌ててある場所に向かうのだった。

 

 

 

夜空に月が浮かび、この迷宮都市・オラリオを静かに照らしてくれている。

 

『本日はよく集まってくれたな皆の者!!俺がガネーシャである!!さて、積もる話もあるのだが今年も例年通りに三日後には怪物祭(モンスターフィリア)が行われる!!皆のファミリアにもどうか是非とも・・・・・・・・・・。』

 

今回の神会(デナトゥス)の主催者であるガネーシャが挨拶をしている中、他の神々は思うように行動していた。

 

僕はいつもの服装に上着を着ただけの恰好で、持参したパックにテーブルに並べられている日持ちのしそうな料理を入れていく。

 

「アンタ、あの頃と何にも変わらないわね。」

 

「!?」

 

突然、背後から声をかけられた事に驚いて喉を詰まらせてしまうけど、水を飲んで流し込んだ。

 

「ぷはぁっ、急に驚かさないでくれよヘファイストス!!」

 

後ろを振り向くと、僕が展開にいる時からの神友である鍛冶神ヘファイストスが呆れた表情をしながら立っていた。

 

「まぁ、元気そうで何よりだわ。ヘスティア、アンタもファミリアを持つ事になったんだからちゃんとした振る舞いをしなくちゃダメよ。」

 

「それくらいは僕だって分かってるさ。でも、こればっかりは仕方が無いじゃないか、僕の所は零細ファミリアなんだからさ。」

 

「そんなこと言っても主神であるアンタががそんなんじゃダメなんじゃないの。」

 

「うぐっ!!」

 

ヘファイストスの的確な指摘にボクは呻き声をあげてしまう。

 

「ねぇ、二人だけで話さないで頂戴。一緒に会場を見て回りましょうって言ったじゃない。」 

 

そう言って言いながらヘファイストスの隣から現れたのはオラリオ最強の一角である【フレイヤ・ファミリア】主神のフレイヤだった。

 

「ゲッ、フレイヤ何でここに!?」

 

「あら、ヘスティアお久しぶりね。」

 

ボクの言葉をスルーしたフレイヤはそう言って来て、ヘファイストスがこう続けて来た。

 

「さっき会場の入り口で偶然出会ったのよ、それで一緒に会場を回る事にしたのよ。」

 

ヘファイストスは軽いノリでそう言って来るが己の苦手としているフレイヤが目の前にいるだけではなくて、その美の神(フレイヤ)の美貌に目を奪われた男神達の視線が集中しているため鬱陶しい事この上ないとばかりにボクは顔を顰める。

 

「それにしても、フレイヤが参加してくるなんて何時ぶりかしらね。」

 

「さぁ、そんな事一々覚えていないわ。強いて言うなら気分が乗らなかったって所かしら。」

 

ヘファイストスの問いに葡萄酒(ワイン)を一口踏みながらそう言っているフレイヤ。

 

ボクはフレイヤとヘファイストスの話を聞きながら料理を食べていると、【ガネーシャ・ファミリア】の団員の一人が僕たちのもとにへとやってきてこう言って来る。

 

「神ヘスティア、眷属の方からのお届け物です。」

 

「ベル君から?なんだろう?」

 

その団員は届け物である箱をボクに差し出しながらそう言って来るのに対して、ボクはその箱を受け取る。

 

その事を確認した団員はお辞儀をした後、この場から離れていく。

 

「一体何かしら、開けてみたらどうかしら?」

 

「うん、そうだね。」

 

フレイヤに言われて箱を開けると、そこに入っていたのは淡い水色を基調とした落ち着きのあるドレスだった。

 

「あら、ステキじゃない。」

 

「そうね、ヘスティアさっそく着てきたらどうかしら?」

 

ヘファイストスとフレイヤもこのドレスの事を見て賞賛してくれる。

 

「そ、そうだね、それじゃあ今から着替えてくるよ。」

 

ボクは二人にそう言ってドレスにへと着替えに行くのだった。

 

 

 

僕は神様が出かけた後すぐに仕立て屋に行き、一着のドレスを仕立てて貰うとそのまま【ガネーシャ・ファミリア】の本拠(ホーム)に届けて帰路を歩いている。

 

「神様、喜んでくれたかな?」

 

そう言いながら僕は|本拠にへと歩いて帰っていくのだった。

オリ団員はやっぱり大看板や飛び六胞に近付けた方がいいですか?

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