今回はあの二人のいつもの朝を書いております。
現在の時刻は6時半、俺は今朝食の準備と小町と八幡の昼の弁当を作っている。俺の家族での立ち位置は長男で家事全般できる万能お兄ちゃんだ。因みに金銭管理もしている。要は家族の大黒柱の一角を担っている。だが、俺はこの家族に情などない。なんせ家族である八幡の誕生日を祝わなかなったからだ。両親は小町しか見ていなかった。なんだこのブラコン、と思うかもしれないがどうでもいい、ただ俺は家族の誕生日を祝わない家族なんて家族ではないと思っただけである。そこからは家族イベントなんざ参加した事ない。あるときはバイトだの友達と遊ぶだの言って参加していない。
その時はバイトしてるか、陽乃さんか海奈ちゃんと遊んでいるか、雪ノ下家のイベントに参加しているかだ。あれ?一緒に遊んでいる人、陽乃さんと海奈ちゃんしかいなくない?気のせいだよね、うん、キノセイダー。
では何故俺が家事しているかというとこの先一人暮らしするつもりなので、その為の練習中と言う訳だ。そうしているうちに両親から(特に親父)は便利屋的な扱いになった。ま、どうでもいいけどね。
あー早く一人暮らししたい。その為にバイトをしている。だがここ最近気まぐれで買った宝くじで9桁のお金が当たった(衝撃の事実)。我ながら未だに信じていない。そのお金は先を見通して貯めている。まぁ、自分と八幡と小町の小遣いが千円アップしたくらいだ。これで大学の進学も可能になった。神様ありがとう、マジで感謝します。
「おはよぉー大路兄」
おっと両親からとっても愛されている我が妹の比企谷小町の登場だー。うん、巫山戯るのも大概にしよう。
「おはよう、小町」
「うーん、まだ寝てたいよ」
「だったらおまえが大好きな八幡お兄ちゃんのところで寝てろ」
「りょうかーい、起こしてくるねー」
安定のスルーである。日常茶飯事なので何も思わない。
2階に上がる小町を尻目に朝食に出す味噌汁の味を確認する。
「……ん、よしオッケー」
朝食ができたので配膳して2人が降りてくるのを待つ。
「んー……おはよう、兄貴」
「おはよう、八幡。2人とも席ついて、ご飯食べよう」
「はーい!」
「ん」
この2人のテンションは安定だな。まぁ、俺もそうなんだが。
「それでは……」
「「「いただきます」」」
朝食を食べ始め、八幡と小町は世間話をし始める。俺はその2人の話を聞きながら黙って食べる。俺は食事の時は最低限喋らない。なんかある時は喋るがね。
俺は2人よりも早く食べる終えると食器を台所に持っていき、洗ったら食洗機に入れておく。そこから俺と八幡と小町の弁当の準備を済ませて、テーブルに置いて自分の部屋に戻る。
制服に着替えて陽乃さんから貰った黒紫色の宝石が埋め込まれている指輪を右の薬指にはめる。この指輪は陽乃さんとのペアルックである。なんでもお互いに許しあった者達が付けると幸運が巡るらしい。まるで結婚指輪ですね、なんて言ったら陽乃さんの顔が赤く染まってしまった。あれは失言だった。怒らせてしまったからな。直ぐに謝ったがそれでも罵倒が降り注いだ。比企谷大路の黒歴史に認定した。まぁ、そんな事がありました。この指輪は結構大事にしている。まぁ、指輪二つを自腹で買ったというのもあるが何より陽乃さんとのペアルックだ。寝るとき以外は離さないでいる。学校では校則違反となっているが見過ごされている。それは今でも謎だ。
鏡を見て、服装が崩れていないか確認して荷物を持って部屋から出て玄関に向かう。基本登校は1人で行く。深い意味はない、習慣が付いてるだけ。
「いってきまーす」
「いっらっしゃーい!」
「後でな兄貴」
たく、八幡はいいかげん行ってらっしゃいって言ってくれないな。ま、いつもの事だけど。
ドアを開ける前に毎日の習慣である黒紫色の宝石の指輪に口付けをしながら願う。
今日も俺と陽乃さんに幸福がありますように……
俺はそっと目を開けて薄笑いしながら家のドアを開ける。
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目覚まし時計のアラーム音が聞こえて目を覚ます。私は少し不機嫌になりながら目覚まし時計のボタンを押して五月蝿い雑音を消す。私は朝が嫌いな訳ではないがまるで叩き起されるような起き方は嫌いだ。
「大路が優しく起こしてくれたらどれほどいいだろう……」
は!私は今何を言ってるの!
思わず誰かに聞かれたのではないかと、私以外当然誰もいない自分の部屋を見渡してしまい、顔を真っ赤にしてしまう。
ここ最近、時間があれば大路のことを考えている。
そう私、雪ノ下陽乃は比企谷大路のことを愛している。でもこの想いを大路に伝えたことはない。それに大路は私に恋愛関係の感情を抱いているようには見えない。つまりは私の片思いだ。こんな状態が二年続いている。流石にもう耐えられない。早く彼の隣で人生を共にする関係になりたい。もう両親は彼を迎える了承は取っている。それよりも私が大路と結婚したいと言ったらすんなりと認めてくれた、それよりも早く婿と迎えろと口うるさくしている。両親曰く、『あれほど社会に順応している人間はいないしスペックもかなりのもの。それに陽乃を変えてくれたから彼なら任せられる』だそうだ。その時の私は口が閉じなかった。なんせ両親のことだから断固反対されると思ったからこれ程するなり了承するとは思わなかった。それからは雪ノ下家のイベントは全て出席している。その度にお父さんが大路を口説いている。
おっと昔のことに浸っている場合じゃなかった。
取り敢えず、ベットから立ち上がり大きく伸びをする。肩凝りが酷い。んーやっぱりこれのせいだよね。私は自分のものを見ながら思う。この肩凝りどうすればいいのかなー。あ、大路に肩もみしてもらおうかな!そしたら大路が……って何を考えているんだ私は。煩悩退散煩悩退散。
身支度の済ませて、部屋を出て広間で用意されていた朝食を摂る。んーやっぱり大路のご飯の方がいいなーってまただ。こんなんじゃ私が大路に胃袋を掴まされているようなものじゃないか。まぁ、実際そうなんだけどね。早く料理を上達して大路を越えて、大路の胃袋を掴まなければ。
朝食を済ませて大学に行く為に都築が準備した車に乗る。
「発車します」
都築の声が聞こえて、車が動き出す。
移動中にふと右手の薬指にはめている黒紫色の宝石が埋め込まれている指輪に目を移す。自然と顔が緩む。なんせこれは大路とのペアルック指輪だ。この指輪はお互いに許しあった者達が付けると幸運が巡ってくるという指輪だ。それに加えて宝石の色が黒紫色で前に大路とお互いにイメージの色は何?と聞いたときに紫と答えてくれた。私は彼のイメージカラーは黒だと思ったので大路と一緒に買いに行ったらなんと二つとも大路が買ったのだ。これには驚いた。なんせ二つで何十万という学生では買えない値段だからだ。こういう時に男を見せるのでずるいし、しかも自然に。本当にずるい。しかもそれ以上に顔を赤らめたのは大路の何気なく自然と発した一言だ。
『なんか、結婚指輪みたいですね』
もう顔が真っ赤になったのが自分でも分かった。そしてこの空気を破ったのも大路だった。それも、一番駄目なセリフで。
『す、すいません!変な事を言ってしまい。だからそんなに怒らないでください!』
どうやらあの時に私の顔を見て、怒ったと思ったらしい。
この鈍感な唐変木め。そこからは罵倒の嵐を降り注いでやった。
「ふふ……」
思い出すだけで笑ってしまう。おかしいな、大路と出会う前は思い出し笑いするのはなかった。こうやって笑えるのも大路のおかげ。もう感謝してもし切れないよ。
私は黒紫色の宝石の指輪に口付けしながら、彼を想いながら、深く願う。
……今日も私と大路に幸福がありますように……
……そして、私と大路が生涯を共に出来ますように……
「ふふ、叶うといいですね、陽乃様」
「!、き、聞こえてたの!?」
「ええ、恋する乙女の顔をしながらとても優しい声音で仰っておりましたよ」
「!、///……」
声に出ていたらしい、とても恥ずかしい。
「顔が真っ赤になっておりますよ、陽乃様」
「う、うるさいわよ都築!」
「はい、申し訳ございません。それともう着きましたよ」
「あ、ありがとう都築、ふぅー」
取り敢えず、自分を落ち着かせる。
……よし。
「行ってくるわ、都築」
「はい、行ってらっしゃいませ、陽乃様」
車から出た私は微笑を浮かべながら歩き始める。
千葉の何処で二つの黒紫色の宝石がキラリと輝いていた。
いやー、これで付き合ってないっておかしいですよね、作主もそう思いますww
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次回もお楽しみに!