俺の兄貴は雪ノ下陽乃に似ている   作:鍵穴 光

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はい、連日投稿です。
今回はどうなるのでしょうか?

それではどうぞ



現生徒会長と新入部員

放課後、今日はバイトではないので奉仕部に向かう。さてと、今日はどんな依頼が「大路くーん!」ん、この声は……。

 

「なんだめぐり、なんか用でもあるのか?」

 

「うん、実はね……」

 

彼女は城廻めぐり、同じクラスで現生徒会長である。そう、彼女が俺の戦略で強制的に生徒会長になった人物だ。彼女を選んだ理由は陽乃さんが信頼を置いている少ない人物の1人だ(というか俺とめぐり以外知らない)。俺の考えではめぐり以外が生徒会長になると折角俺が構成した学校が退化すると思ったからだ。まぁ、それでも退化しているが最小限なので気にしない。どうやって生徒会長になって貰ったかというと、成績がプラスになるとか経験になるだのでなってもらった。何故俺がこの役を押し付けたかというとただめんどくさくなっただけだ。異論など認めない。

 

「ねー聞いてるの!大路君!」

 

おっと、そういえば話し掛けられたんだった。

 

「済まない、少し考え事してた、でなんだ?」

 

「うんとね、ちょっと書類整理で量が多くてね、手伝って欲しいんだ」

 

「えー、めんどくさい」

 

マジでめんどくさい、やりたくない。

 

「ちょっと!まさか忘れたなんて言わせないよ!条約のこと!」

 

「あーそういえばそうだな、よしやるか」

 

条約というのは俺がめぐりに生徒会長をやってもらう為に作ったものだ。

 

内容は……

 

1、めぐりが生徒会の仕事関係手伝って欲しいときに手伝うこと。

 

2、学校行事などはサポーターとして必ず手伝うこと。

 

3、めぐりに勉強を教えること。

 

以上、この三つだ。

 

まぁ、妥当な所だろう。この位はしなければならないからな。え、さっき忘れてだろって?そこに関してはノーコメントだ。

 

「うん!ありがとね!」

 

「ま、条約で結んでるしな。でもちょっと待ってくれ雪ノ下に連絡するから」

 

雪ノ下に奉仕部に遅れることをメールで送る。報・連・相は大事だよ、\_(・ω・`)コレ重要!

 

よし、送った。

 

「よし、行こうか」

 

「うん!」

 

 

 

 

 

 

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暫く、俺は生徒会室で書類整理を手伝っていた。こういうのは大抵の人は嫌がるが、早く終わらせてしまえばなんてことはない。というより、陽乃さんに一年の時からやらされていたから慣れた。なんか嫌な慣れだな……よし、終わった。

 

 

「ふー、ざっとこんなもんかな」

 

「え、待って早すぎない?」

 

「こんくらい普通だけど?」

 

「大路君人間業じゃないよ、それ」

 

え、そんなに?ちょっと俺傷ついた。ぐすん。でも、陽乃さんもこんくらいの速さでやってたぞ。うん、あれは人間業じゃない。あれ?俺も同じ位の速さでやってたな、つまり俺も人間業じゃないってことか。ショック。

 

「そーかい、少し貰うぞ」

 

「あ、ありがとー♪」

 

確かに陽乃さんの言う通り天然オーラが凄いな。なに?めぐりんパワー?何それやばそう。

 

「そういえばさ」

 

「ん、なんだ?」

 

手を動かしながらめぐりが質問してくる。それを俺も手を動かしながら応える。

 

「はるさんとはここ最近会ってる?」

 

「んー会ってないかなー」

 

言われてみるとここ一ヶ月は会っていない。まぁ、大学やら家の事で忙しいのだろう。

 

「そうなの?じゃあ会いに行ってね、はるさん多分寂しがってると思うよ?」

 

「は?寂しがってる?」

 

「うん」

 

あの人が?いやないだろう。あの人の事だからひょっこり出てくるぞ。まるで神出鬼没。

 

「はー、大路君は女心を学んだ方がいいよ?」

 

「いやそんなこと言われてもな……」

 

そんなもの男である俺に分かるはずないだろう。分かったらそんな奴神様かオカマ位だぞ。

 

「取り敢えず、陽乃さんに会うこと、いいね?」

 

「わ、分かった」

 

「ふー、こっちは終わったよ。そっちは?」

 

「こっちも終わったよ。じゃあこれでお開きかな?」

 

「そうだね、ありがとね〜♪」

 

「気にすんな、じゃあまた明日」

 

「うんまた明日ね〜♪」

 

別れの挨拶をして懐かしき生徒会室から出る。

 

よし、奉仕部行くか〜。

 

 

 

 

 

 

------------------------------

 

 

 

 

 

さて、俺は今奉仕部の前に居るのだが前に聞いたことがある声がした。確かあの時のお団子ちゃんかな?

 

ドアを開ける。

 

 

「手伝ってくれたし」

 

「……おう」

 

……これはどういう事だ。お団子ちゃんが八幡に包袋を渡している。そしてやっぱりあの時の子だった。とてことは……ああ、そういう事。

 

ふとこの三人の光景を見ていると思う。

 

 

 

 

この三人なら、俺が見てみたかったものを見せてくれるかもしれない。俺が諦めていた八幡の『本物』を、この世界の『本物』を。

 

 

腐った理念を押し通し、自己犠牲をして、相手を守る優しい、八幡。

 

 

完璧超人に見えるが脆い人間で、訳ありの事情を持つ、雪ノ下。

 

 

いかにも高校生らしい、おバカそうに見えて芯がしっかりしている強い子、由比ヶ浜。

 

 

お互いにいい所を持ち、悪い所がある全くもって対象的な三人。

 

 

この三人が『本物』の関係になれたら……

 

 

「ん、兄貴じゃねえか。どうしたそんな所に突っ立って」

 

「あ、ああ済まない。こんにちは雪ノ下、由比ヶ浜ちゃん」

 

「こんにちは、比企谷先輩」

 

「あ、こんにちは、お兄さん」

 

「え、なに?由比ヶ浜と兄貴知り合いなのか?」

 

「え、えっとね……」

 

由比ヶ浜が黙りこくってしまった。ここで俺なら事情を説明するが、この事は本人の口で言うべきであろう。

 

「ああ、とあるきっかけで知り合うようになってね、そうでしょ、由比ヶ浜ちゃん?」

 

「あ、はい!そうなの」

 

「ふーん、そうか」

 

良かった、八幡は怪しがるが、今回は事情は深く探索しない方に転がったようだ。

 

「そういえば由比ヶ浜ちゃん、なんでこんな所に居るのかな?あ、依頼かな?」

 

「おい止めとけ兄貴その話をしたら……」

 

「はい!そうなんです。でもおかげで解決しました!」

 

「そうか、良かったね。2人ともお疲れ様」

 

「ありがとうございます、ではこの話は……」

 

「あ!そういえば依頼で頑張って作ったお菓子が余っているんでお兄さんもどうぞ!」

 

由比ヶ浜ちゃんがそう言って取り出した包袋はとても美味しそうじゃない香りを放っていた。横にいる二人は嫌そうな顔を浮かべていた。あ、そういう事ね、理解。

 

包を開けるとクッキーらしき木炭が見えた。見ただけで食欲が滅入ってしまった。これは一種の才能だな。

 

「……やっぱり不味そうに見えますか?」

 

上目遣いで弱々しくこちらを見ている。あ、これ素でやってるな。

 

「当たり前だろ、流石に自分でも不味いと思ってるのに渡す奴がいるか」

 

「そうよ由比ヶ浜さん、流石にそれは駄目でしょう」

 

「う、そうだよね……」

 

俺はクッキーを手に取り、目の前に持っていき見てから一口で口の中に入れる。

 

「「「あ」」」

 

ガリジョリバリゴリ

 

部室に響く咀嚼音(?)が不味さを物語っているのは四人理解できた。

 

八幡、雪ノ下、由比ヶ浜ちゃんは苦い顔をしている。

 

長い間噛み続けていた俺はようやく喉に通す。

 

取り敢えず一言。

 

「不味い」

 

「う……」

 

由比ヶ浜ちゃんは釘を刺された様な顔をしている。でも、感想は止まらない。

 

「見た目、食感が食べ物という概念を覆していて、食べ物じゃないものを食べている感じがした」

 

「うぐ……」

 

「そして味、不味い以外に何も出てこない、恐らくアンケートでこれを食べてもらい、不味い以外に何かありますかと聞いたら、ないですと全員が答えるレベルだ」

 

「う〜〜……」

 

由比ヶ浜ちゃんがもう泣きそうになっている。

 

「おい、兄貴何もそこまでいう必要性ないだろ、やめてあげろよ」

 

「そうよ、そこまで言う必要性は……」

 

「でも……」

 

「「「?」」」

 

俺が言葉を発すと三人とも耳を傾ける。

 

「想いが篭っている、というのであれば百点満点だ、食べていると作った人の想いがひしひしと伝わってくるよ。そういう気持ちは一番大事だからね」

 

「お兄さん……」

 

これで良いかな、言葉の飴と鞭は得意だからね。

 

「兄貴凄いな……」

 

「まさに言葉の飴と鞭ね」

 

お、雪ノ下は分かるか。あ、あとひとつ言うことが。

 

「それに味は俺からして全然不味くないよ」

 

「「「え」」」

 

あ、ハモった。

 

「何言ってるんだ兄貴あんなリアルな不味さないぞ」

 

「比企谷先輩は味覚がいかれているのかしら?」

 

コラコラそこ。

 

「俺はこれより不味い料理を作ったことがあるぞ?」

 

「あら、貴方は味覚も料理もいかれているのかしら?」

 

おい、敬語使え敬語。

 

「は?兄貴の料理は超美味いぞ、寧ろ三ツ星料理を軽く上回るレベル」

 

「そう、信じられないわね」

 

おい、信じるは兎も角、お前のお姉さんの胃袋はとっくに掴んでるぞ。

 

「まぁ腕前は兎も角、わざと不味い料理作ろうと思って自分が不味いと思う作り方したら自分の中で一番不味かった」

 

「「「それはどれ位?」」」

 

お前ら興味津々じゃねぇかよ。

 

「うーん、食べた時は一口で意識がなくなった」

 

「それやばくね?」

 

うん、ガチでヤバかった。三途の川が見えたもん。てかあそこで手招きしてた人誰?まぁ、知りたくもないけど。

 

「そんなに気になるなら食わせてやろうか?」

 

「「「お断りします」」」

 

「あら残念」

 

まぁ、食いたくはないわな。俺も二度と食いたくないし。

 

「あらもうこんな時間」

 

時計を見ると丁度いい時間だった。

 

「じゃあこれでお開きにしようか、二人は帰っていいよ、俺は少し由比ヶ浜ちゃんとお話しないことがあるから」

 

「了解」

 

「分かりました。由比ヶ浜さんなにかされたら明日言って頂戴、その時はこの男に罰を施すから」

 

「おい、俺はそんな事しないぞ。お前の中では俺はどんな評価なんだよ」

 

「変態部長」

 

「おい」

 

思ったよりも酷い評価だった。まぁ、それは直ぐに改められると思うけどね。

 

「それでは、お疲れ様でした」

 

「そんじゃ」

 

二人はそうして帰っていった。

 

ドアが閉まったのを確認をして、由比ヶ浜ちゃんに向かい合う。

 

「さて、俺が言いたいことは分かるよね?」

 

「はい……」

 

さ、ここからが本題だ。

 

 

 

 

 

 

 

------------------------------

 

 

 

 

「…………こんな感じです」

 

「ふーん、成程ね」

 

話してもらったのはあの一件から由比ヶ浜ちゃんはどんな思いで過ごしていたのかを聞いていた。

 

話を聞いてる限り分かるこの娘の優しさ。この優しさが八幡にどこまで通用するか、それと彼女自身も八幡と仲良くしたいという思いが。楽しみな所もある。

 

「じゃあ最後の質問」

 

「はい」

 

「この部活に入りたい?」

 

彼女が奉仕部に入ればこの三人は変われると思う。俺と陽乃さんみたいに。まぁ、俺の本来の目的は八幡の幸せ、つまり『本物』。

 

 

もし駄目だったら切り捨てるまでだ。

 

 

さあ、どうする?由比ヶ浜結衣。

 

 

 

 

「入りたいです!」

 

「そうか、じゃあ平塚先生から入部届けを貰って書いて提出しといて。できる?」

 

「はい!」

 

「じゃあ今日はもう帰っていいよ」

 

「はい!今日はありがとうございました!さようなら!」

 

「はい、気をつけて帰るんだよ」

 

由比ヶ浜ちゃんはドアを閉めた。それを見届けて俺は椅子に座り直して窓から見える夕陽を見つめる。

 

これで俺の目的が一つ増えた。それは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの三人がどうなるのかを見届ける事だ。

 

「ふふ……」

 

思わず笑が零れる。

 

「これからが楽しみだ」

 

 

 

 

 

 

 

一人奉仕部で静かに呟く。




如何でしたでしょうか?
ようやく物語が動き始めたのでほっとしました。
それでは次回もお楽しみに。

感想、コメント、評価、宜しくお願いします。

【報告】

3作目、出そうと思います。3作目では剣の世界でお会いしましょう。
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