王都から帰って来たカズマ御一行。
落ち着けるかと思いきや騒がしい日々。

これはその毎日のほんの1日。


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pixivに出してた奴を修正したものです。


ウィズ魔導具店の空飛ぶほうき

  お昼前の穏やかな日差しが差し込むこの時間にいつもの来客がやって来た。

 

「やっほーウィズ、遊びにきたわよー」

 

  この店の数少ない常連客こと自称水の女神が来店した。

 

「あ、アクア様、いらっしゃいませ。今お茶を淹れますね」

 

  そう言ってウィズは奥に引っ込んだ。

 

「あれ?いつもの木っ端悪魔は?」

 

  アクアがあらかじめ用意されていた椅子に座りキョロキョロあたりを見回す。

 

「バニルさんなら珍しくあった注文の配達に行っていますよ、なんでも隣町に行くとか言っていましたので帰ってくるのは今日の夕方頃になるかと」

 

 店の奥からウィズの返事が帰ってくる。

 

「へー、本当に珍しいこともあるものね。にしても隣町って馬車だと今日中に帰ってこれないんじゃないの?」

 

  隣町というと、この時間なら昼の馬車になる。片道約半日といった距離なので、着く頃には帰りの馬車がない。

 

「いえ、バニルさんは馬車なんぞ遅いわ!お客様を待たせる訳にはいかん!って言って走って行きましたよ。はいアクア様」

 

  ウィズが淹れた紅茶をもって戻ってきた。

 

「ありがとウィズ、やっぱりここの紅茶は美味しいわ」

 

  屋敷で扱っている茶葉は高級品だが、口に合うかどうかは別問題である。

 

「そういってもらえると嬉しいです。そうだ!アクア様、今日予定は空いていますか?」

 

「今日は特にやることないわねー、カズマはニートの本領発揮してるし。私もクエストやりたくないからしばらくのんびりさせてもらうわ」

 

  最近はなにかとクエストに駆り出されていたので、もうこりごりとばかりにため息をつくアクア。

 

  本人はあまりクエストで活躍はしないのだが、そこは気にしたら負けである。

 

「そうですか、実は新商品が入荷しましたので、アクア様にお試しとして使ってもらおうかと思いまして」

 

  ウィズがそわそわしながら面白そうな話を持ち掛ける。

 遊び心満載な女神様としてはこの話は聞き逃せない。

 

「なになに?また変わった商品仕入れたの?ちょっと私に見せなさいよ」

 

  さっそく興味を示し、どんなものかと催促する。

 

「そこに立て掛けてあるやつです」

 

  アクアの問いかけにウィズが部屋のすみにひっそり立て掛けられているほうきを指差した。

  一見すると、どこにでもありそうなフサフサのほうきだった。

 

「これ?ただのほうきにしか見えないんですけど」

 

  ほうきを手に取りさすってみる。確かに魔力は感じるがなにに使うのかはさっぱりわからない

 

「ふふふ、そのほうきはなんと、持ち主が魔力を注ぐと専用の魔法が発動し、空を飛ぶことができる魔法のほうきなんです!」

 

  ウィズ曰く空飛ぶほうきらしい、確かにそれっぽく、見た目としては合格点だ。

 

「魔法のほうき?へー、すごいわね、空飛ぶほうきなんてアニメの中だけかと思ってたわ」

 

「あにめとやらはわかりませんがとにかくそれをアクア様に使ってほしいんです。私は店番がありますので試すことができないので、せめてアクア様に使ってもらって感想をお聞きできたらなと思いまして」

 

「へー、いいわよ、さっそく屋敷に帰ってあのニート達に自慢してくるわ」

 

  アクアは紅茶を飲み干し、ウィズがそれを片付けに奥へと引っ込もうとして思い出したかのように。

 

「あっ、そのほうきは間違って送られてサンプルにと置いといた失敗作ですので、今新しいのを…」

 

  取ってきますと言おうと振り替えるが、もうその姿はなかった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「ただまー、みてみてカズマー!」

 

  どたどたとほうきをもったアクアが帰って来た。

 

「どうしたアクア、カズマならまだ部屋で寝ているぞ…そのほうきはなんだ?」

 

「なにかの魔道具ですか?結構な魔力を感じますが」

 

  リビングでくつろいでたダクネスとめぐみんが口々に聞いてきた。

 

「聞いて驚きなさい!これはなんと空飛ぶほうきよ!」

 

「「空飛ぶほうき?」」

 

  二人は声をそろえて聞き返してきた。その顔は驚いてるようなまた変な商売にでも引っ掛かったのかと呆れたような顔だった。

 

「なんだなんだ朝から騒々しい」

 

  と、騒ぎを聞き付けたカズマが部屋から出てきた。

 

「もうお昼なんですけど。それよりみてよこれ!なんと空飛ぶほうきよ!カズマならこれの凄さがわかるんじゃないかしら」

 

  日本出身のカズマならわかるだろうと、同意を求めてアクアが尋ねる。

 

「へー、空飛ぶほうきか。まるでアニメみたいだな…で、どこから拾ってきたんだ」

 

  空飛ぶほうきについての同意は貰えたが、アクアが持っているということで、その存在については認めていないらしい。

 

  …過去の経歴を見れば仕方ないかもしれないが。

 

「カズマは私をなんだと思ってるの?ちゃんと借りてきたのよ、さっきウィズの店に遊びにいったら貸してくれるって」

 

「ウィズの店のものか…それなら効果は本物だろうけど、なにか欠点があるんじゃないか」

 

  今日も今日とてカズマさんは疑い深い。

  それもそのはず、欠陥がない商品が一つもないと評判の店から、欠陥だらけの芸を司る女神が持ってきたのだ。これが当たり前の反応だろう。

 

「ちょっとあなた最近ウィズに対して厳しくない?私はなにも欠点なんてきいてないわよ」

 

  一番厳しく対応しているのは女神のほうなのだが、それを知るよしもない本人は能天気にほうきを手で弄ぶ。

 

「お前のことだからどうせ話も聞かずにきたんじゃないのか?」

 

  ふいっとアクアがそっぽを向く。これでは肯定してるも同然だ。

 

「それで、そのほうきはどうやったら使うことができるのですか?」

 

  興味を示しためぐみんがほうきを間近で眺めながら聞いてきた。

  魔力を扱うめぐみんはそれを魔導具だと見抜いているので、性能が気になったのだろう。

 

「簡単よ、これにまたいで魔力を注ぐだけ。さっそく使って見ましょうよ」

 

  忙しないアクアがほうきをもって庭に駆け出す。

 

「なんだか私が空気なのだが」

 

  ダクネスがポツリと言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

  アクアにせかされるがまま皆が庭に出た。当人は芝生の真ん中付近に陣取り。

 

「さあ、ほうきよ、飛びなさい!」

 

  ほうきに股がりながらそうアクアが叫び魔力を注ぐと。

 

 フワッ…

 

  なんと勢いよくほうきが飛んだではありませんか。

 

 

 

 

 

  …真上に

 

 

 

「ぎゃああああああああ」

 

 

 

  空高く打ち上げられたアクアの悲鳴を聞きながら。

 

「…さて、戻るか」

 

「そうしましょう、もうそろそろお昼ですし」

 

「今日の料理当番は私だったな。皆はなにか食べたいのはあるか?」

 

「俺今日はこってりがいい」

 

「私はなんでもいいですよ。ダクネスに任せます」

 

「ふむ、なら焼き肉にでもしようか」

 

「いいな焼き肉、ちょうどいいしあの流れ星になったあいつをBBQしながら待つか」

 

  お昼が決まった所で今日の料理当番のダクネスが買い出しに出掛けて、カズマとめぐみんで庭にBBQの準備をし始める。

  すると門の外からなにやら見慣れた人物がやって来た。

 

「あ、カズマさーん」

 

  ウィズがほうきを片手に持ち、手を振りながら走っている。

 

「どうしたんだウィズ、ほうきなんて持ってきて」

 

「そ、それがアクア様に先ほどお貸ししたほうきなのですが、間違えて展示品の失敗作を持っていってしまいまして、代わりの物をと…ところでアクア様は今どちらに?」

 

「アクアなら今さっき流れ星になったよ」

 

  カズマがアクアの飛んでいった空を指差して。

 

「そんな、ど、どうしましょう。アクア様に怪我でもあったら…」

 

  ウィズがフルフルと震えながらうろたえだす。

 

「大丈夫だよウィズ。あいつの自業自得さ」

 

「で、ですが…」

 

「そもそもアクアはどうせ空飛ぶほうきと聞いて説明もろくに聞かずに出ていったのでしょう。ならあなたが気に病むことはありませんよ。実際に飛びましたし」

 

  めぐみんがお皿を用意しながらなんでもなさげに。

 

「み、皆さんずいぶんと冷静ですね。アクア様が心配ではないのですか?」

 

「といってもあいつはそうそう死にそうにないし、もうしばらくしたら落ちてくるだろ」

 

  仮にも女神である、その耐久力は伊達じゃない。

 

「あ、噂をしていたら落ちてきましたよ」

 

  めぐみんが見上げる空の遥か上空に小さい点が見えた。

 

  カズマが千里眼のスキルでそれを確認すると…。

 

「羽衣をパラシュート代わりにして降りてきてるな、凄い涙目だけど。あの様子ならすぐに降りてくるだろ」

 

「…アクアはほうきを持っているのですか?」

 

  めぐみんの言葉にアクアを観察してみると…。

 

「あいつ持ってないな、どこかに落としやがった。人に当たらないといいんだが…」

 

  すると屋敷の門から買い物袋を下げて帰って来たダクネスが。

 

「あ、ウィズ、こんな所にどうしたのだ、なにかよう「ドスッ」」

 

  ウィズに声を掛けていたダクネスに落ちてきたほうきが直撃した。

 

「「「ダクネス!?」」さん!?」

 

  3人は声を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

「ヒールッ!」

 

  声とともにダクネスの体が淡く光る。

 

「ふう、危ないところだったけどもう大丈夫よ。まったく迷惑掛けないでよねダクネス」

 

  回復魔法を掛けたアクアが手をパンパンと払う。

 

「いや、今回は10あるうちの10お前が悪いんだからな。お前があの変なほうきを使ったりしなければこうしてダクネスが気絶してることはなかったんだから」

 

  あの超上空から落ちてきたほうきに当たって気絶で済んでるダクネスの耐久も大概だと思うが。

 

「仕方ないじゃないの!もとはといえば欠陥品のほうきを私に貸したウィズがいけないのよ!」

 

  開き直ったアクアは日頃遊びに行っているウィズに罪を擦り付けようとしてきた。

 

「そ、そうです。今回は私がいけなかったんです。アクア様に間違えて失敗作を渡してしまった私の責任です…」

 

  真に受けたウィズが謝りながらペコペコ頭を下げてくる。

 

「いや、ウィズは謝らなくていい、どうせこの自称女神が説明も聞かずに借りていったんだろ」

 

「また私のこと自称女神って言った!そろそろバチの一つも当てるわよこのクソニート!」

 

「やるか?トイレ掃除ぐらいしか能がない穀潰しが!」

 

「なんですってー!」

 

  いつものいがみ合いが始まった。

 

「まあまあ、ダクネスは気絶しましたがみんな無事だったのですしいいじゃありませんか」

 

  めぐみんが憤る二人をなだめるように優しく声を掛ける。

 

「めぐみんの言うとおりよ!気絶したダクネスだって私が傷を治してあげたんだしいいじゃないの!」

 

「めぐみんが言うから今回は許してやるがダクネスにはちゃんと謝っとけよ、今回一番の被害者はダクネスなんだから」

 

「わかってるわよ…そうだウィズ、その手に持ってるのはちゃんとしたやつ?なら貸して、またやるから」

 

  アクアがウィズの手に持つほうきをくれと言わんばかりに手招きをした。ついさっき遥か上空にまで飛ばされたと言うのに懲りていないらしい。

 

「あ、はい、どうぞアクア様。これはちゃんとしたものですので」

 

  ウィズが持っていたほうきをアクアに渡す。

 

「あ、あとそのほうきは使うときに…」

 

「さあほうきよ!飛びなさい!」

 

  ウィズの説明を聞く前にアクアがほうきに魔力を注いだ。

  今度は真っ直ぐ前に向けてほうきが飛ぶ。

 

 

 

  …込める魔力が多過ぎたのか超スピードで

 

「ふあああああああああ」

 

「アクア様ー!」

 

  アクアがウィズの悲鳴とともに屋敷の外壁に突っ込んだ。

 

 

 

 

 

 

「グスッ…ヒグッ……」

 

  大した傷はないものの、頭から突っ込んだアクアは先ほどから泣きじゃくっていた。

 

「アクア、人の話はちゃんと聞かないとだめですよ?」

 

  めぐみんがアクアの頭をヨシヨシしながら説教をする。その姿はまるで子供をあやす母親のようだ。

 

「アクア様、すみません、私の説明が遅れてしまいました。この魔道具は魔力の注入量によりスピードの調整ができるのですが、なにぶんその調整が難しいものでして…」

 

  ウィズが申し訳なさそうに説明をはじめる。

 

「む…ここは……なにがあったのだ?」

 

  今まで横になっていたダクネスがめを覚ました。

 

「あ、ダクネスが目を覚ましました」

 

「お、やっと起きたか。実はな…」

 

  ダクネスに今の状況を説明する。ちなみにアクアには土下座をさせている。

 

「…なるほど、よくわかった、事故みたいなものだろう、私は気にしてないからアクアは顔を上げてくれ」

 

  ダクネスが声を掛けるがアクアは顔を下に向けたままだ。

 

「どうしました?アクア…って…」

 

  アクアの側に行っためぐみんがなにかに気がついたようだ。

  なにがあったのだとカズマも近より。

 

「お前人に頭下げてるときに寝てんじゃねええええ!」

 

  泣き疲れて寝ていた思いっきりアクアに殴りかかった。

 

 

 

 

 

 

 

「グスッ…ごめんなさい、ごめんなさい。こんな駄女神が調子のってでごめんなさい…」

 

  少々制裁が強すぎたのかアクアが庭の隅っこで体育座りをして謝り続けていた。

 

「…少しやり過ぎたのではないですか?」

 

  めぐみんがアクアを気にするように言ってくる。

 

「…ちょっとやり過ぎたかな、まあ飯でも食べたら治るだろう」

 

「あの…できれば今度アクアにしたように私にも説教プレイを…」

 

  気絶から治ったばかりのダクネスがもじもじしながら頼んでくる。

 

「たのむから黙っていてくれ…おーいアクア、BBQするぞー、早く来ないと肉なくなるぞー」

 

  その言葉を聞いたアクアがビクッと反応しておずおずとこちらに歩いてくる。どうやら肉は食いたいがカズマに怯えているようだ。

 

「…俺もやり過ぎたよ、謝るから早くこっちにこい」

 

  それを聞いたとたんアクアがパアッと顔を明るくして。

 

「一番いい肉は私がもらうわよ!」

 

  いつものアクアに戻っていた。

 

 

「…あれは……」

 

「ん?どうしためぐみん、なにかあったか?」

 

  めぐみんが門の方に視線を寄せる。

 

「いえ、あそこに万年ぼっちがいたような気がしまして」

 

  めぐみんが指を指した先にはこちらの挙動に気づいたのかサッと隠れるゆんゆんの姿が。

 

「かわいそうだからその表現はやめてやれよ…せっかくだしゆんゆんも誘おうぜ。おーいゆんゆんもこっちこいよー!」

 

  声を掛けられてようやく顔を出したゆんゆんがこちらに歩いてきた。

 

「え、いいんですか?突然やってきて人様のお昼御飯にお邪魔させてもらっても…?」

 

  全然家を訪ねてきても良いのに。なかなか人の家に訪ねられないのはコミュ障の特徴でもあるが、一歩間違えればストーカーである。

 

「いいよ全然、むしろ人が多い方がいいからな。ほら、ゆんゆんの分の皿」

 

  差し出された皿を受け取ったゆんゆんがちょっと泣きそうな顔になり。

 

「有難うございます…私…こんなパーティーみたいなのに参加したことなくて…誘われても空気を悪くしたら嫌だなって一度もこんなことをしたことがなかったんです…」

 

「やめてくれ、なんか目から汗がでてきた」

 

  目頭があつくなり押さえているとめぐみんがきつい質問を。

 

「ところで、ゆんゆんはあんなところでなにをしていたのですか?」

 

  …そこには触れてやるなよ。

 

「え、えっと、それは…そ、そう!さっきこの近くを散歩してたらアクアさんの悲鳴を聞いたような気がしたから、気になって様子を見にきたの!」

 

  いい言い訳を思い付いたとばかりにゆんゆんが理由を話す。

 

「なるほど、なら問題は解決したので帰っていいですよ」

 

「ええっ!」

 

  めぐみんの辛辣な一言にゆんゆんが驚愕の声を上げた。

 

「そんな意地悪するなよ、ほら、ウィズもゆんゆんも一緒にBBQしようぜ」

 

「え、私もいいんですか?ですが店番が…」

 

「いいじゃない、どうせ客なんて来ないわよ、せっかくだし食べていきなさい」

 

  焼けた肉を片っ端から取っていたアクアの言葉に。

 

「アクア様…そうですね、お客さんも来ませんし、お言葉に甘えていただかせてもらいます!」

 

  こうして真っ昼間から騒がしいパーティーが始まった。

 

 

 

 

 

 

「よ、花鳥風月!」

 

  取り出した扇子から水を出し芸術を描き出す。

 

「おおアクア、今日のはいつもより気合い入ってるな」

 

「そうですね、いつもより水量が多い気がします」

 

  それはまるで鳥のような形をしてやがて羽をばたつかせるような動きをすると…。

 

「ちょ、なんで本当に飛んでるんだよ!」

 

  そのまま飛んでいってしまった。

 

「す、凄いですねアクア様、魔導を極めたと思っていた私ですがあれはとても真似できません」

 

「す、すごい…いったいなんであんなことが…」

 

  魔法に特化したウィズとゆんゆんが称賛の声を上げるが。

 

「うわ、アクア!コンロに水が掛かって火が消えちまったじゃねえか!」

 

  でかい水の鳥が通ったせいで焼いていた肉もろとも水浸しになってしまった。

 

「あーあ…せっかく焼いたお肉が濡れてしまいましたね」

 

  これではコンロを乾かさなくてはいけない。

 

「…てへ☆」

 

「てへ☆じゃなーい!!」

 

  悪びれもなく言うアクアをカズマが追いかけ回す。

 

「まあいいではないか、まだまだ肉はあるのだから、コンロだって乾かしてまた火をつければ良いだろう?」

 

  逃げるアクアを追いかけていた所にダクネスが割って入る。

 

「たく、しょうがねえな。アクアもコンロを乾かすの手伝えよ」

 

「はーい」

 

「あの、ところでそこにあるほうきはなんですか?なかなかの魔力を感じますけど」

 

  ゆんゆんが今回の騒動の発端に興味を示した。

 

「あれは空飛ぶ魔道具らしいですよ、試しに使ってみてはどうですか?」

 

「え、いいの?」

 

  ゆんゆんが期待に満ちた顔でめぐみんに聞く。

 

「持ち主はウィズですからそっちに聞いてください」

 

「それを使うのは構わないんですが、魔力の制御が上手くないと使えないのであまりオススメはしませんよ?」

 

「つまりこの魔道具を上手く扱えたら一流の魔法使いを名乗ってもいいわけね、よし、やってみます!」

 

  ゆんゆんが意気揚々とほうきにまたいで魔力を注ぐ。

 

 フワッ

 

  魔力を注がれたほうきはゆんゆんを乗せ数十センチフワリと浮いた。

 

「わ、本当に飛んだ!」

 

  徐々に上へ上へと高度を上げていく。

 

「本当に飛びましたね…」

 

「なんで仕入れた本人が驚いてるんだよ、もっと自分の商品に自信持てよ…」

 

  もうちょっとで2メートル位の高さまで来たところで。

 

「ちょ、ゆんゆんそれ以上は見えてはいけないものが見えます!カズマがここぞとばかりに見てますから早く降りてください!」

 

  立ち位置的にもう少しでカズマから見えそうな高さになる。なにがとはいわんが。

 

「みみみ、見てねーし!?本当にほうきが飛んだことに感動して観察してただけだし!?別にやましいことなんてさらさらないからな!」

 

  図星ここにありといわんばかりにカズマが動揺しながら言い訳をする。

 

「え、きゃあああカズマさんの変態!」

 

  やっと事態に気づいたゆんゆんが顔を真っ赤にして降りてきた。

 

「あっ、もうちょっとだったのに…」

 

「カズマさああああああん!」

 

  顔真っ赤のゆんゆんがカズマに襲いかかった。

 

「まったく、カズマは相変わらずだな」

 

  ダクネスがしみじみと呟いた。その顔にはなんだか羨ましそうに見えるが、きっと気のせいだろう。

 

「まったくですね、あそこまでのセクハラには逆に感心してしまいますよ」

 

「巷でクズマと言われるだけあるわね」

 

「おい今の聞こえてるからな、あとで覚えておけよ!」

 

  ゆんゆんから逃げながらカズマが言う。

 

「そっちこそ、さっき自称女神って言ったのまだ許してないんだからね!ごめんなさいしないとここにあるお肉全部食べちゃうんだから」

 

「おい、それはずるいぞお前…てかゆんゆんさんまじ許してください!謝りますから!」

 

「おや、なんだか楽しそうだね、私も混ぜてよ!」

 

  騒ぎを聞き付けたのかクリスがやってきた。

 

「お、なんだお前ら宴か!?この俺様を入れないとはいい度胸してるじゃねえか!今他のやつらも呼んでくるから待ってろよ!」

 

  チンピラことダストまでこの騒ぎにつられたらしい。

 

「む、店をほっといてどこほっつき歩いてるのかと思えばこんなところにいたのか欠陥店主よ」

 

  配達から帰ってきたのか、お金らしきものの入った袋を担いだバニルまでやって来た。

 

「なんだか宴の匂いがしたからやってきたらめぐみんちゃんじゃないの、セシリーお姉ちゃんも参加させてちょうだい!」

 

  いつもふらふらしてるセシリーもやってきた。

 

  とここでようやくゆんゆんから解放されたカズマが。

 

「なんだか人が増えちまったな…まあ集まったもんはしょうがない。さあ皆。宴だあああ!」

 

 

 

「「「おーーー!」」」

 

 

 

 

 

 こうして一風変わったのほうきによって昼間から騒がしい宴が始まった。

 

 

 

 

 


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