が、すみません。今回はあこちゃん回です。
__________
燐子side
_____
私がポカンとしている間に、二人は話を続ける。
「黒薔薇姫よ!ただカッコいいものを見ているだけでいいのか!」
「そ、それは、、、」
「その思い、本人に直接伝えたくはないか?」
「つ、伝えたい!」
スポ魂漫画のような、強い口調で訴えかけるパピヨンこと翼さん。
「ならば!伝えるが良い!ライブハウスの出入り口で待てば、必ず現れるであろう!では、さらば!」
「あっ……」
私は、カッコつけて走り去る翼さんを、ポカンとした目で見ることしかできなかった、、、
その後、あこちゃんと一緒にライブハウスの入り口で張り込む。
すると、友希那さんともう一人……紗夜さんが一緒に出てきた。
二人はバンドを組むメンバーを探していた。
そのことを知ったあこちゃんは、憧れの友希那さんとドラムが組みたいと言ったものの、すぐに断られてしまった、、、
__________
あこside
_____
お願いは、頭ごなしに断られてしまった。
……正直、悔しい。だから、もう一回。日を改めて、お願いを。
このことを、りんりんに話そう。とも思ったけど。それは、やめておいた。
何だか戸惑っているように見えた。というのもあるけど……
もし、続けて友希那さんにお願いしに行こうとしたら。
りんりんは「迷惑だから」といって、止めるだろうと思ったからだ。
と、なると相談できるのは、、、あ、そうだ。パピヨンに相談してみよっ!
すぐにパピヨンに連絡をとった。
『パピヨン、、、私、直接友希那さんに会えたよ』
『そうか。それは良かったな』
うーん、もうちょい興味持ってほしいな。
『でね、そこで聞いたんだけどさ。友希那さん、バンドメンバーを探してるみたいなの!』
『ほう。……たしか、黒薔薇姫はドラムが叩けたな』
お、食いついたかな?まー、そりゃそうだよ!友希那さんがバンドメンバーさがしてるなんていくらパピヨンでも知らないよね!
『うん!それで、友希那さんに直接お願いしたんだけど、、、断られちゃって』
なかなか返答が返ってこなかった。十分たっても返答が返ってこなかったので、おーいと送ろうとしたところで、ずっと待っていた返答が返ってきた。
…けど、その返答に驚いた。
『__だからといって、諦める気か?』
『……え?』
『私からしたら、それはチャンスだろう。紛れもなく、黒薔薇姫のためのチャンスだ。ここで、もし黒薔薇姫以外のドラマーが選ばれたら、、、黒薔薇姫は悲しいだろう?それに、憧れの友希那さんと一緒にバンドがしたいのではないか?』
『うん…私、友希那さんと一緒にバンドがしたい。パピヨン、どうすればいいかな?』
私には、それがわからなかった。もちろんバンドがしたいし、憧れの友希那さんと一緒にいられるし、何より友希那さんの力になりたい。
『なに、諦めなければ必ず転機は訪れる。ただ、ドラムを叩く努力は怠るなよ、黒薔薇姫。』
『えーと、つまり、、、?』
『つまりだな、諦めずに直接会ってまたお願いをするのだよ。ただ、もし。ダメだったとしても、毎日ドラムの練習は怠るな!友希那に見合う実力をつけろ!』
そ、そっか!あこの実力を友希那さんに見合うくらいにしないと、友希那さんの足引っ張っちゃう!
『な、なるほど、、、!たしかに、バンド組めたとしても、友希那さんの足引っ張るの嫌だもん!私、頑張るよ!パピヨン!』
『……ふっ。そういうと思って、だな。実はそちらに練習用の譜面を幾つか送ってある。
__妥協はするなよ。あとは黒薔薇姫の努力次第だ。』
『うんっ!よーし。あこ、頑張るぞー!!』
『あぁ、頑張れよ』
うーんと、そのために何をしようかな…
「さてと、まずはドラムを出そう。えっと、どこにあったかな、、、お姉ちゃんなら、しってるかも!」
ドラムのことを聞くためにお姉ちゃんを探す。が、お姉ちゃんの部屋にはいなかった。
お姉ちゃん、既に家に帰ってきてたから、家のどこかにはいるはず。家中を探し回ってみると、お姉ちゃんは玄関にいた。
「お姉ちゃん、どうしたの?」
「あぁ、あこ。実は、怪しい封筒がウチのポストに入っててな」
「ん?どれどれ?」
「これなんだけどさ……」
そういって、お姉ちゃんが差し出したのは、黒に薔薇の模様が描かれたすごくカッコいい封筒だった。
裏返してみてみると、そこに、白い文字で『To the princess of black roses.』と書かれていた。
「お姉ちゃん、この英語なんて読むの?」
「んーと、『黒い薔薇のお姫様へ』って意味じゃないかな。黒い薔薇のお姫様なんて、家にはいないんだけど」
黒い薔薇のお姫様…黒薔薇姫?
「……あ、それ多分あこのことだよ。開けてもいい?」
「えっ」
ぽかんとしているお姉ちゃんから封筒をとる。
あけると、お姉ちゃんが使っているようなドラムの楽譜が色々入っていた。
「これ、
「……お姉ちゃん、私、頑張って練習してくる!」
「えっ、あこ!?」
憧れの友希那さんとバンドをするために。
あこ、頑張るよ!
「とは言っても、あこ、楽譜読めないんだよね、、、
りんりんに、いつものお願いしよー」
**********
それから数日後
*****
頭ごなしに断られるのが二回も続いた、、、
それでも、ドラムの練習はひたすら完璧になるように頑張っている。友希那さんに迷惑かけたくないもん!
送られたときには新品だった
もっと、もっとだ!
友希那さんに追いつくため、そして友希那さんの役に立ちたいから。私はひたすら、練習に練習を重ねていた。
不意に、携帯の着信が入る。
「あれっ、えーと、、、りんりん!?」
りんりんからだった。気がつけば、もう、夜も遅い。
こんな時間にりんりんが連絡をいれるのは珍しいなぁ。
『もしもし、りんりん?どうしたの?』
『え、あの……最近、見かけないから、心配で…』
『あ、そういえばログインしてなかった!!』
すっかり忘れてた。。。
うぅ、まぁでもしかたない。これも友希那さんとバンドするため!
『そういえば、パピヨンから聞いたよ。あこちゃん、友希那さんとバンドするために、すごく練習してるって』
『うん!だけど、全然認めてもらえなくて、、、』
『うーん…言葉だけじゃ、ダメなのかもね』
『じゃあ、どうしたらいいんだろ?』
『あこちゃんや私が、友希那さんを好きになったみたいに、、、音で伝えたら、いいんじゃないかな?』
音、で、、、?
『友希那さんの歌声を聞いたとき、すごく感動した。でも、その感動って、なかなか言葉にはしづらいよね。きっと、バンドってそういうものなんだよ。』
「……な、なるほど。なんか、わかった……かも!」
それにしても、りんりん本当に打つの早いなぁ
「明日……また、やってみよう」
りんりんとのチャットを閉じてため息をつく。すると、ガチャっと玄関が開く音がした。
「お、ただいまー……って、あこ」
「あ、お姉ちゃん、おかえりー!」
お姉ちゃんが、帰ってきたみたいだ。
「その顔、今日も不発だったみたいだな。『あこだけのカッコイイ人とバンドやる作戦』は」
「うん、そうなんだ。特に、ギターの紗夜……さんがすっごい防御力なんだけど、認めてもらえるまで頑張るんだ!」
「お、そうかそうか。頑張れよ」
わ、お姉ちゃんが頭なでてくれた!
……お姉ちゃんの手。あったかくて大きくて、気持ちいいなぁ
「……ん?紗夜さん?もしかして、湊さんとバンド組んだっていう紗夜さんのことか?」
「え、お姉ちゃん知り合いなの!?」
「紗夜さんじゃなくて、湊さんの方だけどな。湊さんはウチの学校の高等部だからよく校内ですれ違うよ。
あこのカッコイイ人って、湊さんか」
「そうなの!ライブで見たときにビビビッてきてね!すごくカッコイイんだ!」
あぁ、思い出しただけで鳥肌が立つよ!
……これが、音の力なのかな?
もし、私が鳥肌の立つような音を出せたら友希那さんにも認めてもらえるかも!
「湊さん、なぁ。手強いだろうけど応援してるよ。
そういえば、知ってるか?湊さんはウチのダンス部のリサさんの親友だ」
「……ええーーっ!!!」
リサ姉は、私が所属するダンス部の先輩。すごく気が利く人で、あこもよくお世話になる。
そんなリサ姉はよく親友の話をしていたけど、、、
まさか、その親友が友希那さんだ。なんて、夢にも思わなかった。
「……よし!友希那さんとバンド組むためにも、練習頑張るぞー!」
その夜、ひたすら練習した。
次の日に友希那さんに会って、バンドにいれてもらうために。
__あこの本気を、音で伝えるために。
次回こそ、次回こそは友希那を、、、