外伝~2~永い後日談のクトゥロニカ神話『一途な彼等』 作:カロライナ
「いい加減にしろよ!?!! 情報を話したら修復するって約束だろうが!!!」
「あぁ、だから今ラッキー達にお前の
先ほどまでラッキーを治療していた
「あったあった」
爆雷は1つの戸棚の中に上半身を突っ込み、奥に仕舞われていたものを取り出す。それは銀色のガムテープのような物。ダクトテープであった。切り口を丁寧に剥がし、粘着力を確認する。壁に貼られたダクトテープはその効果をありありと爆雷に見せつけた。
「よぉし」
「こっちはよくねぇよ!!! 反逆者共に命令したってんなら早く持って来させろ!! そしてさっさとオレ様を修復―――」
「お前、うるせぇ。黙ってろ」
爆雷は背後で罵詈雑言を飛ばし続けているドッグテイマーに対し向き直り、適当な長さまで切ったダクトテープの切れ端を手に取り接近する。そのままよく動く口へとペタリと張り付けた。
「むぐっ!?!?」
「だから約束は守るつってんだろ? 何もできねぇ癖にギャーギャー吼えるのも大概にしろよ?」
「むぐぐーっ!! ふーっ! ふーっ! ふーっ!!」
ドッグテイマーの口をダクトテープで塞いだ後、爆雷は彼女へ頭突きしかねない勢いで額と額をゼロ距離まで近づける。そして彼女と目線が合うように調節するとガスマスク越しに鋭い視線で睨み付けた。
「よし、鼻息は荒いまんまだが さっきよりは可愛げがあるようにはなったな」
「ふーっ!!!」
「まぁまぁまぁ、お前を修復する前に話そうと思っていることが2点ほどあってよ。ちょっとばかし話に付き合ってくれよ」
彼女が大人しくなったところを見計らい ゼロ距離まで近づけていた顔を引き離し、先ほどのドスが聞いた声色とは比べ物にならないほどの明るい声で爆雷は話しかけ始めた。今にも飛び付き喉元を嚙み千切らんとするほどに、彼女の睨みも鬼気に迫るものがあるが気にした様子をみせることもなかった。
「まず1点目だ。出会った直後に喧嘩を売っちまって悪かったな。直前にあった事もあって俺もイライラしててよ…お前の口の聞き方でぷっつりキレちまってさ、大人げなかったよな。すまん」
「ふーっ」
「いくら修復できるからって、許してくれとは言えねぇしな…さて、2点目だ。…今、冷静になって考えたんだが、犬をアンデット化し ある程度命令に従順にしてからの対戦車犬化。見事な戦術だと思う。お前が話してくれたアンデットはコストパフォーマンスとして最も安価だ。死体であるならば「人権の尊重」や、「人道」に縛られることもない。火葬するにしろ土葬するにしろ、所詮それは死体。肉の塊だしな。さらに死体とデータさえあれば、誰でもアンデットを簡単に作ることができる。犬は工場から送られると言っていたが…機械にその…『アンデットの創造』技術を組み込み、稼働させることが可能なのであれば…大量量産化が可能だ。」
「ふー」
「つまり、何が言いてぇかっつーと…それを実用化したお前の指揮官は有能で、お前自身もアンデットとはいえ、その若さで犬達を訓練するドッグトレーナーになれるってのはすげぇな。」
「ふへっ」
「媚び売っている様にしか聞こえねぇだろうけど、だが、本当に戦術として駆使したいと俺も思ったんだ。神話生物1匹アンデット1匹、実にいい交換だ。死人も減れば仲間の死体も使える。神話生物を爆殺できる。一石二鳥だ。素晴らしい。最高だ」
爆雷は適当な壁に背中を凭れかけると、まずは自らが行った非について詫びた。ドッグテイマーがそれだけで許す筈もなかったが、今まで彼が心意の奥底で感受していたことを彼女に話していくと、徐々に唸り声を上げていた彼女も落ち着き始め、修復されるまでの戯言と諦めがついたのか、それともただ単に機嫌を直したのか分からないが最後は爆雷の言葉を鼻で笑うようになった。
【後書き】
すみません、この意気投合するワンシーンを書きたくてここまで書き続けたと言うのも他言ではありません。想定している形よりも、一方的な対戦車犬の魅力について語っているだけですが、本来は互いに褒め合いながら永遠と『対戦車犬』について語って欲しいところでした。
さて今回も終わりか近づいて参りました。
最後までお付き合い頂ければ幸いで御座います。