最初に存在を認識したのは……あー、確か小学三年生の夏休み明けだな。
夏休みの課題で自由工作ってものがあったんだ。
みんなが小学生らしいものを作っていた中、私は初期構想あたりのウサちゃんロボを作っていた。
その時はまだウサちゃんロボなんて名前はついてなくてな、無機質な飾り気のないロボットだったんだ。
で、まぁ自分で言うのもなんだが天才なんでな、小学生らしくもない自由工作をして持ってきて、先生に褒められまくったんだ。そうだな、正直に言えば嬉しかったよ。
でも周りには私が作ったのだと信じる者の方が少なかった。いなかった、とも言えるな。一人を除いて……言わなくても分かるな。
とにかく嫉妬とか、やっかみを受けた。子どもというのは手加減がなくてな、大人に作ってもらっただろだの、それを盗んできただの、不正だの、盗人だの……まぁそんなあたりだ。
私もその時は子どもだった……今でもだが。
とにかく、意地っ張りはその時からあったし、同級生に反発していった。それでもやっぱり味方はまだいなかったから、泣きながら違う違うとしか言えなくて……最終的にはロボットを壊されかけたんだ。
それを……あいつが守ってくれた。あの時の顔を今でも思い出せるよ。最も、思い出せない顔などないが、天才だからな。
あいつは心底面倒そうな顔をして、こう言った。
それはアウトだ、とな。
みんなが訳わからないと言った顔をして、一斉にあいつを責め立てた。私も一緒にな。だがあいつは怯むこともなく私の前に立ち、「だから何だ」と言った。
「たがが宿題だろ、これの出来はすげえけどそれでお前らの成績が下がる訳じゃねえじゃねえか」、酷く利己主義なやつだなとは思った。
でも相手はまだ小学生の子供で、理屈なんか通じない相手だったから対立が起きた。イジメのようなものも始まった。
あいつは……それから最後まで私のそばにいてくれた。理由を聞くと、「ロマンを感じた。俺にはそれが必要なんだ」と言っていた。初めは理解できなかったけど、あいつと遊び始めてからゲームを一緒に遊び始めてな。
アーマード・コア……懐かしいな。
私とあいつの求めているロボット像は違うけれど、それでもロボットが好きだという思いは同じだった。そこに可能性を感じていたんだ。
それから卒業まで私たちは一緒に遊び続けた。
ウサちゃんロボの考案もあいつからでな。初めはビジュアルなどと思っていたが、あいつが無駄に私のロボットをカッコ良くしようとしてな、私だって女の子なんだ、可愛いのが良かったからウサギにしたんだ。
……あいつはいつも私を庇っていたし、私はあいつの背中を見るのが好きだった。同じくらいの身長なのにとても大きく見えたんだ。
む、いや恋とかじゃないさ。あっちもそうだろう。
友愛なんだ、私たちの間にあるものは。
言っただろう? あいつは酷く利己主義なんだ。
私はあいつという楯を、あいつは私の中の可能性を信じていたから守っていただけなんだ。
卒業式の日にもう一度聞いたんだ。どうして守ってくれたのかって。
そしたらあいつ、「あれでロボット作りを止められたら困る。お前みたいなのは技術発展を起こして、ガンダムを動かして見せたりするんだよ」と言っていたな。
その時気付いた、あぁこいつは馬鹿なんだって。
あいつと付き合っていくなら気をつけろよ。
利用する気で行け。私はそうしていたし、あいつもそうしていたからすごく気楽だっただけだ。
あいつは価値のあるものには全力を以って行動を起こす究極的なエゴイストだ。だから、あいつを利用することに罪悪感はいらないんだ。
ただ……頼むからこれだけはしてくれるなよ。
必ず己を交渉材料に使うな。脅しは、あいつにとって逆効果でしかないんだから。
これくらいだよ、あいつのことは。
じゃあ、これから私は用事だ。邪魔してくれるなよ。
何って……今日は助手からお願いされたザクの発表日なんだ。
幕間。
今日ちょっとスパイダーマン(三回目)見てくるからちょっと続きはまた明日な!
池袋晶葉
ハルの数少ない理解者。
同類とも呼べる。