俺のクラスメイト二人が痛いんだが   作:カナリアP

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カワイイ洗脳中(前編)

 

 

 

どうしてこうなった。

 

俺は何かを間違えたのか。

 

だとしたらいつ、何を間違えた。

 

もしくはこれは必然的にそうなってしまう運命だったのか。

 

解らない。

 

この状況の意味がさっぱり解らない!

 

 

「聞いているんですか、ハルさん! カワイイボクの話を流し聞きするなんて、ものすっごく勿体無いですよ!」

 

「あ、はい。すみません……」

 

 

姉貴の家に移ってから翌日のこと。

夏休みの惰眠を貪っている中、突如としてこのカワイイ生物が家にやってきた。

 

名前は既に知っている、今をときめくアイドル芸人、輿水幸子その人だ。

 

輿水幸子のテレビで見たときのインパクトはいまでも覚えている。豹に追われていたか、イグアナに追われていたか、虎に追われていたか、はたまた蛇に追われていたか。

とてつもない自信と、自身の一切を曲げない意志は俺でさえ凄いと思えるし、実物を目の前にして光栄だと感じることも出来る。

が、いま俺は彼女に長々とカワイイの定義を説かれていた。

 

「良いですか? カワイイと言う言葉は一概に外見のことを表す言葉ではありません。性格や仕草、言葉遣いなども加味された全てを収束させ初めてカワイイと言われるんです」

 

「えぇ、はい……仰る通りで」

 

「ボクはもちろんカワイイの権化たる存在ですが、ボクに及ばないにしても蘭子さんも飛鳥さんもカワイイのですから、そんな二人を悲しませることはするべきではないと思います。違いますか?」

 

「はい……」

 

もう一度言う。

どうしてこうなった?

 

 

 

ーーー

 

 

 

博士:ちひろさんと話がついた

博士:ハルの奴、火事で自宅が燃えてちひろさんの家に移り住んだようだ

博士:突然のことでスマホなども家の中だったようだな

 

カワイイ天使:なるほど、それで連絡できなかったと

 

博士:ちひろさんは二人がハルと知り合いだったことは知らなかったらしい

博士:ハルとはあまり仲が良くないみたいだ

 

カワイイ天使:む?

カワイイ天使:ですが晶葉さん

カワイイ天使:ハルさんは知っていたんですよね、二人がアイドルなこと

カワイイ天使:事務所なども知っていると思いますが

 

博士:だろうな

博士:しかしちひろさんは何も聞いていないらしい

 

カワイイ天使:どういうことです?

 

博士:さぁな

博士:まぁ火事に遭った後だ

博士:頭が真っ白になってもおかしくはないさ

博士:……あいつがそんな繊細だとは思わないが

 

カワイイ天使:……もしかして恋かもしれませんね

 

博士:は?

 

カワイイ天使:噛みました

カワイイ天使:故意です

 

博士:わざとだろう

 

カワイイ天使:かみまみた

 

博士:やっぱりわざとだろう

 

カワイイ天使:まぁそんなことは置いておいてください

カワイイ天使:もしかするとハルさんは故意にあの二人に伝えなかったのかもしれません

 

博士:理由が不明だな

 

カワイイ天使:そうですか?

カワイイ天使:今やあの二人はダークイルミネイトとして人気になってきました

カワイイ天使:まぁボクの方がカワイイでしょうが、あの二人も相当有名になってきています

 

博士:ふむ

博士:身を引いた、と言いたいのか?

 

カワイイ天使:あなた達から聞いたハルさんのイメージを基に考えたら、と言ったところですが

カワイイ天使:晶葉さんはまだハルさんにアイドルだと伝えてないんですよね?

 

博士:タイミングが掴めなくてな

博士:しかし確かに、あいつは要らない気遣いをするからな

博士:特に最近は蘭子と飛鳥にご執心だったようだ

 

カワイイ天使:二人にはもうハルさんのことは伝えましたか?

 

博士:あぁ、LINEでな

博士:今日の仕事が終われば目を通すだろう

 

カワイイ天使:ふむ、では今日しかありませんか……

 

博士:何をする気だ?

 

カワイイ天使:決まっています

カワイイ天使:ハルさんの真意を確かめるんです

カワイイ天使:もし何かしらの事情でさらに拗れてはいけませんから

 

博士:……そうか

 

カワイイ天使:もちろんついて来てくれますよね!

 

博士:騙して悪いが仕事なんでな、ここで消えさせてもらおう

 

カワイイ天使:え"

 

 

 

ーーー

 

 

 

夏休みでの惰眠はなんと素晴らしいことか。

そして宿題が燃え果てたという事実がなお睡魔を増長させる。

あぁずっと寝ていたい。

 

 

ピンポーン

 

 

……いません。

僕はいません。

貝になりたい。

 

 

ピンポーン

 

 

やめてくれ。

そのチャイムは俺に効く、やめてくれ。

まったく人の睡眠を邪魔するなどけしからん不届き者だ。

昨日は遅くまで大惨事姉弟対戦をしていたというのに。

 

 

ピンポーン

 

 

まだ昼の一時だぞ。

こんな早い時間に来客するなど失礼ではないか。

そうとも、どうせここに家主はいないのだ。

そして俺がいることも知っているやつの方が少ない。

このまま寝ていれば帰ってくれるだろう。不在届ならポストにでも入れといてくれ。あとで取りに行くから、姉貴が。

 

 

「春川春樹さーん、いませんかー?」

 

 

……は?

俺のことを知っている?

そして今の声どこかで……。

 

少しだけ覚醒した意識を窓に向ける。のそのそと這いずり、外を覗いてみた。

 

……何故だ。

何故、輿水幸子がいる。

 

そして何故俺を名指しで呼ぶ。

ていうか何故知っている。

 

ダメだ、謎が謎を呼ぶ。まるで長編ミステリーだ。このままじゃ埒があかない。

俺は気になってしまうと眠れなくなる性質なんだ。

 

「……仕方ない」

 

輿水幸子から話を聞こう。そして俺のことを知っているのと何故ここに来たかの理由を聞いてお帰り願おう。そうすればまた安眠できるのだから。

 

 

そうして俺は、玄関の扉を開けたのであった。

 

今では、少し後悔している。

 

 

 

「…………え、えっとふぇすね、あの、蘭子さんと飛鳥さんがですね……その、えへへ」

 

「……うん」

 

「うひぃっ!? す、すみませ……っ!」

 

 

 

俺を見るなり、輿水幸子さんは固まり、そして見るからに怯え出した。

俺の何がダメだったのか(夜更かし目付き)。

 

もう十分はこのまま立ち尽くしていた。外はいつも通りの夏の暑さ、二人とも汗を滝のように流し、いや輿水幸子さんは違う意味で汗を流しているような気もするが。

 

「それで、えっと……あのぉ……」

 

「……なぁ」

 

「ひゃい!?」

 

びくーん! と気をつけをする彼女に、何か罪悪感を覚えながらも、俺は話を進める。

 

「とりあえず、外は暑いだろ。お茶出すから、入って話そう」

 

「え"」

 

「……別に外で話すんならそれでも良いけど、さすがにずっとこのままキョドられるのも堪えるからな」

 

輿水幸子……もう輿水で良いか。輿水はオドオドと目をバタフライさせながら、迷っているみたいだった。

まぁ当たり前だ。まったく知らない男と二人きりで過ごすと言うのも、アイドル関係なく女子としては嫌なことだろう。

そのまま帰ってくれ、そして俺をまた安眠させてくれ。

 

「えっと……じゃあ、お邪魔……します」

 

なんでぇ。

 

 

 

リビング。

使われた痕跡があまりない新品同様の長机に対面で座り、キンキンに冷えた犯罪的な麦茶を挟んでお互い無言で過ごす。

 

俺は輿水の出方待ち。

輿水はどうだか知らないが、麦茶をちょびちょびと飲んでいた。小動物さながらの仕草を前に、謎のほんわかとした空気が醸し出される。これがアイドルか。

 

しかしこのままでは話が終わらない。日が暮れてしまう。仕方なく、自分から会話を切り出すことにした。

 

「自己紹介をしよう。俺は春川春樹だ。中学二年、確か同い年だった、よな?」

 

「え、えぇ……はい。こ、ここ輿水幸子、ですはい。よろしくお願いします」

 

「……あのさ、多分俺が悪いんだろうけど、なんでそんなに怯えてるんだ?」

 

「いえその……ぼ、ボク、よくよく考えてみたら同年代の男の子とあんまり話したことがなくて……その、男性のイメージが、Pさんだけだったので……」

 

なんでここに来たんだこの子。

何がそこまで駆り立てるのか?

 

「そうか、じゃあ俺にはどうしようもないな。慣れてもらうしかない。んで、本題。二宮と神崎のことか?」

 

「…………はい」

 

「連絡しなかったのは悪かったよ。姉貴にでも言えばよかった。俺のせいで二人に要らない心配をかけたのは謝る」

 

「えっと、じゃ、じゃあ疎遠になろうとしたわけじゃないと?」

 

「それは……」

 

違う、とは言えなかった。

その気持ちがなかった訳ではないから。

 

「……なぁ、輿水さん」

 

「は、はぁい!」

 

「俺みたいなやつがさ、友達続けても良いのかな」

 

「え、さ、さぁ……」

 

…………。

今激しく、相談する人選を間違えた気がした。

 

「あのその、ボク男友達なんていないですし……そういうのちょっとよくわからないと言うか……」

 

この人なんでここに来たんだろう。

訳が分からないよ。

 

「でもその、あのですね……や、やっぱり、友達が減るのは悲しいと思う、んですけど……」

 

「…………っ」

 

分かってた、つもりだった。

今はたくさん友達がいる?

たくさんのファンがいる?

 

だからって、あいつらが友達を失う悲しさや寂しさを忘れるわけがないはずなのに。

 

「……そう、だな。その通りだ」

 

「えぇっと……はい。と言う訳で、仲直りしましょう。だ、大丈夫です! カワイイボクがちゃーんと仲直りを成功させてみせますから!」

 

「ははっ、頼もしいな。でも、それカワイイ関係あるか?」

 

「ん?」

「ん?」

「えっ?」

「えっ?」

 

「はい? 今なんと?」

 

「いや、仲直りするのにカワイイって関係あるかなって」

 

「正座です」

「えなんで」

「正座」

「はい」

 

そして、冒頭に戻る。

そんな地雷わかる訳ねえだろ。

 

 





構成って大事。ちぃ覚えられない。


ハル
最近地雷源でタップダンスをすることに定評をもつ。
中有学生特有の友達の定義とか周りの目とかに意識を向け始め悩むが、周りから見れば今更感しかないのでクソほどにどうでもいい。

カワイイ天使
カワイイってなんだ。躊躇わないことさ。
男子とあまり関わり合いがないし、Pやファンは大人の人なのでハルの対面はかなりキョドる。
しかしカワイイは関係ないと言われ洗脳開始、相手は死ぬ。

博士
今日はNOK番組でロボット講座番組。
ピタOラスイッチにも呼ばれたことがある。

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