俺のクラスメイト二人が痛いんだが   作:カナリアP

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次回作予告です()


Next STAGE!

博士:準備はできた

 

ハル:……そうか

 

博士:本当にやるのか?

 

ハル:あぁ

ハル:見過ごしては置けない

 

博士:光のためか

 

ハル:それだけじゃない

ハル:あいつは今危険な状態なんだ

ハル:放って置けばどんな被害を生むかわからない

 

博士:そうだな

博士:それだけか?

 

ハル:……実はちょっと楽しみでもある

 

博士:素直でよろしい

博士:では、研究所へ呼び出しておこう

 

ハル:俺もすぐ向かう

 

 

ーーー→AIラボ

 

「ねー、晶葉ちゃんこれなーにー?」

 

「うおっ、いたのか紗南……」

 

いつの間にか背後にいた紗南に驚きながらも、スマホの画面を見せないように隠しながら晶葉は後ろを振り向く。

紗南が持っているのは開発途中の発明品であった。

 

「それはウェブシューターもどきだよ。製品版を改造してより本物に近づけたんだ」

 

「ウェブシューターって……スパイダーマンの糸出すやつ?」

 

「あぁ。助手が発案してな。糸の強度や、それに伴う射出距離、速度……というかそもそも蜘蛛の糸もどきを作るのにかなり苦労したんだ。それでも原作に並ぶ理論値には達しなかったが」

 

「この手袋は?」

 

「一緒だよ。スパイダーマンの壁に上るというイメージをもとに作った。靴とマスクもあるんだが、あいにくスーツを作る時間がなくてな。今はそれだけ」

 

「ふーん……」

 

説明し終えて、晶葉は再度机に向かい、大至急で開発している発案品に取り掛かる。小手のような形状の手袋だ。

 

「あぁ、万が一にも腕にはめて掌にあるボタンは押すなよ、それをしたらーー」

 

 

ピッ!

 

 

不穏な音が響く。晶葉は恐る恐ると再び後ろの方へ振り向くと、紗南が引き攣った笑みを浮かべて、こちらを見ていた。

 

「……そ、それをしたら?」

 

「……キミがその装置を唯一使えるように登録され、それはキミのになる」

 

「そ、そそそして?」

 

「元々それは助手に授ける武器だったのだが、キミしかそれを使えないのなら、話は別だ」

 

「…………つまり?」

 

「ーーおめでとう、君がスパイダーマンだ」

 

どちらかといえば、ガールだがね。と、最後に晶葉が締めくくった後、紗南の悲鳴がこだました。

 

 

 

程なくして、その場所に春川春樹ーーハルが到着する。

ハルがラボ内部に入れば、そこには悠々と空中を飛び跳ね行き来する紗南の姿があった。

 

「…………えぇ」

 

「おぉ、よく来たな助手よ。どうだ?」

 

「どうだじゃねーよ。どうすんだこれ……俺のウェブシューターじゃなくなってんじゃねえか」

 

「不慮の事故だ」

 

「あははははは! すっごーいVR以上だよこれ!!」

 

糸を出してターザンしたり、壁にひっついて登ったりと、まるで本当にスパイダーマンのようなことをしでかしている紗南に、ハルは羨ましげに見つめる。

 

「まぁいい、本命は?」

 

「もう出来てる。ほんの数分前にね」

 

晶葉に連れられ、ハルは机の前まで来る。そこには完成された手袋と、そしてーー円盤状の薄い盾があった。

 

「さすがにヴィブラニウム合金なんてのは、衝撃吸収をする金属など夢のまた夢だ。と、私も思っていたが……」

 

「……菜々さんか」

 

「驚いたよ、まさか本当に……宇宙人だったとは」

 

ウサミン星人である安部菜々さんのツテで手に入れた特殊金属、それにはヴィブラニウム金属と同じ衝撃吸収の特性があるとされた。

その金属と鉄を合わせて作られた、仮称ヴィブラニウム合金を使い、作成された盾が、ここにある。

 

「保証しよう、これにはキャプテン・アメリカも満足する」

 

「使いこなせなければ意味がない、だろ?」

 

「その辺りは彼女に一任する。超人血清なんてそれこそ夢の話だ。人間科学は専門外だしね。それこそ志希さんに頼めばいいだろう」

 

「俺あの人苦手なんだよ……何考えてんのかさっぱりわからん」

 

「天才とはそういうものだ……私に合わせられるキミの方が不思議だね、私としては」

 

ハルが盾を手にする。見た目より軽く、そしてしっかりとした強度がある。

ガチャ、と扉の開く音がする。瞬間的に、ハルはその盾を、扉を開けた者に向け一回転してまで大きくまっすぐに投げた。

盾は、その者によって難なくキャッチされる。

 

「よぉ、遅かったな。……割と本気で投げたつもりだったが?」

 

「これくらいしなければ麗奈は止められないからな。ハル、ウェブシューターの出来は……」

 

「ん、光も来たの? ってなにそれ! キャップの盾!?」

 

天井から糸でぶら下がって降りて来た紗南が、光の持つ盾に驚く。

光も紗南がウェブシューターを使っているのに驚いていた。

 

「……晶葉のせいだ」

 

「すまん」

 

「……紗南を巻き込むのか?」

 

「麗奈を止めるんでしょ? 誤作動させちゃったアタシが悪いしね。頑張るよ!」

 

そう言って紗南はまたも糸を飛ばし跳び回っていた。その状態を見て光はため息を吐くと、机の上にある手袋を見つけ、それを左腕にはめる。

 

「ちゃんとくっつくのか?」

 

「会心の出来だ。ウェブシューターよりは難しくないしな」

 

「あぁ……俺のウェブシューター……摩天楼を跳び回りたかった」

 

「諦めろ」

 

項垂れるハルを尻目に、光は拳を深く握りスイッチを作動させる。すると盾は強い力で腕に引っ張られ、硬くくっついた。

 

「……気分は?」

 

「いつだって正義のヒーローさ」

 

 

 

 

 

 

 

「麗奈、こんなことをしてもマトは喜ばないぞ」

 

「光ぃ……アンタは、アタシの……マトの何がわかるってのよ!」

 

 

交錯する思い

 

 

「うわわ、あぶなっ。二人とも! 戦うんなら街に被害出さないでよ!」

 

「紗南! 子どもが下に!!」

 

「分かってるよ!」

 

 

正義と悪の戦い

 

 

「マトの遺産……遺していった想いで、アタシはアタシの正義を行う」

 

「そんなものは正義じゃない!」

 

「悪い奴を倒す、アンタのそれとどう違うって!?」

 

 

矛盾していく苦悩

 

 

そして……

 

 

「敵の目的はマトの発明だ。あいつら、マトの発明品を装備してやがる」

 

「ハル、勝てるのか……?」

 

「そのためにみんなが来た」

 

 

集結する、アイドルたちーー!

 

 

キャプテン・アイドル 〜ザ・ファースト・アべンジャー〜

 

10/06

 

 

 

「なんでアメコミの装備なの? 仮面ライダーとか戦隊ヒーローとかでもよかったじゃん」

 

「アタシだってリボルケイン振り回したかったよ」

 

「無茶を言うな。あんなのほぼ大量破壊兵器だぞ。捕まるだろう」

 

「そこ?」

 




南条光/キャプテン・アイドル
幼なじみであり親友である小関麗奈の復讐を止めるため、池袋晶葉の作った盾を持ちヒーローとなることを決意する。
超人血清などは存在しないため並みの身体機能しか出せないが、本人の熱烈なトレーニングの甲斐があってかそれなりに動ける(当社比)
本人はせめて仮面ライダーG3になりたかったらしい。

小関麗奈/ウィンタージョーカー
幼なじみであり恋人のマトを殺され復讐の道に走る。左腕に強化アーマーを着用しており、岩も粉砕する。愛用武器はバズーカ。

マト/Dr.MAD
光と麗奈の幼なじみであり、麗奈の恋人。本名はまだ不明。
晶葉に次ぐ発明力を持ち、色々な趣味物を生み出した。
しかしそれを強盗に盗まれ殺される。

三好紗南/スパイダーサナ
なんの因果か誤作動でウェブシューターを起動してしまい、盗難防止のために最初に登録した人しか扱えないためスパイダーガールになることを強いられる。光が戦っているときに街の被害を抑えるため今日も糸を飛ばして人を助けている。

池袋晶葉/池袋博士/アイアンラビット
ウェブシューターやキャップの盾を生み出した発明家アイドル。
発明武器の発想は助手のハルに一任しており、その他にも発明がある。
本人はアイアンマンスーツにうさ耳をつけたアイアンラビットである。

春川春樹/ハル/アイアンラビット ウォーマシン
アメコミの中ではスパイダーマンが一番好きなためウェブシューターを晶葉に頼んだが紗南に奪われた。そのため今回はアイアンラビットのサイドキック。

神崎蘭子/ゴシック・ウィッチ
サイコキネシスを再現した晶葉の発明品「物を浮かせるクン」を装備し、救助活動を行うアイドル。着けた者の精神力で動かせるものの重さが変わり、蘭子は高い集中力を持っていたためダンプカーまでなら浮かせることが出来る。

二宮飛鳥/ファントムシルバー
自身の時間速度を速める発明品「時間を速めるクン」を使い超人的な速度とそれに適応できる身体と思考力を手に入れた。走るのに邪魔なアレがないので本人は複雑そう。

輿水幸子/ハルク
「嘘ですよね!? カワイイボクがあんな緑色のむきむきゴリラじゃないですよね!? ねえっ!!!?」







嘘です()

次回から「僕の幼なじみがバズーカを向けてくる」をお楽しみください。

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