あったら桜の木の下に埋めてもらっても良いよ!
ぼぅっとした意識が耳障りな音で強制的に覚醒する。
嫌だ、起きたくないーーと思うのは人間として当然の摂理で、惰眠を貪りたいということはそこまで罪だろうか。
……そういえば怠惰は大罪だったと、少し微笑む。
無駄な思考ができるくらいには頭は再起動を終え、この音がどういう意味を示しているかをようやく思い出した。
愛用しているスマホを片手に、画面に映し出されている名前を見て少しみっともなく笑みが溢れながらーーボクは彼と繋がり始める。
「ーーおはよう、約束は守ってくれたんだね」
『まぁな。それと、おはよう。大阪はどうだ?』
「人が多いね、向こうほどじゃないけど、こちらのが体感、少し騒がしい」
『ふぅん……今日はライブでいるんだろ? モーニングコールを頼むほどなんだし、クマとか作ってないだろうな』
「抜かりはないよ、ちゃんと健康は管理している。アイドルは色んなことを気をつけなくちゃいけないから」
そっか、と素っ気なく応対する彼だが、先ほどのは心配してくれたのだろうと一人想像、いやこれは妄想かな?
「そっちはどうだい。日常はお変わりなく?」
『そうだな。神崎はいつも通りだと思うし、特に何もない。ていうか一日二日で何も変わるわけないだろ』
「そりゃあそうだね。十何年も変わらないんだから」
いや、少し変わったかもしれない。
アイドルになったことも。
いま彼と話していることも。
『まぁ明日には帰ってくるんだろ? お土産、楽しみにしてるからな』
「ふむ、残念ながらボクは家族にしかお土産を買ったことがなくてね。どんなものが嬉しいか是非とも参考までに聞かせてもらおう」
『大阪か……そうだなーーあ』
「うん?」
『ふみふみのライブ限定グッズを』
切った。
さぁ、今日は張り切っていこう。
ボクという存在を、大衆に解き放つんだ。
ーーー
ハル:お土産な、そうだな
ハル:だったら衣装姿の写真くれ
ハル:お前のライブ記念に欲しい
1/2のボク:キミさ、今とんでもなく変態チックなこと言ってるの分かってるかい?
1/2のボク:同級生の露出の少し多い服姿が欲しいって本人に言ってるんだよ?
1/2のボク:はっきり言って普通ならドン引きするところさ
ハル:いいだろ二宮は普通じゃないんだから
ハル:それにたまにはお前がアイドルだってことを覚えておかないとな
1/2のボク:……キミ、未だにボクらをアイドル扱いしてないからね
1/2のボク:まぁ、そこが気楽なんだけどさ
1/2のボク:良いだろう、自撮りは趣味じゃないがせいぜい大切にしてくれ
1/2のボク さんが写真を投稿しました
ハル:ライブ、頑張れよ
1/2のボク:キミを魅せられないことを残念に思うほどにね
1/2のボク:会場に来てるなら先に言ってくれ!!!!
ハル:俺は一言も大阪にいないとは言ってないぞ^^
ネタ切れぇ!
ハル
好きな科目は国語
作者の心情を答えよの部分はいつも捻って答えを出すので「先生は好きです」という言葉と共にピンされる。
1/2のボク
好きな科目は数学
別に得意なわけではないので点数は普通。
なぜ好きかと問われると数学者が好きだから。
ブリュンヒルデ
我が学ぶは異界の言語。
二十六柱が並ぶは無数のルーン。その意その理を記憶していくことこそ新たな能力を編み出すであろう。