仮面ライダーエグゼイド:クロスエンディング~スーパーゲーム大戦~ 作:GAP
※一部独自解釈の部分があります。
※檀正宗のリセットが本編で失敗した世界線の物語です。
※SAOの時間軸は劇場版の後となっています。
ALOの特殊クエストに参加していたクライン率いるギルド「風林火山」は、クエスト中に謎の敵と遭遇する。
その敵の正体と目的とは?
第1話
【VRMMOゲーム ALO 森林:夜】
月明りの差し込む森の中で、和風な赤い装備に身を包んだ6人のプレイヤーたちが一頭の獣と戦っていた。
彼らの名は「風林火山」。ALOでも名の通った中堅ギルドで、メンバーはみんな1年ほど前に起きたSAO事件の帰還者、通称「SAOサバイバー」で構成されており、リーダーのクラインを筆頭に腕利きが揃っている。
クライン「これでトドメだ!」
リーダーのクラインが両手に持った刀を突きたてると、獣は断末魔の叫び声をあげ、そのまま消えていった。
カルー「中々のクエストだったな」
クライン「だな。でもおかげで…」
クラインがそういってステータスウインドウを開くと、アイテムボックスにめったに手に入らないレアアイテムがドロップされていた。
クライン「っしゃ!」
クラインがガッツポーズをすると、他のメンバーも自分のステータスウインドウを開いてアイテムボックスを確認し、それぞれ満足げな声をあげる。
ジャンウー「しかし、運営も太っ腹だよな!いきなりこんなレアアイテムが手に入るクエストをするなんて」
トーラス「しかもそんなに難易度も高くないしな。こりゃ期間中は大儲け出来そうだぜ!」
現在、ALOでは運営が特殊クエストを開催しており、手ごろな難易度でレアアイテムが手に入ると話題になり、連日多くのプレイヤーが参加しているのであった。
クライン「それじゃあアイテムも手に入ったし、ホームに戻って打ち上げと行くか!」
風林火山メンバー「おー!」
そう言ってメンバーがホームに帰還しようとしたとき、突如アラームが鳴り響きステータスウインドウが強制展開される。
全員がその通知を確認すると、そこには赤い文字で「緊急クエスト発生」とだけ書かれていた。
クライン「緊急クエスト?」
クラインが首を傾げたのと同時に、6人の前に同じ数のNPCと思しきエネミーキャラが現れる。しかし、その見た目は通常のALOで出現するモンスターなどではなく、シンプルなデザインの、茶色とベージュを基調とした人型のキャラクターだった。
アクト「なんだこいつら?!」
アクトの言葉に全員が相手のステータスを確認する。
そこには「ライドプレイヤー」という文字だけが表示されており、通常表示されるはずのHPなどのステータスが表示されていなかった。
その異常さに、風林火山のメンバーは戸惑うが、ライドプレイヤーたちはお構いなしに襲い掛かってくる。
クライン「よく分からねぇが、やるしかないな」
トーラス「ああ!とっとと終わらせて打ち上げと行こうぜ!」
2人の言葉を皮切りに、風林火山メンバーがライドプレイヤーを迎撃し始める。
通常のエネミーとの戦闘と同じく、挙動を読んで反撃しようとするが、ライドプレイヤーたちの動きはNPCとは思えないほど洗練されており、まるで本物のプレイヤーを相手にしているようだった。
オプトラ「くそっ!こいつら中々やるぞ!」
トーラス「まるでプレイヤーみたいだ!本当にエネミーかよ⁉」
クライン「だったらデュエルの時と同じようにすりゃいいだけだ!」
クラインはそう叫びながら飛びかかってきたライドプレイヤーのわき腹を刀で切り裂く。
すると、他のエネミー同様、ライドプレイヤーは消滅した。
それを見た他のメンバーも次々とライドプレイヤーに攻撃を加え、やがて全てのライドプレイヤーを倒した。
アクト「何とかなったか」
ジャンウー「だな。しかし、こいつら一体何だったんだ?」
クライン「もしかしたら今回のクエストから実装された新エネミーなのかもな」
メンバーが言い合っていると、背後から拍手と声が聞こえてきた。
???「さすがはSAOサバイバーの風林火山。見事な腕だ」
その声に、メンバー全員が振り返ると、新たなエネミーと思しきキャラクターが立っていた。
その顔は先ほど戦ったライドプレイヤーと似ているが、頭には角が生えており、漆黒のボディにメタリックグリーンの幾何学的な模様が入っている。そして、腹部にはゲームのコントローラーのようなグリーンのアイテムがついていた。
そして何より、まとう雰囲気や体から発するオーラが違っていた。
クライン「なんだ⁉新しいエネミーか⁉」
クラインの問いに、そのエネミーは応える。
クロノス「私の名は仮面ライダークロノス。このALOの新たな管理者にして、ここから生まれる新たな世界の…ルールだ」
クライン「ALOの管理者⁉」
アクト「それに新たな世界って…」
クロノスの言葉にメンバーは困惑する。
クロノス「君たちには私の作る新たな世界の礎になってもらう。そしてそこから始まる、最高のゲームの幕開けを担っていただこう」
カルー「ふざけるな!」
オプトラ「ルールだか何だか知らねぇが、打ち上げの邪魔すんな!」
2人が叫びながらクロノスに向かっていく。
クロノス「やれやれ」
クロノスはそういうと、腹部に付けていたアイテム―――バグヴァイザーⅡを取り外し、右腕に装着する。すると、アイテムの尖った部分がチェーンソーのようになり、それで向かってきた2人を薙ぎ払う。
クライン「てめぇ!」
クラインが叫ぶと同時に、残っていたメンバーもクロノスに向かっていくが、ライドプレイヤーとは比べ物にならないほどの動きと腕に付けたバグヴァイザーⅡで、クロノスは風林火山のメンバーを蹂躙していく。
ジャンウー「こいつ、強ぇ!」
クライン「囲んで一気に攻めるぞ!」
クラインの号令で、メンバーがそれぞれクロノスを囲むように輪になる。
クライン「手加減は抜きだ!全員の必殺を叩き込む!」
そして風林火山のメンバーが持った武器が赤く輝き始め、必殺技の発動準備に入る。
しかし、その様子を見てもクロノスに焦りはなく、むしろ余裕を見せながら腕に付けていたバグヴァイザーⅡを再び腹部に装着する。
クライン「風林火山の必殺奥義、受けてみやがれ!!」
クラインの合図とともに全員一斉に必殺技を発動させながらクロノスに飛びかかる。
しかし、クロノスは余裕を持ったまま、
クロノス「愚かな」
と言いながら腹部に装着されたバグヴァイザーⅡの左右にあるボタンに手をかけ、同時に押す。
『PAUSE』
腹部のアイテムからその音声が流れた瞬間、目前まで迫った風林火山メンバーの攻撃が静止した。
それだけではなく、フィールドに舞っていた微細な土埃や、吹いていた風まで全てが静止している。
ただ、クロノス1人だけがその空間で動いていた。
クロノス「さて…」
クロノスはそう言うと、再びバグヴァイザーⅡを右腕に装着してチェーンソーを起動させ、
クロノス「ハァッ!!」
と叫びながら回転し、風林火山のメンバー全員を薙ぎ払うかのように攻撃を加え、その後、右腕のバグヴァイザーⅡの上下を逆にして付け替えながら、離れた所へ移動する。
クロノス「これで最後だ」
そう言い放ったあと、クロノスはバグヴァイザーⅡの先を風林火山メンバーに向け、そのまま光弾を発射した。
光弾が命中したのを確認すると、バグヴァイザーⅡを腹部に戻し、再び2つのボタンを同時に押した。
『RESTART』
アイテムからその音声が流れると同時に、静止していたものが動き出し、攻撃を食らった風林火山のメンバーが火柱を上げて吹き飛んだ。
クライン「ぐわぁぁぁぁぁぁ!」
クライン含め、風林火山のメンバーたちが声をあげながら地面に転がる。
全員、HPゲージが赤くなり、残り僅かな量しか残っていなかった。
クライン(なにが起きた!?俺たちは確かにあいつに攻撃していたはずなのに!?)
目の前で起きた現実にパニックになりながらも、クラインは考えようとする。
しかし、そんなクラインの考えなどお構いなしにクロノスはゆっくりとメンバーに近づき、手に出現させた小さいものを投げつけるとそれが風林火山メンバーの体に手裏剣のように突き刺さる。
よく見ると、それは取っ手の付いたレトロゲームのカセットのような形をした物体だった。
全員にそれが刺さったことを確認すると、クロノスはバグヴァイザーⅡを取り外し、右手に掲げてボタンを押す。
すると、クラインたちの体から青い光の粒子のようなものが浮き出て、先ほどのカセットのような物体に集まっていく。
それに合わせて、クラインたちの意識が遠のいていく。
クライン(体から力が…抜け…て…)
その言葉を頭に浮かべると同時に、クラインの意識は消失し、体も光の粒子となってカセットの中に消え、ほかのメンバーの体も消滅した。
その後、カセットは宙を浮いてクロノスの手元に戻ると、1つの赤いカセット―――ガシャットとなり、取っ手の部分に「風林火山」というタイトルロゴが浮かびあがる。
クロノス「フフフ…。これでデータは揃った。あとはアレを手に入れれば、私の世界が誕生する!フフフハハハハハ!ハーッハハハハハハハハハ!!」
邪悪な高笑いを上げながらクロノスはその場を後にする。
そこには、風林火山メンバーが繰り広げた戦いの跡だけが、寂しく残っていた。