仮面ライダーエグゼイド:クロスエンディング~スーパーゲーム大戦~ 作:GAP
※一部独自解釈の部分があります。
※檀正宗のリセットが本編で失敗した世界線の物語です。
※アクセル・ワールドは原作準拠の世界観です。
無制限中立フィールドで修行をするシルバー・クロウとブラック・ロータス。
お互いに技を磨き、高め合う2人だが、そこで思わぬ事態に遭遇する…。
【VR格闘ゲーム「ブレインバースト」 無制限中立フィールド 荒野:昼】
太陽が照り付ける灼熱の元、2人のデュエルアバターが技を競い合っていた。
一方は鋭い剣のような四肢を持った漆黒のアバター、ブラック・ロータス。もう一方は背中に翼をもつ銀のアバター、シルバー・クロウである。
この2人はブレインバースト世界で「親と子」と呼ばれる関係であると同時に、黒のレギオン「ネガ・ネビュラス」のリーダーとそれを守る騎士という間柄である。
なお、現実世界では同じ中学に通う先輩・後輩で、ブラック・ロータスこと黒雪姫はシルバー・クロウこと有田ハルユキに恋心を抱いているが、それはまた別の話。今は純粋にお互いの技を高め合う戦友として相対していた。
ロータスの剣のような腕に、クロウは手刀で応戦し、激しくぶつかり合う。
ロータス「どうしたクロウ!脇が甘いぞ!」
ロータスはそう言って、鋭い四肢による連続攻撃をクロウに浴びせる。
クロウ「くっ!」
あまりに早いその攻撃を捌ききれないクロウは背中の翼を少し展開させ、一度距離をとる。
ロータスはすぐさま距離を詰めようとするが、クロウは翼を動かし、体を少し浮かせた状態で向かってきたロータスを迎撃する。
クロウ「エアリアル・コンボ!」
そう叫びながら、クロウは先ほどロータスが自身に見舞った連撃の意趣返しと言わんばかりに蹴りや拳、手刀などの連撃を叩き込む。
意識が完全に攻めに傾いていたロータスは不意を突かれるが、すぐさま防御に意識を切り替え、クロウのエアリアル・コンボを捌いていく。
ロータス「いい判断だが、それで不意を突くにはまだ甘いぞ!」
クロウ「まだまだ!これからです!」
そういうと、クロウは右足に力を込めた蹴りでロータスの体をガードごと弾き飛ばす。そして休む間もなく右腕に力を集中し、ブレインバーストの奥義である心意技(インカーネイト・システム)を発動する。
そしてそのままロータスに向けて右腕を腰だめに構え、
クロウ「レーザー・ランス!」
と叫びながら、力強く一気に前へと突き出す。
すると、クロウの右腕から先のとがった光のエネルギーが発射され、ロータスめがけてすさまじい勢いで伸びていく。
しかし、ロータスはその光が届くか否かのギリギリで体勢を立て直し、
ロータス「はぁっ!」
という気合と共にクロウの技を右腕ではじく。
そのまま迎撃しようと前方に目を向けるが、先ほどまでいたはずのクロウの姿が消えていた。
ロータス「何っ!?」
ロータスがそう言うと同時に、頭上からクロウの声が大きく響く。クロウはレーザーランスを囮に使い、ロータスが技をはじく一瞬の隙をついて空中へ飛び上がり、自身の本来の必殺技である「ダイブ・キック」でロータスを仕留めようとしていた。
クロウ「そこだぁぁぁぁぁ!!」
咆哮と共にクロウのダイブキックが炸裂し、地面にクレーターができる。しかし、仕留めたと思ったロータスの姿はそこになく、ただ土煙だけが上がっていた。
クロウ「あれっ?」
クロウが間抜けな声を上げると、
ロータス「隙ありだ!」
という声と同時に、両腕をクロスさせたロータスの一撃がクロウの背中に入れられ、大きく吹き飛ばされる。
クロウ「ぐあっ!」
地面に叩きつけられたクロウはうめき声をあげるが、すぐに立ち上がろうと腕に力を入れる。しかし、そんなクロウの目の前にロータスの剣のような腕が突きつけられ、勝敗は決した。
ロータス「素晴らしい闘いだったよクロウ。最後のダイブキックはさすがの私も焦ってしまった」
クロウ「いや、まだまだですよ。先輩の最初の連撃も捌ききれませんでしたし」
闘いを終えた2人は休む間もなく、お互いの技を分析し合う。
ロータス「そうだな。攻めの技術はかなり磨かれれているが、防御の技術は詰めが甘い。今度私が中華街での修行で会得した守りの技を教えよう」
クロウ「はい!お願いします!…って、中華街の修行って何ですか⁈」
ロータス「ふふ。まぁいろいろとね。その話も含めて伝授するよ」
クロウ「…楽しみにしてます」
ロータス「うむ!…それにしても、遅いな、レインのやつ」
そう言いながら、ロータスは腰に両手を当てる。
本来、今日は同盟を組んでいる赤のレギオンのリーダー、スカーレット・レインと同じく副長であるブラッド・レパードと共にタッグ戦形式でトレーニングをする予定だったが、2人が定刻になっても現れなかったため、2人で先にトレーニングを始めたのだった。
クロウ「そうですね。レインはともかく、あのせっかちなパドさんが時間に遅れるなんて…」
ロータス「…もしかしたら、何かあったのかもしれないな。最近流行っている噂もある」
クロウ「それって、いきなりバトルに乱入してくるっていう謎のアバターのことですか?」
クロウの問いに、ロータスは静かにうなずく。
ここ最近、ブレイン・バースト内で1対1のバトルに乱入し、無理やり対戦相手を倒して立ち去っていく謎のアバターが話題となり、乱入方法や正体がつかめないことから一部では「幽霊アバター」などと呼ばれていた。
クロウ「でも、あれって確か通常バトルフィールドでの話ですよね?無制限中立フィールドには出ないんじゃ?」
ロータス「奴のレベルが4を超えていればこの無制限中立フィールドに来たとしてもおかしくはない。それに、これまでの事件を分析するに、奴はどうもレベルの高い、腕の立つプレイヤーを狙っていた節があるからな。レインがもし狙われていたら…」
ロータスがそこまで話した瞬間、2人から離れたところで大きな爆発があり、土煙が舞い上がる。
クロウ「あの爆発って…まさか!?」
爆発を見たクロウの脳裏に、スカーレット・レインの持つ強化外装「インビンシブル」のことが浮かび上がる。今見た爆発はスカーレット・レインの必殺技であり、インビンシブルの「ヘイルストーム・ドミネーション」の爆発と酷似していた。
ロータス「悪い予感が当たったようだな!行くぞクロウ!」
クロウ「はい!」
クロウはそういうと、ロータスの体を抱きかかえ、背中の翼を全力で作動し、爆発のあった地点へ向かう。
風を切るような速さで飛翔し、すぐさま爆発地点へ到着したクロウとロータスの目に映ったのは、強化外装をバラバラにされ、地面にうずくまる赤のレギオンのリーダー、スカーレット・レインと、全身に痛々しいダメージを負った副長のブラッド・レパードの姿だった。
クロウ「レイン!パドさん!」
ロータス「何があった!?」
クロウとロータスが急いで駆け寄ろうとするが、レインとレパードは2人を見るなり、
レイン「来るな!逃げろ!」
レパード「奴は強すぎる」
と声をかけてくる。
クロウ「奴って…」
クロウがそういうと同時に、土煙の中からレインとレパードを痛めつけたらしきアバターが現れる。
それは、これまでに見たこともないデザインの、異質なアバターだった。上半身が裸で背中に光の輪をいくつか背負っている。まるで、インド神話に登場する闘神のようなデザインで、顔は邪悪な笑みに歪んでいる。
明らかに、これまでブレインバーストに登場してきたどんなアバターとも合致しない、異質なアバターであった。
???「キキキ…」
謎のアバターはいたずらっぽく笑うと、右手を宙に掲げる。すると、光の粒子がそこに集まって、巨大な鍵のような武器に変化した。
その鍵のような武器を掴み、謎のアバターはバラバラになったインビンシブルにその尖端を向ける。すると、インビンシブルが光の粒子へと変換され、一つの球体となった。そしてその球体は、そのまま謎のアバターの背中に背負った光の輪の中に吸収されていく。
クロウ「インビンシブルが!」
レイン「強化外装だけじゃねぇ!パドの変身能力も奪われた!」
ロータス「バカな!?強化外装だけならともかく、アビリティまで奪うなんて、ダスク・テイカーくらいしかできないはずだぞ!?」
レパード「でも、それが現実」
クロウたちが言い合っているうちに、謎のアバターはこちらに向かってくる。
レイン「すでに俺たち以外にもかなりのプレイヤーがあいつにやられてる!ここは俺とパドで時間を稼ぐからお前らは早く逃げろ!お前らがやられちまったら、うちのレギオンも終わりだ!」
レパード「後をお願い」
そういうと、レインとレパードは謎のアバターに突撃していった。
ロータス「待て!2人とも!」
ロータスが叫んだその瞬間、謎のアバターは向かってきたレインとレパードをこともなげに薙ぎ払い、地面にたたき伏せる。
レイン「うあぁっ!」
レパード「くぅっ!」
うめき声をあげる2人に、謎のアバターは先ほどの鍵のような武器の尖端を向ける。
すると、レインとレパードはインビンシブルと同様に光の球へと変換され、謎のアバターの背中に収まった。
クロウ「パドさん!レイン!」
クロウが叫ぶと、謎のアバターがまたしても笑う。まるでこの状況を楽しんでいるかのようだった。
ロータス「どけ!クロウ!」
背後からロータスに叫ばれ、クロウは思わず振り返る。
すると、そこには心意技を使おうとするロータスの姿があった。
クロウが思わず身を引くと、ロータスは一気に技を放つ。
ロータス「くらえ!ヴォーパル・ストライク!」
ロータスの右腕から、必殺の一撃が謎のアバターに向けて打ち出される。しかし、謎のアバターは手に持った鍵のような武器を一振りし、あっさりとその一撃をかき消してしまう。
ロータス「な…⁈」
クロウ「そんな…」
2人が唖然としたすきに、謎のアバターは鍵のような武器を頭上に掲げる。すると、そこから光があふれだし、クロウとロータスの視界が封じられた。
そして再び目を開けた2人は謎のアバターに視線を向けようとするが、そこにいたはずのアバターの姿はきれいさっぱり消えていた。
クロウ「そんな…。一体どこに?」
辺りを見回すクロウに、ロータスが声をかける。
ロータス「一度、バーストアウトしよう、クロウ。今後の対策を練らないと」
クロウ「バーストアウトって…。何言ってるんですか!?パドさんとニコが、消えちゃったんですよ!?」
ロータス「だからこそだよ、クロウ。あんな特殊な消え方をした以上、現実の世界でも彼女たちに何か起こっているかもしれない。それを確認しなければ」
ロータスの言葉に、クロウは冷静さを取り戻す。
クロウ「すいません、取り乱して…」
ロータス「気にするな。それより急ごう!2人が心配だ!」
クロウ「はい!」
クロウがそう返事をすると、2人はバーストアウトコマンドを口にし、現実世界へ戻る。
しかしそこには、残酷な真実が待ち受けているのであった…。