仮面ライダーエグゼイド:クロスエンディング~スーパーゲーム大戦~ 作:GAP
※一部独自解釈の部分があります。
※檀正宗がリセットに失敗した世界線の話です。
※今回、シノンの武器や戦闘スタイルを一部脚色しています。
檀正宗による最悪のゲームが開幕し、仲間たちの安否を心配した花家大我は、他の仲間とは合流せずに1人で檀正宗を倒すべく世界樹ユグドラシルを目指す。しかし、その行く手を阻むべく、銃の世界からやってきた孤高のスナイパーが大我の前に立ちふさがるのであった…
【ヒーローズクロニクル 廃都市ブロック】
聖都市から飛ばされた仮面ライダースナイプこと花家大我は、1人崩れた都市を歩いていた。
目指しているのはもちろん、檀正宗のいる世界樹ユグドラシルである。
この世界に飛ばされた直後、大我は正宗による放送を聞き、自分が狙われる立場にあることを知った。しかし、幸いなことに周辺に敵らしき影は存在しなかったため、己一人でユグドラシルに乗り込み、決着をつけようと決意したのである。
他の仲間たちはおそらく、他のプレイヤーたちの相手に追われ、苦戦するであろう。さらに、あの性格ならばろくに反撃もできないに違いない。
そう考えた大我はあえて仲間とは合流せず、1人で決着をつける道を選んだのであった。
大我「檀正宗…どこまで俺たちをもてあそべば気が済む」
そうつぶやいた大我の目には、大きな怒りがうかがえた。自分たちの世界だけでは飽き足らず、他の世界に渡ってまで害をまき散らすことが大我にはどうあっても許せなかった。
一刻も早くユグドラシルにたどり着くため、大我が足を速めようとしたその時、背後から足元に一発の銃弾が飛んできた。
すんでのところで避けた大我が振り返ると、そこにはミリタリー調の衣装を着た、水色の髪の少女が立っていた。
大我「何だてめぇは?」
大我が問いに、少女が答える。
シノン「私はシノン。あなた、仮面ライダーでしょ?」
大我「フン。そんな証拠がどこにある?」
大我がこういうのも無理はない。あの放送の後、大我はいち早く変身を解除し、ゲーマドライバーが見えないようにしていた。そう簡単にばれることはない。
だが、シノンはそんなこと関係ないと言わんばかりにはっきりと言い切る。
シノン「あなたたちのキャラデータはすでにこの世界にいる全プレイヤーに通達されている。たとえ姿を変えていても、すぐに分かるわ」
シノンの言葉を聞いて、大我は舌打ちする。檀正宗はどうやら徹底的に自分たちを追い詰めるつもりらしい。
大我「そこまでバレてんなら、隠す必要はねぇな。大方、俺を倒しに来たんだろ?」
シノン「おとなしくしてれば、一瞬で終わらせてあげる」
大我「なめんな。お前みたいな小娘にやられるほど、俺はヤワじゃねぇ」
そういって、大我は隠していたゲーマドライバーを取り出し、腹部に装着する。
その大我の様子を見て、シノンもストレージを開き、近距離用の小型マシンガンを取り出す。
シノン「手加減はしないから」
大我「上等だ!第二戦術!」
大我は言いながら、バンバンシューティングガシャットを取り出し、
大我「変身!」
と叫ぶと同時に、仮面ライダースナイプシューティングゲーマーレベル2へと変身し、愛用の武器であるガシャコンマグナムの銃口をシノンに向ける。
それと同時にシノンもマシンガンの銃口をスナイプに向け、そこから激しい銃撃戦が始まった。
スナイプ「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
シノン「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
互いに叫び、走りながら銃を連射しまくる。しかし、スナイプもシノンも銃を使った戦闘のプロフェッショナルであるため、決定打は決まらず、ある種の膠着状態に陥る。
スナイプ「ちっ!多少のダメージは無視するしかねぇな!」
膠着状態を嫌ったスナイプが、両手を交差しガードしながら無理やりシノンと距離を詰める。
シノン「ちょっ…!そんなのあり?!」
マシンガンによる銃撃をものともせずに突撃してくるスナイプの行動に、シノンは面食らう。そして格闘戦の間合いとなり、スナイプの荒い蹴りがシノンの腹に突き刺さった。
シノン「かはっ…」
無理やり肺から空気を絞りだし、マシンガンを手から落としながら、シノンが地面を転がる。
スナイプ「形勢逆転だ!」
スナイプがそういいながらガシャコンマグナムの銃口を這いつくばるシノンに向けるが、それよりも早くシノンは腰のホルスターに収めていたハンドガンを引き抜き、スナイプに向かって引き金を引く。
先ほどのマシンガンと違って単発ずつの発射だが、威力はその分強まっており、さしものスナイプも体勢を崩し、数歩下がってから膝をつく。
シノン「高かったけど、買っておいて正解だったわね」
そう言うと、シノンは先ほど自分がやられた戦法の意趣返しと言わんばかりにハンドガンを撃ちながら、膝をつくスナイプまで接近する。そして、
シノン「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
という叫びと共に、腰に装着していたレーザーソードを振りかぶり、スナイプを斬りつけた。
スナイプ「ぐあぁっ!」
という叫びと共に、今度はスナイプが地面を転がる。
すかさずレーザーソードで追撃するシノンだったが、スナイプはそれを何とか避け、大振りになったところに合わせてガシャコンマグナムでガードする。
スナイプ「そんな技もあるとはな。だが、俺の知ってる剣士に比べりゃまだまだだ!」
そう叫びながらスナイプは体格を利用してシノンを押し返し、一度距離を取る。
スナイプのパワーに押されたシノンはぐらつきながら、
シノン「やっぱりキリトのようにはいかないか」
とつぶやき、再び銃を構えようとした。しかし、スナイプはそれより早く腰のホルダーから新たなガシャットを取り出し、
スナイプ「地上でダメなら空中からだ!」
といってガシャットのボタンを押す。
『ジェット!コンバット!』
ガシャットから流れるその音声の後、
スナイプ「第三戦術!」
といってスナイプはガシャットをセカンドスロットに挿入し、コンバットゲーマーレベル3へと姿を変え、背部のブースターを起動して飛翔する。
そして備え付けられた2つのガトリングユニットを使って空中からシノンを攻撃し始めた。
シノン「ちょっと!さっきからずるいでしょ!」
空から攻撃するスナイプにシノンは抗議するが、スナイプは
スナイプ「こっちも負けてられねぇんだよ!」
と言い返して空中を旋回し、多方向からシノンに銃弾を浴びせる。
シノン「こうなったら…」
空中からの銃撃に打つ手がないと判断したシノンは一度スナイプに背を向け、少し離れたところにあった廃屋の中に飛び込む。
スナイプ「逃がすか!」
そう言ってスナイプもシノンを追って建物に突撃するが、建物に入った瞬間、すぐ脇に隠れていたシノンの投げたレーザーソードによってブースターを貫かれてしまう。
スナイプ「しまっ…」
そういった瞬間、シノンのハンドガンの弾が見事に突き刺さったレーザーソードのエネルギー供給路である柄を撃ち抜き、誘爆によってブースターが凄まじい爆発を起こした。
スナイプ「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
という声と共にスナイプは建物の外に放り出され、それと同時にコンバットゲーマーレベル3から元のシューティングゲーマーレベル2へと戻ってしまう。
スナイプ「アイツ…!」
そう言いながらふらつく体を何とか起こしたスナイプの胸元に、鋭い銃弾が直撃する。
スナイプ「くそっ!」
と言ってスナイプは銃弾の飛んできた方に素早くガシャコンマグナムの銃口を向けて発射するが、そこにシノンの姿はなく、ただ無駄弾を使うことになる。
あたりを見渡し、
スナイプ「どこだ!?」
と叫ぶと、今度は背中に銃弾が当たる。
すぐさま後ろを振り返り、反撃しようとするがすぐに右の肩を撃たれ、その拍子にガシャコンマグナムを手放してしまった。
スナイプ「くっ」
スナイプが撃たれた右肩をおさえた瞬間、また背中に銃弾が当たる。
スナイプ「精密射撃か!」
敵の戦略に気づいたスナイプは一度その場から移動し、近くにあったビルの中に身を隠した。
そして窓から外の様子をのぞこうとした瞬間、飛来する弾丸に気づいてとっさに避ける。
スナイプ「相当な腕前だな…」
スナイプはそう言うと、壁に背を預けてその場に座り込んだ。
一方その頃、敵であるシノンはスナイプのいるビルの反対側の廃墟に身を隠して陣取り、愛銃のヘカートⅢの照準を合わせていた。
シノン(本当は使いたくなかったけど、相手も相当な手練れみたいだからね…)
そんなことを考えながら、シノンはスコープからスナイプの動向を探る。
このゲームが仕組まれたことであることは最初から分かっていたため、シノンはもし仮面ライダーを見つけてもゲームオーバーにするようなことはせず、戦闘不能レベルに留めて協力を仰ぐつもりだった。
しかし、いざ出会った仮面ライダーは自分と同じ射撃の名手にして手加減できるような相手ではない。そうなれば、自身の安全を守るためにあたりどころが悪ければ相手を即ゲームオーバーにしてしまうヘカートⅢを使うしかなかった。
さらに言えば、先ほどのような運動戦は自分の得意分野ではなかったが、早期決着を望むシノンにとっていつも自分が使う精密射撃では時間がかかりすぎるため、あえてあの戦法を取ったのだった。
シノン(次で足に当てて、決着をつける…!)
スコープをのぞきながら、シノンは静かに決意を固めた。
そして、そのシノンから狙われるスナイプも考えていた。女であり、しかも自分より年下の少女を傷つけることをためらい、レベル2で闘ったものの、相手の技量は自分のはるか上を行く。そして何より、彼女の姿を見ていると、聖都市に残してきた自分の患者(パートナー)のことを思い出し、どうしても攻撃にためらいが生じてしまっていた。
スナイプ「俺もあいつらのことは言えないな…」
そういいながら、スナイプは己の切り札ともいえるガシャットを取り出す。
スナイプ「女のしかも子供相手に使いたくはねぇが、ここで負けるわけにはいかねぇ!」
そう言うと、スナイプはそのガシャット―――ガシャットギアデュアルβのダイヤルを回す。
『バーンバーンシミュレーション!』
ガシャットからその音声が鳴ると、
スナイプ「第五拾戦術!」
と小さく叫び、バンバンシューティングガシャットを抜いて、ガシャットギアデュアルβをゲーマドライバーに差し込む。そしてシミュレーションゲーマーレベル50になると、両手のガンユニットから小型の戦闘機を発進させ、
スナイプ「いけ!」
と言って窓の外へと解き放った。
小型戦闘機は静かに外を偵察し、やがて向かい側のビルにいたシノンを発見すると一斉に攻撃を開始する。
シノン「しまった!」
スコープに集中し、反応が遅れたシノンだったが、間一髪のところで戦闘機からの攻撃を避けて場所を移動しようとする。
しかし、時すでに遅く、戦闘機からの情報によりシノンを捕捉したスナイプは、
スナイプ「そこか!」
と叫びながら、全身に装備した10門のスクランブル・ガンユニットの砲門をすべて開き、シノンがいるであろうあたりを狙って一斉に砲撃した。
シノン「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
シノンの叫びと共に、元いた廃墟は崩壊し、瓦礫の山と化す。
間一髪で脱出し、立ち上がろうとしたシノンだったが、その眼前にスナイプの右手の砲門が向けられ、
スナイプ「勝負あり、だな」
と宣告された。圧倒的火力と自分の戦法が通用しないことを悟ったシノンは、持っていたヘカートⅢを地面に置き、ゆっくりと両手を上げる。
シノン「私の負けよ。さぁ、煮るなり焼くなり、トドメを刺してゲームオーバーにするなり好きにして」
シノンのその言葉を聞くと、スナイプはガシャット抜いて変身を解き、元の大我の姿に戻る。そして、シノンに向かって、
スナイプ「邪魔する気がないなら、さっさと失せろ」
と言い放った。その一言に、シノンが言い返す。
シノン「見逃すっていうの?」
大我「俺の目的は檀正宗だ。それを邪魔する奴ならぶっ潰すが、邪魔をしない奴の命を奪う気はねぇ。これでも一応、医者だからな」
シノン「…町のチンピラかと思った」
大我「白衣を着てんだろうが!」
大我のツッコミを聞いて、シノンがプッと吹き出す。その姿を見た大我も、思わずフッっと笑みを漏らす。
シノン「あなた、優しいのね」
シノンの言葉に、大我が照れ隠しのように答える。
大我「無駄なことが嫌いなだけだ」
シノン「ふーん。ねぇ、質問してもいい?」
シノンが、真顔になって大我に尋ねる。
大我「なんだ?」
シノン「あなたたちは、何の目的があってこの世界に来たの?」
シノンのまっすぐな視線を受けて、大我も真顔になって答える。
大我「俺たちの方にはこの世界に目的はねぇ。目的があるのは、この世界の運営とか言ってる檀正宗の方だ。あいつは俺たちのいた世界で最悪のゲームを作って、そのルールであり頂点として君臨し、多くの人たちを苦しめた。この世界でも、同じことをするつもりらしい。最も、今回は元の世界で奴のゲームをぶっ潰した俺たちへの復讐も兼ねているみたいだがな」
大我のその答えに、シノンは少し自嘲気味に答える。
シノン「そっか…。やっぱり君たちは、悪い人じゃなかったんだね」
シノンのその答えに、大我が皮肉っぽく言う。
大我「お前らプレイヤーにとって運営はまさに神みたいな存在かもしれねぇが、そう簡単に信じるもんじゃねぇぞ。知り合いに様々なゲームを開発して、自分のことをゲームマスターだ神だとほざいてる奴がいるが、とんでもねぇロクデナシ野郎だからな」
大我の放ったその言葉には、不器用ながらも「気にするな」といった優しさを感じ、シノンはフッと微笑む。
シノン「ありがとう…。それで、あなたはここからどうするの?」
大我「決まってる。ユグドラシルに行って、檀正宗をぶっ潰す!」
大我の答えを聞くと、シノンは立ち上がり、
シノン「それじゃ護衛役として、私もいっしょに行くわ」
と言った。
それを聞いた大我は即座に反対する。
大我「いらねぇよ。俺に負けるような奴は足手まといだ」
シノン「でも、序盤では私の方が押してたよね?」
大我「それは、油断してたからで…」
シノン「今回は私1人だったけど、次は集団で襲われるかもしれないんだから負けたとはいえ用心棒がいれば心強いでしょ。それに、この世界のこと、何も知らないんでしょ?ガイドはつけておいた方がいいと思うけど」
その言葉を聞いて、大我は納得しかけたが、やはり巻き込むわけにはいかないと再度突っぱねようとする。しかし、シノンの目にはたとえ死んでもついていくという固い意思が宿っており、何を言っても無駄だと思い知らされる。
大我「…足手まといになるんじゃねぇぞ」
大我のその答えに、シノンは笑って答える。
シノン「当然。それで、今更だけど、あなたの名前は?」
大我「花家大我だ」
シノン「そう。それじゃ行こうか、大我」
そう言うと、シノンは傍らにあったヘカートⅢを担ぎ、先に歩き出す。その姿を見て大我は、
大我「…あいつにそっくりだな」
と小さく漏らすと、シノンに続いて再びユグドラシルを目指して歩き始めた。