この素晴らしき世界に砂ぼうずが   作:たきざわかい

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OP「砂ぼうずの唄」


砂漠の妖怪砂ぼうず

間一髪で家に逃げ込んだトマは、女房に俺は病気でずっと寝ていた事にしろと言い聞かせると、靴も脱がずに素早くベットに潜り込んだ。

 

 

それから十秒も経たない内に、トマの家の玄関を誰かが、ガンガンと激しく叩きつけ始めた。

 

 

それはまるで、強烈な便意に肛門が決壊寸前の、もう漏れそうだ、早く出てこいやっ、あくしろよっ、

と使用中の個室を叩きまくる、チンピラもかくやと言うべき乱打だった。

 

 

「おらっ、いるんだろっ、出てこいやッッ、大人しく出てこねえと玄関のドア蹴破んぞっ!」

 

本当に蹴破られてはたまらぬと、慌てたトマの女房が、玄関を開けると、勢い良く借金の取立て人が転がり込んでくる。

 

 

その動きは、まさに五点接地転回法そのものだ。

 

そのまま取立て人がナチュラルに立ち上がり、トマへと顔を向ける。

 

 

 

平たいヘルメットにガスマスクを装着した取立て人──トマ側からは、その表情を覗い知ることはできない。

 

 

「おらっ、借金さっさと返さねえかっ、期限はとっくに切れてんぞっ、堪忍袋の緒が切れちまってんだよっ」

 

「ごほ、ごほ……す、すいません……ですが身体の調子が悪くてどうしても仕事が……」

 

わざとらしく咳をするトマ、そんなトマを冷ややかに借金取りが見下す。

 

 

そして、借金取りは「じゃあ、これはどういうことだっ」と、怒鳴ると、素早くトマの被っていた毛布を剥ぎ取った。

 

「おう、オッサン、あんた、寝る時は靴履いてんのかよ」

 

マスク内にある三白眼を見開き、トマに詰め寄る取立て人。

 

 

「え、ええ、そうなんですよ。死んだ親父の遺言で……」

 

ぎこちなく笑いながら答えるトマ。

 

それに対し、トマの靴を観察していた取立て人が怒鳴る。

 

 

「じゃあよ、なんで靴底に泥がこびりついてんだよ、オッサンっ、病気でずっと寝てたんだろ。コイツはどういうことなんだよォッッ。

テメエ、いい加減にしねえと頭叩き割んぞッッ、このバカタレっ、ガスタレっ、小便垂れの糞っ垂れがァっ!!」

 

トマの首根っこを締めつけ、取立て人が激しく揺さぶる。

 

 

頭蓋骨内部でシェイクされるトマの脳みそ。

 

 

「や、やめてくれえっ、暴力反対ッッ!」

 

「だったらキリキリと金払わねえかっ、耳揃えて払いやがれっ、それともテメエの女房叩き売られてえのかっ」

 

「わ、わかりましたっ、お支払いしますっ」

 

 

「おう、わかりゃいいんだよ、わかりゃ」

 

 

その次の日。

 

 

「さっさと借金払えよな、オヤジ」

 

今度は酒屋に顔を出していた取立て人が、カウンターの前で店の主を睨みつけていた。

 

取立て人が自らのマスクを顔半分ほどずらし、口を露出させる。

 

 

そして、右手に握っていた生きているドブネズミの頭を、客達の見ている前で食いちぎった。

 

チューチューと泣き喚くネズミの頭を前歯で引き千切り、その血をチューチュー吸う取立て人。

 

 

客の何人かが、その光景に口元を押さえた。

 

取立て人が、噛み砕いたネズミの頭を吐き出す。

 

ベチャっと、湿った音を立て、床にへばり付く潰れたドブネズミの頭部。

 

 

薄気味悪がった客達が、酒場を後にしていく。

 

「それでどうすんだ。前みたいに用心棒でも出すか。言っておくがよ、今度は半殺しくれえじゃ、済まさねえからな。

いいか、金払わねえなら、俺は毎日でも来るからなっ」

 

激しい剣幕で店主を怒鳴り散らす取立て人。

 

「わ、わかりました。払いますっ」

 

「だったら、さっさと払いやがれっ」

 

これが元便利屋、現在は冒険者である砂ぼうずの仕事だ。

 

 

SSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSS

 

 

<ナレーション>

 

 

水野灌太(ミズノカンタ)は数いる転生者の内の一人だ。

 

女神と名乗る女から、カンタは異世界に転生するように言われて、この地にやってきた。

 

 

 

出身地は関東大砂漠。

 

昼間の気温は摂氏五十度を超え、夜は氷点下を割る過酷な場所、動くものは何もない、草木も生えない地獄と呼ばれている土地だ。

 

人類の文明は数百年も昔に崩壊し、その名残が遺物として残っているだけの混沌とした無秩序な世界。

 

 

荒地には盗賊共が跋扈し、暴れまわるこの無法地帯を支配するのは、圧倒的な暴力だけである。

 

 

そんなヒャッハーでマッドマックスな過酷すぎる世紀末世界を生き抜いてきたのが、灌太だった。

 

 

誰が呼んだが、又の名を砂漠の妖怪<砂ぼうず>、関東大砂漠きっての凄腕便利屋である。

 

お使い、借金の取立て、用心棒、護衛や人質の救出、内容と金次第では、暗殺すら引き受ける砂漠の妖怪砂ぼうず。

 

そんな狡猾、卑怯、陰湿、陰険、好色、変態、腐れ外道、屑、煩悩の塊とも言うべき、人間としては間違いなく最低男であるカンタこと砂ぼうずは、

転生先の異世界でも、自らの欲求の赴くままに好き勝手に暮らしていましたとさ。

 

理想のボインちゃんを見つけるために。

 

 

SSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSS

 

 

<砂ぼうず 一人称>

 

 

 

へへ、それにしてもこの異世界ってのは、本当に天国見てえな場所だぜ。

 

 

水はタダで飲み放題、使い放題、食い物もそこら中に生えてやがる。

 

腹が減ったらそこらにある草木や昆虫を採って食えばいいんだからな。

 

 

全く、異世界様々だぜ。

 

 

俺は口笛を吹きながら街を練り歩いた。

 

 

報酬の金を数えつつな。

 

俺は報酬を懐に収めると、そのままギルドの酒場にスキップしながら入っていった。

 

 

「あ、カンタじゃないのっ」

 

そう言いながら、俺の目の前にやってきたのは、水色髪をした美女のボインちゃん──アクアだ。

 

 

うへへ、相変わらず良いオッパイと尻してやがんな。

 

美味そうな身体してるぜ、マジでよ。

 

 

ちなみに転生する際に、俺はこいつの手助けをするように女神に言われ、契約してる。

 

それが俺の受け取る対価の交換条件だったからだ。

 

 

それにしてもこの世界は、女も水も食物もすげえ上等なのばっかだ。

 

 

なんせ、周りを見渡しゃベッピンだらけだからな。

 

それこそオアシスなんて目じゃねえ。

 

 

まあ、中にはどうしようもねえブスもいるけどよ。

 

 

俺は揺れるアクアの豊かな胸元をニヤつきながら眺めた。

 

「相変わらず良い乳してんな、アクアは、うひひっ、その乳、一房なんぼじゃっ」

 

そう言うと、俺はアクアの胸を両手で掴み、揉んだ。

 

 

 

ああ、柔らかい……すげえ柔らかい……。

 

これぞ女の持った肉の感触だ……。

 

俺はアクアの乳を揉みまくった。

 

 

すると「いきなり、何すんのよっ」と思い切りアクアに顎を殴られた。

 

「いちちっ、そう怒るなよな、クリムゾンビア奢ってやっからさ」

 

「そういうことなら許すわっ」

 

ふ、チョロイなあ。

 

 

喜々として給仕に酒を注文するアクアを尻目に、俺は他のボインちゃん達の胸を視姦することにした。

 

むひひ、それにしてもたまらねえな、おい。

 

俺はテーブルを拭いている受付嬢のルナの大きなヒップを眺めた。

 

胸も良いが尻もたまらねえな。

 

俺は想像する。

 

 

ルナ嬢の半ズボンを脱がせ、べったりとウ○コ筋の付着したショーツの臭気を嗅ぎながら、背後からズッコンバッコンやりまくることをっ。

 

うひょーーっ、あの透けるようなヒップに顔を埋めて舐め回してえ。

 

俺の子種をばら撒きてえ。

 

 

俺はこの世界で必ず成り上がってやるぜ。そして理想のボインちゃんをゲットだっ、ひひひひっ!!!

 

 

 

SSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSS

 

 

 

銃弾で頭部を撃ち抜かれたジャイアント・トードは、力なくへたりこんでくたばっていった。

 

砂ぼうずが、周りに居た巨大なカエルを次々に撃ち殺す。

 

カンタはこの巨大カエルの肉を初めて食ってから、病みつきになった。

 

 

こんなに旨いもの食ったのは、生まれて初めてだ。

 

 

それが砂ぼうずの抱いたジャイアント・トード肉への感想だ。

 

(今日はカエルの唐揚げとステーキだな。美味そうだぜ、残った肉は干し肉や燻製にして保存だな、うししっ)

 

 

 

金を稼ぐだけなら、一撃熊や初心者殺しを狩ったほうがいい。

 

そして、砂ぼうずはソロで、これらのモンスターを狩る腕前を持っている。

 

 

だが、それをしないのは、ソロでは余裕でもパーティーを組むと、途端に狩れなくなるからだ。

 

つまり、他のメンバーが足でまといなのだ。

 

そんな砂ぼうずは、現在、カズマとアクアと共に仕事に精を出している。

 

 

「いけっ、カンタっ!」

 

「そこよっ、カンタっ」

 

離れた小山から砂ぼうずに声援を送るカズマとアクア。

 

そんな寄生上等な二人に向かって、砂ぼうずは怒鳴った。

 

「うるせいっ、テメエらもちったあ手伝いやがれッッ!」

 




ED「砂ぼうず 絵描き唄」

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