戦艦、不知火は結く 作:pqrsman
私が不知火を第一艦隊の旗艦に選出したことは成長に繋がることだと確信している。
しかし、皆は納得するだろうか・・・基本的に艦隊にいるのは山城、天龍、那珂、龍田、赤城、翔鶴だ。
誰もが練度は文句なしに素晴らしい仕上がりだ。それ故にかなり自分の意見を通したがる。
まあ、過激さはそれぞれだがどちらにしても障害になるのは変わりない。
彼女たちをどうあしらい納得させるかお手並み拝見と行こう。
「大淀、お前はどう思う?」
「不知火さんの件ですと、誰かしら反感を覚える艦娘はいるでしょう。
ですが、理解して貰えなければ連携が機能せずに総合的な戦闘能力は大幅に下がってしまうでしょう。
そんな状態での深海棲艦の轟沈はほぼ不可能。場合によっては大破やこちら側の轟沈もやむを得ないことになります。彼女の腕の見せ所でしょうから手を出しては成長の妨げになります。」
ふむ、策は講じる必要がない、か。むしろ見守るのが仕事といったところか。
やはり、大淀は分析に長けている。どうして、大本営は彼女に指揮権を与えないのだろうか・・・
「そうだな。可愛い子には旅をさせよ、ということか。
出来れば週を跨がずにしてもらいたいものだ。そこには大規模作戦が控えているからな。
大本営の連絡はまだか?大淀。」
「ええ、少しならば聞き及んでいるのですが・・・推測ですが、おそらく敵は戦力を投入した勢力戦になるはずです。」
「ふむ、小手調べは終わったということか・・・私たちは練度というものだけでなく眼に視えない信頼までも戦力に加えなければならないのだな。人類が団結した意味を痛感させられるよ。」
「はい、それは私たちが艦であった時から続いていましたから。」
「どうせならば権力だの欲だのは他の物に据え代わっていても良かったのだがな。」
「それは難しいようですね・・・今の所は。」
「まあ、憂いても仕方ないことだ。執務を迅速に終わらせよう。」
「ええ、てーとくのお側で仕えるというのは名誉ですから。」
「照れるじゃないか。有り難う。」
「真顔で言われましても反応に困りますよ。どういたしまして。」
その時、司令室の前には人影が佇んでいた。空母の長、ほんわか、ボーキサイトこれらを合わせれば自然と一人の人物が浮かび上がる。
正規空母、赤城である。彼女は不知火が旗艦になることにわずかながら理由の説明を求めていた。
建造されて二週間の若造がいきなり、第一艦隊に配属された。それだけでなく、旗艦に抜擢されたのだ。
戦艦に理由をさりげなく聞いた。しかし、答えたとしても、
『そんなことも分からないのデ~ス?あなたの目は節穴ですカ・・・シラヌイに会い話をしてみて下さ~イ」
としか言わないのである。何故でしょうか。食堂の新聞に依ると、紅茶の話をしただけではないですか。
こんなことで一航戦の誇りだけではなく第一艦隊の栄光まで失われるのですか!?
あってはならない筈です。加賀さんも翔鶴さんもあんなにも厳しい訓練を積んできているのです。それなのに急にしゃしゃり出てきたのですから。
然るべき理由がなければ提督に直訴することも厭いません。話を聞いてみましょうか。
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鎮守府内廊下にて
「不知火さん。少しお時間良いですか?」
「ええ。構いませんよ?赤城」
「あの前々から思っていたのですが、なぜ敬称が略されているのですか?」
「これは昔からの癖です。どなたであっても敬称を省いてしまいます。お気を悪くしたのなら謝ります。」
もしかして加賀さんにもこんな態度で接しているのですか・・・
少しくらい皆さんも指摘したほうがいいと思いますが。
「いいえ。私はいいのですが他の人が少し気を悪くしていないかが気懸かりです・・・」
「そんなことはないでしょう。皆さん笑顔で対応して頂けています。」
「因みに旗艦になることを聞いて不知火さんはどのように指令がお考えなさったと思いますか?」
「不知火は期待・・・いや信頼されています。その信頼という直感に賭けたんだと思います。」
「不知火さんは他の艦娘の方々に申し訳ないとは思わないのでしょうか・・・」
「なぜです?そんなことを考える暇があれば司令官の意図を汲み取り最善を尽くすだけです。それだけが私に求められた働きなのですから。」
「加賀さんや翔鶴さんのことを軽んじているのですか!?そうだとすれば許せませんね・・・」
「そんなことはありません。他人を顧みる程の余裕は不知火が持ち合わせていないだけです。」
「今、また
訓練場へ行きましょう。」
「明らかに頭に来たのは血ですが・・・構いません。不知火は司令官の命は絶対です。期間は一週間以内。それまでに旗艦としての私自身を認めて貰わなければ。そのためにはなんだってします。」
一航戦の誇りと忠臣の戦いが今始まる。
眠いです。寝ます。朝早く起きて卒論やります。